「希望格差」を超えて 新平等社会

著者 :
  • 文藝春秋
3.24
  • (6)
  • (5)
  • (31)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 103
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163684505

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  •  まとめると。まずニューエコノミー万歳。格差拡大は自由の拡大によるものであって、不可避。格差問題は、市場の「外部不経済」なので、公害と同じように対策が必要。市場の優れた点を保ちながら、格差をミニマムにする(注:オレにはコレ、意味不明です)新しい基準が大事になってくる、つまりこれが、新しい「第三の平等概念」なのであーる。

     でさ。
     まず、格差問題が「外部不経済」というのがナンセンス。格差問題は「外部」ではなく、どう考えたって市場「内部」の問題でしょうに。意味がわかんね。このあたりの本文は、経済主体ってナニヨどころか、センセの頭の中で主語がどっかにいっちゃってるとしか思えない支離滅裂さ。今どき公害だって排出権取引などを通じて市場の「中」で解決しようとしている。せっかく「中」に入ってるモノをわざわざ「外」に出しちゃう、それが「社会学的思考のセンス」というわけ?
     ニューエコノミー大好きな山田先生だが、実際日本がどんだけ「ニューエコノミー」なのよといういっちゃん大事な前提は、検証なし。ドラッカーやらライシュが言ってるんだから正しいでしょっていうのは、学者の仕事? で、日本が「ニューエコノミー」とやらになってるという例が傑作。ペットマッサージ、美容師にメイド服を着せるサービスとかが、なんとニューエコノミーの例なんだそうで。「想像力や創造力に富んだ美的センスを身につけた生産性の高い人」の例がソレですか。はぁ。

     あいかわらず、なんか「オレも、オレもそう思ってたんだよ」的な結論はうまいと思うけれど、論証がぐだぐだ。さんざっぱら「パラサイト」叩きした過去を微妙に修正して「若者弱者論」へとじわじわと体重移動してるあたりも、なんつーか面の皮が厚い。まぁつまりは、いままでの評価を変える著作ではなかったという一言だけで済む話ではあるが。
     最初に結論ありきで、それに都合のいいデータをさがしてきて当てはめればOKなのが社会学。という『反社会学講座』の指摘がまんまあてはまる。この人がこんなに売れっ子で、ホントにいいのか? 社会学。

著者プロフィール

山田 昌弘(ヤマダ マサヒロ)

1957年、東京生まれ。1981年、東京大学文学部卒。
1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
現在、中央大学文学部教授。専門は家族社会学。コピーライターとしても定評がある。
NPO全国地域結婚支援センター理事

【著書】
『パラサイト・シングルの時代』『希望格差社会』(ともに筑摩書房)、『新平等社会』『ここがおかしい日本の社会保障』(ともに文藝春秋)、『迷走する家族』(有斐閣)、『「家族」難民』(朝日新聞出版)などがある。

【公職】
•内閣府 男女共同参画会議・民間議員
•文部科学省 子どもの徳育に関する懇談会・委員
•社会生産性本部 ワーク・ライフ・バランス推進会議・委員
•厚生省 人口問題審議会・専門委員
•経済企画庁 国民生活審議会・特別委員
•参議院 調査室・客員研究員
•東京都 青少年協議会・委員
•同 児童福祉審議会・委員
•内閣府 国民生活審議会・委員
などを歴任。

「2016年 『結婚クライシス 中流転落不安』 で使われていた紹介文から引用しています。」

「希望格差」を超えて 新平等社会のその他の作品

山田昌弘の作品

ツイートする