悪夢のサイクル: ネオリベラリズム循環

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163684802

作品紹介・あらすじ

迫害を逃れて、アメリカにわたったユダヤ出身の一経済学者の思想は、はじめ「国家からの自由」を求める小さな声に過ぎなかった。70年代、その声は次第に大きくなり、やがてアメリカの政権中枢部を覆い、南米をかわきりに世界へとあふれ出す。-市場原理主義(ネオリベラリズム)。市場が人間を支配する思想へと変質したそれは、実体経済を破綻させ、人心を荒廃させる「悪夢のサイクル」を産み出した。

感想・レビュー・書評

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  • 規制緩和のネガティブな影響について述べられているが、かなりのポジショントークになっているので、読み手はどこまでも中立に読む必要があります。

    ただし、最終章で述べられる、市場原理に人間が絡め取られるのではなく、人間が市場をうまく使いこなすべきだとの論は全くその通り。なればこそ、そこには市場原理に絡め取られないようにする目的での規制緩和の道もあるはず。

    物事には良い面と悪い面が必ずあるので、本書も多面的に見る必要があります。

  • 総選挙前なので、改めて内橋先生のこの本
    フリードマンからの系譜を紐解きながら
    常に「反」市場主義を貫く内橋先生の信念は立派
    ただ、反対だけではなあ~
    入門書としてはOK
    4.0点

  • 議論は若干安易な気はしますが、図を使ってわかりやすくまとめられている。規制緩和によりマネーが流入し、一時的なバブルを生むが、当然のごとく崩壊し、今度は資本が海外流出し、それを何とかしようとまた規制緩和する、というネオリベラリズム循環という問題意識は正しく、もっと深く考察するべき問題です。

  • 2011/10/07:読了。
    やっと読み終わった。
    市場原理主義は、悪魔のサイクルである。
    南米で実験が行われ、それが世界各地に広まり、
    結局は、ネズミ講の大元のアメリカに戻り、
    すべてを破滅し、サイクルが終わる。
    かといって、アメリカがそれを推し進める途中では、
    反対派はすべて粛正されていくので、どうにも
    ならない...
    困ったもんだ。

  • グローバリズムの名の下に地球規模で蔓延するネオリベラリズム。そのそもそもの発祥や急拡大した背景を経済学史的に振り返りつつ、現在の我々の立ち位置を明らかにする。旧来の経済学の常識であった景気循環の振幅を遙かにしのぐネオリベラリズム循環の揺さぶりの果てに待ち受けるものが何か、本書はチリやアルゼンチンの軍政下の経済政策や通貨危機時の東南アジア諸国という先例に学ぶべきであることを切に訴える。

  • 敢えて大変図式的に書いてある。たまにはこういう「まとめwiki」的な文章も必要なんだと思う。「なんとなくは思ってたんだけど、そうそう、それが言いたかったの」的な気持ちよさ。

  • 名著である。一人でも多くの人がこの本を読んでくれることを望む。

    この本の発刊は97年だが、ここに登場する問題は、現在より顕著な形で現れている。

    格差社会は小泉政権によって強力に推し進められたが、その流れはそれ以前から出来上がっていたことが分かる。

    官から民への民とは市民の民ではなく民営大企業の民であるということを改めて認識した。

    市場原理主義が引き起こす強者が弱者を徹底的に駆逐する所謂「格差社会」。この生きにくい社会を何とかしたいという思いは多くの人が持っているはずだ。

    しかし、聞こえてくるのは文学的なアプローチからのものばかりだ。文学の世界からの声は私の心には響く。

    しかし、これではこの国の仕組みを牛耳る大企業は動かすことは出来ない。やはり経済学からのアプローチが必要なのではないかと常々感じていた。その期待に答えてくれたのがこの本だ。

    自由競争至上主義者は共通のルールのもとで競争して勝ち負けがつくのは当然であり、効率を追求する中で、カットされる部分が出るのは当然の流れだという。

    しかし、同じ言葉を今まさに苦しみの只中にいる弱者の前で言えるのだろうか。しかし、こういった感情からの批判だけでは世の中は変らない。

    本書にもあるとおり、規制すること、守ることも場合によっては有益であるということを経済学の立場から明らかにしていくことが重要である。

    感情論ではなく論理的思考によって「格差社会」を克服していく必要がある。

    http://ameblo.jp/use04246/entry-10016289310.html

  • 現在はまっている思想の関連書。本当に百年先を見据えた話を考えるとこういう思想へ向かうべきじゃないのだろうか。というわけで、そういった視点から見たここ最近の日本経済の変遷の解説書として良書といっていい。

  • アメリカのフリードマンが提唱した市場原理主義、そしてネオリベラリズム(新自由主義)が、現在の日本の規制緩和政策の思想的背景であると看破する。ネオリベラリズムに対抗する道は、「市民資本」の自立が大切と解く。市場をすべて開放しろというのでもなく、市民的社会制御が必要なのだ。

  • 現状というか、小泉竹中路線の批判に終始している感じ。その対案が示されているか、どうすればいいのか書いてあるか期待してたけど、そうでもない感じ。

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