- Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163696805
作品紹介・あらすじ
文学の獣が、叫び、泣き、疾駆する。現代文学の巨人、中上健次の生と死を天与の筆で描ききった傑作評伝。
感想・レビュー・書評
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太宰治坂口安吾、破滅型の私小説家はいたけれど、彼にはそうならざるを得ない野生の肉体と精神があった。
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これは、中上健次を読まねば。 2010/11/3 読了。
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本当に素晴らしい一冊。
中上健次の生涯を見事に書き上げていて、それでいて随所に著者の中上健次への愛情を感じる暖かい内容で、胸が熱くなった。 -
渾身、の評伝だった。ぐんぐん引きこまれて圧倒された。
改めて中上健次の作品を読み返してみようと思った。
著者は『火花 北条民雄の生涯』も書いている人。18の時、大学の友人に薦められて『いのちの初夜』を読み、衝撃を受けたことを思い出す。作中にも中上が北条民雄について言及するシーンがある。
作成日時 2008年01月27日 10:53
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内容が重いので心して読まないと大変です。疲れました。高山作品は火花、水平記に続いて読んでおり、共通しているのが被差別部落問題。中上にそういった背景があるのはなんとなく知っていましたが、この本を読み彼の言葉でいう「路地」の世界や彼の生涯、作品について知ることができました。といっても「路地」を題材にした彼の主な作品群は未読で、確か亡くなる直前まで連載していた「軽蔑」しか読んだことがありません。これは「被差別部落」を強く感じさせるものではないのですが(気がつかなかっただけかも)、この中で主人公真知子が何度もつぶやく「男と女は五分と五分」というセリフが、中上の母親の言葉だったことを知り驚きました。中上の母は、母としてではなく女として生きた、と書かれていますが、路地の世界ではそれもまたひとつの生き方、そうしなければ行き抜けなかったのではないかと思えました。出自に向き合い、自分自身も家族をも傷つけながら、それを題材にして書かなければ生きていけない、文学者、作家というのはこういうものなのか、と恐ろしくさえ思いました。