音をたずねて

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 33
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163698700

感想・レビュー・書評

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  • すごく楽しかった!
    “sceneless”(三宮さんの造語。目が見えない方のこと)である三宮さんによる、音がテーマのお仕事インタビュー系メインなエッセイ。
    楽しさとわくわくに溢れたエッセイで、どの章も好奇心できらきらしてる!
    三宮さんの好奇心いっぱいでお茶目(?)なお人柄によるものなんだろうなぁ。
    つらい体験や悲しい経験ももちろんおありのようで、楽しむためにたくさんの努力をしていらっしゃるのもすごく感じた。その分なのかな、このエッセイはわくわくに満ちていて素敵!
    やっぱり楽しむための努力は忘れちゃだめだなぁ。

    どれもすごく楽しかったけど、ヤマハのピアノ工場見学「ピアノの故郷をたずねて」と、柘植櫛専門店の職人さんを訪ねた「柘植櫛で爽やか!」、テレビの音響効果マンの方へのインタビュー「効果マンの職人芸」が特に好き。

  • 2012年7月1日

  • 目の不自由な筆者がさまざまな体験を美しい表現で奏でるエッセイ集。印象に残ったのは花火大会、ピアノだったか楽器の工場見学。5感どれかが不自由な人はそれ以外の器官がすごく鋭敏になる。音楽家のように。それが私達に感動を与える。目が不自由だということはどんなことか違う視点から物事をみるきっかけにもなる。

  • 視覚以外の感覚で世界を把握することをダイアログ・イン・ザ・ダークでちょっとばかり体験したけれど、著者の清明で魅力的な文章力(表現力)にまず感動。鈴を作る人や鼈甲職人を訪ねる、中国茶を味わう、ピアノ工場見学、櫛屋さんなどの訪問取材記。花火の音で空の大きさを知り、花火を愉しむなどいろいろな体験を描く。著者のイノセントな好奇心と行動力、鋭い感性そしてお人柄に酔える。「時報のお姉さん」へのインタビューで、彼女は時報や留守番電話などの音声ガイドを職業とする方のその声を特定する。「単に高く澄んでいるにとどまらず、滾々と湧き出す泉の水面に手を入れたときのような弾力と爽快な透明感」があるそうだ。鼻濁音の発声も大事とのこと。私は耳音痴なのか?この本からDIDで水を触覚で感じた感動を思い出していた。

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著者プロフィール

エッセイスト。東京都生まれ。
高校時代、米ベンロマンド・ハイスクールに留学。上智大学文学部フランス文学科卒業。同大学院博士前期課程修了、修士号取得。現在は外資系通信社で報道翻訳に従事。
デビュー作『鳥が教えてくれた空』(NHK出版/集英社文庫)で第2回NHK学園「自分史文学賞」大賞を、『そっと耳を澄ませば』(NHK出版/集英社文庫)で第49回日本エッセイストクラブ賞を受賞。そのほか、第2回サフラン賞、第11回音の匠賞、第46回点字毎日文化賞などを受賞。
主な著書に『ルポエッセイ 感じて歩く』(岩波書店)、『ロング・ドリーム──願いは叶う』『世界でただ一つの読書』『四季を詠む──365日の体感』(以上、集英社文庫)、『おいしい おと』『でんしゃはうたう』『かぜフーホッホ』『センス・オブ・何だあ?』(以上、福音館書店)などがある。
失明直後からピアノ、リトミック、ソルフェージュなどのレッスンを開始。複数の専門教師のレッスンを継続し、現在はパリ国立高等音楽院教授の上田晴子氏に師事。大学・大学院時代は学内の古楽器アンサンブルでリコーダーとチェンバロを担当。新井満氏との合作で『この町で』を作曲したほか、講演やトークコンサートなど幅広く活動を続けている。
趣味はバードリスニング。

「2022年 『フランツ・リスト 深音の伝道師』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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