アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)
- 文藝春秋 (2008年10月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163707501
作品紹介・あらすじ
暴走する宗教。デタラメな戦争。広がる経済格差。腐った政治にウソだらけのメディア…。こんなアメリカを誰が救えるのか。
感想・レビュー・書評
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アメリカ人には本気で日本と韓国と中国の区別がつかない人がいるんだろうな、と思わされます。「同じ言葉しゃべるんだよね」とアメリカ出張で聞かれたことあり
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アメリカ盲追の日本としては、笑えない。TPPを許したら、日本もこうなるんだろうな~泣
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大変面白く読みました。
日本版マイケル・ムーア的な感じでしょうか?
いやー、未公開映画を観るTVで言ってることをそのまま本にした感じ?いや逆か。
本当にアメリカに住んでなくて良かった・・・と思わされる。
それでもアメリカの犬こと日本人としてはちょっとヒヤヒヤしちゃうよね。
将来TPPで似たような状況になりませんように・・・。 -
入院していた時に大学の先輩にもらった
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2009.11.26開始〜2009.11.30読了
<b>帯コピー:</b>
<i>「殿(ビートたけし)に、
『今、一番面白い評論家は誰だ?』
と聞かれた。俺は自信たっぷりに、
『町山智浩です!』と答えた。
もし疑うなら、この本を読んでほしい!!」
水道橋博士(浅草キッド)大絶賛!
</i>
正直いって2009年のベストにランキングされる可能性がかなり高い逸品。
アメリカという国が、いったいどういうものなのか、日本からの目線ではなく、アメリカの現場に居る日本人からの目線で赤裸々に描いた作品。
インターネットによってこれだけ情報が氾濫する世の中になっても、まだ日本にもれ伝ってこない情報がこれだけ存在するのかと心から驚いた。そして、表面的な部分しか見えてこないアメリカの最深部はいったいどうなっているのか?政治、戦争、宗教、マスメディアといった様々な視点から的確に、かつ面白く表現されています。
「アメリカ人はバカだ」と日本人はマスコミや親からの教育で「単純に」刷り込まれている。
本当にアメリカ人はバカなのか?
それともそういう風に決め付けてしまっているだけなのか?
この本には、いまの日本の将来が集約されている気がしてならない。
単純な読み物としてもめちゃめちゃ面白いので、その真実を自分の目でぜひ確かめてほしい。
以下、気になったポイントです。
ネタバレ注意です。
[more]
第1章 暴走する宗教 P.38-40
<blockquote>・キリスト生誕の地イスラエルには樅の木は存在しない。ツリーはドイツからの移民によってアメリカにもたらされた。
・キリストの誕生日はいつかわからない。古代ローマ人はキリスト教化されたとき、太陽神ミトラスを祭る日だった冬至をキリストの誕生日とした。
・サンタクロースもオランダ移民によってアメリカに輸入されたが、白い縁取りのあたる真っ赤な服という衣装は30年代にアメリカで作られ、コカコーラの広告で一般的に認知された。
・実はクリスマスもハヌカも、異教と商用主義によって育てられた、100年も歴史のない祭りなのだ
</blockquote>
キリスト教などまったく関係ない日本でのクリスマス洗脳もバカですが、アメリカも十分しょーもないですね。
第二章 デタラメな戦争
P.83
<blockquote>国民皆兵制度とは戦争に勝つためだけでなく、身分や肌の色が違う若者たちが寝食はおろか生死をも共にする経験を経るための教育システムなのだ。金持ちの生活しか知らない二世、三世議員ばかりじゃ、戦争や福祉について庶民の苦しみを理解した政策を期待しても無理か。あ、日本人もね。
</blockquote>
これは確かに目からウロコ。日本人は逆に偏見や差別が少ないけれど、一緒に生死を共にする経験はしていないので、むしろ肌の色が違う人種に負い目みたいなものしか感じていない。
皆兵制である必要はないとは思うが、日本人も本当の意味でグローバル化するには、日本人以外の人間と寝食を共にするような生活を送らせる必要があるのかもしれない。
P.86
<blockquote>アメリカの法律は拷問を禁じている(略)CIAは容疑者をエジプトやヨルダン、モロッコ、シリアなどに送り始めた。警察による無期限拘禁や拷問が容認されている国で代わりに拷問してもらうのだ。
</blockquote>
怖い国やでアメリカ・・・まるで24じゃないか!
第三章 バブル経済と格差社会
P.115-P.116
<blockquote>・朝から晩まで働いているのに年収190万円以下の世帯は、現在、全米で3000万人以上、なんと全人口の12%を越えている。
・アメリカには国民健康保険がなく、月200ドル以上する民間保険しかないので、国民の15%以上が健康保険に入っていない。
・アメリカ人の大半は、3代か4代も遡れば文盲の移民か貧農だった。そこからがむしゃらに働いて家を買い、子供を大学に入れて、社会のピラミッドをよじ登ってきた。しかし、そのハシゴは段階的に外されてきた。80年代のレーガン政権は自力更生を謳って貧困層への福祉をカットし、逆に企業や資本家に免税を行った。企業は大規模なリストラを行い、生産基盤をを賃金の安い外国に移した。こうして、労働者と経営陣の年収格差は、レーガン就任時は1対40だったのが、任期終了の頃は1対180へと開いた。
</blockquote>
なんというかこれって今日本で起きていることそのものじゃないだろうか?
IT業界の中でも、国内雇用を無視して経理部のような人間的な機関すら外国に移してコストダウンを図っている企業もあり、日本も人事ではない。
P.127
<blockquote>・アメリカの医療保険には民間企業の保険しかない。保険料は平均年間、ひとり35万円。
・アメリカの人口約3億円のうちの6分の1にあたる約5000万人が医療保険に未加入で、年間約2万人が何の医療も受けられずに死んでいく。
・アメリカ人の大半が入っている保険は(略)HMO(健康維持機構)というシステム
・医師は(略)HMOから一定の給料をもらっており、投薬や治療を拒否すれば拒否するほど、保険会社の支出を減らしたと評価されて奨励金をもらえる。同じように保険会社の職員も(略)給料が上がる。彼らには医療の知識はゼロだし、その患者にあったことも無いまま、治療拒否を乱発する。
</blockquote>
ひどいと言われている日本の国民健康保険・社会保険制度は、あくまで運用面の問題であって、機構面では十分に役立っていることがこれでわかる。
郵政民営化と同じように、日本でも市場拡大したい保険会社がアメリカ政府を動かして日本に健保民営化とHMO導入を要求するかもしれないなんて話もでてるらしいが、徹底的に拒否せねばならない。
P.136-P.139
<blockquote>・アメリカのトウモロコシ畑は日本の総面積よりも広い。(約38万平方キロ)
・(アメリカで育てられているトウモロコシの)7割以上は家畜の飼料となる。
・コーンを与えた牛は牧草の倍のスピードで育つ。(略)しかし牛の胃は草を食べず穀物ばかり食べると胃酸過多になり、やがて胃潰瘍になる。それを防ぐために抗酸剤や抗生物質で薬漬けにする。コーンを食べる牛は大量の糞便を排出して感興を破壊する。
・残りのコーンは加工されてコーンスターチやビールやバーボン、コーンスターチ(砂糖の代用品)になる。コーンスターチは砂糖よりはるかに安いので、ソースやケチャップ、お菓子、コーラ、あらゆるものに使われている。
・コーンの危険性を訴えるバークレー大学のマイケル・ポーラン教授は「マクドナルドで食事をすると知らないうちにコーンを食べていることになる」「牛はコーンで育てられ、コーラの甘味はコーンシロップで、フレンチフライはコーン油で揚げてある」
・「キング・コーン」の2人が自分の髪の毛の炭素成分を分析して貰ったら、トウモロコシのそれと一致していた。アメリカ人はコーンでできている。
</blockquote>
もともとマクドナルドに対する疑念はいろいろあったけれど、結局はここにつきる。個人的にはコーンは好きなのだが、やはりやめておいたほうが無難だろう。
特にコーンで育ち、抗生物質で胃潰瘍を治療されて短期間で育つアメリカ産の牛肉・・・怖すぎます。
第四章 腐った政治
P.165
<blockquote>・1929年に大恐慌が起こったが、当時のフーヴァー大統領(共和党)は、(アダム・スミスの)「神の見えざる手」(市場経済に関しては政府は放っておけば世の中は勝手に良くなるという考え方)を信じて、市場に何も介入しないで景気回復を待った。事態は悪くなる一方で失業率は25パーセントに達した。
・フーヴァーに代わって就任したF・D・ルーズベルト大統領(民主党)は、政府による積極的な経済介入、公共事業で貧困層に仕事を与えるなどのニューディール政策を行った。かくして民主党は、富を貧しい者に分配すること、つまり「平等」の実現を党是として確立した。
・共和党の「自由」、民主党の「平等」、この対立する二つのイデオロギーは、アメリカを動かす右と左の両輪だ。
</blockquote>
オバマ大統領が導入しようとしているグリーン・ニューディール政策のもとねたが何であり、それにいたるまでの経緯と、共和党と民主党の党是の違いみたいなのがはっきりとわかった。
日本も第一党が変わったわけだが、世界各国でも政党が代わると革命が起きることが多いので、民主党はいろいろ言われているけれど、がんばって革命を起こしてもらいたい。 -
町山のブッシュ批判
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社会
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私の愛読雑誌映画秘宝でもコラムを寄せている町山智浩さんの本。丸善本店に行ったときにレジに行く寸前に目に入って購入。アメリカの今を感じることができた。彼の本で、とてもすっきりしたことがある。アメリカの共和党と民主党の立ち位置。共和党=自由主義、民主党=平等。アメリカの大統領は、オバマさんに決まった。世界的に金融危機が広がっている中、どんな舵取りをするのか注目している。
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進化論を排斥する人々。キリスト教原理主義者の国アメリカの話題を面白く綴る。でも、読んでいくうちにだんだんとアメリカが怖くなる。この国の経済状況に日本も近づいていくようだ。
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やはりアメリカは宗教国家なのだー、というのがよくわかった。僕らが見ているアメリカ人なんて、良い方だけしか見ておらず、バイブルベルトの人たちの行動原理なんか気にしたことがなったよ。
これがしっかり理解できていたら、トランプが勝つということは予見できていたかもしれないね。
今読むと、アメリカの今へつながる道がよくわかった。
町山さんすげーわ。しかし、ブッシュってここまで嫌われていたんだね。知らんかった。
10年くらい前の本だけど、今読んでも十分面白いし、今読むべき。刊行時に読んでも、多分理解できなかっだだろうね… -
トランプが本当に大統領になるやも知れない現在、俄然この本に書かれていることが誇張でも何でもなく思える。笑い事じゃない。
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アメリカの抱える国内外の問題を判り易く解説している本です。アメリカに住んだ経験がある人は、この本の内容について共感できるのではないかと思います。それ以外の人も、アメリカに対する誤った肯定的考えを見直せる本です。
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「世界の警察」と言われるアメリカ、内実はかなりヤバい国じゃないかこれ…と思わされる話がいっぱい。6歳の子に向かって「ハリー・ポッターは悪魔の手先だ!」と恫喝、キリスト教原理主義者へ洗脳するキャンプ、ゲイへのひどい差別やサブプライムローンのばかげた貸付の顛末など、もういろいろあります。基本的にはクスッと笑えるトーンで書いてあるけれど、ちょっと心の底がひんやりするような。しかし乳児向け番組の男キャラクターが紫色で女性用のバッグを持っているというだけで「ゲイのキャラクターを出して乳児をゲイに洗脳する陰謀だ!」と騒ぐ人に対し、著者の「お前はやおいの腐女子か?」というツッコミにはとっても笑いました。
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この手の本は通勤中に数日で読み終わるが、ある意味単調な内容で時間がかかった。
もう少し編集で強弱付けられなかったのだろうか?
元々がコラムだったと言うことで、個々のネタはオチまであったりして面白かったり興味をそそられたり。
ただ政治や経済などカテゴリー分けされると同じような話題ばかり続けて読むことになりいささか食傷気味。
まぁ積読で5年も寝かせていた自分も悪いのだろうが。
複数のコラムに共通して出てくる人は(名前が覚えにくいので)カテゴライズされている利点もあるけど。
しかし日本が民主党になって何も変わらなかった(ひどくなった)ようにオバマになっても米国もあんまり変わってなさそう。
オバマ政権の終わる頃に第二弾を読んでみたい。
まぁ日本人も近県や大都市圏以外の場所を答えられないこともざらにあるわけで。
政財界の醜聞やIT系の粉飾決済や偏った報道、そもそもが戦後は米国の言いなりだったわけで偉そうなこと言えた義理ではないし。
この本の日本人版も読んでみたいものだ。 -
とても興味深い事がたくさん書かれていて面白かった。しかし池上さんのような解説があったのならもっと理解できたのかな。
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まぁまぁ。レビューというよりはTrue Love Waitsの意味がわかって良かった。ブッシュが主張していた絶対禁欲教育=キリスト教系団体の大手教育団体の名前(真実の愛なら待つ)。ライフウェイという南部バプティスト教徒団体が運営している。バイブルベルトとは、アメリカ南部から西部にかけて広がるキリスト教信仰の篤い地域。ですって。
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確かにアメリカ人はアメリカ以外の国のことにあまり興味がないよね~、超地元のどローカル紙しか読まない人が多いし、と、はじめ半ば笑いながら読んでいたのだけれど。
…結構笑えないかも。
日本の将来が心配。 -
2012.12/12(水)14:30読破
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『ジーザス・キャンプ』の話はホントにひどいよ!宗教(キリスト教原理主義)が現代教育を否定し、洗脳しやすい人を作っている。すべての教育は洗脳だと思うんだけど、言葉の獲得が自分をどんどん客観化するんだけど、その言葉が何かによって意識的に取捨選択されてるなんてファシズムの一歩手前だよな・・・
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アメリカ在住の町山さんによる、普通では知る事の出来ないアメリカの現実を暴いてくれてる。主にブッシュ政権時代に起こった事で、政治や経済、下の話しだと多岐にわたる。へーっと思いながら楽しく読める一冊だと思う
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アメリカの実態を映画を交えながら語っている本。
2008年の本だが、正直ブッシュ政権がなんだったのか?とかアメリカ人にとってキリスト教とは?など
深く考えたこともなかったけれども、町山さんの時にトゲのある言葉は、かなり刺激的で小気味良く、新たな視点を与えてくれる。
片方からの主張もあるとは思うので、全てが正しいかどうかは謎でしかないが、何が問題になっているのか?日本のニュース番組などでは絶対に取り上げられないことだけれども、世界というかアメリカで起きている事を表層しか知らない人にとっては、良い投げかけになる本なのではないかな?
ここで書かれているドキュメント映画なども気になるので、こんど見てみたい。
そして、アメリカがどんな影を持ってそれぞれの国に接して来ているのか?ナナメに見ることをした方がいいなぁとも思わされます。 -
アメリカ終わってる。
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相当どぎつい内容ですが、大真面目かというとさにあらずです。所々、乾いた笑いを提供してくれます。無条件に本書を信じるならば、アメリカって、?なお国柄なんだと思ってしまいます。がんばって追随している日本が哀れですね。
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ふ~ん
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誰かに紹介したい本
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地獄アメリカその二。ブッシュ二期目の暗黒時代のレポ。ゴシップネタ以上に政治経済の話をバッチリ書き込んである。こんな国に追蹤している日本はマジでヤバイぞという気にさせられる。