その誕生から今日まで CIA秘録 下

  • 文藝春秋 (2008年11月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784163708102

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

アメリカの情報機関であるCIAの歴史とその影響力を深く考察する内容で、特にベトナム戦争やウォーターゲート事件などの重大な出来事を通じて、組織の実態とその限界が明らかにされています。著者は、CIAの工作...

感想・レビュー・書評

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  • 上巻・下巻ともに読んで理解した。CIAは解散するべきである。ただの国家予算の食いつぶしで、まともな人材も育っていなければ、信頼できる情報ソースもない。在職者には申し訳ないが、目的を果たせず機能していないのだから、存在意義がない。元CIAのブッシュ氏が、大統領就任後CIAに一番厳しくあたっていたのには笑ってしまった。

    欺瞞や暴力、非合法の手段もいとわない「工作活動」を進めることが「諜報」の名のもとに許されてはいけないと思う。そもそも言葉も話せず、相手国に潜入する技術がないのに、お金でその国の情報を買えるという考えが間違っている。お金で買収できるような相手は、他の誰に対してもお金でなびく。手間はかかるが下調べを丹念に行い、相手の立場上利益になるもの、倫理観を揺さぶるようなものに働きかけたほうが、より質の高い情報を手に入れられる可能性があがるはず。漠然とお金を配るだけではいけない。

    ただ、映画を通して「完全無欠のCIA」像がうまくできあがっているのは事実。一般市民に対するプロパガンダは、CIAが唯一成功させたミッションなのかもしれない。今後トランプ政権のもとでいつCIAが解体されるのか、生暖かい目で見守りたい。

  • 2008年刊。下巻。カーター政権~子ブッシュまで。

     イラク戦争での「大量破壊兵器保有」誤報が、本書のようなCIA批判書の端緒となった印象が強い。

     なお、自民党政権を担う人物らへのCIAの資金供与は1970年代半ばに終了。岸信介がその代表格(米は自国に有利な安保成立と反共支援目的?)。
     以後、本書での日本を対象とする件は橋本政権との貿易摩擦交渉スパイ疑惑のみ。

     なお本書内容と直接関係ないが、「ボブ・ウッドワード」のソース不明なままの叙述に対し、訳本編集部解説で批判的目線を展開する一方、ウッドワードと対極にある本書の肯定的評価には納得のそれである。

  • 「連中は間抜けだ、ばかだ、あれもできない、これもできない」CIAを憎むニクソンは同じく秘密主義者のキッシンジャーと二人で秘密工作を取り仕切ることに決めた。実際にCIAを指揮下に置いたのはキッシンジャーで、CIAの隠密行動計画の3/4以上はキッシンジャーが承認した。1969年の民間人に対する盗聴や国民に対するスパイ行為もキッシンジャーが支配した。周恩来との歴史的な会談ではあなたは「CIAの能力を過大評価している」と安心させた。このころCIAはニクソンー毛沢東会談の計画を知らされぬまま蒋介石の無駄な努力に協力していたのだ。

    1971年、CIA、NSA、FBIの市民に対する監視はピークに達していた。ニクソンはリークを防ごうと記者や側近を盗聴したがリークは尽きなかった。CIAの設立綱領は極めて曖昧だったが一つだけはっきりしていることがある。CIAはアメリカの秘密警察になってはならない、ということである。だが冷戦の過程で、CIAは市民をスパイし、その電話を盗聴し、第1種郵便を開封し、ホワイトハウスからの命令で殺人の陰謀を企ててきた。そしてウォーターゲートでニクソン政権が崩壊しかけると同時にCIAも崩壊しかけた。

    フォード大統領は潜在的な政敵を葬ろうと副大統領になりそこなった中国大使をCIAの長官に指名した。諜報のことを何も知らない単純な政治家は何週間もしないうちにCIAを好きになっていった。それがジョージ・ブッシュだ。大統領に立候補したカーターはCIAを国家の不名誉と糾弾したが、人権の名においてニクソンとフォードに匹敵する秘密工作指令に署名することになる。もしカーターがブッシュを留任させていればブッシュが大統領になることもなかっただろう。

    CIAの迷走は続く。ソ連のアフガン侵攻を警告することも無く、イラン革命ではホメイニが何者かもわからなかった。リビアのカダフィをチャドに武器を運び独裁者ハブレを支援したが持ち込んだスティンガーミサイルは湾岸戦争の際フセインのイラクに送られたようだ。そしてイラン・コントラ事件ではイランにミサイルを渡し受け取った資金を中央アメリカに送った。アフガンでは反乱軍に武器を渡したがその人物が麻薬取引でも受けていたのだ。アメリカの秘密工作はことごとく後からアメリカに跳ね返っているようにしか見えない。

    CIAは文化的近視眼のせいで世界を読み誤った。その局員で、中国語、朝鮮語、アラビア語、ヒンディー語、ウルドゥー語ないしペルシャ語ー地球上の人口の半分にあたる30億人が話す諸言語ーを読み話せるものは、ほんのわずかしかいなかった。世界中でアラブ系やアフリカ系アメリカ人を送り出してもアメリカの田舎から出てきたぽっと出と見破られるのが落ちだった。アゼルバイジャンで育ったアメリカ市民を採用しかけた時にはアゼリー語を流暢に話せたが、英語がうまく書けないのが理由で落とされた。

    ソ連の崩壊、湾岸戦争を読み間違え、セルビアの中国大使館空爆に代表されるように報復攻撃はターゲットでは無く民間人に被害を与え続けた。数々の予兆はあった911も見逃し、イラクでは存在しない大量破壊兵器を有ると見誤った。フィクションとしてのCIA、小説や映画に生きているCIAは万能である。黄金時代の神話はCIA自身が作り出したもので、アレン・ダレスが1950年代にでっち上げた広報や政治宣伝の産物である。それらはCIAが世界を変えられると主張したが、同時にCIAがなぜこれほど変革を受け付けないのかを説明するにも役に立つ。60年間で数万人もの秘密工作本部の局員が収集した本当に重要な情報はといえば、すずめの涙ほどしかなかった。ーそれこそCIAのもっとも奥深い秘密である。

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  • ティム・ワイナー著。
    現地情報収集能力が低いと工作活動は成功しない。いかにアメリカが戦後の外交を誤ってきたことか。ベトナム戦争。ケネディ暗殺とキューバへの介入。
    まず現地語が分かる人間の必要性、と書かれているが、言い換えれば、当外国をよく知ろうとすること、を組織として取り組まなかった。
    ケネディ兄弟の政治手法がいかに見た目と違うか。という点は面白かったです。

  • 内容は興味深いのだけど、時間軸が前後するので読みにくい。
    編集のせいかな。

  • アメリカの歴史におけるCIAの果たした役割、立ち回りを描く。
    下巻はベトナム戦争から現在に至るまでが中心。
    ウォーターゲート事件やイラン・コントラ事件を
    背景から詳細に解説していて興味深い。
    時節に沿った正確な情報を取得すること、
    そしてその情報を多面的かつ先入観なしに理解し
    決定と行動につなげることの困難さと重要性が身に沁みる。
    編集部による解説も内容の理解に役立つ良書。

  • 歴史の裏側が見え読みごたえがある作品。ただし、文章の内容理解には読み込みが必要

  • 米国による他国への侵攻の誤りは、今や誰もが知っている。そのそもそもの始まりを記したのがこの本。発言者を記す、という危険な手段が取られているからこそ信頼できるという本書は、描かれるCIAの全貌と真逆である。

  • CIAひでぇし、USA全体としてもひでぇなぁとは思ったが、記録が開示されてこういう事が明るみに出てくるところがすごい。日本はなぁ。。。

  • ネタもとを ばっちり 公表してある CIAのネタばらし本に ばっちり 日本の政治家のフルネームが載せてあるのをみると なんかがっくり しますよねr

  • 真珠湾を繰り返さないために作られた諜報機関がすっかり工作を繰り返し失敗を重ね続ける様にほとほとあきれる。
    社会主義に勝利し、世界中に民主主義を広める国がその目的を達成するために、民主主義から逸脱した方法で裏工作を繰り返すことに皮肉を感じる。

  • 下巻はベトナム戦争からイラン・コントラ事件、ソ連崩壊、911を経て幻のイラン大量破壊兵器まで。90年代後半にはハッカー会議などの場で堂々とCIAがまともなエージェントを雇っていなくて諜報どころか現地で堂々と広報されていた核実験ですらまったく知らなかったといった話がささやかれていたけど、別に昨日今日はじまったことではなかったわけだ。インターネット時代に入ってエシュロンを擁するNSAの地位が相対的に上昇しているようだし、CIAに対する幻想は映画の中だけになるのかな。でも、やっぱり日本に対する経済諜報(46章)の歯切れが悪いんだよなぁ。経済諜報がCIAの生き残る道だったりするんだろうか。

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著者プロフィール

1956年、ニューヨーク州で生まれ、コロンビア大学と大学院で歴史とジャーナリズムを専攻し、《ソーホー・ニュース》紙で記者としての第一歩を踏みだした。《フィラデルフィア・インクワイアラー》紙に移籍後の1988年、国防総省とCIAの秘密予算にかんする調査報道でピュリツァー賞を受賞する1993年から2009年までは《ニューヨーク・タイムズ》で記者をつとめ、1994年には、CIAが50~60年代に日本で自民党に数百万ドルの資金を提供していた事実を暴露した。2007年に刊行した『CIA秘録 その誕生から今日まで』は《ニューヨーク・タイムズ》のベストセラー・リストに名をつらね、全米図書賞を受賞した。2012年には姉妹篇の『FBI秘録 その誕生から今日まで』を上梓、《ウォールストリート・ジャーナル》から、「スパイ事件について書かれた最高の本」と称賛された。本書は6冊目の著書(共著もふくむ)で最新作にあたる。また、プリンストン大学とコロンビア大学で歴史と文章術を教えたこともある。本書は、辛口で知られる老舗書評専門誌《カーカス・レヴュー》の2020年度のベスト・ノンフィクションに選ばれた。

「2022年 『米露諜報秘録1945-2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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