ハチはなぜ大量死したのか

制作 : 中里 京子 
  • 文藝春秋
4.04
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本棚登録 : 606
レビュー : 109
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163710303

作品紹介・あらすじ

2007年春までに北半球から四分の一のハチが消えた。巣箱という巣箱を開けても働きバチはいない。残されたのは女王バチとそして大量のハチミツ。その謎の集団死は、やがて果実の受粉を移動養蜂にたよる農業に大打撃をあたえていく。携帯電話の電磁波?謎のウイルス?農薬?科学者たちの必死の原因追及のはてにみえてきたのは。

感想・レビュー・書評

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  • レイチェル・カーソン「沈黙の春」が予言していたことがまたひとつ的中してしまったのか。CCD〜蜂群崩壊症候群を通して明らかになる現代農業の問題点。農作物の80%がミツバチによる受粉に頼っているなど、農業との密接な関係をもつこの昆虫の驚くべき生態に感動する。>ニホンミツバチの可能性、日本に於ける養蜂業の未来

  • ミツバチの大量失踪事件から見えてきた、現代農業の危うい姿。蜂群崩壊症候群と呼ばれるハチの謎の大量死事件が主題の本ではあるけど、そこから見えてきたのはあまりに「不自然」な現代農業の姿。広大過ぎるアーモンド農場のためにハチを出張させるからか?\"理想の\"農薬のせいか?ハチを殺すダニを排除するため使われた薬品のせいか?ハチが行方不明となる原因ははっきりせず、解決法はまだ見つかっていない。ノゼマ原虫説が有力なようだけど、反例もあるようで、おそらく複数要因が重なっているんだろう。受粉者に頼ってきた植物と動物のエコシステムの異変は、思っているより深刻だってのはごもっともなんだけど、現代農法でないと地球の人口を食わせてゆくことは出来ないのも事実。そのあたりはもうちょっと経済学的分析が必要でしょうねぇ。うまい落としどころが見つかればいいんだけど、、、花粉の運び手というあまり重要視されてこなかった分野に光りを当てたという点で評価されるべき本ではあるし、不必要な煽りも少ないものの、タイトルは原題の通り「実りなき秋」でよかったのではないかと。「ハチはなぜ〜」は副題で十分だった。ハチ問題から農業全体の問題を見つめた本なんだし。

  • ミツバチの話に終始するかと思いきや、ポリネーターの話一般にまで広がっている。そこまでするなら林冠の生態系についてももうちょっと書かれているといいかなー、と思ったけど。

    ラスト付近の「うれしいからだ」という展開はなかなか良いな、と感じた。

    福岡伸一さんの「解説」がイマイチ解説になってない件はまぁ御愛嬌ってことで:-)

  • 2010/6/25 予約 7/3  借りて読み始める。 9/3 途中で読むのをあきらめる。
    ネットの知り合いが、ミツバチで受粉させて果物を栽培している話をブログに載せていたのを、思い出した。
    蜂は宅配便で送られてきて、受粉が終われば使い捨てということで、ずい分びっくりした。

    内容と著者は

    内容 :
    2007年春までに北半球から4分の1のハチが消えた。なぜハチは大量死したのか。
    携帯電話の電磁波? 謎のウイルス? 農薬? 
    科学者たちの必死の原因追及のはてにみえてきたのは…。

    著者 :
    食物、環境、そして両者のつながりについて
    『アート・オブ・イーティング』誌、『ニューヨークタイムズ』紙、『NPR.org』ウエブサイトなどに記事を書いてきた。

  • 成毛さん推薦



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    【要約】


    【ノート】

  • "ハチが大量にいなくなった。その原因は何なのか?犯人を探していく。まるでミステリー小説のように読み進める。自然の営みを意図的に人間の都合で変えてしまうことで、とてつもない事態を引き起こした悪しき事例として、われわれは学ぶべきことが多い。
    レイチェル・カールソンの沈黙の春と共に自然について考えさせられた本。"

  • 図書館の除籍本

  • 111

  • 今頃になって興味を持って読んだ。ハチのコロニーが突然失踪して崩壊する原因を、いくつもの可能性を探りながらひとつひとつ追及していく内容は、著者自身が書いている通りミステリーのようでおもしろい。本書では、結論として様々な要因が絡んだ複合汚染としてまとめている。世界のアーモンドの82%がカリフォルニアで生産しており、その受粉のためにアメリカ中のミツバチが駆り出され、過密な仕事場で過酷な労働を強いられているという。トウモロコシや畜産業に見られるようなアメリカ式の効率主義が、こんなところでも同じような問題を引き起こしていると知って、唖然としてしまった。長年にわたって生態系に合わせて生きてきたハチを効率主義の産業に巻き込んでいることが根本的な原因であるとの著者の指摘には十分に説得力がある。

    人間が目先の利益を拡大させるために気づかぬうちに損失をまねいてきた事例は数多い。効率化を進めることは余裕を放棄することであり、突如の災害や異常事態の際に対応できなくなる状況に自ら追い込むことになる。求められているのは多様性なのだ、という著者の主張にも大いに共感する。ハチは農業生産に大きな役割を果たしているが、この問題は文明論にもつながる大きなテーマだった。

    風媒花のトウモロコシとオートムギ(エンバク)などを除いて、食用植物のほとんどが昆虫に花粉を運ばせる虫媒花。ミツバチの利用は古くから行われてきた。古代エジプトではナイル川沿いに咲く花を追ってミツバチを乗せた船を南北に移動させていた。イスラエルのレホブ遺跡では、BC900年の人口のハチの巣が発掘された(聖書では、イスラエルを密と乳の流れる土地と呼んだ)。ヨーロッパでも、ドナウ川、ラバ、人間の背中を使って花の季節を追いかけていた。ミツバチに花粉交配を頼っている作物は100種類近くになり、人間の食物の80%を占める。

    セイヨウミツバチの祖先はアフリカが起源で、200万年前に木の洞や岩の割れ目で生活するようになったため、熱帯以外の地域でも住めるようになった。ミツバチは花蜜だけでなく花粉も集める。花蜜は採餌蜂のエネルギー源になるが、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルが含まれる花粉は蜂児に与えられる。採餌蜂の4分の1が花粉の採集を専門に行うが、花蜜を集める蜂との割合は状況によって変化する。

    2006年秋から蜂群崩壊症候群(CCD)が起こり始めた。ダニ、ウイルス、ノゼマ病微胞子虫などが疑われたが、決定的な原因が見つからない。農薬のネオネコチノイドは、アセチルコリン受容体と結合して神経を麻痺させる。ミツバチの死因の10%は農薬によるものとの推定もある。ネオネコチノイド系農薬のイミダクロプリドを製造するバイエル社によると、ヒマワリの花密と花粉の残留濃度は1.5ppb未満、トウモロコシとキャノーラでは5ppb未満だが、亜致死濃度は6〜8ppbとの研究結果もある。しかし、イミダクロプリドの使用を禁止しているフランスのミツバチが他のヨーロッパの国より良い状態にはない。

    研究者たちは、CCDに単一の原因があるという見方を捨てている。ミツバチが多くの種類のウイルスに侵されていることは、慢性ストレスによって免疫系が崩壊したことを示している。2月のアーモンド受粉期に備えて蜂の数を増やすために、養蜂家は冬の間に大量のコーンシロップを与える。しかし、花粉からのタンパク質の供給がないため、ミツバチの体からは善玉菌が消え、腐蛆病菌が蔓延する。今や、養蜂家はミツバチにプロテインジュースを与えるようになった。

    中国四川省のナシ農園では、殺虫剤が大量に撒かれてから昆虫が見られなくなったため、体重の軽い女性や子供が受粉を行っている。バニラ蘭の花の蓋を開けることができるハリナシミツバチは森林伐採のために消滅したため、今や世界中のバニラ蘭の受粉は人間が行っている。

  • ハチが忽然と消えた。この現象は世界のあらゆる地域で表れている。様々な原因が考えられ、その対策がなされてきた。
    ハチは我々の食生活を支えている大切な生き物であり、これからハチとともに人はどのように共存すればいいのか。著者のジェイコブセン氏は自分でもハチを飼育している。

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