裁判官が見た光市母子殺害事件―天網恢恢 疎にして逃さず

著者 : 井上薫
  • 文藝春秋 (2009年2月11日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163710709

裁判官が見た光市母子殺害事件―天網恢恢 疎にして逃さずの感想・レビュー・書評

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  • 元裁判官が、その経験から中立な目線でこの裁判を見、解説を加えた一冊。出版当時、まだ刑は確定されていなかったけど、最終的な流れはできていました。そして裁判員制度も導入間近の時期だったことにより、その点も踏まえて書かれています。それにしてもこの「不謹慎な手紙」や新弁護団による「荒唐無稽」なストーリーは、中立目線で冷静に書かれていても腹が立ちってきました。これと戦ってきた被害者の方々は本当に辛かったと思います。またいかに被害者がないがしろにされてきたか、犯人のための裁判所だったのか、そしてこの事件をきっかけに被害者保護に向けて動き出したのかが分かりました。先日の新聞にて、またこの弁護団が再審請求をした旨を知り、もう被害者引っかきまわすのやめなよ…と呆れる次第です。

  • 元裁判官が光市母子殺害事件について書いた本。一審から最高裁の差し戻し判決まで、判決の読み方がよくわかります。
    ただし、現役の裁判官の判決文に対して「蛇足だ」「違法だ」と言っているところもあるので、裁判官も一筋縄じゃないというのがよーくわかります。「一説には」であることを承知で読みましたが、それでも、『さもあろうなあ』と思うこと大でした。

    遺族である本村洋さんらの訴えが法を変え(平成19年6月の「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法の一部を改正する法律」)、裁判所を変え(相場主義の克服)たということもはっきり書いています。相場主義判例踏襲がはびこっていたことを認めたこと、永山基準は判例ですらないと喝破したことは、本書の白眉であると思います。

    しかし、『冗談ですが、今後にこうした「木村基準」というか「F基準」が「中山基準」にとって代わるかもしれません』という文言は頂けません。ここで冗談を言うべきではない、この事件のために泣いている人がいる今、「冗談ですが」とわざわざ断って冗談をいうのは、不謹慎の誹りを免れないと思います。

  •  その男には怒りが燃え盛っていた。圧倒的な怒りが男を衝き動かしていた。その怒りは、犯罪とそれを取り巻く社会に向けられていた。本村洋は単なる被害者ではなかった。「殺害された妻」の夫でもなかった。彼は「正義そのもの」であった。

     <a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20090826/p3" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20090826/p3</a>

  • 冒頭から私にはすごく読みにくかったけど、検死の担当が最近読んだ上野正彦だと分かったり、後に読んだアフターザクライムにもこちらの事件ののことが直接的、間接的に出ていたので、前後に読んだ本と関わり合って助かった。
    元々この事件の報道をリアルタイムで見た時は、やはり木村さんが会見で発言されてる姿が記憶に残ってたけど、事件後の最初の報道では規模が小さかったとかもちろん知らなかったし、裁判で被害者の立場がこんなに小さいなんて考えも及ばなかった。アフターザクライムの中でもそういうことが触れられていたけど、木村さんの声があって変わった点については触れられていなかった。

    本題。裁判での主文やら判決文の解説もさすが元裁判官だけあってわかりやすい、いやわかりやすいというかなんというか人が人に話している言葉に翻訳してもらえてるって感じ。
    永山判決は何度も出てきたけど、これも年明け?に読んだ本があったのでよかった。
    逆に言うと前後にこういう本を読んでなかったらこぼれ落ちたものが多そう。今でも落としてきたもの沢山あると思うし。ただ再読するかは不明。関連書籍的に最初に並べられていた本には興味あるけど。今まで犯罪関係では心理とかそういうのばっなり読んでたので、司法の面から書かれた本を読めてよかった。他にも探したい。

  • 元裁判官らしく中立的に書かれているので、事件を冷静に見つめることができた。死刑制度については賛否両論あるが、本書を読んで少し自分の中で気持ちが変わりつつある。

    世間からバッシングされた少年の所謂「不謹慎な手紙」だが、視点を変えてみてみると、違うものが見えてくる気がした。

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