生きのびるからだ

  • 文藝春秋 (2009年7月15日発売)
3.85
  • (2)
  • (7)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 39
感想 : 11
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784163715803

作品紹介・あらすじ

「ただ在るだけ」の幼子を引き受けてくれた祖母、背中しか見せられなかったのに力強く巣立っていった息子たち、幾冬にも耐えた庭のモミジ…静穏ながら強靭な言葉の数々が身の内を温かく浸す33篇。心とからだを解き放つ滋味溢れるエッセイ集。

みんなの感想まとめ

心とからだの関係を深く考察したエッセイ集は、著者の体験を通じて、読者に生きることの意味や心の在り方を問いかけます。鬱や心身の不調と向き合った著者の言葉は、時に厳しく、時に温かく、読者に深い安心感を与え...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2020年7月5日、読み始め。

    36頁まで読んで、図書館に返却。

    143頁。
    ---『阿弥陀堂だより』という小説を書いたのは、厄年の前に陥った心身不調の泥沼からようやく這い上がって来たころだった---

    『阿弥陀堂だより』が出版されたのは1995年。
    著者は1951年生まれなので、大厄の42歳の少し前に心身不調に陥ったと思われる。
    私の場合、ここにきて鬱状態が続いており、何となく安心感を得ることができた。
    まあ、私の場合は、大厄ではなく、その後の男性最後の厄年になりますが。


    2020年9月23日、追記。

    ラジオ深夜便で、著者がご自身の体験から、鬱について話されていた。
    とても参考になったので、書き留めておく。

    ・「できなくなっちゃたんだから、しかたない」と腹をくくれたあたりから、よくなってきた気がします。「前のように戻りたいけれど、もう戻れないんだな」と現実を受け入れることができたとき、いくらか回復していったようです。

    ・「よくなったり悪くなったりを繰り返しながら、だんだん回復するんです。よくなる病気で死のうとするのは喜劇でしかありませんよ」

    ・死というのは、いまが、あるときパタッ終わるだけなんだと。そういう、本当にそっけない死生観になりました。

    ・明日、終わりが来るかもしれないと思いながら生きていると、日々ちゃんと暮らそうと思うようになります。きちんと食べて寝て、きちんと歩く。そういうことができていれば十分だと思えるようになりました。

    ・うつ病再発の予防にしっかりと心拍数を上げる運動が有効だというのは常識のようです。

    ・腰の奥の大腰筋を正しく使うことが大切なのですが、それが意外に難しい。いまはそのウォーキングを独りで習っています。

  • うーん、エッセイ集だけあって、重複部分が多くて、そこがくどく感じる。

  • NHKの福祉の番組で、話をされているのを観て南木先生について知りました。

    「あきらめる-明らかに見てとること」

    「急な山道ではからだの重さを右足にのせ、足の裏から地球の中心に向かってそれを流し込みようなイメージを作ってから、おもむろに左足を前に出し、おなじことを繰り返す。…「わたし」はただこうやってからだの重心を移動させているだけの、たったそれだけの者にすぎないのではないか。」

    出てくる言葉がじんわりと身にしみる。

  • 自分自身でありながらも自身の所有物ではないこの“からだ”。
    読み進めるうちに、自身のからだに対し、感謝の念や申し訳なさが湧いてくる。生きてあることに真摯に謙虚に向き合う著者の姿に、自らの生き方を省みる契機を与えられた。
    誠実に丁寧に綴られた言葉にはじんわりとした余韻がある。

  • 「山行記」の作者のエッセイ集。
    ただ存在するだけの身の世話をしてくれた人(祖母)のことは忘れない。その人のおかげでいまがあるとの認識あh、世界観の土台になってきた・・・。

    底上げすることで生きてきた人生で、いま何を思うのかを作者は問い続ける。「わたし」とは何なのか・・。
    しかし、そんな思惟を、90歳のおばあさんの「生き過ぎちゃって困るでよ」なんていうあからさまな肉声が、純粋な言葉の世界をたやすく壊してくれる日常・・。

    年取ることで人間観察も自己鍛錬も奥深くなる。
    南木佳士に出会えて、正直嬉しい。

  • 静かに、沁み入るような印象。それは著者の住む信州の深い自然の中から生じてくる、少し土の香りが混じった「気」のようなものを感じさせる。

  • こころが、安心する。

  •  南木佳士さん、1951年生まれ、内科医、「ダイヤモンドダスト」で平成元年(1989年)芥川賞受賞。「生きのびる からだ」、2009.7発行、エッセイ集。よいデータやきれいな胸部レントゲン写真には、山で美しい樹林に出合ったときのような素直な称賛の言葉を惜しまない。悪いデータには可能なかぎりの対応策を提示し、自然なるからだの復元力を力説する。受診者は安心を買いに来たお客様なのだと肝に銘じる。<こんな先生に診ていただけると本望です!>

  • 3

全9件中 1 - 9件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

南木佳士(なぎ けいし)
1951年、群馬県に生まれる。東京都立国立高等学校、秋田大学医学部卒業。佐久総合病院に勤務し、現在、長野県佐久市に住む。1981年、内科医として難民救援医療団に加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で「破水」の第五十三回文學界新人賞受賞を知る。1989年「ダイヤモンドダスト」で第百回芥川賞受賞。2008年『草すべり その他の短篇』で第三十六回泉鏡花文学賞を、翌年、同作品で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。ほか主な作品に『阿弥陀堂だより』、『医学生』、『山中静夫氏の尊厳死』、『海へ』、『冬物語』、『トラや』などがある。とりわけ『阿弥陀堂だより』は映画化され静かなブームを巻き起こしたが、『山中静夫氏の尊厳死』もまた映画化され、2020年2月より全国の映画館で上映中。

「2020年 『根に帰る落葉は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

南木佳士の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×