対論集 発火点

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163717302

作品紹介・あらすじ

時代に挑み続けるキリノ。直木賞受賞から現在まで、識者十二人との刺激的な論考。

感想・レビュー・書評

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  • 2009年刊行、桐野夏生さんの対談集。
    やはり男女のジェンダーギャップにおける「意識の違い」を巡る話が面白く、林真理子さんなど女性陣との会話がとても楽しそうだ。作家との対話では、桐野さんの創作に対するスタンスが漏れ聞こえてきて興味深い。
    その一方では、佐藤優さんとの対談は自分にとってはあまり面白く感じられなかった。会話が盛り上がっていないような気がしたのは気のせいだろうか。
    この本もエッセイ集『白蛇教異端審問』と同様、図書館から借りて読んだのだが、これまた手元に置いてときどき参照したくなるような、愛すべき書物だった。対談集の類は割と好きだ。

  • 除籍本。

  •  人気作家キリノが、おもに同業者と編んだ対談集。佐藤優、斎藤環(精神科医)、西川美和(映画監督)、原武史(政治学者・歴史家)の4人を除けば、残り8人は全員小説家。それも、林真理子、重松清、柳美里など、いずれ劣らぬ人気作家ばかりが並んでいる。

     『対論集 発火点』というタイトルを見れば、火花散る激しいやりとりを誰もが想像するだろう。だが、実際に読んでみればいささかタイトル負けで、対論どころか「なあなあ」のぬるい対談が目立つ。

     とはいえ、けっしてつまらなくはなく、桐野作品の愛読者なら楽しめる対談集である。
     桐野は作家デビュー前にライターをしていたことがあるそうで、そのせいか、対談にもしっかりと準備をして臨んでいることがわかる。相手の著作などをくまなく読み、質問も練り上げている印象なのだ。こうした誠実さは好ましい。

     ただ、対談の出来不出来はかなり激しい。
     松浦理英子、皆川博子、坂東眞砂子、西川美和との対談は、桐野流創作術の肝(そして、相手の創作術の肝も)が明かされている感じの濃密な内容。とくに、西川との対談はたいへんよい。桐野はインタビュアーとしても有能で、西川からよい言葉をたくさん引き出している。
     また、斎藤環、佐藤優との対談も、知的興奮に満ちた読ませる内容になっている。
     原武史との対談は、面白くはあるのだが、ほとんど原の独演に近く、対談の妙味はあまり感じられない。

     いちばんひどいのが小池真理子との対談で、「アタシはこういう男が好み」「アタシってこういう女なの」という話を互いにくり返しているだけ。2人が酒席で雑談しているような内容で、活字にして公開する価値なし。

     林真理子との対談は、互いを「おきれいですね」とヨイショするところから始まる不気味な内容。言葉はていねいだし、話も一見盛り上がっているのだが、どことなくささくれ立っている。
     たぶん、この2人は互いのことが嫌いなのだと思う(笑)。その思いが行間ににじみ出ているのだ。

  • 作家って作品そのものではないということが垣間見れた。桐野氏の本を読むと、登場人物の悪意が読者本人のものとなって読者に立ち上ってくる気がしてどきどきしながら読んでいくことになるという点には激しく同意。

  • 鈴木清順 ツィゴイネルワイゼン 原田芳雄

    仁義なき戦い 完結編 北大路欣也

    佐藤優

    突出した経済力をもった人間 周りの人間は恐怖し、嫉妬を覚える
    それを回避するために、どうするか
    ばらまき

    ロックフェラー家やビルゲイツといったアメリカの大富豪が福祉や学術ために財団をつくったり、大規模な寄付を行ったりするのも、自己防衛の戦略

  • 再読

  • 物語を語る根本の、桐野さん自身の
    発する言葉を聞ける本。

    こんな人があんな物語を生み出すのだ、という感慨。

  • これは読みがいのある対談集。
    創作観について、クリエイター同志の会話のレベルが高い。すべてのこだわりを理解してついていけてる桐野夏生もすばらしい。相手も理解者だと思うから、乗って話せるんだろうなあ。坂東真砂子の回がちょっとぞっとするようで好き。
    小池真理子との対談に、林真理子を乱入させたいなあなんて思ってしまった。それぞれの恋愛観について、どこで落としどころを見つけるか想像したら楽しいです。

  • 対論集とありますが、気軽に楽しめます。
    僕にとってはこういった対談集?はその内容如何にかかわらず、すべてエンターテイメントです。たいていはお付き合いの長い作家のそれを選ぶんですけど、彼や彼女がどういう人と付き合い、仲がよいのか、あるいはお仕事し、興味を持っているのか等々、下世話な関心が中心だから息抜きにぴったりです。
    本書では桐野夏生が多くの人と語り合っています。いろいろな雑誌に掲載されたものをまとめたもので、女性作家とのトークが中心です。また、その時々の彼女の作品に関連する話題で専門的な分野の人も登場しています。
    こうした対談を通して新たな作家を知ったり、興味深い知識の糸口を手に入れられるのもうれしいですね。

  • ゆかりのある小説家、学者、映画監督などとの対談。同業者との対談は変に褒め合うばかりで気持ちが悪い。でも林真理子、小池真理子とのからみは面白かった。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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