メッテルニヒ

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 45
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163719207

作品紹介・あらすじ

ナポレオンを打倒し、華麗なウィーン会議の成功から、革命による追放・亡命・流浪まで。革命とナショナリズムに立ち向かった名宰相。ナポレオンをはじめとする好敵手たち-アレクサンドル、タレイラン、カッスルリー、ウエリントン、バーク、ゲーテ、ディズレーリ、マルクス…との「死闘」「策略」「友情」の数々。ハプスブルク三部作『エリザベート』『マリー・ルイーゼ』完結。

感想・レビュー・書評

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  • 289.3||Me

  • 内容は本当におもしろい。ナポレオンと対峙し、ウィーン体制の指導者となったオーストリア宰相の伝記。ただし文章力が……うーん。

  •  オーストリア帝国の外相・宰相を務めたメッテルニヒの様々な出来事における判断を、他者の著作を引用しながら、おおよそ時系列順に紹介している。キーワードは、体制維持を基本としているが柔軟性もある保守政治家、というところだろうか。
     彼の政治家としての人生はフランス革命に始まる。そしてこの時の経験は、彼の政治家としての方向性を最後まで縛りつけることになる。

     長身で端正な顔立ち、深い知性を持ち教養が高く、話が面白くて女性にもてる。これだけ人も羨む面を持つメッテルニヒであるが、晩年の衰えを知るにつけ、平和の敵ナポレオンという太陽があってこそ、十分に光り輝くことができる月だったのではないかと思えてしまう。メッテルニヒが外交官としての頂点を迎える時期は、まさにナポレオンがヨーロッパを席巻する時期と合致していた。

     オーストリア、プロイセン、ロシアという帝国が、ナポレオン率いるフランスに戦争では全く勝つことができない。その状況で彼は、オーストリアの武装中立を表明し、戦争に倦みつつあったヨーロッパの想いを背景として、戦争に依らずして外交問題を解決するか、という点に注力していく。そして、ナポレオンとの息詰まる和平交渉。
     しかし、努力空しく戦争は再び起きる。その場合に備えて、各国の連携を確立し、大英帝国を巻き込んで、ナポレオンを破滅に追い込むための下地作りは忘れないのが、メッテルニヒという政治家だった。そして、戦争への勝利。

     戦後、ウィーン会議を切り回し、ヨーロッパの宰相として辣腕をふるい、長く政権の座に留まるものの、押し寄せる革命の波に対する対応は上手くいかず、内政は生彩を欠くものとなってしまう。
     彼にとって政治とは貴族のものであって、民衆が考える頭を持っていることを前提とする革命は、想像の範疇の外にあったということなのだろう。そして、仮に見える目を持っていたとしても、年齢による衰えは、人を保守的にさせていく。
     どれだけ業績のある人でも、晩年の身の処し方は、本当に難しいものだと思う。

     本書を読んでいて思ったのだが、イギリスとヨーロッパ、日本と中国の両関係は、良く似ていると思う。イギリスの文化的始まりは古代ローマの侵攻から始まるのに対し、日本も中国から強い文化的影響を受けてきた。そして、どちらも海に隔てられていて、基本的に不干渉の姿勢を貫いている。
     しかし、産業革命の波はイギリスからヨーロッパを席巻したし、明治維新後の日本の帝国化の波は中国の方向性にも大きく影響を与えたと思う。この様に、相互に影響を与えながら常に変化するのが、大陸と傍らの島国の関係性なのかも知れない。
     そして、輸送機関の進歩は世界の距離を縮め、日本の傍らにある大陸を一つ増やした。それがアメリカ大陸である。二つの大陸に挟まれた島国は、これからどこを目指せば良いのか。そんなことを考える。

  • メッテルニヒに興味がある人、ハプスブルク家の歴史が好きな人、外交史を学びたい人、ウィーンに音楽留学する人、などなど、おすすめの一冊です。文章は平易なのでガンガン読んでいきましょう。冗長な叙述もすくなくありませんが、そこはまあガマンです…。

    とはいえ、批判したくなることも多々あります。

    ひとつ。第二次大戦時のドレスデンの空襲による死者を、「三十万といわれ」などと安易に書いていますが、こんなプロパガンダの数字を元新聞記者が鵜呑みにするとは、あきれてものもいえません。死者数には諸説ありいまだ論争が絶えませんが、三十万という数字などは論外です…。

    と、このように、あまっちょろい記述がいたるところにあるのが難点です。マリー・ルイーゼへの過度の同情心にも、正直白けます。メッテルニヒの生涯は、ウィーン会議以前以後の二つにわけられますが、後半生の優雅なる衰退については、表面的な時代背景の説明に終始しがちで、メッテルニヒへの踏み込みがあまく、一読者として不満をおぼえます。

  • 良書!
    橋本五郎さんが好きで、五郎さんが絶賛していたので読んでみたらば。★5つ評価つける。
    この著者は、半身不随で、片手のみのパソコンでこの本を書き上げたというのだから驚いた。
    センテンスの切れ目があって主語が変わってるのに、主語がなかったり、また同じことを長々言ってたりと、読みづらい部分も多少あったが、そんなことものともせずに良書!


    オーストリアの外交官メッテルニヒの伝記。
    若き日にフランス革命での民衆の暴動っぷりを目の当たりにしたメッテルニヒは、革命はいけない。という信念を持つ。

    長じて、辞退したのに三十歳そこそこで外交官として奔走しなければならない羽目に。

    フランス革命って、あの一年で終わったものじゃなかったんだね。
    ナポレオンは、時代の流れを読み間違えて大敗は喫したけれども、ヨーロッパで並ぶもののない天才的戦略家だったんだね。
    当時ロシアの皇帝は、ヨーロッパと同盟を結びもしたんだね。

    オーストリアは、多民族国家。十以上の民族が入り混じっているから、国としての結束が弱い。
    当時、片田舎にいきゃあ国としての意識がない時代。新聞だって、まだ知識人のものとして出回り始めたばかり。そもそも識字率が低い。
    そんな時代に、ヨーロッパ全体の平和を考えたメッテルニヒの思想の壮大さ。
    負けたフランスから賠償金を取り過ぎると、恨みはのちのちまで消えないし、国として弱体化しすぎる。平和は、均衡だとの意識を持って、賠償金を低めにおさえたりと、見事なバランス感覚。

    日本人の政治家、外交官には「諦念と使命感はあるか?」と五郎さんは問いかけていたが、政治家って、外交官って、こういうのが理想だ。
    オーストリア人はまじめではあるけれど、まじめに働くだけなんてしないので、しょっちゅうパーティ開いていたり。でもその間に思考を働かせ、顔つなぎをし……と、メッテルニヒの人生や考え方をたどるのが非常に楽しい。
    結核で子供たちを失って、多忙で大変でもあったのだけれど、公的にはなんと充実した人生だろう。

    検閲などで悪評もあるけれど、当時の国際人。こんな思考が出来るなんて。

  • 冗長かな

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