その知財が勝敗を分ける インビジブル・エッジ

  • 文藝春秋 (2010年10月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784163719900

みんなの感想まとめ

ビジネスにおける「見えないエッジ」、すなわち知的財産の重要性を探る内容で、特に企業が競争優位を獲得するための戦略が描かれています。具体的な事例として、ブリヂストンやインテル、P&Gなどが取り上げられ、...

感想・レビュー・書評

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  • 先日GoogleがMotorola Mobilityを約1兆円で買収するというニュースが流れた。Googleの目的は色々と取りざたされており、Google自身もAppleのように携帯電話製造に乗り出すのではないかと見る向きもあれば、Androidのプラットフォームに参入しているパートナー企業の携帯電話メーカーを訴訟の脅威から守るために、Motorolaの保有している特許を入手したに過ぎないという見方もある。

    このインビジブル・エッジを読んでから、このニュースに接すると、Googleの狙いは後者以外にないと思える。なぜなら、物づくりをしている企業はそれだけで弱みを抱えているからだ。すなわち、携帯電話メーカーであれば、規格にからんだ必須特許を使わざるを得ず、強い交渉力を得ることができない。 この本では、物づくりを行なっている企業のことを、中から外に向けて石を投げることができないので「ガラスの家」と読んでいる。これに対して、イノベーションに注力して有効な特許を持っていながら物づくりをしていない企業を「サメ」と読んでいる。このサメ型企業の典型はQualcommであり、物づくりをしている企業に対して強力な知財による交渉力を有し、莫大なライセンス料を得ている。 Googleはもともと物づくりをしていなかったので、強い特許さえ手にすれば、Qualcommのようにサメ型の企業となることができる。それに対して、AppleやMicrosoftなど、Android陣営に対して攻撃を仕掛けてくる相手は、物づくりをしている以上、「サメ」ではなく「ガラスの家」に過ぎない。したがって、物づくりをしていないGoogleが知財という武器を手にすれば、すぐに優位な位置に立つことができる。Googleがこの有利な立場を捨ててまで物づくりに固執することは考えにくい。

    このレビューを書く直前の9月7日に、Androidのプラットフォーム上でAppleと訴訟を繰り広げている台湾のHTC社に対して、今回Motorolaから得た特許を含む9件の特許を譲渡している。これは、最前線で戦っているHTCに対して、強力な武器弾薬を補給したような形となっており、先に述べたようにGoogleは特許をAndroidのプラットフォームを訴訟の脅威から守るための盾として利用していることが明らかだ。

    インビジブル・エッジという題名からは、「見えない刃」という言葉を連想するが、このエッジという言葉は「競争優位」という意味もある。上述したGoogleの例にもあるように、現在は見えない武器としての「知財」をどのように利用するかでめまぐるしく競争戦略上のポジションが変化する時代である。この本の著者はBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)において経営戦略の研究を行ってきた人達であり、ポーター教授の「競争の戦略」の内容を踏まえ、業界の競争環境を分析するフレームワークであるファイブフォースの中における知財の占めるポジションについても明確にした上で話を展開している。それゆえに、話の流れも明確で極めてわかりやすい。従来よくあった知財関係者による単なる思いつきや事例紹介の本とは一線を画していると感じた。知財関係者に限らず、経営に興味のある方々であれば、決して読んで損はない本だと思う。

  • 第III部の知的財産と国家、市場、企業が一番面白かった。その他は、知っているような話の気もしたが、よくまとめられていると思う。しかし、なんだか読みにくい。訳のせいなのか?

  • とても面白くて興味深い内容だったのだが、企業にとっての知財戦略に関して指針を与えているであろう、肝心の第2部の内容については、何を言っているのか分からず咀嚼できなかったのが残念・・・。

    知財の歴史、現状、今後の可能性を感じることができたのは良かった。

    翻訳者の和訳が上手だと思った。

  • 知的財産権の経済的な意義を問うユートピア社会主義者のかかでも、リチャードストールマンは、ソフトウェア特許や過剰な著作権保護に対して叛旗を翻して革命を先導してきた。カールマルクスの共産党宣言と、ソトールマンが1985年にソフトウェアの自由な共有を主張するGNU宣言は、時代は違うけれども似ている。
    General Public License (GPL)で配布されるソフトウェアは、改造したソースコードを公開すること、開発者の名前の明記、改造後のバージョンにもGPLを適用することを要求する。誰でも自由にコードを使っていいし変えてもいい、ただしそれもすべてオープンソースにしなければならない。
    しかし、リナックスなどのオープンソースプロジェクトの実際をみると、GPLはかなり制限的であり、実態は程遠い。
    まずコードの構成について決定権をもっている上位階層の人々が存在する。またその主力プログラマーは、IBMやサンマイクロシステムズなどの技術者が余暇をつかってリナックスを書いている。つまり、企業がオープンソースソフトウェアの開発を資金的に支援している実態がある。
    マスコラボレーションは、複雑な権利関係やコンセンサスをとる難しさから、その限界も指摘されている。 複雑化ではなく、シンプルにする戦略が必要だ。P244
    第6章、トヨタの成功はコラボレーション戦略にあり.
    組立てメーカーの立場からは、サプライヤーに値下げを迫るのは合理的にみえる。少なくとも短期的には自社の利益が増えるからだ。いちばん安くしてくれるところから買うのが当然ではないか。戦略的に考えた場合、次の三つの条件をよしとするなら、値引きを迫るのは正しい。第一にサプライヤーの技術水準がどうでもよいこと、代理人、サプライヤーの利益水準が最低水準まで下がることがよいこと、第三に個々のサプライヤーがプロセス改善のみを通じてコスト削減をする能力と意欲をもっているなら、総合的な生産性が向上すること。
    しかし、真の競争力は、まったく反対の条件でうまれる。競争力を支えるのは技術でありイノベーションである。第二に設計やプロセス改善に投資するには、充分な利益を確保しなければならない。第三に、品質向上やコスト削減を実現するには、各社ばらばらより、全社の協調が望ましい。こう考えれば、各部品の値段にむやみにこだわるのは間違っているといわざるをえない。トヨタは、サプライヤーのネットワークに資本関係を導入し、系列と呼ばれるコラボレーションモデルを構築している。

    第7章、IBMに学ぶ単純化戦略 が秀逸。

  • 知財の戦略について書いてある本。

    トヨタと言えば、かんばん方式が有名だが、実は知財でも優れた戦略をしている事は知らなかったので興味深かった。

    また、facebookのマイクロソフトと資本提携など今までニュースで知っていた事が知財というレンズを通してみると色々とつながる事も有り勉強になった。

  • 知財戦略を歴史から紐解き、効果的な使い方を豊富な事例を交えて紹介する。
    今まで読んだ知財関連本は、学者、技術者、特許関係者の書いたものだったが、これはBCGの元コンサルタントが戦略立案の観点から書いているところが新しい。
    改めて知財戦略の重要さを痛感した次第。
    それにしてもオープンイノベーションと通常の知財戦略の使い分けは、実際に考えてみると難しい。

  • 知的財産が、これからの世界では財を生み出す。という事例をいくつか掲載。そうかぁ~と、簡単に説得されてしまう。

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