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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784163722801
みんなの感想まとめ
音楽家の足跡と最後の思いを、本人の語りを通じて知ることができる作品。加藤和彦の自伝は、彼の生い立ちや音楽活動を振り返る貴重な資料であり、特にフォークルやミカバンドの影響を受けた日本の音楽シーンについて...
感想・レビュー・書評
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衝撃的な自死を遂げた加藤和彦が、晩年、語り下ろしの自伝のために受けていたインタビューをまとめたもの。
インタビューと構成を担当したライター・松木直也は、加藤の親友・松山猛の弟子にあたる。そんな縁から、加藤と行動を共にすることも多かったなじみのライターだったのだ。2007年に、加藤のほうから「ぼくの本作らない?」と松木に打診があり、企画がスタートしたという。
だが、加藤の自殺によってインタビューは未完に終わった。本書で語られているのは、加藤の生い立ちから30代半ばまで。残りの30年近い後半生については、合間に断片的に言及されるのみである。
公私にわたる長年の伴侶・安井かずみとの死別、オペラ歌手・中丸三千繪との再婚・離婚、サディスティック・ミカ・バンドの2度に及ぶ再結成、数多く手がけた映画音楽の舞台裏など、後半生にもさまざまなドラマがあったはずなのに、それらは惜しくも語られずじまいなのだ。
そうした成り立ちのため、本書のインタビュー部分は正味150ページに満たず、残りは年譜や時代背景の説明、きたやまおさむと松山猛による追悼文で埋めている。ゆえに食い足りない印象は残るものの、加藤の音楽が好きな人にとっては一読の価値ある本となっている。
中でもいちばんスリリングなのは、サディスティック・ミカ・バンド時代を語った第4章。
日本のロック史に輝く名盤『黒船』(ミカ・バンドのセカンド)の舞台裏を明かしたくだりで、クリス・トーマスのプロデュース・ワークがいかに大きな意味をもっていたかが語られるなど、興趣尽きない内容となっている。
その章で、加藤は次のように語る。
《この頃、はっぴいえんどの細野君(細野晴臣)がやっぱり新しい音楽をやり始めていて、まぁ自分で言うのも変だけど、僕と細野君がいなかったら日本の音楽は10年ぐらい遅れていたと思うよ》
これは、けっして大言壮語ではない。当時のミカ・バンドはそれほど時代に先んじていたし、『黒船』はいまなお少しも色褪せていない。
なお、本書では全6章中の1章(第5章)を割いて、音楽以外の趣味――ワインや料理、いきつけのレストランや愛車など――についてインタビューしている。また、その章以外にも、旅やファッションなど、趣味についてのこだわりを語った部分が随所にある。
そうした部分もつまらなくはないのだが、いかんせん、私自身がワインにも料理にも車にもファッションにもあまり興味がないので、「へえ。そういうもんですか」という感想しか抱けなかった。そっち方面にくわしい人なら面白く読めるだろう。
本文の最後に、加藤和彦が書いた遺書(数通の遺書のうち、個人宛てでなく書かれた一通。葬儀でも来場者に公開された)を撮影したものが掲載されている。
自殺を報じた一連の記事でも引用されていたものだが、現物の写真を見ると、報道とはかなり印象が違う。
私はてっきり、自死の場となったホテル備え付けの便箋に殴り書きしたものだとばかり思っていた。
ところが実際の遺書は、加藤のネーム入りのオリジナル便箋に整然とワープロ打ちされたもので、発作的ではない覚悟の自殺であることがひしひしと伝わってくるのだ。
その哀切な一節を引く。
《世の中は音楽なんて必要としていないし、私にも今は必要もない。創りたくもなくなってしまった。死にたいというより、むしろ生きていたくない。生きる場所がないと言う思いが私に決断をさせた》詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2009年10月16日に自殺した加藤和彦から本人の自伝の執筆を依頼されて前年に数度のロングインタビューを経て構成された本。
加藤が生まれは京都だが育ち(高校まで)は逗子、鎌倉、日本橋で一人っ子ということは知らなかった。
フォークルを北山修らと結成し、帰ってきたヨッパライでミリオンセラーを出したが、当時まだ学生だったことから就職やプロへの岐路について興味深く読めた。
本人も本書で語っていたが、ミカバンドが日本のロックの草分けとしてその後のユーミンやYMOの進出に影響を与えたことは間違いないだろう。
ただフォークルでの莫大な印税を一気に費消してしまう金銭感覚と彼のお洒落を極めた美意識が結託したことで作品やライフスタイルを先鋭化ないし変容させたのではないかと思った。
序文に北山修、結びに松山猛と彼にとって楽曲の大切なパートナーが文を寄せており、彼自身の宛名のない最後の言葉(遺言?)の現物が掲載されている。
彼らしい表現が切ない。
もっと彼の寿命までの人生のエッセンスを見せて欲しかったな。 -
加藤和彦ラスト・メッセージ
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あまりに偉大な音楽家が最期に遺した言葉。それはあまりに「悲しくてやりきれない」ものだった。
その最期は用意されたものだったのか、加藤さん自ら語った自身の足跡。この最期を用意しながら遺した自伝のつもりだったのかは今もって分からないし、永遠に分からない。
しかしここで語られた加藤和彦の音楽史は希望に満ちてる。何も無かった道を興味という武器で切り開いた日本音楽の紳士。
悲しいが、加藤さんの遺書に抗すべく彼の偉大な功績を後世まで語り継いでゆこう。そのために重要な本人による語りである。 -
著者のトノバンへのインタビュー中心。
未完(と言っては語弊があるが)なのが残念だけれど、
少年~晩年までのトノバンの生き様がよくわかったような気がする。 -
2年前に、加藤さんが松木直也さんに
「ぼくの本作らない?そんな思いはあまりない人間なのですが
60ともなるとね。歴史を残すのも良いかな。」
というところから、この本がはじまったそう。
まさか、2年前から消えること考えてたんじゃないですよね・・・
子供の頃からの話
フォークルから、サディスティク・ミカ・バンドの話、
ワイン、料理、車の話。
読んでて、正直知らないことがほとんどで
へぇーそうなんだ、ほぉー、すごいなー、とか思いながら読んでた。
にこやかに 穏やかに 話されてる姿を思い浮かべながら。
最後に松山猛さんの文。涙 出てきちゃったな・・・ -
松木さんも、もう少し時間をかけたかったのかもしれないが、しょうがないな。
料理の話だけでも、一冊分の価値が…
絶版になってる安井かずみさんとの共著の数々には宝が埋もれているのかもしれない。
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