- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163723303
作品紹介・あらすじ
「大津事件」「昭和の陪審裁判」「帝銀事件」「チャタレイ裁判」「永山則夫事件」…時代を変えた、12の法廷ドラマ。
感想・レビュー・書評
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日本の裁判の歴史を振り返る上で押さえるべき12の事件を、豊富な資料と丁寧かつドラマチックな筆致で描いており、非常に面白く、そして勉強になります。
学生時代に学んだ重要判例の背景にはこのようなドラマがあったのかと驚かされる場面が多いです。
また、何よりすごいと思うのが、筆者の各判決についての正確な理解と説明力です。最高裁判例部分だけでなく、高裁・地裁の判決も要約しながら説明しているのですが、その要約が端的で分かりやすく、とても非法曹の方がなせる技ではないように感じました。判決を、その妙味を失わせず要約するということは、法律家でも至難の技です。筆者の取材力と豊かな見識、そして文章力、これらが全て優れているからこそなせる技であると思います。
日本の裁判史を理解する上で、将来にわたって、非常に重要な意味を持つ本であると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【書評】田中貴子・朝日新聞2010年4月18日、斎藤貴男・週刊読書人2010年7月2日(裁判員制度推進派著者のものであると注意して読めという注意)。
12の重要な判例を取り上げ、推理小説家の手で、裁判の事実の背景や判決の意味するところが読みやすくまとめられている。 -
明治以降の100年間に行われた裁判の中から12事件を選んで、その内容を記したもの。司法判断に大きな影響を与えた重要な裁判について知ることによって、司法そのものをある程度理解できたように思う。知識として知っておくべき事件の概要を記す。
「大津事件」:ニコライ二世が来日中に警備中の警官が斬りつけ無期となった。
「大逆事件」:明治天皇暗殺を企てた幸徳秋水ら12人を死刑、12人を無期とした。疾風のような裁判と処刑
「帝銀事件」:帝銀社員ら16名を毒殺し、画家平沢貞通は死刑となるが、再審請求が繰り返され95歳で獄死
「松川事件」:機関車を脱線させ左翼系国鉄職員ら20人が裁判にかけられたが、15年を経て全員無罪。他に「下山事件」国鉄総裁殺害、「三鷹事件」機関車暴走があるが、いずれも国鉄10万人の人員削減に抗議したもの。
「八海事件」:単独強盗殺人犯が他4人を道連れにしようとし、本人無期、18年後、他無罪となったもの。
「永山事件」:4人を殺害した凶悪犯永山則夫は、獄中で改心、小説家となるが29年後に死刑執行。 -
《教員オススメ本》
通常の配架場所:教員おすすめ図書コーナー(1階)
請求記号 327.02//N58
【選書理由・おすすめコメント】
推理小説家が目をつけた「事実の面白さ、裁判の深さ」を実感しながら、明治以降の著名な事件・裁判を読み進めていくことができます。(現代政策・市川直子先生) -
明治以降の我が国の主要な裁判事件12編を通して、司法権の独立が如何にあやういものであるか(そして、それを確立するために命を賭けた先人達がいたこと)、また個々の裁判官が必ずしもリーズナブルな判断の下せるバランスのとれた者ではないということ(要は裁判官もただの人であること)、などを改めて痛感した。大津事件や松川事件、八海事件などの手に汗握る展開は、まさに事実は小説よりも奇なり、という感じだ。
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難しく思えたが読み出すととまらなくなった。
名前を知っていたものから、初めて聞くものまであらゆる事件を詳しく掘り下げている。
個人的には悲しみの尊属殺人を読んで、心が痛くふくざつな気持ちになった。 -
資料ID:21101290
請求記号: -
近代国家としての司法制度が確立した明治後期から現在に至る120年を、
12のトピックで綴る裁判史。
タイトルに「ものがたり」を冠するように、それぞれの特色ある裁判内容をわかりやすく読みやすいものに仕立てあげたのは、さすがエンターテイメント作家の面目躍如。
裁判員制度がはじまったことが執筆の動機となっているのだろう、時宜を得た企画である。
いつなんどき、だれもが、裁判員として法廷に臨まぬともかぎらぬご時世、この程度の裁判知識は有していたいもの。その意味ではお薦め本だ。 -
図書館所蔵【327.02NA】