夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 2262
レビュー : 225
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163731001

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹が一貫してインタビューに応える言葉がぶれないということは彼が本を書き始めてからその真摯な態度が変わらないということだろう。
    読者としては彼の伝えようとしているものが何か、もっと深く知りたいと思う気持ちが募るので彼の語る言葉をもっと聴きたいと思ってしまう。そういう意味での満足感の得られる本。

    また、時代とともに彼が取組んできた課題が作品としてどのようにして書かれたかを知ることができた貴重な機会でもある。
    個人として自分が何をなしうるか、あくまで個として追い求めている彼が、何も考えず、人の中にある暗闇に頼ることが楽でかつ危険であることを訴えたかったことを再認識。
    更に、批評家より読者を大事にする姿勢と自由に本を楽しんでもらいたいという素直な気持ちもよくわかった。
    彼の言う、物語の意味や、読書歴による作家への考察など、どれも興味深かった。


    自分は何をすべきか与えられた才能は、日々磨き続けなければいけない。健全な肉体にしか、不健全なものも受け入れられないのだと言う彼の言葉が心に残った。

    正直最初のいくつかのインタビューは直ぐに言葉が心に響かず、何度も良い直した。それは私が初期の作品のストーリーを忘れているせいでもあるが。徐々に彼の言葉や思想に慣れてきて面白くなってきた。
    また、まだ読んでいない短編があったことにも気付き、過去の作品も再度読み直してみたくなった。

  • 村上春樹さんの、インタビュー集。
    この間の作品にどのような姿勢で臨んだのか等、とても興味深く読みました。
    それにしても、村上さんの言葉は、私の中にすごく浸透してくるのですよね。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「すごく浸透してくるのですよね。 」
      インタヴュアーが村上作品を読み込んでるのが伝わってきて驚きました(翻訳されても劣化しない)。そして村上...
      「すごく浸透してくるのですよね。 」
      インタヴュアーが村上作品を読み込んでるのが伝わってきて驚きました(翻訳されても劣化しない)。そして村上春樹が書くコトや人生を楽しんでいる感じがよく判って良かったです。
      私は今、早く「雑文集」が文庫にならないかなぁ~と待っているところです。
      2013/04/02
    • あやごぜさん
      「雑文集」も良いですよね。
      あの表紙が何気に好きでした。文庫化されると良いですね。
      「雑文集」も良いですよね。
      あの表紙が何気に好きでした。文庫化されると良いですね。
      2013/04/03
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「あの表紙が何気に好き」
      判ります!
      村上春樹の本以外では多分有り得ない(と思う)豪華さですね。和田誠(ネズミ)+安西水丸(ウサギ)
      「あの表紙が何気に好き」
      判ります!
      村上春樹の本以外では多分有り得ない(と思う)豪華さですね。和田誠(ネズミ)+安西水丸(ウサギ)
      2013/09/02
  • 濃密なインタヴュー集。『風の歌を聴け』から順番に読み返したくなった。ドストエフスキーや春樹さんの翻訳物にも手を出したくなった。『1Q84』は盛り沢山な印象を持っているのだが、その理由が垣間見えた。ああ、読者の身でも「時間が足りない!」と思うくらいだから・・・。装丁も素晴らしいと思う。

  • 正直、僕は村上春樹の良い読書ではない。最近は小説は読まず、エッセイ集ばかり好んでいるからだ。 『ノルウェイの森』以来どうも苦手になってしまった。苦手になって23年、好きだった時が8年位。
     高2の時に『1973年のピンボール』を読み、それから『風の歌を聴け』を読んだ。『羊をめぐる冒険』は高3か浪人の頃。当時は本当に好きでIn Pocketまで楽しみにしていた。同時期が『中国行きのスローボート』で、大学1年2年の頃に『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』。
     『蛍、納屋を焼く その他の短編』の『蛍』は本当に美しいと思った。今、読んだら、どう思うかは分からない。濃密なのに水彩で仕上げたかのような感じに惹かれたのだと思う。 その後の作品は殆ど記憶がない。全てではないが、かなり読んでいるにも関わらず。不思議だ。
     忌野清志郎が亡くなった時に、誰かが『シングルマン』を絶讃していた。ミュージシャンや小説家は最新作ではなく、彼のキャリアの内で早い時期の作品ばかり評価されたら嫌だろうな、と僕は思う。 デ・キリコの晩年の斗いは素晴らしく美しく思う。
     村上春樹のインタビュー集を読もうと思ったのは一つには、それが小説ではないから。もう一つには、どうして苦手になったか知りたいから。 では分かったか? …音楽と走ることについて書かれている部分ばかり読んでいるのだから、分かる筈がない(笑)

  • 村上春樹さんのインタビュー集。
    読み応えがあり、たくさんの刺激をいただきました。

    「いくつかの痛みを経験し、恐怖をくぐり抜けなければ本当の成長はない」
    という言葉が印象的でした。
    痛いのは、怖いのは、必要な経験なのですね。
    励まされました。

    私にとって、きっと、これから何回も読み返していくことになるであろう一冊です。

  • とても丁寧に言葉を語る人だと思った。安易に自書の解説に陥るのではなく(そもそも解説することが不可能と著者は語っているが)物語に対する村上の考えが丁寧な言葉で語られている。村上にとって「アンダーグラウンド」以降「システム」や「悪」というものがキーワードになって物語が紡がれているが、それをいかにフィクションという形式を通して直接われわれに伝えようとしているかが伝わってくる。地下2階にあたる意識の層を、物語というメタファーを通して共有できるということはとても幸福なことだと思った

  • 抜群に面白いです。村上春樹という人は、小説も抜群ならばエッセイも抜群なのですが、インタビューを受けているだけでもホンマに抜群に面白いですね。何故に、彼の言葉に、これほどまでに惹かれるのだろうなあ。不思議だなあ。マジ不思議。インタビューされているだけなのに、インタビュアーの質問に答えているだけなのに、こんなに面白い作品になっちゃうなんて。なんなんだろうなあ。本当に凄いよなあ。

    読んでいて、自分として、うーむ、そうだそうだ、と思ったのは、村上春樹の言葉は、元プロ野球選手のイチローの言葉と似てるなあ、ってところです。

    村上さんも、イチロー氏も、インタビュー受けていて、とある質問されて、その質問に対して、村上さん自身が、イチロー氏自身が、思う所の意見を、投げ返す時の感じとか言葉の使い方とか雰囲気とか、うおお、なんかソックリやん、って感じたのですね、僕には。

    村上さんの言葉もイチロー氏の言葉もインタビューで答える言葉それ自体が、なんだかもう、名言だらけだよね、って感じも似ている気がしますし、お二人の、めっちゃんこストイックな所とか、あくまでも基準は自分自身の中にあるのです他の人にはどないも左右されないんです、みたいな、圧倒的な自分自身に対する(なんらかの)信頼感みたいなもの。自分という存在そのものに対する、限りなき追求、みたいなもの。似ている、、、気がする。

    そして、それでいて、圧倒的に自分という存在に興味がありつつも、村上さんは、小説という存在を本当に大事に思っているんだろうし、イチロー氏は、野球という存在を本当に大事に思っているんだろうし、お二人のそんな姿勢が、なんというか、ホンマ素敵。素晴らしい。そんな事を、感じたのです。

    村上春樹は、プロ野球人としてのイチローの活動の軌跡、その残してきた記録などに、興味はあるのでしょうかね?イチローは、村上春樹の小説を読んだり、するのでしょうかね?あんま、お互いそれぞれ、相手の事は、気にしてないのでしょうかね?どうなんだろうなあ。すげえ、気になる。

    いつの日か、村上春樹とイチローが対談する機会とかあったりしたら、ものすっごくその会話の中身、気になりまくりですね。めっちゃんこ面白い対談になるんではないかなあ?

    まあとにかく、ホンマに面白いインタビュー集であり、読んでいる間、頭の片隅には、常にイチローの存在も意識しちゃいながら読んだのだった。そんな作品でしたね。折に触れ、再読したい作品です。

  • 10.10.13
    こんにちは、土井英司です。

    本日の一冊は、待ちに待った、小説家・村上春樹さんのインタビュ
    ー集です。

    1997年〜2009年にかけて行われた、国内外のインタビューをまとめ
    たもので、村上春樹氏の作品や創作哲学、テクニックに迫った、じ
    つに興味深い一冊に仕上がっています。

    あまりにジャンルがかけ離れていて、「これはビジネス書じゃない
    だろう!」とお叱りを受けてしまいそうですが、氏の作り手として
    の視点や、表現の工夫、そして地道に仕事を続けるストイックな姿
    勢は、われわれビジネスパーソンも、必ずや学べるところがあると
    信じています。

    土井が読んでいて思ったのは、村上春樹さんはやはり、一流と呼ば
    れる人に共通する考え方や資質を持っているということ。

    土井が本書から読み取ったのは、ズバリ以下の点です。

    1.自分の興味の対象が明確である
    2.強みに対して集中投資している
    3.継続するための考え方としくみを持っている
    4.フィードバックシステムを持っている
    5.優れた人から学んでいる
    6.お金以上の価値のために、お金と時間を有効活用している

    以前、『走ることについて語るときに僕の語ること』を読んだ時に
    も感じたことですが、著者の創作に対するストイックな姿勢には、
    本当に頭が下がります。

    ※参考:『走ることについて語るときに僕の語ること』
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167502100/businessbookm-22/ref=nosim

    経営においても、創作活動においても大切のは「規律」ですが、こ
    のインタビューからは、著者がどれほど規律を大切にしているかが
    ビシビシ伝わってきます。

    一流の作り手の精神を学ぶために、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

    なお本書は、村上春樹氏と長年一緒に本を作り続け、このインタビ
    ュー集の出版を勧めた(つまり読み手である我々の恩人)、文藝春
    秋出版局の岡みどりさんの遺作となった作品のようです。

    もう一人の「一流」の魂を感じるためにも、ぜひ買って読んでみて
    ください。

    なお本書は、土井にとって、ここ数日間の睡眠不足の原因であり、
    一生取っておきたい一冊となったことを申し添えておきます。

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    ▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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    僕のいちばん大きな関心は、今のところ、より優れた、より大きな
    作品を書くことにあります。そして、お金で買うことのできるもっ
    とも素晴らしいものは、時間と自由である、というのが僕の昔から
    変わらない信念です

    旅行の目的は(ほとんど)すべての場合──パラドクシカルな言い
    方ではあるけれど──出発点に戻ってくることにあります。小説を
    書くのもそれと同じで、たとえどれだけ遠いところに行っても、深
    い場所に行っても、書き終えたときにはもとの出発点に戻ってこな
    くてはならない

    グローバルという言葉は、僕にはあまりぴんとこない。なぜなら我
    々はとくにグローバルである必要なんてないからです。我々は既に
    同質性を持っているし、物語というチャンネルを通せば、それでも
    うじゅうぶんであるような気がするんです

    せっかくこうして作家になれたんだもの、何かを書くのなら、とに
    かく少しでも良いものにしていきたい。それは言うなれば、労働倫
    理みたいなものですよね

    小説を書いていない時間に、自分がどれだけのものを小説的に、自
    分の体内に詰め込んでいけるかということが、結果的にすごく大き
    な意味を持ってきますよね

    人には「原理になってしまいたい」という欲求があるんじゃないの
    かな。肉体を失って原理になってしまいたい

    彼女は僕の妻であり、立場はとてもはっきりしています。どこにも
    異動しない。ずっとそこにいます。良くも悪くも(笑)。言い換え
    れば、一種の定点です。それが僕にとっては大事なことなんです。
    定点を身近に確保しておくこと

    カポーティから学んだのは、短編小説においては文章というものが
    「妖しくなくてはならない」ということです

    「とにかくフェロモンが出てりゃいいんだろう」みたいなことにな
    ってはいけない。そこには優しさと哀しみのようなものがなくては
    ならないし、書き手の視線は基本的にできるだけ遠くを見ていなけ
    ればならないということです

    カーヴァーから僕が強く感じたのは、「偉そうじゃない」こと

    もし今日走らなかったら、その翌日も走らないだろうと思うのです。
    自らに必要以上の負荷をかけることは、人間にそもそも具わってい
    る性質ではありませんから、肉体に学ばせた習慣は、すぐに解かれ
    てしまうものです。それは書くことにも当てはまります。僕は毎日
    規則正しく書くことで、精神を鈍らせないようにしているのです

    「少なくとも最後まで歩かなかった」、墓石にそう刻んでもらいたい

    小説家にとって、エッセイをたくさん書くというのは、あまりいい
    ことではないと僕は思うんですよ。それだけ抽斗が少なくなっちゃ
    うわけだから

    何かを産み出せる資格というのは、多かれ少なかれとくべつなもの
    です。いったんそれを掴んだら、掴み続けるしかない
    ※「つかむ」は文字化けを避けるため、「掴」としています

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    『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』村上春樹・著 文藝春秋

    <Amazon.co.jpで購入する>
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163731008/businessbookm-22/ref=nosim

    <楽天ブックスで購入する>
    http://bit.ly/c0IPK2

    ------------------------------------------------------------

    ◆目次◆

    アウトサイダー
    現実の力・現実を超える力
    『スプートニクの恋人』を中心に
    心を飾らない人
    『海辺のカフカ』を中心に
    「書くことは、ちょうど、目覚めながら夢見るようなもの」
    お金で買うことのできるもっとも素晴らしいもの
    世界でいちばん気に入った三つの都市
    「何かを人に呑み込ませようとするとき、
    あなたはとびっきり親切にならなくてはならない」
    「せっかくこうして作家になれたんだもの」
    レイモンド・カーヴァーについて語る
    「恐怖をくぐり抜けなければ本当の成長はありません」
    『アフターダーク』をめぐって
    夢の中から責任は始まる
    「小説家にとって必要なものは個別の意見ではなく、
    その意見がしっかり拠って立つことのできる、
    個人的作話システムなのです」
    サリンジャー、『グレート・ギャツビー』、
    なぜアメリカの読者は時としてポイントを見逃すか
    短編小説はどんな風に書けばいいのか
    「走っているときに僕のいる場所は、穏やかな場所です」
    ハルキ・ムラカミ
    あるいは、どうやって不可思議な井戸から抜け出すか
    るつぼのような小説を書きたい(『1Q84』前夜)
    あとがき

  • インタビュー

  • 村上春樹氏のインタビューをまとめたもの。

    作家として何を志してきたのか、という点が興味深く読める。

    紡がれた作品がどういう意味合いを持つのか、と言うこともそれはそれで重要だが、それよりも「どのような意識」で作品を生み出してきたのか、という事の方が大切な気がする。

    長編と短編の違い。あるいは作品ごとの挑戦、といったもの。

    物書きとして学ぶべき事がたくさん見つけられるだろう。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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