夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 225
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163731001

作品紹介・あらすじ

村上春樹が語る村上春樹の世界。日本と海外メディアからのインタビュー18本を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 1Q84 Book1~3の2回の読了後、楽しみに読みだしたはずが、村上ワールド一色はムリと感じ約5年もたってやっと今、読了。(その間に色彩のない-や女のいない-は読んだが)
    これを読んで、今までの長編小説をもう一回読もうと思った。
    村上氏の話す事柄は人として生きるための良き心の在り方の指針となるように思う。村上氏は執着のないクールで、どろどろしたものから遠い、感情的にならない都会の人という印象があるが、違うみたい。 村上氏の言葉に感激しながら読んだ。

    「健全な肉体に不健全な魂」というのには深く共感。わたしも芸術家は身体的に健康であってほしいと願う。ニコチン中毒の作品に触れるのはノーサンキューと常々思っているので、

    目覚めながら夢を見ているっていうのは、村上氏は書いている内に知らず、瞑想してるんだなと思う。

  • インタビューって、
    ご本人の文章とはまた違う面白さがあって
    すごくいい!

    村上さんがどれほど言葉や小説を愛し、
    大切に思っているかということが
    リアルな言葉でひしひしと伝わってきて、
    しかもそれが、まだかなり最近のインタビュー
    なだけに新鮮で、ギュッとおいしかった。

    個人的には、村上さんのオフィスで、
    「女性アシスタントが、
     ストッキングをはいた優美な脚で、
     音も立てずに謎めいた行き来をしていた」
    なんてくだりも楽しみながら読みました。
    最高です。フフフ。

  • 創造とはどのようなことか、創造のプロセスはどのようなものか、創造の秘訣などについて、文献から学んでください。特に、物語をつくるときに、先が見えないなかで時間展開を追いながら書いて/描いていくという「つくり方」について意識的に読んでみてください。

  • 村上春樹の解説本は絶対読まない(過去に何度か読んで後悔したから)が、これはインタビュー集なので読んだ。
    最初に読んだ小説が何だったか全く覚えていないが、かなり初期の小説が書かれた時代のインタビューもあり、なかなか懐かしかった。
    自分の読書史を辿っているような感覚があった。
    年齢的にも近いものがあるせいか、「思えば遠くへ来た」ものである。
    考えてみれば、ストーカー的に、氏の作品は「そうだ村上さんに〜」シリーズも含めみんな読んでるようだ。
    ノーベル文学賞を取れなくて、残念だったけどちょっとホッとした。何でかな?まだまだ、先は長いぞ、と思いたいからかも知れない。

  • インタビューの困った点のひとつは、しょっちゅう同じ質問をされることである。人が興味を持つポイントはだいたい決まっているものだから、それはまあ仕方ないといえば仕方ない。それに対してこちらがそのたびに、目先を変えたカラフルな回答をできればいいのだろうが、普通の人間にはそんな器用な真似はなかなかできない。僕はそういう面ではただでさえ器用な方ではないし、僕の考えていることはもとよりひとつしかないのだから、洋服を着替えるように、あるいは壁の色を塗り替えるように、次々に回答を取り替えるわけにはいかない。だからいくらか表現に変化を持たせたとしても、同じ質問にはだいたい同じような回答が返されることになる。

  • 2014年49冊目。(再読)

    村上春樹のインタビュー集(1997〜2009)。
    再読だけどやはり面白過ぎる。
    作品も面白いけど、その創造過程やそれに対する哲学が、
    創造的な活動をする人なら本当に楽しく読めると思う。
    文庫版が出ていて、「〜2011」になっていたので、
    今回再読するならこっちを買っておけば良かったと後悔している(笑)
    とにかくこの本は心からおすすめ。
    ====================
    2012年40冊目。(2012年6月24日)

    すさまじく面白かった。
    著者の小説は「海辺のカフカ」しか読んだことはないけど、
    読み終わった後のあの独特な「未回収感」の正体が分かった気がする。

    自ら井戸の底の暗闇まで降りて行って、危険なその闇を描写するけど、
    あくまで解釈は読者に委ねるスタンス。
    その「未完成性」「空白感」が読者を前のめりにさせるんだと思う。
    優れた芸術作品に共通することは、そのようなある種の読者・見学者への信頼だと感じる。
    (久石譲さんも、「説明過剰な音楽にならないこと」を意識されていた。)

    それと、著者本人も書いている時はストーリー展開が分かっていないというのは面白い。
    パッと浮かんだワンシーンやフレーズから、「この先どうなっていくんだろう」と読者と同じ感覚で筆を進めていく。
    考え込まれた余計な解釈が入らない要因は、そこにもあるのだろうと思う。

    マイペースかつストイックな仕事や人生へのスタンスもとても魅力的だった。
    自分自身も周りのペースに合わせるのを苦に感じる人(最近気づいた)だから、
    自分の力が一番発揮される「自分らしいペース」を大切にしたい。

    著者の作品全部読みたくなったし、この本もまた読み返すな~

  • インタビューとかエッセイとかそういった小説作品以外で読んだはじめての作品。物語の役割について丁寧に語っているのが印象的だった。twitterやらでついつい共有したいしたい病に陥っている気がする昨今(これ書いてること自体がそうだけど)そういった細切れの時間を生きるのも大事だけど、もっと深く深く自分の中や物語の中に入っていく時間を持つことの大切さを教えられた。ときには井戸の中に入りましょう。

  • 批評家の方のレビューを読んだりすると、「うわぁ、そういう見方があったのか」と驚かされたり、よく自分の思考の浅はかさに落胆したりしてしまう。

    でもこの村上春樹のインタビュー集は、「あ、やっぱり単純に面白がったり、謎を謎のまま捉えてしまってもいいんだな」と不思議な自信を与えてくれた。

    これでまた小説を楽しく読めそうだ。

    また、小説家として、一人の人間としての社会に対する責任感は、いろんな意味でこの人を支える一つの柱なのかも知れないとも思った。

    インタビュー集という性質上、何回か同じような質問に答えていたりするのだが、そこはご愛嬌。

  • 村上春樹のインタビュー集。

    タイトルの「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」という言葉に、村上春樹の小説家人生の全てが詰まっている。彼は物語というものを心の底から愛している。人生の全てを創作活動に捧げており、その姿はあたかも聖人のようだ(彼は間違いなく否定するだろうが)。そして、多くの人の心を揺さぶろうと、心の奥底に深く沈みこみ、丹念に、長い時間をかけて文章をつむいでいくのだ。そのあまりに誠実な生き方が、世界中で愛される作品を生みだすのだと、この作品を通じてよく分かる。

    こんなにつまらない自分でも、心の声に従って素直に生きていこうと、そう思える素晴らしい一冊。

  • ここ数年、英語の文章をまずタイプで打ってから、一行一行訳すということを続けている。英語というものは、結局、そんな精読でしか読めないし、読む意味もないような気がしているからだ。こんなことをやっていると猛烈に時間がかかるのだが、じっくりと読んでいくプロセスで、身体の中に、刻印されるものがある。これは読み流すだけでは決して得られないものだ。

    この方法だと、長年、懸案の英語での文章力というものにも何がしかの影響を及ぼすだろうという実利的な思惑もあるが、本当のところは、この作業をしているときの感じが好きということが大きい。

    日本語の文章でこんなことをしようとは普通は思わない。ただ村上春樹の文章を読んでいると、そんな気分にさせられる。

    村上春樹を読むというのは、ぼくにとっては、英語を一行一行タイプしてからじっくりと精読することに似ている。結局、ぼくは彼の文章と、そこから生まれる呼吸やリズムが好きなのだ。

    1997年から2009年までに村上春樹が応じたインタビューを集めた、「夢をみるために毎朝僕は目覚めるのです」を読んだ。

    80年代にニューヨークのある集まりで聴いた老作曲家の弾き語りの声を思い出した。ちょっとしゃがれた声で、「晴れた日には永遠が見える」を歌った。彼の名はバートン・レインという。ぼくのテーブルの隣に座っていた、大手弁護士事務所のユダヤ人のパートナーは、理由はわからないんだが、作曲家が歌う声が好きだ、それは、皆どこか似ていると呟いた。

    村上春樹の語り口にも、それと似たところがあるような気がする。

    インタビューの中には、物語の使命、自分のライフスタイル、翻訳という行為の意味、レイモンド・カーバーや、フィッツジェラルドなどへの思いなどが溢れている。

    その中で一番印象に残ったのは、やはり、有名な彼のライフスタイルだった。

    毎朝4時ぐらいに起きて6時間程度、小説を書き、その後、10キロぐらいランニングをしたり、水泳をし、そのあとは、音楽を聴いたり、読書をしたりして、9時ぐらいには就寝する。

    小説を書くこと、物語を自分の心の奥底から掘り起こす、肉体労働者、アスリートとしての規律が心地良い。

    そしてその規律を守ることによって達成しようとしているもの。それは物語の果たす役割の追求に対する純粋な信頼である。

    オウムという経験に真剣に向かい合った村上は、若い人々の中の理想主義的な側面をまがりなりにも受け入れるシステムがカルト以外に見当たらないという状況を憂えている。

    善い物語というものが、こういった理想主義が邪悪なものに絡め取られないための査定基準なようなものになるのではないかと村上は考える。

    《もしその物語が正しいものであれば、それは読者にものごとを判断するためのひとつのシステムを与えることができると僕は考えます。何が間違っていて、何が間違っていないかを認識するシステム。僕は思うんだけど、物語を体験するというのは、他人の靴に足を入れることです。世界には無数の異なった形やサイズの靴があります。そしてその靴に足を入れることによって、あなたは別の誰かの目を透して世界を見ることになる。そのように善き物語を通して、真剣な物語を通して、あなたは世界の中にある何かを徐々に学んでいくことになります。》

    世界の光と闇を含む深い物語を自分の心の地下室の中から掘り出すという力技を続けるために、彼は「勤め人」のような規則的な生活を続ける。

    そんな生き方が、正真正銘の勤め人のぼくたちの心をとらえて離さないのだろう。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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