選択の科学

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163733500

感想・レビュー・書評

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  • 選択というツールを最も効果的に使うにはどうすればよいだろうか?

    選択肢が無限にあるように思われる時、どうやって選択すればよいか?

    選択とは自分自身や自分の置かれた環境を自分の力で変える能力のこと。

    選択は自然な心の動き、生き残るために欠かせない働きだからこそ発達した。

    危険な状況に置かれたとき、ストレスを与えられたり、パニックを起こしたとき、闘争的な反応か逃走的な反応を起こす。
    瞳孔の拡張,反射が早くなり、集中力が高まる。
    持続的な限界状態は身体面では免疫システムの弱体化、心臓障害さえ誘発。精神面では自己破壊的な行動を引き起こす。常同症。

    仕事上の裁量が小さいほどストレスが高まる。精神疾患につながる。しかし実際は決定の大きさ、というより認識。

    人生の辛い出来事を不可抗力のせいにする人は自分次第でどうにでもなると信じている人に比べて鬱にかかりやすい。薬物依存、虐待ともかかわる。

    では後天的な楽観主義者はどのように育成するか?

    たとえ些細な選択であっても頻繁に行うことで自分で環境をコントロールしているという意識を意外なほど高めることができる。さらに、自分や他人に選択の自由を与えることでそれに伴う恩恵を与えることもできるということ。
    たとえば、自分の力を際立たせるような方法で話したり考えたりするだけで、自分の精神的、肉体的状況を大きく変えられる。

    自己統治、自己決定権。

    私が逃れたいのは裏切りと下方思考、神話的世界観にみちた環境なのだが、どうすればそれを選べるのかがよくわからない。信心深さ、共同体主義、秩序はそれを生むと言い切れるわけじゃない。ただ決めつけは好きじゃない。

    個人の利益優先か集団利益優先かという問題がすべての個人や文化の大きな違いの中心に潜んでいる。
    この両極端のどこに位置するかは文化的背景と私たちが与えられている選択の仕方に関するスクリプト、一種の行動プログラムによって与えられている。

    個人主義: 自分の好みや欲求、権利、他者との間で結んだ契約に動機付けられ他者の目標よりも自分の目標を優先する

    ー理性

    んーー私は個人の利益と集団の利益が一致するポイントをさがしている。。

    集団主義:日本など
    自分というものを家族、職場、村、国などの主に自分の属する集団との関係性でとらえる。
    集団の規範、義務
    集団院との関係性を重視
    個人的目標より集団目標

    んーーー今はそうでもないのではないか?

    個人主義の起源は啓蒙主義単一だが集団主義は色々。最初のものはアジアで発達した義務と宿命を重視する風土。ヒンドゥー、仏教などなんらかの形のカルマとダルマを重視する。

    東洋の人は人生を個人の意向というよりは義務と考える傾向。

    IBMのヘールト・ホフステードが個人主義と集団主義を分ける境界線に関する調査をした。
    もっとも集団的なのはグアテマラ。

    個人主義とあらゆる豊かさの相関関係。さらに人口密度が高いほど個人主義、異文化との接触、高学歴はともに個人主義。

    恋愛結婚はあつく始まるが冷めていき、取り決め結婚は冷たく始まるが暖かくなる。
    取り決め婚はルームメイトの間に絆が生まれるように時間がたつにつれて互いのことが好きになるという前提のもとに共通の価値観や共通の目標をもった2人が引きあわされる。恋愛結婚は出会った瞬間に不思議な力が働く。バーナードショー「あらゆる感情の中で最も暴力的で狂気をはらみ、人を惑わせ、儚い情熱に奔走される。二人は死によって分かたれるまで、この興奮した異常状態であることを誓わせられる。」
    どちらの結婚の方が幸せになれるか?-幸せな方。

    価値基準も違う。
    取り決め婚:義務の達成度
    恋愛結婚:二人の感情的な結びつきの強さ

    こうあるべきという共通の認識。達成度をはかる独自の基準。

    ポジティヴィズムスは個人主義から生まれているのかも。

    二つの自由を
    からの自由。抑圧からの解放
    する自由。成果を実現し、自分の潜在能力を自由に発揮する自由。

    旧共産圏の人々はかつて一方の極にあった社会をもう一極にずっと近い民主主義的で資本主義的な社会にいきなり転換するという困難な課題を押し付けられた。この移行のハードルの一つ。公正とは何かについてという前提。

    西ベルリンはからの自由を通して見ているが、東ベルリンはする自由に焦点。

    個人的成功より生活必需の確保を大事にする。集団主義。西ヨーロッパ人でさえこれ。

    自分には大きな決定権があると考える人にはからの自由を選ぶ傾向。公平という観点からも望ましい。機会の平等。

    この世の成功は運次第と考える人はする自由を優先。どんなに頑張っても成功する保証がないならば、このような体勢でない限り自力で生活必需品を選べない。

    これは決定に対する考え方が政治的イデオロギーにかかわる。リベラルほど貧乏人は怠惰だという。あ-。つまり個人主義。

    個人主義はGDP、集団主義はジニ係数。

    しかしアメリカは親子の所得に強い相関関係がある。

    事実ではないつじつまが合う物語を作って不一致をうまく解消できた方が幸せだった。(なんかこの言説危険。)


    不一致を解消するもう一つの方法、真実、道徳律、なんらかの理想の追求といったより高次でのレベルでの一貫性を図ること。ありのままの自分でいながら順応性を失わずにいるには変化を自己像と調和するものとして正当化するか、自己像を柔軟に変えても自分の信頼性が損なわれるわけではないことを認識する必要がある。

    個人主義領域では?他人が選んだものは選びたくない。制約条件が少なく束縛が少ないまま自由に選択した方が満足度が高い。主体性の誇示と「本当に自分が欲しいもの」は常に同じではないが常に違いということもないらしい。これが本来は自分が望んでいない行動を起こさせたりするらしい。

    ポアンカレ
    発明とは無益な組み合わせを排除してほんの僅かでしかない有用な組み合わせを作ること。発明とは見抜くことであり、選択すること。

    テーマは好きなんだけど途中から決めつけ的であまりに不確定要素を排して単純化した荒い言説にイライラきた。それとおそらく個人主義信仰に偏っているため少々言説に扇動感が感じられる。

  • 生きることは選択すること。選択することが必ずしもいい結果を生むとは限らず、時にはつらい思いをすることもある。それでも人は自らの自由意思のもとに選択することを選ぶ。何故ならそれはカミュの言葉によれば、「頂上に向かうこの苦闘そのものが、人間の心を十分に満たすのだから。」

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「自らの自由意思のもとに」
      自分の意思って、どこからどこまでそうなんだろう?色々な影響を受け、周りに気を遣い目立つコトを避ける。
      等と勝手な...
      「自らの自由意思のもとに」
      自分の意思って、どこからどこまでそうなんだろう?色々な影響を受け、周りに気を遣い目立つコトを避ける。
      等と勝手なコトを言ってスミマセン。。。
      2012/12/27
  • 「選択」というその一現象が、どれだけ強力な力を持つか。人、あるいはその他の生物がどれだけ選択を渇望し、時に放棄し、力づけられたり押しつぶされそうになったりするか。それを数々の実験を通してとてもわかりやすく書いてます。日本語訳では「科学」ってなってるけど、選択って芸術でもあるなーって思った。選択があるからこそ、人生は楽しくもあり、苦しくもあるのだなぁと改めて思う。

  • 2011Dec,Etel 白熱教室@コロンビア大学院   選択日記の習慣を
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    ★ NHK「コロンビア白熱教室」のテキスト!
    2011年11月27日(日)からNHK教育で放映の始まった「コロンビア白熱教室」のテキストとなっているのがこの本です。 「選択」こそが、人間に活力を与える。
    コロンビア大学ビジネススクールの美人教授シーナ・アイエンガーは、この20年間、ずっと「選択」をテーマに研究し、さまざまなユニークな実験や調査をおこなってきた人です。
    たとえば、思春期を迎えたお子さんのいらっしゃる方で、親がコントロールしていた状態から外れて、やりたいことを主張するわが子にどの程度の自由を与えたらよいか悩んでいる方も多いと思います。
    そうしたときに、この本の冒頭に書かれている「選択権を持つことは生き物の基本的欲求である」という様々なデータをみせられると、考え込んでしまうことでしょう。
    動物園の動物は、野生の動物より、はるかに食糧、衛生状態の面でめぐまれているにもかわらず、寿命は圧倒的に短い。たとえば野生のアフリカ象の寿命は56歳ですが、動物園のそれは17歳。動物園の動物には、過剰な毛づくろいや、意味もない往復運動などの神経症状をみせる動物が多いのです。その理由は、野生のときのような、「選択」ができないからだ、ということが明らかにされます。
    人間だって同じです。英国の20歳から64歳の公務員男性1万人を追跡調査して、さまざまな職業階層と健康状態の比較を行うというものがありました。その結果は、「モーレツ上司が、心臓発作をおこして40代でぽっくりいく」という予想と真逆の結果が出ていたのです。職業階層が高ければ高いほど、寿命は長かった。これらは、職業階層の高さと仕事に対する自己決定権の度合いが直接相関していたことに理由がありました。
    これらを読むと、ある時期がきたら、親の制約はほどほどにして、「自己決定権」を子どもに与えていくようにしないと、健康問題をふくむさまざまなリスクが生ずるということがすっきりわかります。
    この他、現在、産業界に広く応用されている「ジャムの法則」を発見し、実験によって実証したのもアイエンガー教授です。
    「ジャムの法則」はアイエンガー教授が、ドレーガーズという高級スーパーマーケットを舞台に、1995年に行った実験で、「豊富な選択肢は売り上げをあげる」というお店の方針を実証しようとするものでした。ところが、結果は逆、24種類のジャムを売り場に並べたときと、6種類のジャムを売り場に並べたときでは、前者は、後者の売り上げの10分の1しかなかったのです。 この結果が実証的に確かめられると、金融商品のバリエーションから、洗剤などの消費財、はては、コンサル会社のコンサルの方法まで、選択肢を絞ることで、顧客満足をあげるというふうに変わっていったのでした。
    そのほか、他人に選択権を委ねたほうがいいのはどんな場合かなどなど、ビジネスや実生活でわが身にひきつけて考えることのできる様々な調査結果が本では披露されていきます。
    「コロンビア大学ビジネススクール特別講義」とサブタイトルをつけた、アイエンガー教授の『選択の科学』は、ビジネス的な発想にもヒントになるデ

    アイエンガー,シーナ
    1969年、カナダのトロントで生まれる。両親は、インドのデリーからの移民で、シーク教徒。1972年にアメリカに移住。3歳の時、眼の疾患を診断され、高校にあがるころには全盲になる。家庭では、シーク教徒の厳格なコミュニティが反映され、両親が、着るものから結婚相手まで、すべて宗教や慣習できめてきたのをみてきた。そうした中、アメリカの公立学校で「選択」こそアメリカの力であることを繰り返し教えられることになり、大学に進学してのち、研究テーマにすることを思い立つ。スタンフォード大学で社会心理学の博士号を取得。現在、ニューヨークのコロンビア大学ビジネススクール教授

    櫻井 祐子
    1965年、東京生まれ。京都大学経済学部経済学科卒。大手都市銀行在籍中の96年、オックスフォード大学で経営学の修士号を取得。98年よりフリーの翻訳者として活躍
    ---
    オリエンテーション 私が「選択」を研究テーマにした理由
    第1講 選択は本能である
    第2講 集団のためか、個人のためか
    第3講 「強制」された選択
    第4講 選択を左右するもの
    第5講 選択は創られる
    第6講 豊富な選択肢は必ずしも利益にならない
    第7講 選択の代償
    最終講 選択と偶然と運命の三元連立方程式

  • 本能で選択する、選択は集団のためか個人のためか、他人に選択させること、読んで思ったのはどれを選ぶかで正否があるのではなく、どちらを選んでも正解、もしくはどちらを選んでも不正解になるんじゃないかな。選んだ後どうするかが重要で選択肢は道の分岐点ではなく通過点なだけなんじゃないかと。
    179冊目読了。

  • 人は人生において数えきれない量の「選択」をして生きている。今日何時に家を出るか、何を食べるか、どっちの道を行くか…それさえも選択と言える。本書は、様々な実験結果を基に、この「選択」にどう向き合っていくべきかの視座を与えてくれる。

    選択肢が多ければ多いほど幸せだと私たちは直感的に感じる。確かに、選択肢がない状態よりは、選択肢がある方が幸せである。
    ただ、選択肢が多すぎると、人はむしろ選べなくなってしまうのだという。

    さらに、私たちが直面するのは幸せな選択肢ばかりでない。絶対に比べられない価値を持つ2つのもののうち1つを、どうしても選ばないといけない局面だってある。
    それに向き合い、どちらかを選ぶのは拷問に近いものであり、時には他人に選択を委ねてしまった方が、楽なことだってある。自分が最後に選択してしまった、という後悔を引きずり続ける人もいる。

    今まで生活の中で、自分の「選択」というものを日々意識することはなかったが、本書を読んだ後は、人生への向き合い方が変わるような気がしている。

  • 意思決定について


    ・自分で選ぶという「自己決定感」は幸福感に直結する。

    ●解説として

    「自分は意思決定者ではない」と思っていても、リーダーはそんな態度のメンバーがいることも踏まえて意思決定をしているわけです。とするならば、「自分が決めるわけではないが、自分も意思決定者である」という自覚をメンバーが持てるのか、ということが問われてきます。

  • めちゃくちゃ面白かった。行動経済学でよく引用される実験や研究などがほとんどここで網羅されている。「選択」ということについて、想像以上の収穫を得た。

    マシュマロ実験
    ジャムの実験
    幸福度と自由度の認知の関係
    結婚の幸福度と文化的背景
    選択肢の多さと少なさにおける満足度の違い
    自己決定権が健康やメンタルに直接的影響を与える

  • 何をもとに選択するか、選択がどれほど難しいかを書いた本
    目玉は多すぎる選択肢は逆に満足度を下げるというジャムの実験。選択は良いものだと思われるが意外と難しいというのがわかる

    宗教に従っていても自分の人生を決めていると感じる
    個人主義と集団主義、どちらの利益を優先するか
    個人主義:自分の努力や才能の言葉、選択の自由度が高い職場が良い、機会の平等
    集団主義:周りの人への感謝の言葉、上司によって決められているほど良い、結果の平等
    外部の力からの自由、能力を発揮する自由

    平均以上効果:自分は平均より上にいる
    誰もが自分は個性的だと思っている
    少ない選択肢のほうが多くの選択肢よりも、どれかを選びやすく確信を持ちやすく満足度が高い
    ①選択は無条件の善ではない、常に最良は選べない
    ②知識を増やし、最小限の労力で最大限の効果を引き出す
    専門知識は汎用性が高く、重要な選択に関わり、楽しみながら学習と選択ができる分野に絞る。ほかは専門家に頼る

    辛い選択は正しいと確信しても辛さを感じる。専門家にアドバイスを貰うことで辛さを軽減できる。
    最終的に一番幸せになったのは自分の直感と熟慮をもとに判断を下した人たち。影響を受け入れる。覚悟を決める

  • ジャムの実験で有名になったアイエンガ―の本です。自分の実験が中心ですが、それぞれの実験を行うに至った背景や関連実験なども丁寧に紹介され、単なる自分の研究の宣伝本とは違います。
    人が「選択する」ということの背後にあるものをしっかりと考えることができる本です。お勧めできます。

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