潜入ルポ 中国の女 エイズ売春婦から大富豪まで

  • 文藝春秋 (2011年2月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784163737102

みんなの感想まとめ

多様な女性たちの生き様を描くこの作品は、中国社会の深い階層構造を浮き彫りにしています。特に、農村部の貧しい女性たちの厳しい現実や、エイズ村の衝撃的な実態が印象的です。彼女たちは、男児を生むプレッシャー...

感想・レビュー・書評

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  • 内容は悲惨なんだが、大同小異で皆同じような内容。半分くらいまでは何とか読むが、後半を読み続けるのが苦痛。「あとがき」にもあるように、「結局、雑駁な記録と記憶の羅列に終わったような気がする。」本当にその通りである!この自己分析は正しい。その上読者を引き付けるような文章ではないのが残念だ。エイズ村でエイズが蔓延している理由は、売春1回が30元(20年前1元15円)でコンドームが5元で女持ち、さらにコンドームを使用すると春を買ってもらえない、これに尽きる。

  •  おおまかにいうと三部構成。
     第1-2章 農村部の貧しい女性たち
     第3章「戦う」女性たち
     第4章 八〇后、呼ばれる消費生活を楽しむ女性たち

     華々しく、スポットライトが当たり、「今の中国の女性」としてほうぼうで紹介されるのは、第3章の「戦う」女性たちや、第4章の消費生活を楽しむ女性たちだろう。
     第3章では、実際、チベット問題や、人権問題を扱い、当局からの絶えざる圧力に晒されている活動家たちが紹介され、彼女たちの強靭さには圧倒される。
     同時に、第4章で紹介される、都会的で洗練された生活を送る若い世代に、日本人との差異はあまり見受けられないように見える。
     
     が、おそらくは中国の富裕層を支えているのは圧倒的多数の貧困層であり、その半分は女性である。
     彼女たちの実態が第1-2章で語られている。
     彼女たちは「一人っ子政策」が唱えられる中で、一人目が男児でなかった場合、「男児を生む」プレッシャーのもとに、二人目、三人目を産む。女児だった場合は戸籍がなかったり、二人目以降に過大な罰金を払ったりする。
     また、「エイズ村」と呼ばれる村では、かつて村の貧しさから売血が流行り、結果不衛生な器具からエイズが蔓延した。が、そこに住む女性は、それでも夫との性交渉を重ね、子供を産む。
     結果、夫婦ふたりどころか、子供もエイズに感染している。それは彼女たち夫婦だけではなく、周りも同じで、結果、村の住民の半数以上は感染者である。

     中国の構造的な問題がこの落差を生んでいる。都市部と農村部に格差があり、農村部の人間は都会に出てくると医療、住宅、教育などの公共サービスを受けられなくなることが多い。しかし、それでも豊かな生活を夢見て都会に出てくる人間は後を絶たない。
     女性、しかも若い女性の場合その夢は売春に直結する。
     そういう仕事と知らずに連れてこられるもの、わかっていてそれでも体しかないと覚悟を決めて出てくるもの、数々の女たちが苦界に沈む。
     そして、コンドームはお金がかかる上に客が嫌がるので、エイズがますます蔓延することになる。

     こういうのを読むと、経済大国2位と呼ばれる実態はどこまでほんとなんだろうなー、と勘ぐって、テレビのニュースを鵜呑みにするのをためらってしまう。  

  • 中国社会階層の女性を上から最底辺まで取材したルポ。
    エイズ村の衝撃さが印象的だが国家を相手に戦い抜いている愛称マギーの生き様に尊敬!

  • チャイナウォッチャーとして有名な福島氏の講演を聞いた際に、買った。内モンゴルの小説家と称して各地を旅したそうだが、当局からギリギリのところで活動だったのだろう。エイズ・貧困・売春・人権・民族問題etc。なんだかわからなくなるぐらいの問題の数々、内部矛盾の塊。それが現実だとわりきって生きているのだから、それはそれで強いわけだ。

  • 読み始めがいきなりエイズ村の女性、次が売春婦の話ときて、下世話な話が続くのか…とちょっとゲンナリしたが、それは大きな誤解だということがわかった。この本の内容はとても深く、中国に対する偏った見方ではない現実を見せてくれる。表紙の写真と冒頭のタブロイド的に勘違いされやすいのとで、誤解されそうな気がする。勿体ない。

  • 超大国でありながら、なかなかオープンではない中国。でもある意味、そこが魅力でもあったりするんだけど。
    やはり何といってもエイズ問題と奇形児が衝撃だった。うーん、もっとあるんだろうなぁ。

    そんな中国を、たくましくしたたかに生きている女性達の話。

    12/07/01-73

  • 300元で売られてしまう女、屑ひろいから立身出世した女企業家、共産党と戦う革命家まで中国の幅広いジャンルの女性たちが紹介されている。

  • タイトルがちょっと・・・だが、お薦めの一冊。なまなましい。

  • 福島香織さんの文章はとても読みやすく、しかも表現がわかりやすいので、現地の状況が良くわかった。
    それにしても中国の女性は悲惨でもあり、たくましくもあり、凄いと思う。また一党独裁による、非情な仕打ちは 共産党政権が底辺からの国民生活の向上より 共産党政権の維持のために活動しているということがよく分かる。
    このルポから数年がたっているが、はたして中国という国は、あれから変わってきているのだろうか?

  • 見たことのない、息をしている中国が見える<br /><br />これは凡百の中国本とまったく切り口が違って非常に新鮮。<br /><br />激動の数十年を過ごした中国で、もっとも変わったのは「女」だったのかもしれない。<br />かつての纏足に代表されるような、徹底した男尊女卑文化圏の中国だが、市場経済の導入による欧米文化の流入によって、大幅に女の立場が変わりつつある。<br />だがそれも地域によってまた大きな大きな差があり、中国はいま、女にとって非常に濃いグラデーションのついた国になっている。<br />都市で売春に身をやつす女、男子を産まないと人間扱いされない農村の女など、中国に生きる女たちひとりひとりを掘り下げたルポ集。<br /><br />タイトルがわかりづらいのと、装丁がやけに夜のニオイがするテイストになっていて損しているが、非常によくできているノンフィクションだと思う。

  • 読了。女性が実際にルポし書き上げた。いろいろな女性を通して今の中国のリアルな姿が見えてくる。お薦めの一冊。

  • 中国の現実を垣間見た.とてもおもしろかった.

  • 女性を通してみる中国。知らないことがイッパイだ。それにしても女性は強い。

  • 中国には、仕事で何度も行き、その国民性が何たるかを知りたいと思った。ここに登場してくるような人に直接出会うことはないだろうが、歴史、政治、文化の成り立ちから、彼らの考えをうかがい知ることができる。前半はかなり突っ込んだ取材で、取材対象もさることながら、作者のスリルも感じられる。中国でビジネスをする人は一読の価値あり。

  • 中国駐在経験の豊富な福島香織さんのルポタージュ。「80后」と呼ばれ、都会で暮らす80年代生まれの人たちはLang-8での交流でイメージできるが、その前の世代や地方の農村で暮らす人たちに関する情報には接する機会が少ないし、政治的に微妙な立場に置かれている人となると完全にブラックボックスである。このルポタージュは女性という視点で中国の多様さ、複雑さを浮き彫りにしているが、中国が難しく感じるのは日本があまりにも単純すぎるからなのかもしれない。

  • 中国モノはたくさん出版されていますが、こういった女性たちへのインタビュー、リポートを主としたものはあまりないので新鮮でした。著者も取材対象も女性だからこそなのかも知れませんが、逆に政治的なところが薄い気もします。もう少し政治の世界に近いところの女性にもインタビューして欲しかったと思います。また中国女性のエネルギーを感じたと著者は最後に書いていますが、個人的には登場した女性たちからは今一つパワーを感じられなかったのが残念です。たぶん、もう少し一人一人の記事の分量が増えればよかったのかも知れませんが、さらっと読むにはこのくらいの分量にまとめてある方が読みやすくなっていると思います。あとは、同じ女性とはいえ立場や世代による断絶をもう少し掘り下げていてもよかったのではないかと思います。

  • スキャンダラスなタイトル、表紙。これだけ目にしても恐らくは手に取らなかったと思うこの本ですが、著者の福島香織さんをtwitterで知り、人として信頼できそうな、血の通ったジャーナリストだと感じて興味を持ちました。

    いかにもなタイトルどおり、中国の底辺で生きる女性たちの話がのっけから出てきます。日本の男尊女卑なんて比ではない。農村では女性であるより牛や馬であるほうがましだ、というような喩えにもうなづいてしまうほどの過酷な現実。
    でも、本書のテーマはそこではありません。
    女性実業家、人権活動家、漫画家、小説家。上流階級、下層階級。文革世代、八十后。
    ある時代、ある国を生きるということがどういうことかということを語るのに、女性という切り口がいかに効果的であることか!
    「中国の今」が活き活きと鮮やかに切り取られている。そう感じました。
    夢中で読破。
    最初にも書いたとおり、福島さんを知ったのはtwitter上で、著書を読むのはこれが初めてなのですが、つぶやきから感じるとおりの、率直で温かく、親しみやすい文章です。それが強さにも通じていることが印象的。
    女性はもちろん、政治経済からしか中国を考えたことのない男性にも、また、中国に特に興味がない人にも堂々とおすすめしたいです。

  • 新聞社時代から福島さんの記事は好きだったのでついったーで宣伝しているのを見て職場の近くの本屋さんで買いました。ルポで通常はここまではなかなか書けないし、「聞いた話なんだけど」といって余計に中国への壁を作りそうな話もたくさん取り上げてあったけど、サブタイトルどおりの救いのある構成を選択されていて、中国に対する愛情を感じました。
    私自身が「典型的な中国人女性の一生」というのを知る機会がなく、このような「普通の日本人女性の感覚」から言うと非常に大きな違いや溝を八〇后、九〇后に対してすら感じてしまいます。今この瞬間は普通の生活をしていても「安全や尊厳を切り売りして生きていくような生活」と隣り合わせの中国の女性とそれを黙認しているシステム双方についての恐怖を表現する言葉をうまく見つけられません。
    一方で、現在日本(とかその他の国)にも多くの中国の女性がいますが、中でも「留学生」「高技能労働者」の立場にある人は特に、正しい形で国に還元しないと、結局何も変わらないかもしれないとも思いました。目先の便利で安易な生活のために「あわよくば」的に婚姻での永住権や他国国籍取得という道を選んでいるようでは体裁だけ整えてはいても本質的に売春婦と変わらない、という見方もできるような気すらしてしまいます(一部で指摘されるように工作目的なら別ですけど・・・)。それは結局、「中国の女」のいくつかのステレオタイプなイメージを実証することになってしまうし、「中国の女を妻にした男」についての偏見を拡大再生産してしまう結果、「鬻げるものは春だけ」という現状をさらに固定してしまいかねないと懸念してしまいました。
    かといって、個人の幸福追求権という見地から言うと為す術はないので、(不正をせずに)国と国民に貢献するという自発的な気持ちを彼女たち(ここは男性もですが)が持つのだろうか、という点では興味が沸きます。国の強制力で補うのかもしれないけど。。。

  • 内容紹介
    モンゴル人に扮してのエイズ村取材、都市の底辺で蠢く売春婦たち、華やかなキャリアウーマン…。女を取り巻く驚愕の実態が今明らかに!

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著者プロフィール

ジャーナリスト、中国ウォッチャー、文筆家。
1967年、奈良市生まれ。大阪大学文学部卒業後、1991年、産経新聞社に入社。上海復旦大学に業務留学後、香港支局長、中国総局(北京)駐在記者、政治部記者などを経て2009年に退社。以降はフリージャーナリストとして月刊誌、週刊誌に寄稿。ラジオ、テレビでのコメンテーターも務める。
著書に、『習近平 最後の戦い』(徳間書店)、『台湾に何が起きているのか』『ウイグル人に何が起きているのか』(以上、PHP新書)、『習近平王朝の危険な野望』(さくら舎)、『孔子を捨てた国』(飛鳥新社)など多数。
ウェブマガジン「福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップス)」を連載中。

「2023年 『習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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