潜入ルポ 中国の女

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163737102

感想・レビュー・書評

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  • 超大国でありながら、なかなかオープンではない中国。でもある意味、そこが魅力でもあったりするんだけど。
    やはり何といってもエイズ問題と奇形児が衝撃だった。うーん、もっとあるんだろうなぁ。

    そんな中国を、たくましくしたたかに生きている女性達の話。

    12/07/01-73

  • 中国モノはたくさん出版されていますが、こういった女性たちへのインタビュー、リポートを主としたものはあまりないので新鮮でした。著者も取材対象も女性だからこそなのかも知れませんが、逆に政治的なところが薄い気もします。もう少し政治の世界に近いところの女性にもインタビューして欲しかったと思います。また中国女性のエネルギーを感じたと著者は最後に書いていますが、個人的には登場した女性たちからは今一つパワーを感じられなかったのが残念です。たぶん、もう少し一人一人の記事の分量が増えればよかったのかも知れませんが、さらっと読むにはこのくらいの分量にまとめてある方が読みやすくなっていると思います。あとは、同じ女性とはいえ立場や世代による断絶をもう少し掘り下げていてもよかったのではないかと思います。

  • 新聞社時代から福島さんの記事は好きだったのでついったーで宣伝しているのを見て職場の近くの本屋さんで買いました。ルポで通常はここまではなかなか書けないし、「聞いた話なんだけど」といって余計に中国への壁を作りそうな話もたくさん取り上げてあったけど、サブタイトルどおりの救いのある構成を選択されていて、中国に対する愛情を感じました。
    私自身が「典型的な中国人女性の一生」というのを知る機会がなく、このような「普通の日本人女性の感覚」から言うと非常に大きな違いや溝を八〇后、九〇后に対してすら感じてしまいます。今この瞬間は普通の生活をしていても「安全や尊厳を切り売りして生きていくような生活」と隣り合わせの中国の女性とそれを黙認しているシステム双方についての恐怖を表現する言葉をうまく見つけられません。
    一方で、現在日本(とかその他の国)にも多くの中国の女性がいますが、中でも「留学生」「高技能労働者」の立場にある人は特に、正しい形で国に還元しないと、結局何も変わらないかもしれないとも思いました。目先の便利で安易な生活のために「あわよくば」的に婚姻での永住権や他国国籍取得という道を選んでいるようでは体裁だけ整えてはいても本質的に売春婦と変わらない、という見方もできるような気すらしてしまいます(一部で指摘されるように工作目的なら別ですけど・・・)。それは結局、「中国の女」のいくつかのステレオタイプなイメージを実証することになってしまうし、「中国の女を妻にした男」についての偏見を拡大再生産してしまう結果、「鬻げるものは春だけ」という現状をさらに固定してしまいかねないと懸念してしまいました。
    かといって、個人の幸福追求権という見地から言うと為す術はないので、(不正をせずに)国と国民に貢献するという自発的な気持ちを彼女たち(ここは男性もですが)が持つのだろうか、という点では興味が沸きます。国の強制力で補うのかもしれないけど。。。

著者プロフィール

ジャーナリスト、中国ウォッチャー、文筆家。
1967年、奈良市生まれ。大阪大学文学部卒業後、1991年、産経新聞社に入社。上海復旦大学に業務留学後、香港支局長、中国総局(北京)駐在記者、政治部記者などを経て2009年に退社。以降はフリージャーナリストとして月刊誌、週刊誌に寄稿。ラジオ、テレビでのコメンテーターも務める。
著書に、『習近平 最後の戦い』(徳間書店)、『台湾に何が起きているのか』『ウイグル人に何が起きているのか』(以上、PHP新書)、『習近平王朝の危険な野望』(さくら舎)、『孔子を捨てた国』(飛鳥新社)など多数。
ウェブマガジン「福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップス)」を連載中。

「2023年 『習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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