コンニャク屋漂流記

  • 文藝春秋 (2011年7月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784163742601

みんなの感想まとめ

自分のルーツを辿る旅を描いたこの作品は、著者の家族や先祖の歴史を通じて、漁師の血を引く人々とのつながりを深く感じさせる魅力があります。著者が祖父の手記や親戚の話を基に、コンニャク屋のルーツを探る過程は...

感想・レビュー・書評

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  • 著者の家には"コンニャク屋"という屋号があります。
    千葉県岩和田の漁師の血を引く著者ですが、さらに遡ると先祖の足跡は紀州から続いているらしい。
    祖父の手記や親戚の話、そして多くの資料から著者が"コンニャク屋"のルーツを辿ったノンフィクションです。

    赤の他人のルーツを辿る本、そんなに面白いのだろうか…と半信半疑で読み始めたのです。
    …が、漁師の血を引く人々に愛着を感じ、著者が目にしたことや聞き取ったことが資料に書かれたことと結びついていく瞬間にわくわくし、本を閉じるころにはしっかり楽しんでいました。

    図書館員としては、市井の人の家系を遡る際に各市町村の町史や市史が活用されている事例を知ることができて、大変勉強になりました。
    恥ずかしながら、これまでこの種の資料を使う機会が少なかったので、勉強のためにもまずは自分の地元の市史をめくってみようかな、と思います。

  • 気になるタイトルで手に取ったら、カバー写真とカバーの質感が渋良くて、つい購入。
    丁寧に家系図がついているが、誰が誰の何だか把握するのを早々に諦めてしまっても、読むのにはあまり支障なかった。
    ルーツをたどるといってもどこまでか、ゴールが分からないまま作者の迷走に付き合う。ダラダラとドキュメンタリー番組を見るような感じで楽しめた。

  • 私の先祖は どこから来たのだろうか

  • 自分のルーツを巡る旅。伝承と資料を結びつける面白さ。星野さんの文章は本当に魅力に溢れていて今作も面白かった。ここからゲンロンβへの連載へと繫がっている。

  • ルーツ探し。過去帳が一番だと思うが。

  • 「コンニャク屋漂流記」星野博美著、文芸春秋、2011.07.20
    398p ¥2,100 C0095 (2019.05.06読了)(2019.04.25借入)
    読売新聞の「平成時代名著50」に選ばれていたので、興味をもち、図書館で借りてきました。題名からするとコンニャク屋が船に乗り遭難し漂流してどこかに流れ着いたと話かと思ったのですが、著者の話があちらこちらと定まらず漂流しているようだということのようです。
    著者の両親や自分の住んでいる界隈は、五反田、大崎、戸越銀座といったあたりです。著者の祖父が、千葉県外房の岩和田から五反田に移り住んで町工場を経営し、岩和田近郊から多くの人達を呼び寄せ、働いてもらい、修業ののち独立していった人たちも多くいたようです。とりあえず、五反田近郊がどのような街で、どのように変わってきたのかだ述べられています。工場地帯だった時代があったんですね。町工場なども多いとは知りませんでした。
    その後、祖父のふるさと岩和田辺りがどのようなところか、親類縁者の人たちの様子とどのような歴史的事件があったのかが紹介されています。
    1703年11月22日、房州沖を震源とする地震があり、4~8メートルの津波に襲われ、九十九里浜を中心に4~5千人の死者を出している。「元禄の大津波」です。(176頁)
    1609年9月5日、フィリピンからメキシコに向かうドン・ロドリゴの乗る南蛮船が岩和田の田尻が浜で難破した。岩和田の人たちは救助にあたった。(42頁)
    2009年6月に、ドン・ロドリゴの船が漂着して400年を記念してメキシコから帆船がやってきた。船の名前はクアウテモック号。(189頁)
    著者の先祖は、400年前に紀州からやってきたという言い伝えがあります。墓地にはいくつか墓石があり、その中に施主北川五良右衛門、紀刕加田俗名長三良と読める文字が刻んであるのがありました。紀刕は、紀州でした。北川五良右衛門は、北川五郎右衛門でした。加田は、加太でした。
    『御宿町史』には、
    「房総の漁業は、近世初頭における漁民の進出によって、発達してきたと言われている。とくに漁業先進地帯である紀伊地方からの漁民の渡来であった」(248頁)
    ということで、和歌山県に行って、先祖を探して歩いています。
    歴史資料に名前が残っている人たちと同じ苗字の人たちがたくさん残っていました。著者と同じ星野さんは、…。和歌山に戻った人たちと千葉に移住してしまった人たちがいたようです。
    「漁業先進地域である関西、とくに紀州から房総半島へ漁民が渡来し始めたのは、17世紀初頭だったことがわかってきた。その後、多少の盛衰はあったものの、18世紀中頃まで関東出漁は続いたという。」(253頁)
    北川五郎右衛門の名前が史料に登場するのは、1733年4月です。(279頁)
    関西から来た漁民たちが獲った魚は、鰯でした。
    コンニャク屋という屋号の謂われは、よくわかりませんでしたが、外房の人たちの生活や和歌山と千葉のつながりは興味深く読めました。

    【目次】
    はじめに―漁師宣言
    第一章 コンニャク屋の人々
    (魚六郎/かんちゃん/ドン・ロドリゴ/量治/飛んでも鯛/入れ墨の謎/博打は美しい)
    第二章 五反田
    (五反田に吹く風/ネジキリ/多喜二と量太郎/下大崎/五反田の赤い星/博物館の門番)
    第三章 御宿・岩和田
    (元禄の大津波/海が運ぶ風/メキシコから船が来た!/田中丸と清徳丸/かん、かん、かん/勘助ときく/墓場の話)
    第四章 東へ
    (紀州について/魚の王者/熱病/加田/御用金)
    第五章 紀州
    (不思議の国/加太にて/二つの舟/湯浅/広川/二つの星野)
    第六章 末裔たち
    (田中丸座礁/祭囃子/五郎右衛門のその後/船乗り/コロナとヴィッツ)
    おわりに―2011年3月11日

    (2019年5月9日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    先祖は江戸時代、紀州から房総半島へ渡った漁師、屋号はなぜか「コンニャク屋」。東京・五反田から房総半島、そして和歌山へ―ルーツを探して右往左往、時空を超える珍道中。

  • 蜊倥↓繧医◎縺ョ縺雁ョカ縺ョ繝ォ繝シ繝?r謗「繧九ヮ繝ウ繝輔ぅ繧ッ繧キ繝ァ繝ウ縺ェ繧薙□縺代←縲√←縺?@縺ヲ縺薙s縺ェ縺ォ髱「逋ス縺?s縺?繧阪≧縲ょ忽鄒弱&繧薙?隱ソ縺ケ繧矩℃遞九?∬??ッ溘?莉墓婿縺後↑繧九⊇縺ゥ?√→縺?≧諢溘§縲らエ?蟾槭↓陦後▲縺滓凾縺ッ縺九↑繧翫Ρ繧ッ繝ッ繧ッ縺励◆縺励?∵怙蠕後↓縺ッ豸吶′蜃コ縺セ縺励◆縲り?蛻??繝ォ繝シ繝?b隱ソ縺ケ縺ヲ縺ソ縺溘>縲

  • 夏休みの自由研究作品のような本でちょっとつたないが、愛情に満ち何とも心温まる。


    [more]<blockquote>
    P068 よい漁師とは、魚の大群を見つける人ではなく、仲間を無事、陸の家族の元へ返してくれる人。【中略】「今日は鯛の大群が飛んでるのを見てよ、おったまげたお。まあ、見物だったお」不安と恐怖を麻痺させる、麻薬のようなもの。それこそ、漁師にとっての「ホラ」であり、「笑い」なのではないだろうか。

    P099 五反田はなぜか、社会主義の香りがする。
    P154 「五反田は昔から、山は金持ち、谷は貧民と相場が決まってるんだ。」

    P183 背後に広大な農地が広がる九十九里一帯で盛んだった地引網には、地主が網元、小作人が水手、という大きな特徴がある。

    P317 祖父の存在が家から消えると同時にそれまで我が家に満ちていた漁師的空気が消えた。人が消えると、その人が持っていた記憶も消えてゆく。消したくないものを私は無意識のうちに求めていたのかもしれない。
    人はどんなとき、家族の歴史を知りたくなったり、人に伝えたくなったりするのか。それは終わりが近づいている時。</blockquote>

  • 著者の祖父の家は『コンニャク屋』という屋号を持つ漁師だったそうだ。なんともふにゃふにゃした名前だ。家訓に、博打はするなとあるのに、小さな頃祖父から花札に、サイコロ(半丁)と教えられ遊んでいた。かなり大人になってから博打と気付いたらしい。なんとも適当な。そんな祖父が生前に残した手記をたよりに話は始まる。

  • 芸能人のファミリーヒストリーは、どこか小説めいてよそ事のように見てしまっていたが、市井の人々にも其々数百年綿々と続くファミリーツリーとヒストリーがあるものだと、作者の気持ちに同化してワクワク時にシンミリなりながら、感動して読み切った。外房の1漁師家系が、さむらい、家康、雑賀衆に石山本願寺の一向一揆まで絡んでくるとは!
    奇しくも作者と同年の自分も、祖先を調べたくなった。

  • 請求記号:288.3/H92
    選書コメント:
    屋号というものを知っていますか?こんにゃく屋という屋号の謎を巡って主人公(著者)が自分のルーツを辿る一冊です。
    (東松山図書課 受入担当)

  • ノンフィクション作家星野博美さんが自分の祖父の故郷岩和田の人であり、その海に生きた祖先達に興味を餅ルーツを探し求めた経験を描いたノンフィウションが『コンニャク屋漂流記』。千葉房総に育って五反田から白金あたりで仕事につき工場を持つまでに至った祖父がしためたメモ書きをベースに、彼女の長年にわたる調査が実を結び紀州から房総にわたった先祖の姿が浮かび上がる。漁師の中までは名字よりも屋号で呼び合うのが常だったらしく、著者の家系はコンニャク屋をやって涼の不調のときに生き残った為かコンニャク屋という屋号らしい。紀州から房総に出稼ぎ漁をしていた人たちがいたとは驚きだった。多分年々かっったら絶版になるかもしれない本だが、一読の価値ありです。

  • 著者のルーツを辿った本なので、極めて私的なものとも思うのですが、歴史物としても読めるような気がします。

    当局発表を横流し手で垂れ流すマスゴミとは違い、長い期間をかけて調査をしているので、読んでいて安心感があります。

    「かんちゃん」のその後の記載があると本が締まったような気がします。

    著者のほかの本も読んでみたくなりました。

    払ってもいい金額:800円

  • 祖父による手記をきっかけに著者が自身のルーツを辿っていくノンフィクション。
    両親、祖父母、親戚、祖先、と系図を徐々に遡っていく様子が軽妙に描かれていて面白い。
    全編にちりばめられた郷愁がほんのり寂しげで懐かしい感じ。

  • ●:引用、→:感想

    ●記憶―それは不確かで移ろいやすく、手渡さなければ泡のように消えてしまう、はかないもの。だからこそ、けっして手放したくない、何より大切なもの。歴史の終わりとは、家が途絶えることでも墓がなくなることでも、財産がなくなることでもない、忘れること。思っているかぎり、人生は生き続ける。忘れること、忘れることを恐れながら、それでも生きていこう。私はいま、そんな風に感じている。→仮面ライダー電王か。

  • 五島で免許を取る前に専心していたルーツをめぐる旅。中国生活時代からかなり角が取れた感じがする。しかし、愛すべき彼女の不器用さは失われていない。

  • 「自らの血を寿ぐということ」

    東京は戸越の町工場の娘に生まれたという著者が、父方の祖父が残した手記をきっかけに祖父の生まれ故郷である外房・岩和田のもとは漁師である親戚、屋号「こんにゃく屋」一族のルーツを探る。

    見開きの系図が圧巻です。元は紀州から渡ってきたらしいという江戸時代の先祖、星野清三良を頂点に著者の代まで六代。まさに末広がりに繁栄してきたこんにゃく屋の一族を一望することができます。著者は自身の記憶にある祖父・祖母から、岩和田の本家・こんにゃく屋を守る最後の血筋であるかんちゃん、漁師として長年生きてきた父の従兄弟・量治さんなど子供の頃から親しんできた一族の人々をスケッチしていきます。彼らの語る昔話やすでに亡き人々の記憶も、このこんにゃく屋一族のルーツを辿るプロジェクトにおいては決して欠かすことのできないものでした。

    家族や親戚、その一族のプロフィールやエピソードから浮かびあがる一族の気質が素晴らしい。「昔こんにゃく屋の連中が集まると、みんな笑い過ぎて這っていた」―おそらくこの一文だけでもその雰囲気が伝わってくるのではないでしょうか。多分に明るくラテン系で漁師的なこんにゃく屋気質は、本書を読んでいると著者へも確実に受け継がれていることがわかります。

    津波や火災で家族の記録の多くを失っているとは言え、ある程度遡ることが可能であった岩和田時代は一族の歴史でありさらに遡る紀州の記憶はもはや伝説と著者は言います。ところが祖父量太郎の祖父、勘次良の墓参りをしてその古い墓石に紀州の人であったらしい北川五郎右衛門の名を発見したとき著者のプロジェクトはその舞台を外房から紀州に移して一気にスリリングな展開を迎えることになります。

    「紀州の北川五郎右衛門とは誰なのか」どうしても知りたいと思えたなら、読んでいるあなたももはやこんにゃく屋一族の一員です。海が繋いだ西の彼方の半島に、自分に繋がるどのような事実があったのか。紀州の地を実際に訪れて感覚としてそれを知ることになる著者の体験が静かな感動を呼ぶことでしょう。

    血脈の末端に自分が今在ることが奇跡に思えます。はるか太古の昔から一度も途切れることなく続いてきた血を想う時今ここに自分が存在するということがすでに目出度いのです。それはおそらく人としてこの世に生まれてきた限り、なんびとも否定できない事実なのです。著者のどこまでも明るく軽妙、何より一族への愛情に溢れた語りぶりに、自らの血を寿ぐということを目の当たりにして胸が熱くなりました。

  • 2013.1

  • データベースより⇒先祖は江戸時代に和歌山から千葉へ逃げてきた漁師で、屋号はなぜか「コンニャク屋」――!? 気宇壮大なルーツ探しの旅が始まる。

  • 読むのに結構時間がかかりましたが、面白かったです。
    星野さんのおじいさんが房総の漁師の家の出身だと言うことでルーツを調べていくのですが、まさか紀州和歌山まで足を運ぶことになるとは!?
    漁師の気質も大きく影響するんでしょうが、登場するみなさんも結構ユニーク。ただ、あまりに個人的な内容なので人間関係などややこしく、読むのに時間がかかってしまいました。
    こんな風に自分の家のルーツを遡ったら何が出て来るのか面白そう!と思いながら、実際にここまでやれる人はいないと星野さんのバイタリティに感動です。
    ただ東大震災の落とした影がこんな所に現れるのかと、少し切なくもありました。

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著者プロフィール

1966年、戸越銀座生まれ。ノンフィクション作家、写真家。著書に『転がる香港に苔は生えない』(2000年、第32回大宅壮一ノンフィクション賞)、『コンニャク屋漂流記』(2011年、第2回いける本大賞、第63回読売文学賞随筆・紀行賞)、『戸越銀座でつかまえて』(2013年)、『みんな彗星を見ていた』(2015年)、『今日はヒョウ柄を着る日』(2017年)、『旅ごころはリュートに乗って』(2020年)など多数。

「2022年 『世界は五反田から始まった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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