昭和史裁判

  • 文藝春秋
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163742700

作品紹介・あらすじ

「軍部が悪い」だけでは済まされない。七十年前のリーダーたちは、なにをどう判断し、どこで間違ったのか。いま「失敗の本質」を白日のもとに晒すべく徹底的に検証する。

感想・レビュー・書評

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    図書館・請求記号 210.7/H29/9/

  • 2019/01/28昭和史裁判☆☆☆
    歴史上の大きな疑問がいくつか解けた!
    事実が大事 決めつけはダメ
    Ⅰ.米国との開戦はやはり疑問
    1.仏領インドシナ侵攻
    米国動かずと読んだ・・・孤立主義
    ドイツの勝利を見通して、英仏領の戦利品に目がくらんだ
    三国同盟で陸軍がソ連へ侵攻するよりは南方作戦がベター
    中国戦線は膠着しある意味安定期で追加負担は予定せず
    2.アメリカ開戦の決断は不明成り行き
    東條英機の総理就任も不明・・・木戸内大臣が「御しやすい」
     副官が長官を真似ると、余計に副官型を発揮する「正木ひろし」
    近衛文麿はやはり無責任
    3.国民・マスコミ・文官が戦争を望んだ
    しかし長期化で厭戦気分が拡大した
    国民の気分次第という怖さ
    現代のポピュリズムも同じ

    Ⅱ.指導者の胆力 2・26事件の恐怖感
    Ⅲ.考え方の多様性 新聞1県1紙
    Ⅳ.昭和天皇 戦術論に精通 しかし戦略レベルは弱体
      広く世界地図を眺めて、地政学的に構想する
      国の形を成していなかった!
    福澤諭吉「帝室論」
    帝室は万機を統べるものなり、万機に当たるものに非ず
    ウェーバー「職業としての政治」
    自らが直面した問題についての全責任を負担する精神を持つ人間

  • 昭和史の専門家である半藤一利、加藤陽子両氏による、広田弘毅、近衛文麿、松岡洋右、木戸幸一、昭和天皇の5氏について対談したもの。対談のため学術的ではないが、論述は極めて精緻で、明確な根拠に基づき説得力ある展開となっている。各章ごとに解説があり、わかりやすい。
    「バスに乗り遅れるなという有名な言葉があって、あの言葉を私たちは簡単に、三国同盟を早く結んだ方がいいという意味でとらえているけれど、じつは裏の思惑があった。ドイツがイギリスに勝ったあと、その講和条約後を考えたときの「バス」というものがあった。ヨーロッパはともかく、東南アジアのイギリス、オランダの植民地にドイツの手が伸びてくる。これはまずいぞ、と」p149
    「歴史学とは、歴史を動かした政治的人間であった当事者が、どのようなことを考え、どのような気持ちでそのような行動をとったのかという、その当事者の側に立った主観的な情報を綺麗に取り出す作業なのではないか。政治的人間たちが誤った、その主観的な失敗の情報こそが、実のところ将来起こりうる問題に人間を立ち向かわせるためのワクチンとなりうる」p377

  • 興味深い、面白い。実に深い。当代一流の歴史家二人の対談は、素晴らしくレベルが深い。歴史書をさらに読みたくなる良書であると思った。

  • (チラ見!)

  • 広田弘毅、近衛文麿、松岡洋右、木戸幸一、そして、昭和天皇。
    各人について、著者の二名が裁判形式で対談しているもの。
    歴史を動かした政治的人間として、様々な面から捉えているところに面白さがある。
    まだまだ知りたいジャンルである。

  • 広田弘毅、近衛文麿、松岡洋右、木戸幸一、昭和天皇について、弁護人と検察という役割に分かれて功罪を問い直している。
    広田は様々な人物像がある。また、不運な面も持つ。
    近衛はとにかく優柔不断。問題があると投げ出す印象あり。対米戦争か否かのときに、閣内では意見が統一できぬため政断を仰ぐという対応を思いつかなかった。
    松岡は、言われているほど支離滅裂ではなかったかも。
    木戸は、昭和天皇の意志を十分に理解せず、なすべきことをしていなかった。
    昭和天皇は、対中強硬なときもあった。

  • 昭和の戦前の4人の政治家、広田弘毅、近衛文麿、松岡洋右、木戸幸一と昭和天皇のことが書かれています。軍人だけでなく政治家もあんな戦争に日本をひっぱっていったのですね。

  • 昭和史はちゃんと勉強したいと思いました。

  • 半藤さんを検察、加藤さんを弁護人として(昭和天皇の章は入れ替わり)議論。対談形式。

    半藤さんはなかなか手厳しい意見を連発。加藤さん防戦一方の印象。

    なぜ日中戦争を早期に終わらせることができなかったのか。
    なぜドイツと手を組んだのか。

    このへんの議論は興味深く読ませてもらった。

    戦争責任の論議は簡単に答えは出ないが、避けることはできない。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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