「想定外」の罠―大震災と原発

著者 : 柳田邦男
  • 文藝春秋 (2011年9月発売)
4.00
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  • レビュー :4
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163744407

作品紹介・あらすじ

チェルノブイリ、スリーマイル、阪神・淡路、そして東日本大震災-取材歴50年の著者が突く「失敗の核心」。

「想定外」の罠―大震災と原発の感想・レビュー・書評

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  • (2013.03.20読了)(2013.03.07借入)
    【東日本大震災関連・その116】
    柳田さんは、多くの事故を取材し、それを文章にして発表してきました。飛行機事故、原発事故、等です。この本は、過去に発表した震災や原発事故に関連して発表した文章の中から、今回の東日本大震災に関連して、震災や事故に関して、参考になりそうなものを一冊にまとめたものです。今回の東日本大震災に関する本もいずれ書くつもりとのことです。
    国や行政による対策というのは、多くの犠牲が出て初めてたてられるものなので、「想定外」の震災・事故には間に合いません。多くの震災や事故は、えてして「想定内」の隙をついておこります。生きながらえるためには、想像力を働かせて自衛することが必要なのでしょう。

    【目次】
    はじめに
    第一章 絶対安全神話の崩壊―東日本大震災からの警鐘
    第二章 放射能が世界にバラまかれた日―チェルノブイリからの警鐘
    第三章 炉心溶融―スリーマイル島からの警鐘
    第四章 臨界事故―東海村からの警鐘
    第五章 原爆被災の記録―広島からの警鐘
    第六章 防災の思想とは何か―災害王国からの警鐘
    第七章 大災害は必ず「常識」を覆す―阪神・淡路大震災からの警鐘
    第八章 復興へ希望の灯―新潟県中越地震・スマトラ沖大地震からの警鐘
    あとがき
    初出一覧・写真出典

    ●情報(9頁)
    原発事故発生時の情報の扱い方については、少なくとも次の四つの要素を満たさなければ有効でない。
    ①速やかであること、②正確であること、③わかりやすいこと、④普段から住民が熟知していること。放射能の基礎知識を身につけ、避難の方法についても熟知していること。避難について実地訓練が行われ、住民がとっさに正しい行動をとれるほど身体全体で覚えていること。
    ●災害・事故の掟(18頁)
    「起こり得る可能性があるものは、確率は低くても、現実に必ず起こる」
    ●都合のいい理論(40頁)
    行政施策や、企業が事業展開するとき、安全性を考える上で都合のいい理論やデータを根拠にしたいと思っているので、そういう専門家の発言を重用する。そしてそれ以外には目を向けなくなるばかりか、排斥さえするという傾向がある。
    ●原発事故(61頁)
    原発がいったん大事故に陥ると、その被害のスケールは取り返しのつかない巨大なものになるという点にあるというべきだろう。原子力というエネルギーのリスクは、一般の産業や交通機関のリスクとは全く異質なものなのだ。
    ●直下型地震(246頁)
    歴史的にみると、直下型の地震はたくさん起こっていた。江戸時代の弘化四年(1847年)の善光寺地震(死者一万人以上)、安政江戸地震(1855年、死者一万余人)、明治時代の濃尾地震(1891年、死者7273人)、昭和になってからの北丹後地震(1927年、死者2925人)、三河地震(1945年、死者1961人)、福井地震(1948年、死者3895人)などがそうである。
    ●専門家(250頁)
    私は、いわゆる「専門家」には二種類のタイプがあると思っている。一つは、災害の現場に足を運び、本当の災害とは何かという本質を見て議論する「専門家」、いま一つは、行政機構や企業、組織の自己防衛のために、ある種の枠組みのなかでだけ議論する「専門家」である。
    ●グリーフ・ワーク(294頁)
    グリーフ・ワークは、愛する人(連れ合い、子ども、親、恋人など)と死別した後に、その悲しみと喪失感をどのようにして癒し、どう人生を再出発させるかという心の作業で、欧米ではホスピス・ケアの一環として行われてきた。
    ●ボランティア活動(300頁)
    往年の市民運動が政治権力をめぐる闘いであったり、行政への要求の突きつけであったりしたことを裏返してみれば、そういう運動は結局のところ政治や行政にやってもらうという受動型の姿勢になってしまう。これに対し、新しいボランティア活動は、他者頼みする前に、自ら積極的に目の前にある問題に取り組み、自分たちで可能な限り「隙間」を埋めつつ、市民と行政を巻きこんでいくという能動型の姿勢を貫くのだ。

    ☆柳田邦男さんの本(既読)
    「マッハの恐怖」柳田邦男著、フジ出版社、1971.03.25
    「零式戦闘機」柳田邦男著、文春文庫、1980.04.25
    「狼がやってきた日」柳田邦男著、文春文庫、1982.10.25
    「恐怖の2時間18分」柳田邦男著、文春文庫、1986.05.25
    「撃墜 上」柳田邦男著、講談社文庫、1991.08.15
    「撃墜 中」柳田邦男著、講談社文庫、1991.09.15
    「撃墜 下」柳田邦男著、講談社文庫、1991.10.15
    「阪神・淡路大震災10年」柳田邦男著、岩波新書、2004.12.21
    (2013年3月20日・記)
    (「BOOK」データベースより)
    チェルノブイリ、スリーマイル、阪神・淡路、そして東日本大震災―取材歴50年の著者が突く「失敗の核心」。

  • 柳田さんらしい考え方で、非常に共感がもてた。
    ただ、これを理想論と捉えず、いかに実践していくかは、とても難しいと感じる。技術というより、組織の論理をどう破るかという観点で。

  • 柳田邦男さんのこれまでの災害に対する取材、論評、記事等がまとめられている。
    過去の災害の経験を確実に活かすこと、が日本人はできていないことを痛感。
    あと現場感覚を「現場の知」として大切にしている姿勢には、非常に感動。
    専門家として、さらに一国民として、災害をどう見ていけばいいのか、災害にどう向き合っていけばいいのかとうことが少し理解できた気がする。

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