君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい

著者 :
  • 文藝春秋
3.39
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本棚登録 : 212
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163746609

作品紹介・あらすじ

言葉の魔術に、酔いしれる。生き別れた母を想い、馬と戯れ、小説の神様と向き合う。人気作家の「心わしづかみ」エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 浅田次郎さんの小説が好きだ。正直、そう公言できるほどに多く読み込んではいないが、今まで読んだものはすべて面白かった。このエッセイには、彼の小説への思い入れや、やめられぬ博奕である競馬との付き合い方などが懇々と書かれている。この本を読んだことがきっかけとなり、浅田さんを真似て1日1冊の読書を己に課してみることにした。幼い頃、無類の本好きだった自分を思い出す。浅田さんは本好きのまま読書を重ね、私は病で集中力を失ってからろくに本を読まなくなった。もちろんその差は埋められるものではないが、自分の人生に、やはり読書は欠かせないものであってほしい。

  •  浅田次郎「君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい」、2011.12発行。浅田次郎のことがよくわかるエッセイです。①昭45.11.25三島由紀夫の自死を受け、昭46年春から2年間、陸上自衛官として過ごす ②「1に花屋、2に本屋、3に食事」同じ順序の女性を妻に(22歳)③動物好き:犬も猫も小鳥もちゃんと人間の言葉を理解する。心の底から語りかければどんなことでもきちんと理解する。要は説得なのである。(保健所に連れていかれそうだった貰い犬、子犬のパンチに数時間の説得w)4匹の猫、多いときは13匹居たそう。
     「地下鉄に乗って」で、吉川英治新人文学賞(これで、小説家になれた) 「鉄道員」で直木賞受賞(これでメジャーな作家になれた) 「壬生義士伝」で柴田錬三郎賞(メジャーの中から、さらに選抜された賞)。

  • この人の文章はいつ読んでも気持ちがいい。ごつごつと難しい言葉を交えながらも、読みやすく、ビートに乗れる。不幸は怠惰の結論であるという言葉は、長い下積み時代から努力を続け、このような文体を獲得した人の言葉だから説得力がある。

  • 我が読書の師、浅田大先生のエッセイ集。

    収録されているエッセイは、1990年代のものから2000年代後半のものまで幅広く、その時々の事情もうかがえ、なかなか面白いものでした。

    浅田さんは、社会人時代を中心に、何でもソツなくこなしてしまうから人の避けることばかりを率先してやり、いわゆる「器用貧乏」だったらしいですが、全く他人事ではないのです。自分も何かのスペシャリストになりたいと思い、セコくニッチに色々チャレンジしたりしましたが、瞬間風速的に抜け出すことはあっても継続は難しく、上には上がいるものです。最近はすっかりあきらめモードで、それならいっそ、器用貧乏のスペシャリストを目指そうかと思ったりします。

  • 浅田さんのエッセイを読むのはこれが初めてだったのですごくわくわくした。実際に読んで吃驚したのも事実、励まされ、意外に納得し、所々で戸惑い、様々な発見をもたらした一冊だった。文体もどちらかというとかためなのに、小説になると途端にスイッチが入ったように人物が浮かび上がって生き生きと動き回る。こういった目線で書いているのか、とか、本当に好きなものには目がないのだなとそこかしこで感じさせられる。うちは頭がかたいので会得するにも時間がかかる。速読でもないが飛ばし読みもしばしばやるのだが、これはじっくりと読んでしまった。だったら小説の方をじっくり読めばいいのにと思うが、小説は引き込まれて読んでいることを忘れるのでじっくり読むということができない。何はともあれ、すごく楽しい時間を過ごすことができるエッセイだった。

  • 以前読んだ、浅田次郎さんのエッセイは結構爆笑物のエピソードが多かったですがこれはどちらかというと真面目な感じです。

  • 座右の銘は孔子の「論語」から。
    訳すと、ボーッとしているくらいなら博奕でもしているほうがまし、だって。
    さすが生粋のギャンブラーですね。

  • エッセイ。
    さすが先生!と言いたくなるぐらい豪快。
    小説家って大変な職業です。

  • 本当に文章が好きなんだなってわかるエッセイ。作家になるために生まれてくる人もいる。「小説家という聖職」にこの人の文章に対する愛がギュッと詰まってるように思った。

  • 浅田氏のエッセイは今までコミカルなものが
    多かったけどこれはちょっと硬めでした。

  • タイトルは、やんちゃで問題児だった少年期の著者に、叱るでもなく説教でもなく、微笑みながら言ってくれた恩師の言葉を引用したものらしい。この著者、中学の頃から無類の読書好きで、学校の図書室の本も古今東西片っ端から読み尽くし、面白いと思う小説は声に出して読み、それだけでは飽き足らず原稿用紙に書き写し、さらに「こうしたほうがもっと面白い」と原作を改ざんするようになり、かくしてついに小説を書きはじめるようになったのだとか。40歳目前にしてようやく作家デビューを果たし、売れっ子作家になった今でも1日4時間かけて1冊を遅読する習慣は続いていて、著者曰く「作家として生き残るために、修行僧のような努力は怠らない」というのだから、恐れいる。アメリカ人の思想を皮肉ったり、飼い猫の話で笑いをとったり、うんうん、なかなかおもしろかった。

  • これまで未収録のエッセイ集。多作すぎて、これまでのものと内容の重複多数。暇つぶしレベル。

  • 午前中は小説を書き、昼からは400字詰め原稿100枚の本を4時間で読む。夜は10時に就寝。
    毎日、原稿を書き、読書をする。
    自衛隊の経験があるから、喰い潰れて自衛隊に入ったのかと思ったら、中学も高校も俗にいうところの進学校を卒業している。
    40歳間際で本が世に出てから、コンスタントに話題作を上梓している枯れていない大作家の著者のエッセーである。

  • 2012/08/21
    自宅

  • 個人的には特に第4章と第6章が面白かった。村上春樹さん同様、毎日毎日、朝から昼まで執筆していると知り、自分の執筆スタイルを反省した。

  • 読み、書き、打つことへの愛情をひしひしと感じた。ギャンブルはやらないから、特に競馬のくだりはロマン的でわからないところも多かったけれど。優しさが伺える。柔らかな愛情は読んでいて心地よかった。

  • 浅田次郎氏のエッセイ。この半生からあのような物語が生み出される、そのギャップが面白い。自衛隊入隊の経緯や、競馬への執着など、縁のない世界の話ばかりで楽しく読めた。

  • 2012.5.19読了。

  • 言葉の選び方からして全ては熟考したような朗読してもさぞかしすらすらとよめるような文章のセンス。

    久しぶりに読み終わったところから続きを読みやっと読了。言葉の選びの全てが気持ちにすっと入る文章の滑らかさは筆写でもしたい数々の語彙などをメモっておいた。まさに心わしづかみのエッセイ集。

  • この人のエッセイはいつも楽しくて、ホロリとさせられます。

  • どれも作者の人柄がにじみでている。「心わしづかみ」ではないかもしれないが,浅田次郎はいいね!

    2012/04/07図書館から借用;4/17の朝の通勤電車から読み始め,中断が多くて4/21で読了

  • この方の小説を読んだことはありません。
    タイトルがユーモラスだったのでパイプのけむりとか、そんな感じを期待して読んでみたけど全然ユーモアは無かった。
    平凡で退屈。数章拾い読みしてリタイア。

  • エッセイから、浅田次郎の小説のエッセンスがにじみ出る。
    「鉄道員」、「地下鉄に乗って」などの生まれた背景がわかると、小説への愛着もさらに増す。

  • 氏の言葉遣いや科白回しがとても好き。

    氏の書く小説も好きだけれど、とりわけエッセイ中で発揮される氏の茶目っ気や面白みがわたしには魅力的に映る。


    娘をプラットホームで見送る父親としての氏や、それと十九歳のときの氏とを考えるに「齢はとりたくないものである」と述懐してみせたり、

    「何をしているのだと聞かれて困る。矜持の魔物が、寄り道をして行こうぜと囁くのだから。」という何とも言えない余韻、

    「嗜み」から思い及ぶことども…ひとつひとつ鮮やかだった。


    ……既に何箇所か引用しておいて何だが、
    それでも「1箇所だけ」抜粋するのならばわたしはこれを選ぶ。

    「私から小説を奪ったら、骨のかけらも残りません――。」

    …いやそれとも、無責任な夢物語としての小説を読むことを

    「つまり、想像力の開拓である。」

    と語った一節かしらん。何はともあれ、心の充足を得られて素敵な一冊でした。

  • 売れっ子作家の雑文(エッセー)アンソロジー。
    あちこちに書いたので内容の重複が多く、読んでいてダレてくる。もう少し編集に工夫してほしかったよ。でも何度読んでも文章の旨さはさずがです。

  • 私にとって、浅田次郎とは競馬エッセイスト。
    本書でも競馬にまつわるエッセイが盛りだくさんで、
    楽しみながら読むことができた。

  • 「分相応」に暮しながら、「齢相応」の夢をみなければ人間の未来はない 物語が降り落ちてきたあの夏の夜、私はたぶん悔悟していたのであろう。捨ててきたものが多すぎる。忘れてきたものが多すぎると たとえどのような歴史であろおうと、忘却ほど悲しいものはない

  • 一昨日読了していたのに観想を書くのを忘れていた。
    さいきんそういうのが多い。でもブクログに登録しておくとこうやって気づいて感想を書くことができる。いやはや良い世の中になったもんだって♪

    この本を一言で言うと・・・

    そこいらに書き散らかして、一冊の単行本には収まっていないエッセイやら随筆(たぶんいっしょ意味やな)をかたぱしから集めてきて、ここのところ新しい本が全然出せてなくて、なのに直木賞の選考委員などは堂々と演っているために罪滅ぼしをかねて、有名出版社の文藝春画(ここポイント!)に頼んで出してみました本!です。

    でも、まあ中身はそこそこおもしろい(笑)

    • Pipo@ひねもす縁側さん
      読者に見抜かれてますよ、浅田先生!
      読者に見抜かれてますよ、浅田先生!
      2012/02/21
    • ryoukentさん
      ぴっぽさん、そんな直木賞選考委員の浅田先生に対してとっても失礼で的確な指摘は素敵です(ポテ:倒れた音)
      ぴっぽさん、そんな直木賞選考委員の浅田先生に対してとっても失礼で的確な指摘は素敵です(ポテ:倒れた音)
      2012/02/21
  • エッセイ集。生い立ち的な事から、仕事、競馬の話などなど・・・
    ちょっとしたエピソードでも、語りの旨さで読ませてくれる。

  • 浅田作品は大好きで、おお新作だ、とあせって読んだら、
    寄せ集めのエッセイ集。
    ちと、がっかり。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

浅田次郎の作品

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