柔らかな犀の角―山崎努の読書日記

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163749709

感想・レビュー・書評

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  • この人のどことなく鋭さをたたえた佇まいに俺は憧れている。

  • 実感と信じられることに重きを置く読書。それに潔さ。
    気負いのない文章で軽いものも重たいものも扱うが、あくまで明るい。読んでいて、声を出して笑う。
    「ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに」をそのままに。

    所々で語られる著者の役者観も素敵。
    一節に紹介される三作品のゆるやかな繋がりと流れ。

    ・不在によって成立する手紙、葉書のオープン性と二重の秘匿性
    ・賢者に人間性が加わると信じられる
    ・やわらかい約束にしよう
    ・私は命を惜しまない
    ・もうろくは素晴らしいのだよ
    ・「佐藤さん、やってます」に対する反応
    ・息、どうするんだっけ?

    ◯次の歌には素直に感動した。
    雨だから迎えに来てって言ったのに傘も差さずに裸足で来やがって 盛田志保子『木曜日』

  • 分かっていたんだ。今でも積読本が多いのに、本や読書関連の
    本を読めば、それだけ読みたい本リストが長くなるのは。

    でも、分かっていても読んでしまったのだ。だって山崎努なのだ
    もの。好きな役者なのだも。その人の「読書日記」なのだもの。
    これを読まずに放っておく手はないだろう。

    ええ、見事に読みたい本リストが増えましたとも。でも、後悔は
    していない。演技同様、山崎努の文章に惹きつけられたもの。

    自らを「怠け者」という著者だが、いやいや勤勉な読書家である。
    すぐに読みたい新刊があるからと、本屋に飛び込むも品切れ。
    2件目で1冊残っていたのを、他の人に取られないように素早く
    手にする。

    あぁ、ベテラン俳優が本屋でこんなことをしているなんて微笑ましい
    ではないか。

    飛行機のなかで航空サスペンス小説を読もうとチャレンジするも、
    エンジンの轟音であえなく断念。こういうの、分かるわぁ。作品の
    シチュエーションに合わせて読んでみたいと思うもの。

    その時に読んだ本だけではなく、以前に読んだ本の話も出ていて
    ちょっとした関連性のある話が日記形式でまとまっている。

    俳優なので、作品の中のどの人物を演じてみたいか・・・なんて
    話も勿論ある。

    読書量、知識量にも圧倒されるが何よりもストンと入って来る
    文章の書きっぷりに惚れた。元々、好きな俳優だが改めて
    惚れ直しました。

    「僕は俳優としてアマチュアだと思っている。
     長いことやっているから、それなりの技術は覚えた。それなりの
    出演料もいただき、それで食っている。それでもやっぱりアマチュア。
     なぜなら僕は演技について、俳優業について、なんの確信も
    自信も持っていないからだ。いや俳優業に限らず人生全般に
    ついてなーんにもわかっていないと実感するからだ。何事も
    手探り、さてどうしたものかといつもゼロからこつこつと学習
    する始末」

    生前の山岡久乃さんが「私は大根役者ですよ」と言っていたのを
    思い出した。「確信も自信も持っていない」って、あの山崎努がなぁ。
    でも、それだから演じ続けられるのかもな。

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