無菌病棟より愛をこめて

  • 文藝春秋 (2012年3月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784163750309

感想・レビュー・書評

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  • 小説家加納朋子氏の白血病闘病記。
    2010年6月に診断され、半年近くの入院生活を綴った日記。
    抗癌剤治療や骨髄移植を受けたのだが、その日々の苦しさや様々な葛藤、その中で見つけた小さな喜び、家族や友達の優しさが書かれている。
    ご本人の日記とともに、骨髄移植ドナーとなった弟さんの日記も掲載されている。

    最初は"具合悪い"から始まる。著者の場合は貧血という症状がかなり出ていて、かかりつけ医で鉄剤を点滴してもらったりしてもなかなか治らない。
    そのうち、血液検査で異常な数値が発見され、大学病院で白血病の診断がされる。

    私はここまでの大病の経験は無いけれど、ある日突然"死ぬかもしれない"病気を告知されたショックたるや、本人もご家族も計り知れないでしょう。
    それでも著者は主婦であり母親なので、具合悪い中スーパーで食材を買い込んだり、入院に必要なものをリストアップして調達する。
    このあたりは同じ主婦の立場の方は共感出来るところではないかと思います。

    入院生活では、抗癌剤の副作用の苦しさはもちろん、点滴の管や機械と行動を共にする不便さなど、本当に細かいところまで書かれていました。
    また、日記という本人視点の文書からでも、家族の動揺や心配、状態が良くなって来た時のホッとした気持ちなどが伝わってきました。
    プライベートな部分だからだろうけど、日記にはお子さんのことはほとんど書かれていませんでした。でも、少ない記述の中から、お子さんに対する愛情やお子さん自身の不安も伝わってきました。

    しかし、著者は動けるときは体操をしたり、よかった探しをしたりして、とても前向きでした。もちろん落ち込んだ時期もあったけど、見習いたいものです。だからこそ、ご家族の側も支えられたのかもしれません。

    何度かの抗癌剤治療、そして骨髄移植を経て退院します。その後に東日本大震災。物流が滞った影響が退院後調子の良くなかった著者にも影響しました。

    今もお元気で作家活動をされていることにホッとしたのと、白血病を患った年齢が、私の親友が高校生の子供を残して逝った年齢と同じだということに胸がキュッとしました。
    これからも素敵な作品を沢山書けますように。

  • ご自身の闘病記。

    やさしい、暖かな物語を紡ぎだす加納さん。

    とても強い方だと思いました。

    つらい時にこそ、やさしく強くそして明るくありたい。

    たくさんの勇気をいただきました。

  • 加納朋子さんの闘病記です。
    加納さんの作品は大好きでほぼ全部読んでいるのですが、この本の新刊案内を見た時は驚きました。
    タイトルからして「あれ?」って感じだったのですが、内容を知って驚愕でした・・・・加納さんが白血病だなんて。

    読んでみて、とにかく加納さん、明るい!前向き!
    闘病記なのにユーモア溢れる内容で、クスっと笑えたりします。
    アニメや漫画が大好きらしく(知りませんでした!)、病室でアニメを見ていたり、差し入れの本がほぼ漫画だったり(笑)

    もちろん、急性白血病なんてものは大変な病気です。
    治療も壮絶なのですが、その中でも良いことを探してみたり、髪が抜けても帽子やウイッグでおしゃれしたり。
    とにかく前向きなんです。

    治療の様子は相当過酷です・・・・
    私なら絶対にへこたれてると思うような、それはそれは大変な多くの副作用とも戦わなければならない。それなのに、家族や医師や看護師さんへの思いやりを忘れず、常に自分で出来ることは自分で!と模範的な患者さんです。

    そしてやれる事はやる!って言うのは病気に打ち勝つ為にもとても大事。それにしても、ももあげとか踏み台昇降とかやってるのはすごいと思う(゜д゜;)

    だって白血病の治療中にもナイスバディへ近づく努力を普通しますか??
    私なんて健康でもやってないのに・・・
    ストレッチや運動で体力をつけたり、口腔ケアを念入りにされていたり、そういう日々の積み重ねが、治療の成功へと繋がっているんですね。

    加納さんは、弟さんとHLAフルマッチだったので非常に幸運な患者さんではあったのですが、何よりもご本人の日頃の努力がすごいです。そして弟さんもまたすごい。弟さんは、加納さんのご病気を知ってからすぐに「自分はドナーになるかもしれない」と思って禁酒されたり、ずっと日記もつけていらして、それも掲載されています。
    弟さんはじめ、ご家族の優しさもすごく書かれています。

    そして!時折出てくる旦那さん(貫井徳郎さん)との会話も素敵ですね~。
    貫井さんも好きな作家さんなので、お2人の日常(闘病中ですので日常ではないのですが)が垣間見れて嬉しかったです。
    何気ない会話なんですが、お互いの愛情をひしひしと感じます。

    加納さんの人柄がにじみ出るような、素敵な作品です。
    闘病記なのに「素敵な」とか言うのは違うと思いますが、たくさんの人に読んで欲しい作品です。

  • 作家である著者が急性白血病になった闘病記。
    私はこの人の小説を一つも読んだことはない。
    でも、常に前向きで、でもダメな時はちゃんと前向きであることを諦められる芯が本当に強い人であった。そして家族から愛されている人だと感じた。
    そして、自分が闘病しているときも、闘病記を出すことも、他の白血病の患者さんの役に立てれば、と書いたこの著者をとても好きになった。闘病を応援したくなった。
    ちょうど読んでいた時に同じ血液のがんである悪性リンパ腫だと母がわかった。母と同じように闘病する同室の人も同じ病気であった。この本が非常に役に立った。
    この人の小説もいつか読んでみたい。

  • 丁寧に綴られた
    闘病記を読んでいくうちに
    あぁ 何と 
    しなやかで しかも 強靱な
    心を持っておられるのだろう
    と 何度も思わせられました

    改めて
    彼女の作品を
    もう一度 読み返してみよう
    と 強く思いました

    文は人なり
    本当に その通りだな
    と 思いました

    それにしても
    すてきな 旦那さまですね

  • 闘病記。病名は急性白血病。
    病名発覚までの経緯から、退院後免疫抑制剤がゼロになるまでの記録。

    この本を読んで、病気と闘うってこういうことなんだと教えられた。
    加納さんはとても冷静で前向きだ。
    病気の苦しさは伝わってくるものの、文章は全く暗くない。
    きっと実際の痛みや苦しみは私の想像をはるかに超えるものなのだろうけれど、加納さんの文章を読んでいて1番感じるのは病気に負けていない心の強さだ。
    加納さんはすごく強い、柔らかくて優しい心をお持ちだと思う。
    加納さんの人柄に惹かれ、ご家族やご友人の優しさに感動する。もちろん医師、看護師、介助師の方々にも。

    出来るだけ自分で動くこと、自分の口で食べること、病気と治療についての知識を得ること、…全て実践するのは困難だと思う。
    でも、それぐらい本気で立ち向かわないといけないんだということ、闘いはそこからなんだということ。
    白血病に限らないのではないか。

    ドナーになったご家族の日記もあり、病気との闘いが患者だけのものではないことを改めて思い知った。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「それでも辛い時間でした。」
      大変でしたね、落ち着かれましたらお疲れを残さないよう。楽しいコトを一杯してください。

      此処で書くコトではない...
      「それでも辛い時間でした。」
      大変でしたね、落ち着かれましたらお疲れを残さないよう。楽しいコトを一杯してください。

      此処で書くコトではないのですがTwitterでフォローしていた闘病中の女の子(@fight_Reiko)が逝ってしまって、、、
      2012/06/08
    • takanatsuさん
      nyancomaruさん、ありがとうございます。
      変なことを書いてしまってすみません…。

      「闘病中の女の子が逝ってしまって」
      そう...
      nyancomaruさん、ありがとうございます。
      変なことを書いてしまってすみません…。

      「闘病中の女の子が逝ってしまって」
      そうなんですか…。
      小さい子が病気で苦しむのは、本当に理不尽だなと思ってしまいます。(大人は違うと言いたいわけではないですが…)
      その子の日々の生活の不摂生が原因である場合は極端に少ないですし、どうしてこの子がこんな思いをしないといけないのかと考えると、やるせないと言うか…悔しいと言うか…。
      その女の子のご冥福をお祈りいたします。
      2012/06/08
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「悔しいと言うか…。」
      その子が、辛い治療に耐えているのかと思うと、ガンバレとか簡単に口に出来ないと思いました。
      ご両親の無念さも伝わって、...
      「悔しいと言うか…。」
      その子が、辛い治療に耐えているのかと思うと、ガンバレとか簡単に口に出来ないと思いました。
      ご両親の無念さも伝わって、辛かったです。
      2012/06/11
  • この本の帯を見たときの衝撃が忘れられない。
    え、これは実録なの?、、、という。
    大好きな作家さんの闘病記。それだけで読むのに時間も勇気もかかった。
    読み始めてまず思ったのは、加納さんは小説の世界に満ちているやさしい暖かさをそのまま持っている人だな、ということ。やわらかで、ユーモラスで、タフな言葉で、しかし現実的な闘病の記録が綴られていく。
    何度本を閉じて深呼吸したか。
    もう過ぎた日々だけれど、あの人はこんな苦しい日々を過ごしていたのか、と。全く関係のないわたしでさえこんなに堪えるのに、本人のそばにいて支えてきた人たちはどれほどだったか。
    どこまでも真摯で明るい加納さんの文章はそれでも包むようなまま読者を現実へ返してくれる。
    あまりエッセイは書かれないのか、本になったものをこの一冊しか知らないのだけれど、加納さんの日常のお話とかとても読みたい。

  • 急性白血病、とある日突然診断されたら、どうするか?
    フィクションの世界ではとかく有名な白血病ですが、実際に自分の身に降りかかるとはだれも思ってないものです。
    その診断を突然下された作者自身の記す闘病記は、だからなによりもまず驚きと、戸惑い、そして怖れがさまざまな角度から混ぜ込まれながら描かれていきます。ひたすらに真摯に、戦っていく姿が綴られていました。
    過酷なその戦いの日々のなかで、浮き上がってくるのは、一人きりでは戦っていけないのだという事実。医者や看護師、家族に見知らぬ血の持ち主。そんないろんな人たちの助けと、なにより自分の「生きるんだ」という力があってこそ、病と戦っていけるのだという実感を、読んでいて強く感じました。
    それは希少なこの体験だけではなく、
    普通の日常生活においても、実はそうなのでしょう。
    日常の日々にはこれほどの意気を見せる必要がないから、気づきませんが、実際のところはさまざまな人々に支えられ励まされ、そして逆に自分の励まし、だれかの力となっているのでしょう。

    あくまで私にとっては、ですが、…そうした人と人とのかけがえのないつながり、絆、についても考えさせられた一冊となってくれました。

    なにより読んでいて感じたのは、
    作者の人となりの素敵さでした。
    この文字に記されてはいない厳しい日々もあったことでしょうが、それを感じさせていてもなお、前を歩いていこう愛しているひとのためになるべく死なないようにがんばろう、というまっすぐなポリシーを、とてもうつくしく、貴くも感じたのです。
    このように誰に恥じることもなく生きることに貪欲でありたいな、と
    そう思えました。

  • 前知識なしで貸りたので、読み始めてからノンフィクションだと気付きショックでした。
    加納朋子さんは大好きな作家さんなので、そのまま読み続けられず一度返してしまいました。

    覚悟してもう一度読み始めたのですが、加納さんも旦那さんも小説家だからか事態を冷静に受け止めていて、文章や旦那さんとの会話もユーモラスで闘病記なのに所々で思わず笑ってしまいました。

    弟さんからの骨髄移植が上手くいって本当に良かった。
    完治出来ることを心から願っています。

    『それからの日々』と『あとがき』で泣いてしまいました。
    加納さんが書かれているように、震災の時に薬が手に入らず亡くなった方は少なからずいたはずなのに、その事に気がつかなかった自分に愕然としました。
    人って、自分に関係のない事に鈍感なんだな…。


    あと、加納さんがアニメ&マンガオタクっていうのが意外でした。
    私と同じマンガが好きだというのが嬉しいです。

  • なかなか新刊が出ないなと思ったら、長く入院されていたんですね。
    この記録は、同じ病気と闘っている人だけでなく、医療関係者のかたにも読んでもらいたいと感じました。

    重篤な病気にもかかわらずポジティブで好奇心旺盛な加納さん。でも、病気の進行への不安、家族への感謝と心配、副作用の苦しさがじわじわ伝わってきます。

    予後が順調でありますように。私が万一入院したりするとき、この本を必ず持っていきたい。

  • 「ささやさら」「モノレールねこ」を読んで以来、
    大好きな作家さんです。
    恐ろしい病魔と、こんなにすさまじい壮絶な闘いをされてたとは・・・。
    こうやって本を出版できるようになられて、本当によかったです。
    ご主人やご家族、友人、周りの方々の支えの、何と温かいこと。
    朋子さんの、何と勇ましいこと。
    つらく苦しい闘病生活の中にもユーモアを忘れず、
    何より、「元気になるんだ!!!」という強い意思を感じました。
    病気になった時、朋子さんをお手本にします。

  • 大好きな作家さんの新刊が出なくても、加納さんならこのペースはおかしくない・・・と思っていたところに、検索でひっかかった一冊。まさかのノンフィクション。
    読者がのんきに新刊を待っていたころ、加納さんご自身はこんなにも必死に闘っていらっしゃったなんて。言葉もない。すみません。
    だけど生きてくださっていてありがとう。

    白血病という病名からしてすでに、闘病生活が大変なのは想像できるけれど、あくまでユーモアを交えて(おっしゃるとおりに、その立場にたった人間にしか許されない軽口)、時にはいらだつ自分を冷静に振り返って、描いている。
    ただしお子さんのことについては、ごく短く、それだけにキーを押すだけでなにかあふれてしまうものがあるんだろうと想像する。

    自己憐憫ではない、けれど、確かに全力で戦った(きっと今も)という記録が、胸を打ちます。

  • とにかく驚いた。たしかに「七人の敵がいる」が出てから新刊が出ないとは思っていたが、まさかご病気だったとは。
    闘病生活は大変だったようだが、それをこんなふうにわかりやすく、時にはくすっと笑えるように伝えてくれるのはさすがに作家だと思う。というか、なにか変わったことがあったら書かずにはいられないのが物書きのサガなんだな。
    そのおかげで、医学書ではわからない具体的な闘病生活の詳細がわかるわけだが。
    読み終わって思ったのは、「加納さんってすごく真面目で律儀な人なんだな」ということ。真面目だし、前向きだし、すごい努力家だ。病床での筋トレや、食べることに対する努力は、ご本人はさらっと書いているけどなかなかできることじゃない。骨髄移植が成功してほんとによかった。読者のエゴではあるが、これからもまた加納さんの作品を読むことができるだろうと思えることはとても嬉しいことだ。
    それにしても白血病とは。人生何が起こるか本当にわからないものだ。

  • さすがに作家さんが書く自分の闘病記はリアルだった。

  • 白血病の闘病記
    知らない事ばかりでほんとに大変な病気だな
    と改めて思った

  • 白血病の闘病生活の中で、私には想像もつかないような辛い状態であっても常に前向きで向上心の溢れる姿に学べることがたくさんありました。

  • まさか加納さんがこんな大変な状況になっていたのかというのがまずびっくり。そして加納さんのご主人が貫井徳郎さんだったという事で、さらにびっくりしました。
    白血病というレアな難病で闘病をしておられるのですが、出来る範囲で一生懸命自分を鼓舞してポジティブに病気と向かい合っていて読んでいて清々しかったです。治療も上手くいったとの事なのでこれからもほんわかミステリー読むことが出来そうでホッとしました。

  • 自身の白血病の闘病記。
    作家さんはこんな大変な時でも記録を残そうとするものなんですね・・(´・_・`)。
    私自身とも年齢が近い方の闘病記に胸が痛みました。

    闘病で大切なもの。
    家族。家族。家族。
    そして強い意志。
    それからお金・・。

    保険、ちゃんと見直そうっと。

    加納朋子さんは貫井徳郎さんの奥さんなんですね。
    知らなかった。
    貫井さんの穏やかで冷静で暖かな支えはどれだけ心強かっただろうなぁ。。素敵なご主人サマです(^^)。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「病気のことを分かってあげる」
      そうですよね、、、
      病気の人や、近しい人を亡くした人を前にすると、いつも自分がピンチに弱い人間なんだと思...
      「病気のことを分かってあげる」
      そうですよね、、、
      病気の人や、近しい人を亡くした人を前にすると、いつも自分がピンチに弱い人間なんだと思い知らされます。
      励ます言葉が出て来ないのがホント情けない。。。
      2014/04/07
    • jamさん
      nyancomaruさん。
      私もピンチが目の前にくるとパニックです。
      全然ダメ人間。
      でも、こういう場合のピンチに限っては、「寄り添う...
      nyancomaruさん。
      私もピンチが目の前にくるとパニックです。
      全然ダメ人間。
      でも、こういう場合のピンチに限っては、「寄り添うこと」が一番大切かも、と思うのです。。
      難しいですね。
      2014/04/20
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「「寄り添うこと」が一番大切かも」
      静かに寄り添えるようになれるよう、私自身が強くありたいです。
      「「寄り添うこと」が一番大切かも」
      静かに寄り添えるようになれるよう、私自身が強くありたいです。
      2014/04/21
  • 急性白血病だと告知された著者の、たくさんの愛と勇気、あたたかな涙と笑いに満ちた壮絶な闘病記。
    読み終えたのはだいぶ前だったのですが、胸がいっぱいになってしまったのと忙しかったので、なかなか感想を書けず。ノンフィクションンは明るくてけらけら笑えるようなものが好きで、こういった類のものはあまり読まないのですが、これは医療の道半ばにいる私にとって、生涯忘れることのない一冊になるでしょう。癌や白血病はようやく治る病気になりつつあるけど、でも壮絶だ。生死の前に、治療の苦しみや絶望と戦わないといけない患者さんたち。医療者として、もっとできることはないのかと医師の立場も考えながら読みました。本当に本が好きでいらっしゃるんだなあと、ちょっとしたところでほのぼの。他の著書も読んでみたい。

  • 図書館にて。
    「七人の敵がいる」以来作品が出ないなと思っていたら、急性白血病で入院されていたとのことで大変驚いた。
    この本では、その壮絶な闘病の様子が作家魂を賭けて語られている。
    とにかくすさまじい。
    咳風邪から始まった症状はどんどんひどくなり、治療も過酷を極める。
    その間も家族の心配をし、元気な時間は本を読み体操をし、他の患者さんと話をしたり、医者の説明を理解できるよう調べたり、細かい生活の様子も描かれている。
    人の毎日とは、たとえ重病と戦っている時も決してそれだけではないのだなと感じた。
    弟さんがフルマッチのドナーとなったことは本当に幸運だったと思う。
    私は二人兄弟だが、自分が親になるならばやはり兄弟は残してあげた方がこういうときに子供の命が救えるのだな、と思った。
    親や家族、兄弟が、あるいは自分がこのような重病にかかった時、自分には一体何ができるのだろう…。
    加納さんが全快されて、また新しい小説をお書きになれるようお祈りしています。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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