探検家、36歳の憂鬱

  • 文藝春秋 (2012年7月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784163754703

作品紹介・あらすじ

大宅賞作家による初の冒険エッセイ集。受賞作『空白の5マイル』の舞台となったチベット・ツアンポーや、今秋書籍化される『アグルーカの行方』の舞台、北極、その他これまで冒険してきた各地で感じたことと今につながる意識。また、雪崩に三度遭い、死の淵で味わった恐怖、富士登山ブームの考察、東日本大震災の被災地を訪ねて、など読者を様々な場所へ旅させます。赤裸々に語る、探険家として、死に自ら近づいていってしまう性やジレンマについては、胸に迫るものがあります。生と死について、読者それぞれの思いを抱くことでしょう。

冒頭の2作「探検家の憂鬱」と「スパイでも革命家でもなくて探検家になったわけ」で、角幡唯介さんの人となりも知ることができます。

最後に収められた「グッバイ・バルーン」では、朝日新聞の記者時代に取材した冒険家、神田道夫さんの生き様を、いま再び浮かび上がらせます。本書を読み終える頃には、「探検家、36歳の憂鬱」が何であるのか、腑に落ちるでしょう。そしてきっと「角幡唯介」に会いたくなるはずです。

感想・レビュー・書評

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  • 痛いところを突かれた。と思った。私の行動の目的のほとんどはこれかもしれない。『「身体性の損失」病治療』。
    旅行に行きたいのも留学したいのも外面の良い理由を並べてたけど本当は全部これで、私は不自然で不健康な現代人だなと思い知らされた。

    身体性の損失とは何か? 自分なりの理解メモ
    「いい若い男が私の世代なら恥ずかしくて言えなかったような優しいセリフを口にしたりするようになったが、ネット上ではみんな匿名で他人の悪口を言ったりもしている。」
    →本当によく考えたら自然な身体に蓋してるだけだな、、現代人の柔らかさって真実じゃないよね。だからこそ、失った身体性・生感覚を取り戻すべく現代人は富士山に登るってことらしい。逆にそうやってわざわざ自然に触れたいとか思わない方が生物として自然で健康的なのかな。

    ※ってか、北極点って海だったの知りませんでした。

  • いやーおもしろかった。
    角幡さんの文章って淡々としてるんだけど、なんかユーモラスで楽しい。
    わはは~っと笑いながら読める。
    でも結構深いとこついてたりもして。

    震災のブータン的日本人、がちょっと笑えた。
    キラキラした感じ、かあ。
    いわゆる災害ユートピアってやつだっけ??
    なるほど、っと。
    それに乗り切れなかった自分に引け目を感じる、とゆーようなことを書いておられたけど、ちょっとそこは共感。
    心を痛めはしたけれど、なにかできることがあるならしたい、とは思うのだけれどどこか他人事であるような意識があるのは否定しがたく、
    でも角幡さんはそれでも自分の身体でなにかを感じようと、出かけていったとこがすごい。
    角幡さんにとっての唯一の震災体験。
    でも、それを実感としてもってるってことは大事なんじゃないか。

    山登りとしては富士山はそう魅力的な山ではない、とゆー意見に
    へーそうなんだーっと思った。
    まあ、あれだよね、富士山って、登山が理由なんじゃなくて、
    その存在ってゆーか、富士山ってゆー物語をみんな味わいたくて
    登ってるんだろーなー。
    私は見るだけで十分だけど。
    だって綺麗じゃん。

    冒険、とゆーものに対する、定義づけ、とゆーか考察、が興味深かった。
    でも、どうあっても言葉にしきれないもの、ってのはあるんだろーなーっと思う。
    冒険って、言葉だけできくと、なんかわくわくするような、
    まるでハリウッド映画の世界、みたいなイメージだけど、
    イメージと実際の間にはかなり深い溝があるよな。
    しっかし、神田さんの話は衝撃だった。
    2008年って結構最近じゃん。うーん、そんな人がいたなんて
    知らなかったなー。

    死、とゆーものを現実的に手触りとして知ってるってゆーのはやはり
    なんか、違う、もんなのだろーか。
    冒険って、なんか修行みたいだな。
    おぼうさんは悟るために、命をぎりぎりのところにさらすんだろうけど、
    では冒険家は?
    悟るため、じゃないよなー。
    ただ、知りたい、のかな?

    あ、そーいや、著者写真で、初めてまともな角幡さんの顔みた。
    なぜか雪男っぽい人をイメージしてたので、
    ふつーにかっこよい人だったのでびっくりした。
    コンパの戦績が~っと嘆いていらしたが、いやいや、実はモテてるんじゃないだろーか。

  • 探検家36歳、独身、合コンに行ってもその肩書だと「なんで?」と言われて全くモテない、という赤裸々な話から始まってシビアな話が満載。探検家で金持ちの人っていないそうです。★3つ

  • 「空白の五マイル」「雪男はむこうからやってきた」の著者による「探検家であるということ」をめぐるエッセイ。

    前人未踏の冒険というものが成立しにくい現代に、なぜ自分は探検に駆り立てられるのかということを真正面から考えている。著者にとっては極めて切実な問いなのだろうが、その問題意識を共有できない人にとってはややくどい感じかもしれない。しかし、力のある文章でぐいぐい読ませる。面白く読んだ。

    そうなんだけど…。冒頭のエッセイでいきなり「女々しい」とか「キャバクラに行ったり」とか、ちょっとちょっと!という発言が連発されて、あらま、という感じであった。どうしても比べたくなるワセダ探検部の先輩高野秀行さんとはずいぶん肌合いが違って、やっぱり高野さんはいいなあとまたまた思ってしまった。

    「合コンの成功率」(ってなんですか?)が最近低いそうですが、「ワセダ三畳青春記」を読み直して考えてみたらどうでしょう?なんて意地悪なことをちょっと思いました。

    • カレンさん
      「空白の五マイル」を読んで、ちょっと注目していました、角幡さん。
      でもこの本知りませんでした(ぜんぜん注目してない?)
      早速チェックして...
      「空白の五マイル」を読んで、ちょっと注目していました、角幡さん。
      でもこの本知りませんでした(ぜんぜん注目してない?)
      早速チェックしてみます!
      2012/09/24
    • たまもひさん
      「五マイル」も「「雪男」もとても面白く読んだんですが、好きか?と聞かれるとちょっと…。
      高野秀行さんは大ファンですが。比べるのは良くないか...
      「五マイル」も「「雪男」もとても面白く読んだんですが、好きか?と聞かれるとちょっと…。
      高野秀行さんは大ファンですが。比べるのは良くないかな。
      2012/09/25
  • 文体から同じ早稲田の探検部出身でも高野さんと比べると大分固い人なのかなという、これまでの自分の勝手なイメージを崩すようなエッセイ集。
    剱岳の標高を3,000mにしようとしたくだりは声出して笑った。

  • 若干ネガティブなタイトルではあるが、本書で触れられているような探検家の究極の目的とか、探検家であることとノンフィクション作家であることの両立の難しさといったことを突き詰めて考えていて、著者は「思索する探検家」だとつくづく思った。本書は彼にとってはエッセイのようなものらしいが、エッセイストとしても一流であることを示していると思う。
    最近、高野秀行も好きで読んでいるが、著者が早稲田の探検部で高野秀行の後輩だということも本書で知った。直接のつながりはないようだが、早大探検部の懐の深さを知ったような気がした。

  • 自分でやる気はさらさらないのに、登山や探検の本をよく読む理由のひとつは、なぜそんなことをするのかよくわからないから。見たことのないものを見たい、やったことのないことをやってみたいという「アドベンチャー」に憧れる気持ちはよくわかるが、それに伴う「危険」がアドベンチャーを完遂するために乗り越えるべき壁というより、「危険」そのものが目的のように見える「冒険」がときどきある。それがよくわからない。
    そういう点では、今まで読んだどの「冒険」の本より、近いところまで来ている一冊だった気がする。

    本書は角幡唯介の探検の本ではなくて、エッセイだ。知らなかったがこの人、新聞記者として働いていたことがあるそうで、この文章力、というかぼんやりしたものを言語化する力は、その経験で培われたものなのだろうか? あるいはもともとそういう才能があったので記者を選んだのか? 
    いずれにしても、(一般化できるかどうかはともかく)冒険に惹きつけられる気持ちと理由を、正直に分析した文章というのは読んだことがなく、面白かった。

  • 早稲田大探検部の凄さを感じる。破天荒さが高学歴の為、桁外れ。現在の探検部は、如何なるものか?

  • 探検家の考えを覗かせてもらうことで現代における探検とは何かを考えさせてもらうことができる一冊。

  • 読みやすかった。富士山と最後のグッバイ・バルーンが良かった。合間のブログも面白かった。

  • 冒険記として本を読み始めると肩透かしをくらう。孤高の人を読んだあとだったからかもしれない。
    冒険者として、死の考え方についてはおもしろかった。死の直前、自分と向き合うとかでなく、日常のささいなことを思い出すとか、死と隣り合わせになった人しかわからないのだろう。身近な者をガンで亡くした自分にとっては、病気の人の死への考え方は、楽になりたいだと思う。どうやっても諦めつかない時には、人はあきらめ楽になりたいのだと。それは、それで正解なきがする。

    冒険者は、冒険が終わると新たな挑戦をつくり、自分自身を越えるため死により近づく冒険を企画していくのだろう。最後のグッバイバルーンの冒険者としての生き様は納得した。

    同じ世代でも、片や冒険家、片やサラリーマンに家庭持ち生き方が相反するためか、共感ができない部分が多く、非常に批判的な見方で読んでしまった。

    あと10年後に感想がどのように変わるか楽しみな本ではある。

  • 2019/3/29購入
    2019/5/17読了

  • 著者は探検家であり元新聞記者なので、エンタメ性のある読んでいて楽しい文章。角幡さんの本にはハズレがないので片っ端から読んでいる。
    なかでも、この「探検家、36歳の憂鬱」は探検家の探検してない私生活の部分も描いたエッセイでとても新鮮。
    ラストの「グッバイ・バルーン」は思わず涙が出そうになった。

  • 290.9

  • 8月に富士登山に挑戦したばかりなので、「なぜ最近若者に富士登山が人気なのか」というテーマがあったのが気になった。

  • 2017/02/01 読了

  • 2016.may

    自叙伝とエッセイ集の間のような。途中に挟まれてるブログからの抜粋がつまらなかった

  • 今最も注目される探検家&ノンフィクション作家のひとりである角幡唯介のエッセイ。
    冒険のような自分の体験を基にノンフィクションを表現する場合、ノンフィクション性は担保できるのか。故植村直己の冒険が大きく報道されていた頃までのような、一般の人々が納得できる冒険の対象がなくなった現代において、何故冒険をするのか。冒険の魅力を究極的に高めるものは何か。など、探検家&ノンフィクション作家の著者ならではの切り口での考察が綴られている。特に、沢木耕太郎の「ひとたび「物書き」になってしまった以上、さりげない旅などできはしないのだ。」という表現を引用してノンフィクションを成立させる難しさを語る部分は、ノンフィクションの好きな私にとって、改めて考えさせるものだった。
    (2014年9月了)

  • 探検家。三浦雄一郎や野口健などのカリスマを除くと、ほとんどの探検家は人知れずに冒険を計画し、実行する。その冒険が成功しても盛大な祝福が待っているわけではない。コドクでオタクで自己満足な職業だ。そんなことに命かけるなんてと、軽蔑する人もいるだろう。

    さらに探検家が厄介な職業なのは、目標を達しても、次なる目標を考えてしまうこと。しかも前よりも過酷で危険な目標を。それは目標ではなく、強迫観念に追いかけられているようだ。

    探検家兼ノンフィクションライターの著者はそんな探検家の業に縛られ、憂鬱を感じる1人。しかも、ライターである業にも縛られ、冒険に読者を喜ばせるサプライズを無意識に求めてしまう。安全な旅よりもあえて危険な選択をして、そこから脱出したことに満足する。

    こうしたジレンマを感じつつも、コンパしたい、モテたい、結婚したい、という36歳の願望を隠すことなく軽妙なエッセイにしてしまうのが、著者の持ち味。

  • 地上のあらゆる山が登り尽くされ、秘境が秘境でなくなり、北極点にさえ累計5000人以上が到達済みの現代。
    そんな今、あえて著者は自身が探検家であることの意味や、冒険とは何かという、ほぼ回答不可能と思える問いに対峙し、その答えの言語化を試みている。
    限りなく死に近づくような苛烈を極める冒険体験をシリアスに描写するのではなく、むしろ滑稽にさえ思えるゆるい語り口が切迫した状況を逆にリアルに伝える。
    重厚長大なテーマをライトでポップな文体で読ませ、それでいて自己への難解な問いかけにきっちりと肉薄している。

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著者プロフィール

角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)
 1976(昭和51)年北海道生まれ。早稲田大学卒業。同大探検部OB。新聞記者を経て探検家・作家に。
 チベット奥地にあるツアンポー峡谷を探検した記録『空白の五マイル』で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞。その後、北極で全滅した英国フランクリン探検隊の足跡を追った『アグルーカの行方』や、行方不明になった沖縄のマグロ漁船を追った『漂流』など、自身の冒険旅行と取材調査を融合した作品を発表する。2018年には、太陽が昇らない北極の極夜を探検した『極夜行』でYahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞を受賞し話題となった。翌年、『極夜行』の準備活動をつづった『極夜行前』を刊行。2019年1月からグリーンランド最北の村シオラパルクで犬橇を開始し、毎年二カ月近くの長期旅行を継続している。

「2021年 『狩りの思考法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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