占領都市 TOKYO YEAR ZERO (2)

  • 文藝春秋 (2012年8月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784163755700

作品紹介・あらすじ

帝銀事件を描く暗黒のアンチ・ミステリ



一九四八年冬の大量毒殺事件を生んだ占領下東京の黒い霧を、ノワールの旗手が鬼気迫る筆で暴きだす。狂気渦巻く漆黒の現代文学、誕生

感想・レビュー・書評

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  • デイヴィッド・ピースの新作にして東京三部作の第二作。

    今回は帝銀事件をベースに被害者、記者、刑事・・・と様々な人々の視点で事件が語られる。

    読後感はまさに百物語を聞き終えた後の不気味さが残る。混沌とした占領下の日本を舞台にした怪談。

    第一印象はすごく読みやすいこと。これまでのD・ピースのカオスな文章はやや控えめ。それに少々短い。今までの長編の半分くらいの長さなのではないかな。

    それでも、D・ピースの魅力はガンガンに詰まった1冊でした。

    おもしろかった。

  • ふむ

  • 重層感ある構成で帝銀事件に迫った小説。万人受けしないかもしれないが、私は拍手を送りたい。帝銀事件は既知の事件だったが、当時の東京がどんな状態だったのか、この本読んで改めて考えることができた。タイトルにある『占領都市』はまさに!それが今も続いているような気がしてならない。
    本作は東京3部作のうちの1作とのこと。残り2作も読みたい。

    レビュー
    https://books.bunshun.jp/articles/-/1207(文:千街 晶之 (文芸評論家))
    https://book.asahi.com/article/11637737(評者:保阪正康 / 朝⽇新聞掲載:2012年10月14日)

  • 帝銀事件を題材に戦後間もない占領下の東京を描いている。12の章に分かれ、それぞれ違う人物が帝銀事件について語る。章によって散文詩となり、よく分からないまま、雰囲気だけは伝わってくるようなこともある。
    本の帯にはこんな文が載る。
    『帝銀事件 その禍々しい狂気と毒が東京を汚す』→少し大げさだけど、こんな感じの小説。
    東京3部作の一つというから、別の作品を試してみたい。

  • 帝銀事件をめぐる十二人の語り。十二章が錯綜している上に、一つの章の中でも、語り手が目にしているもの、過去に聞いたいた声、語り手の意識、その三本が同時に語られるという複雑さ。たち昇る、呪詛。狂気。疑惑。罪。謎。恐怖。哀。帯にある「過去に読んだどんなものにも似ていない」。まさしくその通り。すでに今年度ベストかもしれない。自分、よくぞ読み切ったな。(いや、本当のところ読めているのか? 

  • 占領都市―TOKYO YEAR ZERO〈2〉

  • 独自の文体とグルーヴ感の「読むドラッグ」。百物語帝銀事件。

  • 読んでてリズムが狂うというか、のりきれない。
    劣化エルロイ。

  • 帝銀事件を描いたものです。

    読む前は、「本書がミステリーものであり、事件の真犯人はこんな人でした。」みたいな流れを想像しました。しかし、蓋を開けてみると、全く違ったものでした。事件の関係者の心の闇を描写したものではないかと思います。

    通常のミステリーものだと思って読み進めていたので、最後まで取っ付きにくく、違和感を感じながら読んでしまいました。できるだけ先入観を持たずに読む、ということも大切だと思います。

  • 帝銀事件の無気味な事実。

    恐ろしいが惹かれてしまうのはなぜだろう?

    混沌する文体。 だから華麗さも。  藪の中。

    読むことに、読者の覚悟がいる。

    自分のような幼い人間には、ついていけないところもあり、悲しい。 

    松本清張の本も読んでみたい。

  • 東京三部作、第二弾。帝銀事件がテーマです。

    前作とまったく異なった構成で、12人の関係者がそれぞれの視点から事件を語ります。
    そうして少しずつ、戦時中から犯人の死に至るまでの、日本軍、GHQ、追いかける刑事、犯人として逮捕された男、真犯人、それぞれの様々な闇の部分が、もつれ合いながら浮かび上がってきます。解説にもありましたが、確かに視点が固定されていては、これほど複雑な背景を描ききれなかっただろうと思います。
    百物語そのままで、読み終えた後は背筋が寒くなったまましばらく戻らないです。

    面白く読んでいたのだけど、九本目の蝋燭(N刑事)で挫折しかけました。3つの文体が混合する文章を読むコツをつかむのに時間がかかりました。前作と共通のキャラで、この方くらいは幸せになってほしかったのですが。

  • 第3回(2013年度)受賞作 海外編 第10位

  • 私の評価基準
    ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
    ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
    ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
    ☆☆ 普通 時間があれば
    ☆ つまらない もしくは趣味が合わない

    2013.2.25読了

    こういう雰囲気の小説は、なかなか好きである。
    立体的に、この事件が、それを取り巻く雰囲気と立ち上がるように、文体をとても工夫している。
    すごくいい。
    が、それがとても読みづらい。
    元々、割と普通の文章も読みづらい作者、あるいは翻訳者ではあるが、その工夫された文体のために、とても読みづらい

    雰囲気はよく伝わってくるのだが、その中身を読み取るのが辛い。
    作者のディビッドピースさんは、日本在住とのことですが、すごく良く調べられていて、その内容については、まったく違和感がない。

  • 面白くも何ともない。ノンフィクション風に書いている小説だが、間違いも多い。

  • 舞台が同じ戦後すぐの東京であるけれど、前作とは空気というか感触が全然違った。前作のTOKYO YEAR ZEROは8月の不快な暑さ、汗と埃と異臭の中、垢だらけのカラーが目の前に沢山並んだ情景が目に浮かぶようだったけれど、今作はすごく寒々としていて、深い森の湿った黒い土の上に寝かされて、暗い空を見上げてるような気分になった。星が明瞭に見えるんだけど、豪華ではなくとても悲しいの。

  • 占領都市 TOKYO YEAR ZERO II

    語り=騙りを体現した傑作。

    帝銀事件。
    1948年1月26日、帝国銀行椎名町支店にて発生した一大毒殺事件です。厚生省技官を騙った男が行員他16人に青酸化合物を飲ませうち12人が死亡。20世紀日本史上でも屈指の凶悪事件といえましょう。
    本書『占領都市 TOKYO YEAR ZERO II』はその帝銀事件を題材にしたアンチ・クライム・ノヴェルです。

    とにかく構成と文体が破格。被害者、事件を追う刑事、元軍人、米ソの捜査官、そして真犯人・・・・・・それぞれ異なる立場に立つ12の人物が、それぞれ異なる文体で帝銀事件を語ります。そこには明確な証言も、快刀乱麻の解決もない。彼らの共通点は一つ、この占領され虚栄に満ちた都市に囚われているということだけです。読み進むにつれ、読み手もまたすべてが混沌とし虚実が入り交じる事件の渦中に放り込まれることになりましょう。芥川龍之介「藪の中」に着想を求めたというだけのことはあります。

    文体は濃厚の一言。日記形式の一人称、誰かに語りかける二人称、その二つが混淆となった独白めいた記録(あるいは記憶)、いずれもが強く迫力をもって迫ってきます。読んでいて物理的な質量を感じるほど。文章が目の前に立ち上がってくるかのような錯覚すらおぼえました。

    小説でしか出来ない、と言ってもいいほどの試みを秘めた一作。物語がお好きなら必読でしょう。お勧めします。

  • 初デイヴィッド・ピース。
    日本在住の英国人作家が帝銀事件を描いたものだが、これは小説というよりも詩か祈りか呪詛のようだ。
    こんなグルーブ感のある帝銀事件を読むことになるとは思わなかった。
    被害者、刑事、新聞記者、アメリカやソ連の調査官など次々と視点を変えて、占領下の東京で起きたこの事件について語ってゆく。慣れるまでは超絶読みづらくて難解で頭がクラクラしたが、ぐるぐる渦巻く呪いのような文章に慣れてしまうとちょっと癖になるかも。
    訳者もすばらしいと思う。

  • 読み進めていくうちに、自分の中にマントラが響き渡っているような。
    そんな不思議な読書体験。

    渦の中に、罪も、死も。

  • 泉鏡花、京極夏彦、j・エルロイをミキサーに突っ込んでかき回したが如きの悪夢的な文章。
    12本の断章がそれぞれの視点で(思考で)語られていく中で
    真実は曖昧となり、事実は蒙昧にゆるりと沈み込む。

    悪夢と野望の終焉、そして世界の断絶から始まる「東京零年」。
    それまでの日本が抱えて来た矛盾が暴かれ、
    これからの日本が抱えようとしている矛盾が噴出しようとしている時代。

    勝利と敗北。
    征服者と抑圧者。
    破壊と再生。
    悪夢と覚醒。
    変わるものたち、変わらないものたち。
    出し抜いた者と、置き去りにされた者。
    善と悪。偽善と偽悪。
    それらはまるで曼荼羅の様に入れ替わり、また色合いを溶け込ませる。勝った者はどこかで敗者に転じ、生き延びた者たちは再び殺される者となる。

    虚脱し去勢された廃墟の街に降る氷雨は、かつての悪夢を呼び寄せる。
    大陸での戦争。特務機関。隠蔽された実験。忌まわしい作戦。
    それらの総てを含み澱んだ毒こそが、「東京零年」の姿だ。
    「東京零年」が齎そうとする死はやがて、帝銀椎名町支店の銀行員達をその生贄に選び、死の舞台に変える。


    「昨日まで」わたしは言う。
    「湯のみは湯のみだと思っていた。
    その時まで、
    机は机だと。

    戦争は終わったと思っていた。
    負けたと思っていた。
    降伏したと。
    今では占領されているのだ、と。
    戦争は終わった、と思っていた。
    湯呑みは湯呑みで──友人は友人で。薬は薬で。同僚は同僚、
    そして医者は医者だ、と。

    でも、戦争は終わっていなかった。

    湯呑みは湯呑みでなく、薬は薬でなく。
    友人は友人でなくなり、同僚は同僚でなくなる。
    昨日はカウンターで隣に座っていた同僚が、今日はもういない。
    医者が、医者でなかったから。

    医者は殺人者だった。人殺しだった。
    そして──
    戦争は終わっていないから。」

  • 【勘のイイ方には解るかもしれない諸々ネタバレ的なこと含む】

    漆黒のヴァイブス漂う書物。
    これに類型する作品として「フロム・ヘル」の名が挙げられているが、まさしくで、つまり、占領下の東京は――「フロム・ヘル」で描かれる――暗闇が暗闇であった時代のロンドンと同様――その禍々しさ故に――惹かれてやまない。まさしく「魔都」。


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    さて。
    ここで少し「フロム・ヘル」のことを記しておく。
    「フロム・ヘル」はじつは誤読されているケースが多い気がする。
    つまり、「フロム・ヘル」は「アラン・ムーア=サタニスト」という肩書きが「仕掛け」になっている。

    「フロム・ヘル」は「サタニズム」の勝利を描いている。
    知っている??違う。それが間違いなんだ。
    それはガル博士の勝利という意味では「無い」。
    「フロム・ヘル」における「サタニズム」とは――
    ガル博士が担っているのでは「無い」――
    「フロム・ヘル」において勝利する「サタニズム」とは――
    「サタニズムの本来の姿」つまり――
    非キリスト教の――多神教の――地母神信仰の――民間信仰の――ことなのだ。


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    では。
    「占領都市」における「仕掛け」とは。
    「占領都市」における「価値観の転覆」とは。
    「占領都市」における「帝銀事件の真犯人」とは。
    「占領都市」における「帝銀事件の真相」とは。


    -----------------------------------


    本作において語られる「帝銀事件の真犯人」はデヴィット・ピース「だからこそ」描けたものだ。
    少なくとも「我々」には描けない。
    何故なら。
    「我々」は未だその呪縛に囚われているからだ。
    そう「我々」は。
    それは無意識的に――
    いやもしかしたら「意識的」に呪縛に「囚われている」。
    未だに。そう未だになんだ――

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