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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784163758404
作品紹介・あらすじ
幼い頃に家を出て、新しい家族を持った父は晩年パーキンソン病を患い、最期は口を利くこともできずに亡くなった。遺された手紙や短歌から見えてくる、後妻家族との相剋、秘めたる恋、娘である「私」への想い。父の赤裸々な「生」を振り返ることで、生きる意味、死ぬ意味、そして、家族という形のありようが見え、物語世界に光が差し込んでくる――。
恋愛小説を中心に、濃密な心理描写で知られる作者の新境地ともいえる本作中に引かれた短歌は、亡くなられた作者の実父が実際に詠んだもの。作者の「何か不思議な力が書かせた作品で、私にとっての生涯の勝負作です」との言葉の通り、心の奥底を静かに、深く揺さぶる傑作です。
みんなの感想まとめ
家族の絆や死というテーマが深く掘り下げられた作品は、親子の関係や生きる意味について考えさせられる内容です。主人公は、父がパーキンソン病を患い、最期には言葉を失った姿を通じて、家族の形や愛のかたちを再認...
感想・レビュー・書評
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泣ける小説との事で手に取りました。読中は涙は出てきませんでしたが、読後暫くして涙が頬を伝いました。何か大きな物に覆い被された感覚でした。
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人は必ず死ぬ。
そして、子は親の人生のすべてを知ることは出来ない、親もまた子の人生のすべてを知ることは出来ない。
…などと、凡庸なことばかり思い浮かぶが、それはそうだ、死はすべての人に降り掛かる。とても凡庸だ。
胸を突かれたのは、亡くなった人の書棚に並ぶ背表紙だ。居並ぶ本は、人となりを雄弁に語る。持ち主の不在を実感させられる。
近いようで遠く、遠いようでどうしようもなく近い「家族」。 -
詳しくはわかりませんが、細かい描写などを読んでいると
これは小池真理子さんの実体験をもとに
書いてらっしゃるように感じました。
親を看取るというのは、私にもそう遠い将来ではないことかもしれなく
他人事とは思えず、ホームのロビーで頭を膝につくほど体を傾げ
ポツンと車いすに座っているお父様の描写には涙が止まりませんでした。
ただでさえお辛いことなのに、ましてやパーキンソン病などという難病
どんなにか大変だったことでしょう、何も話せなくなった御当人のことを
慮ればただただ切なくなるばかりでした。 -
「パーキンソン病」という病気を患った、主人公の父親は
全身が震えて、だんだんと話すことも文字を書くことも困難になり
最後まで自分の気持ちを伝えることができないまま、亡くなってしまいました。
亡くなる前、手紙を書いたり日記を書いたりするのに使っていたワープロが
今作に大変大きく関わってきます。
父親が亡くなったあと、娘はそのワープロを持ち帰って、保存されていたデータを
読んでいくことによって、それまで聞いたことのない自分や家族に対する想い
過去にあった秘められた恋などの存在を知って行きます。
その文書が非常に儚かったり、純粋なものであったり。
文書の部分は、ほかのところ以上に、真剣に読みました。
また、父親は短歌を詠んでいるのですが
その短歌は、実際に作者さんのお父さまが詠まれたものだそうです。
いくつか書いてあった中で、私がいちばん気に入ったのは
「プーシュキンを隠し持ちたる学徒兵を見逃せし中尉の瞳を忘れず」という短歌です。
何度も何度も繰り返し読みました。
お話に出てくる短歌も含めて、ぜひ読んでいただきたい一冊です。 -
パーキンソン病を患い亡くなった父親の遺した手紙や短歌には・・・
年を経るごとに、どんどん死というものが身近になっていくんだと感じた。
どれだけ手を尽くしても満足できないだろうし、なんだか切ない。 -
小池真理子の職人芸を見せられた気がするが、これはそれだけではない。毎日を丁寧にそしてブレずに生きていかなければ、こんな表現は出来ないのではと思った。
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これは小池真理子の新境地か?
大人の恋愛の名手が「老い」を、「死」を、語った。
実父のことなのだろう。
まさか新潟高校出身とは思わなかったが。
パーキンソンに侵される父親と認知症の母親。
自分の母とも重なり、読んでいて辛くなった。
実父は家族には縁が無い人だったのかもしれないけど、でも、幸せだったと思う。
歌人として分かり合える小松日出子さんと、恋仲であるちえこさん。
そして、衿子の存在。
遺品として見つかった生々しいブツはそれを物語っているといえよう。
そして、衿子だって。
父親に「娘をよろしく」なんて書かれて、娘冥利につきる。
読後、泣けて泣けてしかたがなかった。 -
小池真理子さんらしい 淡々とした文。自分のことなのに 第三者の目で 見てるところが ノンフィクションであって 小説になっている。父に対する愛情が 痛いほど感じた。
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誰もがトシを取る。もう何も感じていないと思っていた人にも心があるし、過去がある。凄いなぁ。
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小池真理子さま、今回も素晴らしい本でした✨(涙)
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久しぶりにどっしりと重かった。
老いを正面に見据え、
長女の宿命のような父娘の濃い間柄と、女たちとの愛憎がこれでもかと描かれており、窒息しそうであった。
老いるとは、生きるとは、愛するとは、を考えさせられた。 -
私も両親 義両親共にたくさんの人を見送ってきた。終末期の様を当人からの目線で書かれていた事は、私に後悔の念を抱かせる。
そして、68歳を迎える今、残り時間の大切さと生き方逝き方を改めてといなおしといる -
購入済み。
2021.12.25.読了。
15年前くらいに小池真理子氏の作品に出会い、その夫、藤田宜永氏の作品に出会い、大人の恋愛を描いた多くの物語を貪るように読破したものだ。
久しぶりの小池真理子さん。
晩年パーキンソン病を患い、2009年に亡くなったお父上との関わりを綴った作品。
とても良かった。引き込まれてあっという間に読了した。
また小池さんの作品を読みたいと思った。
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小池真理子さんのお父様との関係を基にした本のようですが、どの辺りまでがそうなのかは分かりません。でもそんな事関係ない位に良い本でありました。
母娘を捨て他の女性へ走った父。それでも自分への愛情は変わらず持ち続け、事ある毎に関わりを絶つことはありませんでした。が、娘はそれを冷静な目で見て、愛情という感情をついぞ持つ事は有りませんでした。
そしてパーキンソン病でまともに動けなくなった父を目の当たりにした時に、初めて愛情と言えるようなものが湧きあがり、父の死を迎え入れたことから彼の人として、男としての命の息吹を感じる事になるという本です。
親の生々しい姿というのは見たくないものですが、自分の年齢が親が親になった後の年齢を自動的に追い越していくに従って、親も人間であり一組の男女であったということが、深く胸に落ちて行きます。僕はその入口に立ったばかりですが、次第にそう思えるようになってきました。
とても重い味わいの本ですが、生きていく事の重さが少し軽くなる本でもあります。 -
2019.6.13
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こちらの言うことは理解してくれている。でも、父の考えていることはわかるようでわからない。父自身も伝えたいのに伝えられないもどかしさがある。うーん、どうにかしてあげたい。
遺品や日記から、父の考えていたことが少し見えてくるなんていいな。後になってからでも、父の周りのことを知ることができて。
素敵な父娘関係。 -
雑誌編集者の衿子の実父がパーキンソン病にかかり、話せず、歩けず、書けずの状態になった。衿子は実父がホームに入居してから父に向き合いだした。それまでは自分たちを捨てていった父との関係を無視していた。病気の父は話ができず、文字表でたどたどしく会話を続けていたが、とうとうそれもできなくなってしまった。そして父が死んだ後の遺品整理で手紙のファイルと古いワープロを家に持って帰り、自分の知らなかった父を少しずつ見出す。作者の実父をモデルにしたという。作中の短歌は尊父の作だという。自分も年を取ると老いに眼が行くし、子どもの目から見た親というものにも興味がでるものだ。
著者プロフィール
小池真理子の作品
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