藝人春秋

著者 : 水道橋博士
  • 文藝春秋 (2012年12月発売)
3.89
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163759104

作品紹介

北野武、松本人志、爆笑問題…ほか、芸人たちの濃厚な生を描き切る渾身のルポエッセイ。

藝人春秋の感想・レビュー・書評

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  • 有吉弘行氏いわく「ゲス神様」こと水道橋博士。
    その彼が「あの世」の如き芸能界を生きる十五柱もの神将たちを語った、笑いのカーマ・スートラ。

    殿・ビートたけし(北野武)はもちろん、松本人志、太田光、テリー伊藤、そのまんま東、ポール牧、石倉三郎、稲川淳二、草野仁、古館伊知郎、果ては三又又三、湯浅学、苫米地英人、堀江貴文なんて人たちまで。そして甲本ヒロトが二度も登場。
    この分類し難いパンチの効いた人選は、さながら芸能魔界紳士録と言った風情。

    なかでも甲本ヒロトがかっこいいのは当然として、意外にもと言っては失礼だが、いかにも昭和の芸人といった風のポール牧、石倉三郎、両師匠の「芸談」が男前でしびれた。
    目次を見て「なんでラストが稲川淳二?」と思ったが、読んで納得。あまりにも求道的な男の生き様に涙。
    硬軟織り交ぜた語り口で描かれる芸人達の人生に、一つとして同じものはないが、ポール牧さんが色紙に揮毫したといわれる言葉を借りるならば
    『どうらんの下に涙の喜劇人』
    これは誰しもに共通することだろう。

    その他にも立川談志、伊集院光、ピエール瀧らのエピソードもチラリ。ピンと来る人にはグッと来るメンツ。

    グイグイ読めてとても面白かったが、博士一流の愛にあふれた「お下劣」な表現とエピソードも満載なので苦手な方は要注意。

    あとがきに代えて書かれた、本物の紳士、故・児玉清さんとの逸話は貴重。氏の人柄が偲ばれるいい話だった。

  • 芸人が少ない! というのは置いといて、芸能界の異能力者たちの列伝といった趣があって楽しい。


    水道橋博士さんの番組は、かつて『博士の異常な鼎談』とかを楽しみに観ていて、その「変な人」を活かす手腕には舌を巻いたけれども、今作ではそれが文字情報になっていて、ムチャクチャなエピソードの数々が惜しげもなく披露されていてとても読み応えがあった。


    ちょっと意外だったのは、岡山出身でブルーハーツやハイロウズの甲本ヒロトと同じ中学に通っていたということで、そのエピソードはちょっと読んでて涙腺が刺激されまくりだった。心に師匠を抱えている人の話や、中学の頃は疎遠だったのが、縁によって再開して、最初はスターダムの度合いに差があったけれども、それがどんどんなくなるところとか、時代の流れみたいなところを強く感じさせられた。あと、巻末の『龍馬伝』の児玉清を観た博士の子供が言う言葉とかも、涙がどんどん出てきた。


    個人的に面白かったのは、芸人を採り上げた話よりも、テレビの周辺で蠢く「芸人ではないけれども異能の持ち主」たちの話。草野仁、ホリエモン、湯浅卓、苫米地英人、テリー伊藤のエピソードは最高すぎる。湯浅卓と苫米地英人のシンメトリーな構造とかも上手いし、テリー伊藤の情景が目に浮かぶようなテレビ業界の一人修羅場とか、読んでて笑い転げてしまった。


    湯浅卓はテレビに出ていたのを観て「胡散臭い人が出てきたな~」と思っていたけれども、希有壮大なホラ話かと思いきや、意外にバックボーンがしっかりしている人なんだな~とはじめて知った。でも、あの苫米地英人と同じことを言ってる(というのは博士の文章操作もあるだろうけれど)のを読んで、アメリカでバチバチやりあうにはこういうデカくて希有壮大な山師的発言をしてこそ、あそこでは大きな仕事を任せられるのかなぁ……と、映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』なんかを思い出した。


    でも、やっぱり採り上げられている人数が少ないかな~と思った。もっといろいろな列伝が語れるはずだし、ちょっと(章立てをはじめとして)散漫なところが垣間見られたので、この本の評判を勢いに、本腰を入れて『芸人春秋』の先の『芸人史記』や『芸人三国志』を書いてほしい。

  • 芸人本で、この迫力。
    博士のメルマガでこの本の舞台裏を読んでいたので、本を一冊、丁寧に仕上げるという努力がどれだけ大変なのか、が分かった。
    だから、一つ一つの文章の完成度はとても高い。

    各所で絶賛されている稲川さんや他芸能人の話ももちろんだが、
    やっぱりバブル(お金持ちの意味)の象徴、堀江さんと湯浅さんの話が時代とスケールの大きさと笑いを感じて好き。
    お金持ちこそ、突きぬけたお笑い感覚を持った方が見栄えがいいですね。

    また要所要所で触れられる、芸人の上下関係の厳しさ。鉄拳制裁ありありの中で、上に登りつめるということがいかに厳しく、そのプロの中のプロたちがいかに凄いのか、いうことをアメとーくプロデューサーの著書「たくらむ技術」と合わせて読んで実感。
    芸人って、凄いんだよ!

    「男の星座」よりも格闘ネタが少なくなっているので(これも時代ですね)、博士=格闘技ネタと感じている人にも安心の一冊。

  • 色んな面で、芸人って奥深い。
    バカやってるからってバカ=思慮がないって訳じゃないとは当然思っていたが、後に残る人はそれプラス、追いかける・或は求める次元の高みが違っているように感じた。

    途中途中真面目なテイストもあって、芸人なので自戒を込めて補足をされているが、なんやかんや言いながらもとても真面目で真摯な姿勢なのだろうと思う。一本通っているというか。
    稲川淳二さんの新聞の寄稿は、当時紙面で読んだが、こみ上げるものがあった。
    笑う・笑わせることの深さを感じた。

    言葉のあやで読ませる部分、今となっては語り種でもある、かつての子弟関係〜軍団の話など、素直に破天荒で面白い。

    同級生の“ヒロト”には敬語になってしまう感覚も、分かる気がする。

  • 全章にわたって計算尽くされた文章。これを文春で毎週やるのか…。大変そうだなぁ。

  • 博士が出会った芸人達を描いたエッセイ。
    実は、こんな人だったんだというのもあり、ぶっ飛んだエピソードもありで面白い。でも、なんか自己陶酔っぽい感じが引っ掛かるな・・・

  • 相変わらず達者な筆致で、スルッと読ませる。しかも、これはわざわざ「タレントが書いてます」という文体にしているところがニクい。気持ちはわかるけど「芸人」が「芸人」を掘り下げる、という気負いが重すぎで、芸人でない自分には、ちょっと鼻につくかなという点で☆3つ。芸人同志の愛を正面から受け止めたい人にはおススメ。

  • なかなか図書館には並びそうにもないし、
    装丁が大好きな福井利佐さんの切り絵だったので遅ればせながら購入。
    博士の文才、その前に人を観たり、接したりする力の高さを感じられた。
    買っといてよかったと思う。(福井利佐ワークスという意味でも。)

    それぞれの章よかったんだけど
    あとがきの児玉清さんの話が一番印象深かった。
    それとピエール瀧のメッセージ。

  • 映画『サボテン・ブラザーズ』で引かれた線、その線を意識的にか、無意識的にか飛び越えた男達を、その線の上から博士が記す。

  •  落語が好きということもあり、もともとお笑いには興味があったのですが、この本を読んでさらにこの世界を奥深さを知れた気がします。北野武、松本人志、爆笑問題……、彼ら芸人たちの生き様、価値観、等々が、水道橋博士の味のある文体で綴られている、中身のつまった一冊です。なにより、水道橋博士が「芸」というものにどれだけ人生をささげているのかが、読んでいると伝わってくるんです。すごいなあ、と思いました。芸人ってすごいなあ。

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