逃北~つかれたときは北へ逃げます

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163761305

作品紹介・あらすじ

会社を辞めようと決めた日も、30歳の誕生日も、ふいの休暇も。必ずや「北」へ向かってしまう理由と自らのルーツを探した「逃北」エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 私も東北が大好きで、旅行先ではやはりスーパーが楽しみであります。ちょいちょい共感できるとこがあり、楽しく読ませてもらいました。

  • 「北に逃げたい」という衝動=「逃北」。都会の生活に倦んだとき、北を目指したくなる。北の殺伐とした風景の中に逃げて落ち着きたいという。
    「その感覚はわからないので、きちんと説明したほうがいい」と北国出身者の編集さんに言われたとのこと。確かに、「逃北」と聞いて「ふ~ん」と思ってしまった、やはり北国出身者の私。ピンとはこないながらも、能町さんの「逃北」紀行はなかなか面白く、若かりし頃のローカル線青森紀行のエピソードはユニークだった。素朴であったかい地元人の描写とか、観察眼の鋭さよ!そして、私の故郷(岩手沿岸)も訪れていたことが嬉しかった。濃いオバチャン達(まあ、地元的にはフツー)、リアルに再現された方言(笑)さすがっす。章の終わり「…だから私は、どんな顔でこの話題を入れ込めばいいのか本当にわからない。」と震災について触れてきたとき、私も胸が締め付けられる思いだった。能町さん、是非また三鉄乗りに「逃北」して欲しい。
    北海道や新潟ときて、まさか海外「グリーンランド」まで行っちまうとは、能町さんの「逃北」もこりゃ本物だとやっと思いました。グリーンランドって、よく考えりゃどんな国か知らないのだった。観光地じゃない故、その紀行レポはとても新鮮だった。この章が一番面白かったな。行きたいかは別として(笑)グリーンランドについてもっと知りたいなと思えた。
    能町さんの父母は小樽出身とのことで、自らのルーツ探しとしての「逃北」旅を重ねていくのだが…ルーツを辿っていくと祖母は実は宮城県生まれだったということが判明。祖母の生家を探してみたり、そんなルーツ探し旅も興味深く読みました。「逃北」という名の「故郷探し」。ちょっと羨ましい気もしました。自分は両親も祖父母もまごうかたなき岩手の沿岸南部生まれだからさ~。能町さん的には「北の田舎に生まれ、都会に憧れるところからスタートしたかった」ようだが。お互いないものねだりだぜ。
    一見地味だがとても味わい深い一冊です。北国生まれの私だけど、振り返れば実は自分も意外と「逃北」旅してました(盛岡や青森)。能町さんのように、日々の慌ただしさから逃げたくて北を目指したのだった。仙台→盛岡という短距離「逃北」だが、無意識で北を選んでた。南への旅行にもすごく憧れているけど、残念ながら未だ実現せず。私も「逃北」体質か?さびれた北の魅力も捨てがたいものだと今回実感しました。

  • 日々のイラつきや鬱憤を晴らしてくれるのは北だ。北のどこかどんよりとした曇り空が能町さんを癒してくれる。
    能町さんはたびたび北へ向かうが、観光名所に訪れたりはしない。すこしさびれていて、適度に何もなくて落ち着いている北の地で生活している人を見、ここに住む自分を想像したりするのだ。

    観光地然とした場所ではなく、さびれて落ち着いた生活の場を見たいというのはつげ義春さんの旅行のモチベーションと似ているように感じた。
    そしてなんとなく理解できる気がした。まあ、自分は都心のレコード屋さんとかも大好きなんだけど。

  • グリーンランド・ヌークの会が面白かった。
    北に対する思いは共感できた!
    着眼点がおもしろかった!

  • 東北への一人旅の後に読了。北に対する感傷のような独特の感覚に共感しました。
    あーまた旅したい。

  • 北が好き。著者と同じ小樽生まれだからか、もともと北海道は好きだった。東北に行きだしたのはここ5,6年だが、東北もよい。
    夏休みに行ってもたいがい空いているのもいい。

    観光名所と呼ばれるところに行かなくてもいい。
    「わたしにとっては寂しさ自体が観光資源」
    こういう考え方もあるのだ。深く同意だ。

  • おもしろかった
    北に逃げたくなる

    逃げる先は、本来だったら故郷です。しかし私は故郷がどこなのか分からない。

  • 東北や北海道、グリーンランドなど、北の地方を旅した旅行記。能町さんは、北特有の(能町さん曰く「殺伐とした」)雰囲気に浸ることで落ち着きや元気を取り戻せるらしい。旅先では観光地に行くのではなくひたすらその土地を観察し、そこに溶け込んでいる。特にその土地の人々の観察の記録が面白くて(もちろん愛情をもった書きかた)、こんな旅行たのしそうだなあと思った。

  • 寒いのは大嫌いだが、寂れたところへ逃げたくなる気持ちは分かる。
    ルーツが東北なので、東北人の東北に対する屈折した気持ちも共感。旅は観光名所も抑えておきたいと思うけど、住んだらどんな感じなんだろう、と地元民しか用がなさそうなところも行ってみたいと思うので、面白かった。

  • グリーンランドとアイスランドがとくによかった。

    夕張、そんなに寂しかったかな?
    ホテルも綺麗だったし人もいたし。

    二股ラジウム温泉の宿泊は相当せつなかった。
    能町さんにも体験してほしい。

    私は北生まれでとくに郷土愛もないが、ほかに住んだ場所がないし、わざわざ住みたいとも思わない。というよりほかに住める感じもしない。
    そしてたぶんここに眠る。

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著者プロフィール

北海道出身、茨城県育ち。文章やイラストの仕事のほうが多い漫画家。他称好角家。雑誌やネット媒体でコラムなどの連載多数。2006年、イラストエッセイ『オカマだけどOLやってます。』(竹書房)でデビュー。著書に『くすぶれ!モテない系』(文春文庫)、『ドリカム層とモテない系』(ブックマン社)、『逃北〜つかれた時は北へ逃げます』(文春文庫)、『「能町みね子のときめきデートスポット」略して能スポ』(講談社文庫)、『雑誌の人格 2冊目』(文化出版局)、『うっかり鉄道』(幻冬者文庫)など。『「能町みね子のときめきサッカーうどんサポーター」、略して能スポ』(講談社文庫)がサッカー本大賞2017の大賞を受賞。ラジオやテレビなどでも活躍している。

「2018年 『中野の森BAND』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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