かくて老兵は消えてゆく

  • 文藝春秋 (2013年8月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784163765709

作品紹介・あらすじ

楽隠居になるはずが――どうしてこうなる?



楽隠居を目指したはずが「楽」のつかないただのばあさんになったという佐藤愛子さん。3・11以後の世相を鋭く考察したエッセイ集。

みんなの感想まとめ

人生の喜怒哀楽を独自の視点で描いたエッセイ集は、著者のユーモアと深い洞察が光ります。高齢になり、楽隠居を望んでいた著者が直面する現実や、家族とのコミカルなやり取りが、読者に笑いと共感をもたらします。特...

感想・レビュー・書評

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  • 「ゆうゆう」での連載もこれで終わりだそうだ。いよいよ愛子先生の書かれるものを読めなくなるのだろうか。なんとも寂しいなあ。

    「私の脳細胞は刻々に死滅していっているのである。 そう思うと目の前に黒い幕がするすると降りてきて、我が八十九年の人生で一度たりとも口にしたことのなかった『絶望』がむら雲のように湧き出てきて私を包囲する」 などと書いてあって、その心中を思うとやるせなく、「愛子先生!そんなことおっしゃらないで。こんなに面白いのに。わたし何回も大笑いしました。まだまだ書いてください」と声を大にして言いたくなった。

    世の中のあまりの変わりように、もはや怒る気にもならないという心境が繰り返し述べられているが、身近なところではその舌鋒は健在のようだ。娘の響子さん、孫の桃子ちゃんとのやりとりが本当におかしい。「娘と私」シリーズで親しんできた響子さんは、母とは対照的なのんびりぶりがほほえましく、また、桃子ちゃんはどこか肝の据わった感じがして「さすが佐藤愛子の孫」と思ったりする。

    桃子ちゃんが「無料だったから」と、黒髪を「砂色というか古びたパン屑色というか」「けったいな」色に染めたのを見た愛子先生、タダだからというその理由が気に入らず逆上して、怒声を雨あられのごとく浴びせたあげく、我が身を顧みて思う。
    「『実はおばあちゃんだって色んなことをしてしまってから、後で悔やんだり苦しんだことがどれだけあったか。(中略)』としみじみ語って聞かせるのがあるべき教育の姿なのだろうが、そんなことわかっていても決して『しみじみ語り』にならないところが、私の悲しき性なのだなァ」
    深く反省した愛子先生が、響子さんに桃子ちゃんの様子を訊くと、「鏡見ながらこんなことをいってるわ。『この次は思い切って金髪にしてみよかな』なんて」 やっぱり、さすが、である。

    読み終えて、裏表紙を見たら、もんぺをはき、割れ鍋をかぶり、肩からラッパを提げて大きな鉛筆を手にし、継ぎの当たった作り物の馬にまたがった愛子先生が振り返って手を振る後ろ姿の絵がのっていた。涙が出ました。

  • 【楽隠居になるはずが――どうしてこうなる?】楽隠居を目指したはずが「楽」のつかないただのばあさんになったという佐藤愛子さん。3・11以後の世相を鋭く考察したエッセイ集。

  • もうこれでおしまい!おしまい!と言われながらも
    また新刊が出るとついつい嬉しくて手に取ってしまう。
    これからも「もう怒る気力もない」とぼやきつつも
    書き続けていただけたらと願うばかり。

  • 愛子先生のナチュラルな怒りが好きなのに、現代社会はその怒りのマックスを超えてしまっている。怒りは衰えていないけれど、社会の劣化のいきおいに息切れてきているのでしょう。
    でも私は、愛子先生、まだまだ頑張って怒りの矛を収めないでくださいと言いたい。

  • 佐藤愛子先生にお会いしたいなあ。

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著者プロフィール

大正12年、大阪生まれ。甲南高等女学校卒業。昭和44年、『戦いすんで日が暮れて』で第六十一回直木賞を受賞。昭和54年、『幸福の絵』で第十八回女流文学賞を受賞。平成12年、『血脈』の完成により第四十八回菊池寛賞、平成27年、『晩鐘』で第二十五回紫式部文学賞を受賞。平成29年4月、旭日小綬章を授章。近著に、『こんな老い方もある』『こんな生き方もある』(角川新書)、『破れかぶれの幸福』(青志社)、『犬たちへの詫び状』(PHP研究所)、『九十歳。何がめでたい』(小学館)などがある。

「2018年 『新版 加納大尉夫人 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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