シチュエーションズ 「以後」をめぐって

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163769103

作品紹介・あらすじ

芸術家たちは大震災にどう向き合ったか大震災を、映画監督、写真家、演劇人、小説家はどう受け止めたか。未曾有の惨事に芸術は有効か。表現活動の最前線に相対する批評。

感想・レビュー・書評

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  • 「生き残った者、死ななかった者の罪の意識、後ろめたさ」についての考えは自分が当事者でない事象への向き合い方の参考になる。

    福島第一原発の事故については、原発を地方に押し付けてきた加害、そしてそこで作られた電気によって生活をしながら現地の危険を省みてこなかった加害。そういったシステムを支持してきた加害。事故以前から自覚的だった人がどれほどいるだろうか。私たちは無意識のうちに加害者になっている。

    原爆死没者慰霊碑の碑文に「過ちは繰返しませぬから」とある。過ちを犯した主体という意識がなければこの言葉は出て来ないだろう。
    自身の加害に無知であること、自身の加担に無関心であること、それらの代償を払うのは必ずしも自身ではないということ。だからこそ過ちは繰り返しませぬからと継続的に誓い、行動で示さなくてはいけないのだろうと思う。

  • 凄く良かった。東日本大震災という未曾有の事態にそれぞれに衝撃を受け、以後、それぞれの立場や距離から何かを成そうとしてきた表現者たち。その数多ある表現の中から特に、必ずしも「以後」に自覚的ではない作品の中に、「以後」の徴を見出そうとした批評集。挙げられている小説や演劇のほとんどが未読・未見だが、作品やインタビュー等から「以後」の徴を読み取ろうとする著者の想像力の真摯さ、深さ、優しさのようなものに感動した。そして私も私なりに相応の衝撃を受けたのに、三年半が経ち、以前とほぼ同じように日々を送っていることに驚く。

  • 【芸術家たちは大震災にどう向き合ったか】大震災を、映画監督、写真家、演劇人、小説家はどう受け止めたか。未曾有の惨事に芸術は有効か。表現活動の最前線に相対する批評。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784163769103

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著者プロフィール

佐々木 敦(ささき・あつし):1964年生まれ。思考家/批評家/文筆家。音楽レーベルHEADZ主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。芸術文化の諸領域で活動を展開。著書に『増補・決定版 ニッポンの音楽』(扶桑社文庫)、『未知との遭遇【完全版】』(星海社新書)、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶應義塾大学出版会)、『ゴダール原論』(新潮社)、『ニッポンの文学』(講談社)、小説『半睡』(書肆侃侃房)ほか多数。


「2024年 『「教授」と呼ばれた男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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