中野京子と読み解く 名画の謎 陰謀の歴史篇

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 410
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163769202

作品紹介・あらすじ

“絵で知る”歴史はこんなにも面白い!ギリシャの神々、イエスや聖人に続き、人気シリーズの第3弾のテーマは、“人間”です。古代のハンニバルから20世紀を生きたユダヤ人画家まで、過去に生きて呼吸していた実在の人間たち。彼らは、「ゼウス顔負けの好色ぶりを発揮するし、悪魔よりなおひどい悪を為すかと思えば、時に聖人もかくやの自己犠牲を厭わない。権力欲にかられ、陰謀をめぐらし、名誉のために命を賭し、恋文を書き、選挙運動でただ酒を飲む……」(「はじめに」より)。人間とはなんと興味深い生きものなのか――著者の深い眼差しと洞察で、選挙、決闘、手紙、さらには画中画や女性のバッグまで、絵に秘められた意味が解き明かされます。ターナー『吹雪、アルプスを越えるハンニバルとその軍勢』/ブリューゲル『死の勝利』/ドラローシュ『ロンドン塔の王子たち』/ラファエロ『レオ十世と二人の枢機卿』/ティツィアーノ『カール五世騎馬像』/ガウアー『エリザベス一世』/フェルメール『恋文』/ゴヤ『異端審問の法廷』/スーラ『グランド・ジャット島の日曜日の午後』/グロス『恋わずらい』など全17篇。各絵画、関連する年表や家系図、地図を掲載。画家の心境やテーマ、時代背景などに光が当てられ、味気ない歴史に血肉が与えられ、時代の息吹が甦ってきます。一芸術作品として眺めていた作品が全く違った絵に見え、歴史の面白さに引きずり込まれること必至です!

感想・レビュー・書評

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  • 面白い。面白いけれど、その他の名画の謎シリーズに比べるとなぜか勢い?が足りていない感じ?

  • 中野京子さんの本あるあるで、最後の方へ行けば行くほどあまり面白くない。

  • ギリシア神話、新旧約聖書に続くヨーロッパの歴史編。英仏伊に加えてスペイン、ロシアなども。時代も中世から近世まで…なので広く浅く、やや散漫な感じになるのは仕方ないだろう。
    大学入試の時に世界史を選択し、本当に苦手だった私がこんな本を面白がって読むようになるとは自分でも驚きである。というか、この本があの時にあればなあ、と残念な気もする。世界史で苦労している若人は、ハプスブルグ家の本も含め、中野さんの本から入るのがよろしい。ヨーロッパの歴史の大まかな流れがわかるようになる。

  • ブリューゲル「死の勝利」本の中の小さな絵より実物をじっくり見たいと思う。
    中野京子の本を読む前にブリューゲル展に行ってしまったので、残念。

    歴史の勉強にもなるが、情報量多めで頭から溢れ出しそう。

  • (2021-08-04)

  • 作品前後の年表がついてるのが良い。

  •  名画の謎シリーズは先に「旧約・新約聖書篇」「ギリシャ神話篇」を読み、本書は敬遠していた。鹿島茂「太陽王ルイ14世」で王室の権謀術数に免疫が出来て、ようやく手を出す。
     連載順ではなく、時系列順に並べてくれれば、歴史の勉強になったと思う。例えば「ロンドン塔の王子たち」の後に「エリザベス一世」が続いた方が、チューダー朝の始まりと終りが解りやすい。
     ジョージ・グロス「恋わずらい」に目を奪われ、心をつかまれた。これだけ画風が著しく違うし。
     「すべからく」を「全て」の意味で使っているのは残念である。

  • 中野京子さんの本は14冊目です。
    そこで思うこと。

    最初のころ読んだ『怖い絵』シリーズでは、まず名画があって、歴史等の解説になります。
    でも最近の『名画の謎』シリーズでは、まず伝えたい歴史事件人物があって、そのあとに名画がついてくる印象です。

    たとえば08のハンニバルですが、まず解説。簡単な地図そして参考としてナポレオンの絵が先に登場。
    ターナーの絵が登場するまでに9頁もじらされるのです。

    ターナーって今まで興味なかったけど、この絵は本物見てみたいですね!
    テートブリテンにはターナーの作品がたくさんあるそうなので、もし行けたら、ぜひじっくり見たいです。

    今まで自分のブログに絵画を貼ってきましたが、「解説を読んでから初めて絵画を見る面白さ」をこの本で知ってしまったので、今回は貼らないことにしました。

    それと、今回は一つひとつに必要な年表がついているのもグッドです。
    主人公あるいはその国、ヨーロッパあるいは世界、そして極東の島国日本の年表が三段になっています。
    面白いです。

    01 消えた少年たち ドラローシュ『ロンドン塔の王子たち』(ルーヴル美術館) 逸名画家『リチャード三世』(個人) 伝ミケル・シトウ『イングランド王ヘンリー七世』(個人)
    02 産業革命とパラソル スーラ『グランド・ジャット島の日曜日の午後』(シカゴ美術館) ヴァン・ダイク『マルケッサ・エレナ・グリマルディの肖像』(ワシントンナショナルギャラリー)
    03 甲冑のダンディズム ティツィアーノ『カール五世騎馬像』(プラド美術館)
    04 メディチ家出身のローマ教皇 ラファエロ『レオ十世と二人の枢機卿』(ウフィツィ美術館) クラナッハ『マルティン・ルターの肖像』(ウフィツィ美術館)
    05 トロイア戦争の悲劇 グレコ『ラオコーン』(ワシントンナショナルギャラリー) 『ラオコーン群像(修復前・修復後)』(ヴァチカン美術館)
    06 イタリア逃避行のゲーテ ティッシュバイン『カンパーニャのゲーテ』(シュテーデル美術館)
    07 私的通信 フェルメール『恋文』(アムステルダム国立美術館)
    08 大自然の脅威 ターナー『吹雪、アルプスを越えるハンニバルとその軍勢』(テート) ダヴィッド『サン・ベルナール峠を越えるナポレオン』(国立マルメゾン城美術館)
    09 価値の転換 デューラー『メランコリア?』(シュテーデル美術館)
    10 異端審問所の妖怪たち ゴヤ『異端審問の法廷』(王立サンフェルナンド美術アカデミー)『ロス・カプリチョス』『裸のマハ』(ともにプラド美術館)
    11 無敵艦隊 ガウアー『エリザベス一世』(ウォバーン・アビー) ソフォニスバ・アングイッソラ『フェリペ二世』(プラド美術館)
    12 あふれかえる死 ブリューゲル『死の勝利』(プラド美術館)
    13 笑うコサック レーピン『トルコのスルタンへ手紙を書くザポロージャ・コサック』(ロシア美術館)
    14 ナチス時代の恋わずらい グロス『恋わずらい』(ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館)『自殺』(テート)
    15 死にゆくピエロ ジェローム『仮面舞踏会後の決闘』(エルミタージュ美術館) アルセーヌ・トゥルーヴ『ドビュローの肖像』(カルナヴァレ博物館)
    16 奇蹟の瞬間 ベッリーニ『荒野の聖フランチェスコ』(フリック・コレクション)
    17 凶暴な選挙戦 ホガース『選挙の饗宴』『選挙運動』『投票日』『当選議員の凱旋パレード』(サー・ジョン・ソーン美術館)

    http://nagisa20080402.blog27.fc2.com/blog-entry-361.html

  • 《教員オススメ本》
    通常の配架場所:教員おすすめ図書コーナー(1階)
    請求記号:723//N39
    【選書理由・おすすめコメント】
    西洋絵画を見ても、キリスト教やギリシャ神話などに関する知識がないので、何の場面が描かれているのかさぱりわからない。そんな貴方の頼もしい指南役となる本シリーズ。とにかくわかりやすくて滅法面白い。これを読んでぜひ美術館に足を運んでください。(経済・小山真理子先生)

  • 中野京子さんの軽妙な語り口のおかけで、するする読める。絵の一枚一枚にいかに多くのメッセージが込められているかに気づかされる。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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