眠れ、悪しき子よ (下)

  • 文藝春秋 (2011年4月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784163804309

みんなの感想まとめ

独り言のような内面的な対話が描かれた作品で、読者は主人公の思考の迷宮に引き込まれます。外部とのコミュニケーションを排除し、自身の感情や思考を言葉にする過程が、まるで自分自身の独り言を追体験しているかの...

感想・レビュー・書評

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  • 「夏の流れ」を読んで以来もう一度あのような読書体験をしたいと思ってまたこの作者の本を読んでみた。前に違うものを読んだ時も感じたが、「夏の流れ」のようなものはもう書かないのかもしれない。そこは個人的な好みの問題として残念。それでも「眠れ、悪しき子よ」上下を通して、やはりこの作者は凄いと改めて感じた。

    えっと、まず読むのに忍耐は要ります笑。
    内容が、人が外部とのコミュニケーションの為に自分の思いや感情を言葉にして発する、それが文章化されている、というものではなく、完全に独り言というか、自分が自分と会話する為の、頭の中でのやり取りが文章化されているものだと思った。つまり、人がどう思うだろうかとか他人に理解してもらおうという意思がそもそもないものを文章化しているので、読み手としては「他人に伝わるようにしてやろう」という主人公・登場人物や、それを描いている作者の親切心などに頼らずに読まなければいけない。

    そして、他人の独り言を読んでいるようなものなのに、(さっき書いた事と矛盾はするようだが)これが非常に明快で分かりやすく、読んでいるうちにこれは自分の独り言を読んでいるような感覚になる。この感覚を味わった時、この作家のすごさに感動した。そして、本来は他人なんて聞いても面白くもなく、また脈絡も定かでないという性質の独り言を、ここまで明快に書けて読者を掴んで最後まで読ませられる作家はなかなかいないのではないか。

    残念ながら自分の忍耐不足故に、一語一句を丁寧に読む事を全体を通してしなかった。でも、それをしてこそ、この本のレベルに読む側が到達し、本当の意味で満喫できるのではないかと思う。死ぬほど時間がありあまった時に、これに挑戦するため再読してみようかな。ただこれをやると、もしかしたら主人公と自分が一体化してしまい、狂気に近づき過ぎてしまうかもしれない。

    イキルは怖い。でもどこまでが主人公の妄想かもわからない。それだけでなく、沈んだ車や妹の事も、全て何が現実で何がそうでないのかも分からなくなる。でもそれでいい。自分の世界にこもって繰り出す独り言って、そういうものだから。

  • 主観と描写で小説は成り立つのだと改めて感じました。
    ホントに理解することは今のボクには難しいのですが、小説の奥深さを感じることだけはできました。

  • すべて主観で書かれているので、現実がどうであるのかは分からない。あるいは、イキルの存在自体が主人公の妄想かもしれないし、すべての死の真相に主人公が関わっているのかもしれない。ほとんど空白の無い文章構成は、主人公の意識にどんどん取り込まれていくようだった。これが主人公の見た世界。善と悪、躁と鬱、二律背反の両極の間で行ったり来たりを繰り返す。そして自ら狂気を求めて突き進んでいくのだ。これが人生、これが人間だと言わんばかりに。

  • 読みづらいですが、しばらく我慢して読み進んでみて。
    怒涛の展開、悪夢のような世界が待っています。
    いつもとは違う読後感にいまだ浸っています。
    しかしこれは映像化は無さそう。
    そこがいい。

  • 語彙の豊富さ、表現の多様さ発想さだけでも圧倒。
    ミステリー要素もありながら、主観のみでこの長編が完結していることが、一番の魅力。すごい。
    段落分けのこだわりを知って鳥肌がたった。

  • 何故だか区切り良く読めると思っていたら、全てのページが2.3.5.7行の4段落で書かれていた。
    内容もさることながら、こんな謎に包まれた魅力的な本は初めて。

  • 振り回されました。

  • 良くも悪くも疲れました。

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著者プロフィール

1943年、長野県飯山市に生まれる。仙台電波高等学校卒業後、東京の商社に勤務。66年、「夏の流れ」で文學界新人賞を受賞。翌年、第56回芥川賞を史上最年少(当時)で受賞し、作家活動に入る。68年に郷里の長野県に移住後、文壇とは一線を画した独自の創作活動を続ける。主な作品に『雨のドラゴン』『ときめきに死す』『月に泣く』『水の家族』『千日の瑠璃』『争いの樹の下で』ほか多数。また、趣味として始めた作庭は次第にその範疇を越えて創作に欠かせないものとなり、庭づくりを題材にした写真と文章をまとめた本も多い。また、2020年に「いぬわし書房」を設立し、長編小説『ブラック・ハイビスカス』(全4巻) を、23年、『風死す』(全4巻) を刊行。出版活動のほか〈丸山健二塾&オンラインサロン〉や〈丸山健二文学賞〉なども運営している。

「2024年 『言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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