真夏の方程式

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 7558
感想 : 1072
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163805801

作品紹介・あらすじ

夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった少年・恭平。仕事で訪れた湯川も、その宿に滞在することを決めた。翌朝、もう一人の宿泊客が変死体で見つかった。その男は定年退職した元警視庁の刑事だという。彼はなぜ、この美しい海を誇る町にやって来たのか…。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは-。

感想・レビュー・書評

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  • 夏休み、多忙な両親の都合で、叔父の経営する旅館で過ごすことになった小学生の恭平は、玻璃ヶ浦へ向かう電車の中で湯川に出会う。
    湯川は海底鉱物資源開発の説明会に出席するために玻璃ヶ浦に滞在することとなっており、恭平の親戚の旅館に宿泊する。
    そんな中、宿泊客の塚原正次という男性が行方不明となり、翌朝海辺で変死体となって発見された。
    塚原が玻璃ヶ浦に来た理由と、16年前に発生した殺人事件との関係。そして、塚原の死の真相とはどのようにつながるのか…

    湯川さんって、こんな人だっけ(笑)
    ガリレオシリーズは、たぶん2~3冊しか読んだことがないのだけれど、湯川先生はすっかり福山さんぽく格好いい人物描写になっていた。
    偏屈の嫌味な人だったのが、ちょっと角がとれ、むしろ隠れ人情派ともいえるような優しさを垣間見させ…。
    恭平相手に、科学の面白さを実験を通して教える様子なんかは、微笑ましかった。

    「ねえ、科学の研究なんて楽しい?」
    「この上なくね。君は科学の楽しさを知らないだけだ。この世は謎に満ちあふれている。ほんの些細な謎であっても、それを自分の力で解明できた時の歓びは、ほかの何物にもかえがたい。」
    こんな先生がいたら、今頃私も理系の道に進んでいたかも?!(うそです)

    以下、ネタバレ含みます。

    一見関係がなさそうな、二つの事件のつながりが見えてくるところにこの本の面白さがある。相変わらず、伏線の散りばめ方は巧妙で、しかもその回収は手際よい。

    ただ、読後感は悪かった。
    誰にでも触れてほしくない過去がある。
    真相を暴くことが常に正義とは限らない。
    かといって、明らかに、塚原さんを殺すだけの動機が弱いと思うのだけれど。
    自分の大切な人を守るため、なんていうと聞こえはいいけれど、
    そのために他の人の人生を奪っていいのか?
    罪のない子どもに、自分の罪を背負わせていいのか?
    何の正当性もない行為なのにこんな嘘がまかり通って罰せられない…、
    被害者からしたら浮かばれない話です。
    家族愛でごまかさないでほしいと、読後沸々と怒りがわいてきました。

  • 子供の質問は
    ちょっと哲学的だな、と思う。

    それは
    心の深部で眠る、
    (人ってどうして生まれてきたの?
     生きてゆくってどういうこと?)
    すべてはこの謎を解く手掛かり、
    で、ある様な気さえするのだが。

    >どうして勉強しなくちゃいけないの?

    >どうして人にバカって言っちゃいけないの?

    >どうして野菜を食べなきゃいけないの?

    ちっちゃなニーチェが次々ぶつけてくる質問に、
    私は模範的な答えしか出してやらなかったなぁ~

    本当に聞きたい答えはそうじゃなかった。

    本当に聞きたかった答え、って…。

    湯川教授は、
    確か、子供が苦手だと思っていたが、
    今作品での
    少年との関わり方は理想的だった。
    湯川に深い信頼を寄せている少年が、
    彼と交わした会話は、まるで禅問答の様に面白く、
    同じ所を何度も読み返してしまった程だ。

    で、推理のほうは?と言えば
    恨み辛みのホツレが無かったので、ほどくのが難しく、
    容疑者Xの献身的事件だなぁ、と感じた。(切なかったです…)

  • テレビ、映画のイメージがあるので、想像しながらスラスラと読めました。
    ストーリー性はまずまずでしたが、以前の「容疑者Xの献身」が良くできすぎていたので、それほどの感動はありませんでした。
    それにしても湯川博士(映画・ドラマでは福山雅治が演じている)がかっこいい。
    あのくどさがとてもいい。。
    あんな風になりたいなぁ と思いながら読みました。

  • ミステリーとしても面白いけれど、人間ドラマ的な要素も強く、読み応えがあった。
    複雑に絡んだ人間関係が原因で殺人が起きてしまうが、そこに彼を関わらせるという発想がすごい。

  • 東野圭吾の作品を最近はよく読む。
    構成が良く、展開が面白いので。

    この作品は、ガリレオシリーズの6番目になるようだ。

  • 近親者に同名の男の子がいて、彼がキーマンなんだろうなーと読み進め結果を知って切ない気分。映画も気になるなー。湯川先生を福山雅治で読む事が出来ました。

  • 探偵ガリレオのシリーズ。

    玻璃ヶ浦という海辺の田舎町。
    小学5年の恭平は、両親が忙しい時期、伯母一家の営む緑岩荘に預けられることになった。
    往きの電車でたまたま一緒になった男・湯川学は、意外にも緑岩荘に泊まることになる。

    川畑成実は、恭平よりは20才近く上の従姉。
    海底鉱物資源開発の説明会に参加しようとしていた。
    玻璃ヶ浦の沖合に希少金属が埋まっているらしい。
    玻璃のように美しい海底を持ち、観光で売ろうとしたが上手くいかず、もはや寂れかけた町では、歓迎ムードのほうが強い。
    自然保護の立場の活動をしている成実は、仲間と共に反対派としての出席だ。
    湯川は専門家として出席していて、賛成でも反対でもない。

    泊まり客の男性が行方不明となり、崖から転落しているのが発見される。
    事故で片付きそうになるが、少しずつ不審な点が…
    その人物は元警官で、かって逮捕した後に気にかけていた様子だった人間がその地の出身だった。
    過去に何があったのか…?

    恭平という男の子を「こんな偏屈な小学生を久しぶりに見た」と言い、何かと実験して見せたり、飽きずに相手をする湯川。
    恭平がどこか、湯川の子どもの頃に似ているんじゃないのかな。
    「容疑者Xの献身」の事件の後の、湯川の心境をうかがわせるシーンも。
    面白く読めましたが、今ひとつ後味が良くないような…
    罪と罰の問題が、無理もないと思わせるほど書き込まれていないせいか?
    恭平君との関わりは微笑ましく、力強い最後のひと言も素敵です。

  • 2019(R1)7.25〜8.22

    『ガリレオ』シリーズの1つ。

    とある海辺の町に起きた変死事件が、過去の殺人事件とつながり、2人の「子ども」の人生を揺さぶり、大人たちは彼らを必死で守ろうとする。
    だから、“ガリレオ”も悩む。

  • 面白かった。ガリレオシリーズを読んだのは初めてだけれど、福山雅治さんを思い浮かべることもなく、まっさらな気持ちで読めた。
    この本を読む限りでは、湯川教授が子供嫌いだという情報は入って来ない。最初から子供を子供扱いせずに対等に話す(しかし子供への慈愛は余りある)湯川教授に好感が持てる。

  • 夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。翌朝、もう1人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは―。
    「BOOK」データベース より

    湯川先生がこの宿に泊まらなかったら真相は闇の中だったのだろう.
    想いの強さというのは、人それぞれなのだ.何を大切にするかも人それぞれなのだ.選択の後もまた、それぞれの想いが去来し、それぞれ消化するのだ.
    湯川先生は今作もまた、ステキだった.

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

「2022年 『希望の糸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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