心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163806709

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物のお文、お吉、いなみ、茜、きい、みんなさっぱりと竹を割ったようなわかりやすそうな性格に描かれているのに、今回主役の伊与太は煮え切らないわかりにくい感じに描かれているのが面白い。

    きい、小平太が過去味わった辛い仕打ち、さとが家を飛び出してきた経緯、亡くなった女の恵まれない人生、ほかにもつらい出来事とそれを乗り越えてきたエピソードがいくつも披露される。兄弟子の嫌がらせで絵師の師匠の元を飛び出してきた伊与太は、師匠の元に帰ることを決心する。

  • L 10 髪結い伊三次捕物余話
    伊三次の捕物余話だってのに、完全な代替り。お文の啖呵も今や懐かしい。龍之進は町娘のきい(徳江)と祝言。不破家の中間松助は十手を預かって御用聞きとなり、伊三次の女中おふさと祝言。新キャラ佐登里。利発なイイこは松助夫婦の養子に。伊三次の息子、伊与太は芝の修業先を出て一時的に不破家の中間となり人相書に協力。龍之進の妹茜は縁談を断り大名屋敷へ奥の警護のため女中奉公にあがる。茜が不破家を去ると同時に絵師の修業に戻る伊与太。茜は伊与太を想い泣く。

    うーん。伊三次かむばーっく!

  • 久々の髪結いシリーズ。
    次世代となり、またまた人情ややるせなさをしんみりと
    感じさせてくれた。
    …しかし、久しぶりのせいか「きいちゃん」が嫁に来たいきさつを
    忘れてしまったよ~~orz
    また読み返さないとな~(苦笑)

  • 伊三次余話シリーズ
    不破の息子の嫁の話が良いですね
    地味になりつつあるシリーズに、ポイントが
    できつつあるかも

  • お話は、伊三次から伊与太に移りましたね。

  • 伊三治シリーズではあるが、もはや主役は伊三治ではなくなっており、息子の伊与太であったり、龍之進であったり、茜であったり、次世代に完全移行。

    このシリーズ、俺的には伊三治と文の恋物語が好きだったので、ちょっと残念な気がするが、こっちはこっちでオモロいものである。子供やと思ってたら、その子供に説教されたり、巣立って行ったり、結婚したり…近い将来、俺がこれから経験するであろう事を、宇江佐さんの文章で読んでいるのは実に幸せな読書時間である。

    捕物「余話」、まさに余話であり、実は余話ってのが実に味わい深いのである。人情市井物ってのは、やっぱり良いものだ。

  • 人間がいい感じ。
    すいすい読んでしまう。

  • 髪結い伊三次シリーズ10巻。一気に世代交代が進み、伊三次の息子伊与太が絵師修行、幼馴染不破家茜は、別式女に奉公に上がる。幼い頃からお転婆な、茜の切ない恋心が、伊与太に届きよかった。

  • 不破龍之進の妻になった「きい」のキャラが滅法いい。親でさえ手を焼くあの茜をして,ついに「兄上ときいさんのような夫婦になりたい」,と言わせてしまうところがすごい。
    このきいの目から見た周りの人々,特に舅の友之進がまたいい。

    うじうじと悩む伊三次やそれを一刀両断してしまうお文は相変わらずで,それはそれでよいのでは。

  • 髪結い伊佐次捕物余話~髪結い伊佐次の出入りする八丁堀同心・不破家の息子の嫁になるきいは鳶の父親が火事場で死に,母親が弟・小十郎も残して家を出てしまってから親戚を盥回しにされ,弟が同心・笹岡家に養子に入るついでに養女となったが,養母のいじめで伯父夫婦の裏店に戻ったが,不破龍之進に心を寄せていたのが実ったのだった。祝言前日は新郎が捕り物で徹夜,新婦も眠れず,神前では居眠りする始末だった。龍乃進の妹・茜は剣術好きで鬼小町とも呼ばれるが,きいの武家の嫁らしからぬ言動に苦言を呈するが,伊佐次の息子の伊与太が一緒にいると幼馴染みという気安さから,言動が柔らかくなる。その伊与太は芝の歌川派の絵師の許で修行をしているはずが,青痣を作って家に帰ってきた。伊佐次が師匠を訪問すると,兄弟子といちゃもんを起こして飛び出したのだが,謝罪すれば戻っても良いと師匠は言っている。伊与太は不破家の中間・松助が伊佐次の女中・ふさと一緒になって御用聞きを始めると聞き,不破家の中間となって絵の腕を人相描きに活かしたいと奉公を始める。伊佐次の妻である芸者・文が座敷からの帰りに拾ってきた6歳の男の子・さとは銚子の寺を出て,芸者をしている母を探しに来たのだと告げ,母捜しを始めるが,父親は伊与太が似顔を描いた暗闇の二つ名を持つ元絵師の盗賊らしい。寺から連れ戻しの僧侶がやってきて必死に抵抗するさとの姿を見て,岡っ引きの松助が引き取ると宣言する。伊与太がきいやさとの話を聞いて,師匠の許に戻るタイミングを計っている最中,縁談を断った茜は蝦夷松前藩の下屋敷の別式女の奉公を受けると,伊与太は師匠の許に帰るが,二人の恋心は燃えていた~なるほど,余話であって,捕り物は主でない。同心が町屋の娘を嫁に迎え,孤児が養子として引き取られ,武家の娘は町屋の男との恋の成就に身を焦がす,というのが主なる話

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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