WANTED!!かい人21面相

著者 : 赤染晶子
  • 文藝春秋 (2011年8月発売)
2.36
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163807409

作品紹介

昭和最大のミステリー、グリコ・森永事件。その指名手配の絵、キツネ目の男が、事件から数年たった今も、わたし達をおびやかす。じゅうたん工場で働く女工たちの文字に託した思いを描く「恋もみじ」。家を出た奥さんになりかわった偽物の綾小路夫人の純情を描く「少女煙草」。破天荒な世界観とユーモアで紡ぐ、表題作ほか二篇。

WANTED!!かい人21面相の感想・レビュー・書評

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  • 赤染さんの小説は相当、変わっています。
    まず登場人物が変わっています。
    フツウの人は、まず出てきません。
    普通なら笑うところで怒ったり、悲しむところで笑ったりしています。
    お話も変わっています。
    変わっているというか、あまり進みません。
    進まないなと思っていたら、急にギアがトップに入ったりするから油断ならない。
    文章も変わっています。
    ぶつぶつ切ります。
    主語と述語だけの文章がしばしば連続します。
    でも、それが独特のリズムを生み、読み手を幻惑します。
    はっきり云いましょう。
    赤染さんの小説は、ついていけません。
    ついていけないのは分かっているのに、必死に食らいつきます。
    何故なら、すっかり中毒しているから。
    ところが、スルリと身をかわされます。
    赤染さんの著作を読んでいると、そんな感覚に陥ります。
    本書の表題作「WANTED!!かい人21面相」だって相当、変わっています。
    まず、タイトルからして変わっています。
    最近の純文学作品のタイトルは変わったものが多いですが、その中でも筆頭格ではないでしょうか。
    主人公の「わたし」は高校2年生。
    親友の楓といつも一緒です。
    2人がまだ小学生だったころ、グリコ・森永事件が起きます。
    犯人グループ「かい人21面相」のキツネ目の男を探すのに夢中になったりします。
    高校2年生になっても、キツネ目の男は2人の心を捉えます。
    2人はバトン部でした。
    負けん気の滅法強い楓は、闘争心剥き出しで「センター」を取りに行きます。
    センターを努める響子先輩にも強気で接します。
    たとえばこんな感じ。
    □□□
    「あほの楓、おはよう」
    響子先輩は根性が悪い。
    「あほの響子先輩、おはよう」
    楓も負けてはいない。二人とも同じレベルだ。
    □□□
    もう、この4行を読むだけでも笑える、おかしい。
    そこへバトン部の顧問、鬼頭先生(キツネ目の男に似ている)がやって来ます。
    「あほの諸君、おはよう」
    鬼頭先生は横暴で、常に竹刀を持って部員を怒鳴り散らします。
    ところが、楓は鬼頭先生にまで食ってかかります。
    □□□
    「くそじじぃ!!」
    突然、楓は鬼頭に暴言を吐く。
    「だ、誰がじゃ!」
    鬼頭も一瞬たじろぐ。楓が鬼頭に「くそじじぃ」と言うのは入部以来これで十一回目だ。わたしはずっと数えている。
    □□□
    楓に限らず、赤染さんの小説に出て来る人物たちは、まず空気を読まない。
    空気を読むことを頑なに拒否する気配があります。
    現代社会にあって、大変に新鮮なことです。
    物語は、バトン部での出来事がコミカルに描かれ、進行していきます。
    特に、練習でミスをした「わたし」が罰としてグラウンドでマズルカステップを繰り返す様は滑稽で、笑えます、笑います。
    終盤には、「かい人21面相」から終結宣言が出されたことに触れ、楓が部活を辞めて、物語は割と唐突に終わります。
    かい人21面相にとらわれた彼女たちの青春が終わったのです。
    じゅうたん工場で働く女工たちを描いた「恋もみじ」、家を出た綾小路夫人に成り代わった家政婦の純愛を描いた「少女煙草」も収録。
    今回も「赤染ワールド」に真っ赤に染められました。

  • この人の本は、まえに『うつつ・うつら』を読んだ。なんだかおかしな話だったなあという印象が残っている。去年は「乙女の密告」という作で、芥川賞をとりはった(受賞作は、『文藝春秋』に載ったのを図書館で読んだ)。

    久しぶりに図書館の「新着一覧」をぱらぱらとみていたら、この人の新しい本があったので借りてみた。タイトルは、児童読みもの系か?と思えるが、いちおう大人用のラベルで913(小説)がついている。

    表題作は、もちろんグリコ・森永事件の「かい人21面相」あるいは「キツネ目の男」を下敷きにしている。といっても、高村薫の『レディ・ジョーカー』みたいな小説ではない。赤染晶子の書く話は、事件から数年たって高校2年生になっている「わたし」と同級生の「楓」を中心にすすむ。

    キャラメルのことをいまだに「森永」と言う楓、ちょっと変わった子だった楓。その楓に「わたし」はいつも金魚の糞のようについてまわっていたのだが、いつのころからか、ついていけなくなってきた。

    高校で2人はバトン部にいる。楓は、1年からレギュラーで、センターのポジション争いをするくらいだった。そして楓は、バトン部の顧問である鬼頭に向かって「ふん! かい人21面相のくせに!」と言い放つ。なぜか楓は鬼頭が「かい人21面相」であると信じていて、警察に通報までするのだ。

    「わたし」は万年補欠で、補欠はグラウンドで「マズルカステップ」の練習しなければならない。20人以上の補欠部員が、ずらりと並んで延々とマズルカステップをする。その光景は「春になると、全ての部活の新入部員がお腹を抱えてげらげら笑う」ようなものだった。たぶん表紙のイラストにあるセーラー服のふたりはマズルカステップを踏んでいるのだろう。赤染の筆によれば、それは「土俵入りの力士のような動作」だという。

    何が何だかわからないが、おかしな勢いがある。読んでいて笑ってしまったりする。

    他の2篇、絨毯工場で働くもみじ女工やうぐいす女工の話を書いた「恋もみじ」と、ニセ綾小路夫人となって暮らしてきたいも子を書いた「少女煙草」は、ますますわけのわからなさが募る。短く、たたみかけるような地の文の勢いのせいか、カッコで括られた会話文が関西弁で書かれているせいか、いったい何の話なのか、それもよくわからないのに、おかしい。

    (9/14了)

  • 全く意味が分からない。面白くない。

  • 「WANTED!!かい人21面相」
    あの憎ったらしいバトン部顧問のおっさんこそ
    グリコ・森永事件の「きつね目の男」に違いない
    そんな親友の決めつけに、主人公は決定的な否をつきつける
    熱心な阪神ファンの顧問が、巨人のキャップをかぶり
    甲子園球場近くのスーパーに毒入り菓子を仕掛けるなんて
    考えられない話だと…
    などといったことから友情は歪んでいき
    幼い頃喪失した記憶の真実がよみがえってくる
    ロマンに満ちた時代をどうしても忘れられない思春期の少女たち
    そんなわかりやすい話ではなかった
    大人か子供かなんて関係ない、わたしはわたしになるのだという
    作者から提示されたテーマは
    珍妙なタイトルで台無しになった感も否めないけれど

    「恋もみじ」
    「この人 悪い人」というメッセージを書き残して失踪した女工
    いったい彼女に何があったのか
    残された女工たちは謎に怯えつつも憧れ
    いつしかそのメッセージを我が物にしたいと願うようになる
    長岡京の未解決事件は無関係です、たぶん…

    「少女煙草」
    実家に帰ってしまった綾小路夫人の代理で
    綾小路夫人のふりをずっと続けてきた家政婦の女
    彼女は、三人称のような一人称という奇妙な文体を語りながら
    寝たきりの旦那をいいかげんに世話したり
    本物の夫人が残していった家財道具を質屋に運んだり
    そうやって日々を繰り返しつつ
    綾小路家から連れ出してくれる男の登場を待っているのだ
    それが現れたときこそ「わたし」は綾小路夫人の呪縛から逃れ
    まともな一人称の世界に解放されるのだろう
    しかしもう若くはない

  • なんつーかミステリーでもなく、青春でもなく形容に困る、寺山修司から思想抜いたみたい

  • 昭和最大のミステリー、グリコ・森永事件。
    その指名手配の絵、キツネ目の男が、事件から数年たった今も、わたし達をおびやかす。
    じゅうたん工場で働く女工たちの文字に託した思いを描く「恋もみじ」。
    家を出た奥さんになりかわった偽物の綾小路夫人の純情を描く「少女煙草」。
    破天荒な世界観とユーモアで紡ぐ、表題作ほか二篇。
    (アマゾンより引用)

    すっごい期待外れ(;・д・)
    表紙とタイトル見て面白そうと思ったのに、全然意味が分からんやった(`ε´)

  • 表題作のタイトルに惹かれて読んでみたが、青春小説?として一応読めたのはそれだけ。あとは現代詩もどきの散文で、正直どんな読者がこういうのを喜ぶのか、想像もつかない。

  • 表題作を含む3編収録。表題作の着想は好きなんだけどよく理解できず…。残り2編もなかなか頭に入ってこず楽しめないまま斜め読み。『乙女の密告』はぐいぐい読めたんだけどなぁ…。2011/535

  • なんかよく分かんない。西加奈子をもっとややこしくしたみたいなイメージ。
    グリコ・森永事件、なんてのがあったんだ。

  • 3つの話からなる短編集。
    赤染さんの本に出てくる人はみんな関西弁で関西住みの私にはしっくり来ます(笑)
    相変わらずの赤染さんテンポ。よくわからないけど好き。

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