007 白紙委任状

制作 : 池田 真紀子 
  • 文藝春秋
3.72
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本棚登録 : 617
レビュー : 128
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163809403

作品紹介・あらすじ

50年以上にわたって冒険小説のヒーローであり続けたジェームズ・ボンド、暗号名007。その新たな冒険行を、リンカーン・ライム・シリーズなどで知られるサスペンスの巨匠ディーヴァーが手がけたのが本書です。舞台を現在に移し、秘密兵器を開発するQ課が製作した特殊スマートフォンとワルサーPPSを手に、9.11後の世界を駆け回るボンド。スタイリッシュなボンドの言動に彩られたスピーディな展開というボンドものらしいストーリーに、"ドンデン返しの魔術師"ディーヴァーらしい巧妙なプロットが仕掛けられています。

感想・レビュー・書評

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  • いやースゴい。この組み合わせが面白くない訳がない。でも正直なところ、どちらかというと静のイメージのあるディーヴァーが007?と当初は疑問を持ったが序盤からその思いは覆される。

    序盤はスパイのくせして世界中で派手に暴れ回るボンドを一時的にイギリス国内に閉じ込めることで、様々な縛りを設けてサスペンスとしての緊張を高めることに成功している。その反動で後半のイキイキとしたボンドに繋がる構成は巧みである。ボンドは確りアクションしているし、何よりネクロフィリアのハントの描写はディーヴァーならでは。そしてちゃんとお得意のドンデン返しも用意されている。

    何より驚いたのはボンド・カーとして(!?)インプのWRX STIが出てきたのには驚いた。映画「ワイルド・スピード」シリーズでもそうだが、日本の優れた車が海外の作品に登場するのは嬉しいことだ。

    それにしても相変わらずのボリューム。ハードカバー約450Pで2段て。。。でもそんなのを感じるさせないほど引き込まれること必至。BGMに映画版007のサントラを聴きながら読むとますます良し。是非、映画化希望!

  • 「ボーンコレクター」から始まったリンカーン・ライムシリーズなどで、現在もスリリングで高水準のミステリーを書き続けているJ・ディーヴァ。
    彼が、至難と思われた007の新作を書くということで、大いなる期待で読み始める。

    序盤は、現代に甦えらせたジェームズ・ボンドの設定を描かなければいけないため、説明的な文章が多いが、徐々に調子が出てくる。

    彼を取り巻く美女たちが、次々に登場
    ボンドシリーズらしいぞ!

    そして現代の IT機器を駆使して、ボンドが大活躍
    幾層にも張り巡らされた罠と陰謀
    意外な展開は、さすがJ・ディーヴァ!

    ただ、最後を捻ろうとするあまり、意外な犯人のプロフィールには深みがなかったように思える。

    しかし、ボンドの両親の死の真相も含めて、次回作があることを望む。

  • 「一九五三年にイアン・フレミングが生み出した世界一有名なキャラクターを、数百万の読者を失望させることなく現代に蘇らせること」。訳者あとがきによれば、それがフレミング財団がディーヴァーに課したミッションであったという。ではミッションは失敗だったと言わざるを得ない。最大の失敗はジェームズ・ボンドのキャラクター描写にある。全442ページの272ページ目にして、ようやく最初のラブ・アフェアが出てくるなんて、そんな007はいないだろう。ジェームズ・ボンドは享楽的で、女に手が早くて、敵には容赦なく引き金を引く。この小説のジェームズ・ボンドは明らかに内省的、自制的だ。つまらん。目まぐるしいほどの場面転換の速さ、どんでん返しの鮮やかさがディーヴァーの身上であるはずだが、こちらの切れも今ひとつ。ディーヴァーほどの名手にして、「007」の看板は重いということなのだろうか。期待が大きかっただけに、失望もまた大きい。

  • あのリンカーン・ライムシリーズのジェフリー・ディーヴァーが、あの007ジェームズ・ボンドを書くとどうなるのか?

    テロ・廃棄物処理・リサイクル・アフリカの飢餓問題・・・現代のスパイ作品として読むと、ディーヴァーお得意のどんでん返しで面白いのだけれど、007でなければならなかったのか?と疑問。
    007シリーズは映画でしか見ていないけれど、映画のジェームズ・ボンドとちょっとイメージが違ったりして、どうしても比べて読んでしまう。ガチガチに出来上がったジェームズ・ボンドのイメージで主人公を動かすよりも、新しいキャラクターで作品を進めた方がよかったのではないだろうか。

    ジェームズ・ボンドの両親とその死についてもちょっとだけ語られていて、次回作をにおわせる。

    面白いのだけれど、もっと面白く読ませることができたのになぁ・・・と思ってしまった作品。
    007シリーズの大ファンなら、もっと突っ込めて、違った面白さを見つけることができるのかしら?

  • ■ 1294.
    2012/8/25~2012/9/17

  • 007といえばやっぱり映画のイメージが強くて(1)ボンドのファッション(2)アクション(車も含めて)(3)ボンドガール(4)特殊武器がついつい見入ってしまうのだけれど、この21世紀のボンドは映画では観れない小説独特の世界に入っていると思う。
    (1)ボンドの相変わらずの頭脳明晰さ(2)車への変な愛着(3)英雄色を好む(4)特殊武器(5)脅威の変化。特に特殊武器はスマートフォンが大幅に活用されデジタル化が進むけれども、やっぱり(1)(2)(3)のアナログ感を逆に色強く鮮明にしている。
    廃棄される重要情報を集めるゲヘナ計画という脅威、他の人が見過ごしてしまいがちな情報をもとに推理を構築するボンド。お互いの立場は善玉と悪玉だが、アプローチの仕方は同じ。アクションシーンの表現がつたないというけれども、これは小説なのだからそんなことより、ボンドのアクション以外の他の人間としての魅力をたっぷりと教えてくれる。ボリュームはあるけれども一度読み始めればもうそこは007の世界。あっという間に読み終えてしまった。
    本当は★5をあげたいんだけれど、もう少しファッションに踏み込んで欲しかったので★4つ。ただ食事とワインに関しては著者の知識が豊富で、その知識をもう少し服に持っていってくれたらもっと深くボンドの魅力を知れたかもしれないと思うとちょっと残念。
    細部に目をやれば切が無いけれども、新しい007をこれまでの世界を大切にしながらも作り出すこの世界観はスパイ小説が好きなら読んで損は無い一冊だと思う。ミーハーな本かと思って読んだら良い意味で裏切られる良著です。

  • すぐにでも映画化できそうだ
    ダニエル・クレイグのイメージとは
    ちょっとちがうかなあ

    ジェフリー・ディーヴァーは
    悪党を創造するのがうまい

    死体の処理を請け負い
    シュレッダーから情報を読み取る廃棄物処理業者
    飢餓ブローカー

  • おもしろかった。思ったより軽い感じ。

  • ジェームズ・ボンドのオリジナルがほとんど刷り込まれていない自分としては、自然に読めた。ボンドのキャラも割とディヴァーの世界観にフィットしていたのでないかと思う。

    微妙にうさんくさい人物だらけで誰がどんな形で本性を偽っているのかわからないところがスパイ小説としてにくい。表面的には信じているような描写でも、行間には腹の探り合いが潜んでいる。その雰囲気の醸し出し方がまさにディヴァーならでは。

    ただ、オチの流れはなんとなくどこかでみたパターン。そこの部分についてはネタぎれ感を感じた。それでも十分おもしろいのではあるが。

  • 21世紀に蘇ったNewボンドの肩書きは、英国企業の海外進出や投資を支援する政府機関ODGのセキュリティ・アナリスト。ODGは9.11同時多発テロを受けてMが新設した情報機関で、MI5やMI6と連携し国内外で特殊工作を行っている。
    タイトルにもなっている白紙委任状とは、海外においてのボンドの権限。お役所的縄張り争いのため、ODGはイギリス国内では管轄権を持たない。
    イギリス国内での大規模テロを匂わせるメールを傍受したボンドは、その待ち合わせ場所であるセルビアに向かう。メールの送信者を事前に捕まえることができれば、テロ計画の詳細をつきとめ、未然に防ぐことができるかもしれない。だが、その男は巧みにボンドの追跡を逃れ、イギリス国内に戻ってきた。ボンドのミッション上の権限、白紙委任状が唯一及ばない国内に。

    ディーヴァーらしい癖の強いキャラクターが光る。
    黄ばんだ爪を長く延ばした悪役セヴェラン・ハントは、「世界で一番リッチなくず屋」。廃棄物処理業者の彼は死と衰亡に魅入られている。65歳のガールフレンドの目尻に新しい皺ができるのを喜びをもって見つめ、化粧することを許ず、その衰えた肌を昼間の光にさらさせてセックスを楽しむ。

    今回のボンドガールも二人だ。南アで飢餓対策のNGOの代表をしている魅力的な女性フェリシティ・ウィリングと南ア警察のベッカ・ジョルダーン警部。ジョルダーン警部は、生来の生真面目さとボンドが初対面のとき好色な目でみたことも手伝って、彼に対し無愛想で冷たくさえある。フェリシティはWillingという名の通り、”意欲に満ちている”。
    二人とも一筋縄ではいかないが、これは読んでのお楽しみ。

    セルビア、ドバイ、南アフリカとグローバル化した現代のふさわしく舞台は移動を続け、ストーリーはスピードをもってうねり、急展開する。ディーヴァーなので、もちろんどんでん返しも勿論あり。
    日本語版では前作にあたるキャサリン・ダンス シリーズの『ロードサイド・クロス』でも、ネット社会の闇を描きだしたが、今回はゴミ問題とアフリカの飢餓問題を取り上げる。つい先日世界の人口は71億を突破し、食料危機が話題にのぼったばかりだが、この時代感はさすがディーヴァーだと思う。

    ディーヴァーのミステリとしては、あの「007という制約」がある分、辛い点がつけられるかもしれない。
    だが、エンタメ性は抜群なのではないだろうか。
    新しいカクテルも、Qによるガジェットも楽しい。
    http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-153.html

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