地下の鳩

  • 文藝春秋 (2011年12月9日発売)
3.13
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784163810607

みんなの感想まとめ

テーマは、人間の内面に潜む暗さや葛藤を描いた物語です。著者が初めて夜の世界を舞台にした本作では、登場人物たちの複雑な感情がリアルに描かれ、読者に深い考察を促します。彼らの苦悩や不安定さは普遍的なもので...

感想・レビュー・書評

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  • 大阪・ミナミ、夜の街。イキり癖のある客引きの男 吉田、雌雄眼の痩せたチーママ みさを、沖縄出身のゴツいオカマ ミミィ。自身も飲み屋でアルバイトしていた西加奈子さんらしく、実在しそうなキャラクター描写。

    平和の象徴とされ、狩られる心配もなく人に慣れ、俯瞰するように赤い瞳を瞬かせる鳩。なんとなく昔から苦手なこの鳥。

    憧れないタイプの恋愛小説だったが、ミミィ視点の「タイムカプセル」分で星ひとつオマケ。

  • 地下の鳩よりもタイムカプセルの方が良かった。何とも感想が難しい。

  • 西加奈子さんが初の夜の世界を描いた作品ということで、どんなものかワクワクしながら読み始めた。
    これまで、西さんはどんな人も肯定的に捉えられる方だと思っていたが、本作を読んで誰よりも良い面を見つけられる分誰よりも悪い部分にも気づいてしまうのではないだろうかと思った。
    西さんの作品を読んでいて、始めて人を悪く捉える描写が占めている作品だったけれど、でもどの言葉も自分にも刺さるような指摘で、考えさせられた。
    物語も面白く、暗く苦しいような感覚を感じながらも共感し、最終的には出てくる人物を好きとも言えないが嫌いにはなれないような、不思議な読了感。登場人物の誰かを猛烈に憎いと思ったりしないで終われるのは、やはり西さんの力か。
    出てくる言葉出てくる言葉が、メモに残したいように心を揺さぶられた。でも多すぎて拾いきれない。
    なんだろう、ギュッとした。素敵な作品だった。

  • 大阪の場末に生きる人々。若い頃のちゃちな栄光だけを頼りに年老いてゆく吉田のプライドも、深く思考できないみさをの不安定な心も、閉鎖的な島で育ち苛め抜かれたミミィの失えない記憶も、私たちの中にも少なからずあるはず。例えぬくぬくと平穏に暮らしていても、彼らを理解できない人間にはなりたくないと思いました。多くを失った彼らには今後も辛い生活が待っているだろうけど、見つけた小さな希望を大切に生きて欲しい。場末の仄かな人情と、突き抜けた後ろ暗い明るさが、逆に悲しい物語でした。

  • 大阪・ミナミの夜の街がベースの二編。本編は、"華やかな世界"にドップリと嵌まる男女の恋愛模様。子供と母性と不器用さをあわせ持つ吉田とみさをは路上の鳩の様…。もう一編のミミイは空中から地上の人間観察に長けた鳩を振る舞っていたのだが、いきなり地に降り立った様な結末…。"小さいときの傷"…読む側にも思い起こさせる一語一句が次々に刺さってくる。

  • なんなんだ、なんなんだ、この生活感のディープさは。
    この著者の略歴は目にしたこともあるので年齢も知っているし、第一、作家の勝負は作品のみと信じ、常日頃経歴など気にかけないで読むことにしているのだけれど。
    それなのに、この人は一体何歳なんだ、どういう暮しをしてきたんだ…と思ってしまう。
    なんで、こんなおやじの会話や、夜の店の世界や、どこかはじかれた者たちの感覚がここまで描けるのか。

    中上健次を連想する。「軽蔑」や「鳩どもの家」を思い出してしまう。
    虚勢を張って、猥雑で、カッコ付けで、でも優しくて。弱さを抱えながら。向上心とか前向きとかそういう言葉には無関係で、小さなつながりにすがる、なんとか生きながらえる。

    吉田とみさをの「地下の鳩」1本ではなく、ミミィの「タイムカプセル」を併せて1冊にしたことは成功だ。完結している感じがする。

    ミミィかっこいい!と思うシーンあり。

  • 後半の「タイムカプセル」の方が良い。

  • 西加奈子さんの作品はすべて読んでますが、また違った西加奈子さんに触れられた。以下、ネタバレ含みます。

    大阪で夜の仕事をする男女の物語。昔はモテた、暴力的だったとイキリのある吉田。左右の目の大きさが違い素朴っぽさをだしたそれっぽくないみさを。そして巨漢だが心は女のゲイバーで働くリリィ。
    前編地下の鳩では吉田とみさをの目線で物語が進む。だらだらと交際と呼べるかわからないものを続けるふたり。みさをには一銭も出させたくない吉田が、もう金がないと涙したところはぐっときた。リリィの暴力事件に巻き込まれ目を怪我した吉田。ゲップをしたみさををみたくない。恥かかせたみさをが嫌いだ、みさをを嫌いになりたくない、いや、もう嫌いだと葛藤している吉田は可愛い。そしてあんなによく食べていたみさをが吐き続ける。それでもよく食べよく吐く。だがふっくらしていた、という記述をみてみさを妊娠したのかなと思ったんだけどどうだろう。どうおもう?
    最後、『でも吉田は、みさをのことが、まだ好きだった』がいい。そこで終わらせるのもいいよ。
    そして後編はリリィの目線で物語は進んでく。虐められていた過去。自分の立ち位置、相手がなにを求めてるかを読み取るうまさが切ない。タテノを刺したときのリリィが切ない。あの怒りが、怖さが、切ない。怖いくらいに。

  • ミミイさん応援します(*_*)

    ミミイさんのお店に飲みに行ってみたーい

  • 闇を抱えて生きる、夜の街。
    それぞれの想いがとても重くて、
    それぞれの過去がとても哀しい。
    それでも、生きるんですよね。
    強がって、いきがって、嘘ついて、生きていく。
    その姿に、じんわりと胸が痛くなりました。

  • 大阪に生きる夜に働く人のお話。
    全体を通して暗さを纏った印象。著者の作風からすると珍しいのかなと。
    恋愛も人の印象も互いにズレが生じるものだと。それ込みで愛せるようになること。
    読了させてもらいました。

  • 青森はまだ寒いっスw

    ってな事で西加奈子の「地下の鳩」

    地下の鳩とタイムカプセルの繋がった内容の2編集。

    地下の鳩では、キャバレーの呼び込みをやってる吉田と左右の目の大きさが違う素人っぽいがチーママみさをの二人の排他的じゃが、何か愛おしい二人の話。

    タイムカプセルでは、地下の鳩から続くオカマのミミィの過去とのトラウマを描く切ない感じ…。 ⁡
    ⁡⁡
    ⁡ミミィがマツコ・デラックスと何故か被ってしまうw

    西加奈子の描く心情心理が何か好きんよなぁ♪

    2015年23冊目

  • 図書館で手に取った。
    二本立てって何となく珍しい。
    大阪の人の本ばかり読んでいる気がする。心地良いんだな、何となく。
    大阪・場末の三人の物語。1はそれぞれに乾きをもった男女。2はすごく良くて、沖縄(奄美?)の海を見ているようだった。一気に読んだ。

  • 地下の鳩 星1 タイムカプセル 星4
    地下の鳩の二人はちっとも二人が好きになれない。気持ちが一ミリも寄り添う事が出来ない。暗い話といえばそれまでだが、だからなんなの?気持ちの良く無いお話。
    タイムカプセルはミミィさんの切ない再生の物語。いい終わり方だった。

  • 西加奈子先生の本が好きなので読んでみましたが、かなり暗くわたしには読みづらい本だった。
    でもその中でもユーモアや人間臭さが西加奈子先生らしいなと感じた。

  • 過去の自分と今の自分

    過去の自分を乗り越えたのか?
    過去の自分あっての今なのか?

    懸命に向き合いながら
    いや目をそらしながら
    生きていく

  • 久々の西加奈子。「窓の魚」好きからすると、これこれ感。暗くて、みっともなくて、でも目が離せなくて。きらきら、とも違うけど、確かな生を感じて。ありきたりな話と違って共感する人生ではないけど、この人生をちょっと歩んでみたい気もする。
    表題よりもタイムカプセルの方に星4つ。

  • 表題作にも登場したオカマのママ目線の「タイムカプセル」がほの暗い鮮烈さで良かった。彼女の生きて来た世界の残酷さも、殊更に強調はされず淡々と描かれていて、オカマの人の軽い陽の部分だけでないところが胸に迫った。表題作は吉田が憎み切れなかった。みさをの吐きながらの過食に、読み方として間違っていると思いながらも爽快さを感じてしまったりもした。表題作は特にこれまでに読んだ西さん作品のユニークなイメージが鳴りを潜めているようだった。二作品共、重苦しいけれど読んでいて負担にならない加減で、ざくざくと進んだ。

  • 54:西さんの作品は、すごい好きなのとよくわからないのと、大きく二つに分けられるのですが、今回はよくわからない方でした。
    わからないわけではないけど、「きりこについて」や「炎上する君」「漁港の肉子ちゃん」みたいな熱烈なパワーのようなものを感じなくて。パワーはたぶん、見えないところでどんどん流れているのでしょうけれど。
    どちらかといえば、表題作よりもミミィが主人公の「タイムカプセル」の方がわかりやすくて好きでした。

  • 夜の街に疎いからか
    あまり感情移入もできなく
    読み進めることができなかった

    2作目の「タイムカプセル」のほうがおもしろかったかな。
    ミミィさんのお店に行ってみたい

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著者プロフィール

1977年、テヘラン生まれ。2004年、『あおい』でデビュー。07年、『通天閣』で織田作之助賞を、13年、『ふくわらい』で河合隼雄賞を、15年、『サラバ! 』で直木賞をそれぞれ受賞。その他の作品に『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』など多数。

「2018年 『おまじない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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