かなたの子

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163811000

感想・レビュー・書評

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  • 「世にも奇妙な物語」的な短編集。どれもとても引き込まれるのだけど、と思ったら終わってしまうのが惜しいー。やはり私は長編向きなよう。

  • 他人には話さない(話せない)ような、人間の薄暗い根っこの部分に焦点を当てた8篇の短編集。

    「とりかえしのつかないこと」を背負って生きていく。

    どれも、薄気味悪くて気持ちのいい話ではない。
    でも、人に説明し辛い、心の中のあやふやなものや、自分でも確信を持てないような不確かなものや、動揺といった感情が、便乗感溢れる文章でリアルに再現されてて、角田光代さんただただ凄い。

    ただの言い伝えだったり、占いだったり、思想だったり、それがまやかしだと頭のどこかで判っていても、本当にその通りなのではないかと錯覚してしまう。
    何が真実なのか、事実なのか、ただの思い込みなのか、分からなくなる感覚。

    読んでて理由の分からない涙がこぼれてしまうのは、私も前世のどこかで母親に「殺められた子」なのだろうか。なんて思ってしまうほどだった。

    「道理」とか「前世」とか「輪廻」とか、きっと一生答えの出ない世界。

  • 「おみちゆき」「闇の梯子」「道理」「かなたの子」など8編の短編。
    なんだろう。
    なんか、なかなか読み進められなかった。
    どの話も少し宗教ちっくで精神世界的で。
    一番心に残ったのは「わたしとわたしではない女」。
    「わたし」は認知症なのか。
    頭がはっきりしたり、ぼうっとしたり。
    いつも「あの女」が見える。
    それは母のお腹の中で死んだ双子の妹。
    自分を生かすために死んだ妹。
    きっと心に重く沈んでいたのか。
    そして孫が子供を産む。
    その孫が若いころ堕胎したことがあるという。
    子供が産まれるのと同時に「あの女」は消え、悟る。
    「今母親に抱かれている命、これを真に産んだのは生きることのかなわなかった多くのいのちではないか。
    いつも他者に生をゆずってきた、無数の誰か。
    その先に、今、この赤ん坊はいるのではないか。」

    深い、深いです。
    女性なら、子供をお腹に宿したことのある
    女性なら理解できるのではないかと思う。

  • 恒川光太郎の世界を彷彿とさせる作品。
    力量としては恒川さん以上だろうけど。
    角田さん、ジャンルも広がってどんどんうまくなってる。

  • 「生まれなかった」子供たちをめぐる短編集。
    巧い。でも、やはり、角田光代は長編をたっぷり読みたい。

  • 2024.3.29 読了


    短編集ですが、どうやら2話ずつ 相対してる、
    というか なんとなく似ている話というか、
    全然 別の話なのですが。

    どの話も なんかこう モヤモヤするというか
    気持ち悪いというか 変わった話というか。。。

    でも 気になって読んでしまう、というような。



  • ちょっとこわい。

  • 人それぞれが持つ過去の闇から抜け出そうと思いもがくそれぞれの短編集
    内容が重いだけに読み進めるのに時間がかかったー
    角田さんの表現力に改めて凄さを感じた
    WOWOWの連ドラで映像化されていたとは
    知らなかった
    再放送して欲しいなー

  • 女性が描く、自分の意思でものを思考し自分の足で社会ち踏み出す力を得ていない女性って、残酷なくらい切ないのはなんで?
    どれも辛いけど、「前世」は特にしんどい。

  • 短編集。それぞれ不思議な世界で謎に包まれたまま終わる話が多かった。知りたいことが明かされないまま終わる良さと、もやもやが残るのと半分ずつ。時代設定が少し前の話や母子の関係の話も多かったかな?

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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