プリティが多すぎる

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 790
レビュー : 169
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163811208

作品紹介・あらすじ

「なんで俺がこんな仕事を!」女の子雑誌で孤軍奮闘する新米編集者の爽快お仕事小説。

感想・レビュー・書評

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  • 思いがけずローティーン向けの雑誌に配属された男性社員の1年間の奮闘記。
    少女モデルの世界を垣間見る面白さも。

    若い編集者・新見が不満たらたらなのが成長していくのは、予想できるけど~
    成長が遅いので、ちょっとねえ‥時々、突っ込みたくなります。
    ミスすれば大慌てで奔走し反省するし、まあ若気の至り?

    新見佳孝は、入社2年。
    大学時代はマスコミを研究するサークルで努力を重ね、第一志望の名門出版社・千石社の正社員となり、「週間千石」で2年。
    仕事は雑用でも、最前線で働き、もともと志望している文芸にいずれは行けるものと思っていた。
    ところが、配属先は「ピピン」‥女子中学生向きの雑誌で、まったく良さが理解できないキラキラひらひらした安っぽいもので溢れる表紙と内容にげんなりする新見。
    しかも、編集部は別な社屋。行ってみると編集長と自分以外は皆、女性ばかりの契約社員。
    新見の企画は通らず、どんな店を出してもつぶれるだろうと手厳しく言われてしまう。
    だんだんと仕事は覚えていくのだが‥

    少女モデルはオーディションで選ばれ、1万数千人を超える応募がある。
    写真を見ていてもくらくらするほどの量だという‥確かに。
    写真だけではわからない良さや可能性が、面接や二次面接でやっと出てきたりして、ベテランはそれを見抜くというのが、面白い。
    アイドルの成長する様や人気投票などに今の時代、慣れているから、けっこうわかる気もします。

    モデルになっても、人気ははっきりランク付けされる厳しさが。
    現場でも、仕事内容に差はつく。
    どんなときも和気藹々とした現場に新見はやや驚くのだが、それは撮影を無事に終えなければならない真剣な場だからなのよね~。
    少女達のほうがよほどしっかりしているような‥

    新見のミスで、人気モデルの進路が変わってしまったと悩むことになる。
    いや~ミスだけのせいでもないし、こういう岐路は次々にあるはずで。
    広告代理店の動きも、面白かったです。

    かわいいものを選ぶセンスを身につけるには、男性は1年じゃとても足りないでしょうね。
    でも出来ること、やるべきこと、はある。
    多くの違う才能を持つ人が真剣にかかわって、やっと出来上がっていく雑誌‥
    仕事と本気で取り組むことで、初めて面白さがあると気づく新見。
    真理ですよね。

  • 「ばかな子ほどかわいい」とはよく言ったもので。。。

    文芸部門志望だった新見くんが
    「プリティ」があふれるティーンズ雑誌編集部に配属され、
    フリフリの服やキラキラのグッズに毒づき、自分の不運を呪いながら
    亀より遅い、と言ったら亀も激怒しそうなペースで
    今いる場所で、今やるべき仕事を誠意をもってやり遂げる、
    そのことの尊さに気づくまでの1年を
    ハラハラ気を揉みながら、まるで母のように見守ってしまう1冊。

    終盤登場する、注目の若手女流作家 水科さんが
    ローティーンの頃、チープでふわふわした「ピピン」に救われたように
    その時、その人にとって大切なものって千差万別で、
    それが難しい文学だろうが、470円の雑誌だろうが
    ベートーヴェンだろうが、Jポップだろうが、アニソンだろうが、
    誰にもばかにしたり貶めたりする権利はないのです。

    くまさん柄の小さなポーチひとつにも
    それを手に取った少女の瞳を輝かせるために
    大勢の大人がアイデアを絞り、走り回った背景が確かにあって
    自分の価値観と相容れないものをにべもなく否定することは
    それに関わったすべての人を否定するということ。

    否定してばかりのネガネガ編集者だった新見くんが
    そう悟って小さな一歩を踏み出す姿に
    「よしよし♪」してあげたくなります。

    • takanatsuさん
      こんにちは。takanatsuと申します。
      私の拙いレビュにコメント頂きありがとうございます。

      私もまろんさんの本棚を見ていて読みた...
      こんにちは。takanatsuと申します。
      私の拙いレビュにコメント頂きありがとうございます。

      私もまろんさんの本棚を見ていて読みたい本がたくさん見つかったので、これから頑張って読みたいと思います!

      『プリティが多すぎる』は既読なのですが、まろんさんのレビュを読んでまた読みたくなりました。
      「それに関わったすべての人を否定するということ。」という言葉はぐさっと突き刺さりました。
      本当にその通りだと思います。
      私にはまだまだ新見くんとの修行が必要かもしれません。


      これからも既読、未読に関わらず、まろんさんのレビュを参考にさせて頂きたいと思っていますのでよろしくお願い致します。
      2012/06/06
    • まろんさん
      takanatsuさん、こちらこそコメントありがとうございます。感激です!

      メカ音痴の私は、スマホもPCもうまく使いこなせていないので
      昨...
      takanatsuさん、こちらこそコメントありがとうございます。感激です!

      メカ音痴の私は、スマホもPCもうまく使いこなせていないので
      昨日から必死に、「読みたい本リスト」を書きつけた手帳に
      takanatsuさんの本棚から、読みたい本をせっせと書き写していたのですが
      ついに書き込むスペースがなくなってしまって、
      手帳のサイズを大きいものに変更しようとしているところです。
      読みたい本がふえて、なんだか遠足の前みたいにわくわくしています♪
      2012/06/07
  • 私も昔読んだあの雑誌は、こんな努力の上に作られていたのか、と。
    南吉くんがだんだん熱心になっていく姿が素敵。若い女の子たちの複雑な心も素敵。
    雑誌の裏側が書かれているのも純粋に面白かった。

  • 文芸志望の将来有望編集マンが、ある日突然ローティーン向けファッション雑誌に転向させられた!
    いやぁ…深い。自分も昔、南吉君とほぼほぼ同じ苦境に立たされたことがあり、ローティーン向けファッション雑誌、のパワフルネスに圧倒された記憶があるからひとしおだ。
    リアルな描写に引き込まれ、南吉君の苦悩が手に取るようにわかった。
    働くステージは常に自分の望むものとは限らない。けれどそんな場所でも腐らず真摯に、如何に「プロフェッショナル」でいられるか。
    本気で動けば何かが変わる。職業に貴賤はなくて、いつでもどこでも「本気」が問われる。
    勇気とほんの少しのほろ苦さをくれた、そんな物語でした。

  • 気になっていた作家さんのひとり、はじめて読みました。

    お仕事ものをしてはちょっとゆるいし、かといって10代向けでもないようで、どこがいちばん書きたかったのかよく分からなかったな。
    でもそれぞれに共感するところや微笑ましく思うところがあり、自分の過去を顧みるとこの歳になりなんか達観した気になります。やだなーもう。

    娘が表紙を見て「すごいかわいー」といい、それを見ながら真似して絵を描いていました。
    なんかピンクのハートがいっぱいの。
    まだローティーンにも程遠いですが、ピピン読者の素地を十分に備えているようです。
    毛嫌いせずに理解するように努めないと。
    そこにもその年頃の必死さや貴重さがあるんだものね。

    さらりと楽しめたので他も読んでみようかな。

  • 望んでない部署に配属された主人公が、ミスして1人の女の子の未来を奪って、やっと気合い入った…みたいな感じ。何だかすっきりしないなぁ(´・ω・`)

  • 願って老舗の大手出版社『千石社』に入社し2年。『週間千石』の編集部から、新見が異動した先は、なんと<女の子はPが好き>がキャッチフレーズのローティーン向けファッション雑誌『ピピン』の編集部だった。
    まったく良さがわからないキラキラでゴテゴテで安っぽいアイテムや誌面に鼻じろみ、仕事だからとソツなくこなそうとはするものの、どうしても雑誌作りに意欲がもてない新見が、ピピモと呼ばれる十代前半のモデルの子達や、「かわいい」に精根尽き果てるまで取り組んでいる編集部員と関わっていく上で少しずつ仕事に対しての捉えかたが変わっていくお仕事小説だ。
    枝葉をとってしまえば王道パターンの話なんだけれど、テーマに据えたのがローティーン向け雑誌、というのが面白い。これがまたハイティーンだったら面白さが半減してしまっただろうな、と思うと、目の付け所が違うなぁと思う。
    新見が遭遇するトラブルもどこか出版業界、というかファッション雑誌業界の裏話めいたようなナルホドと思わされるものが多く、楽しんだ。
    読んでいて、小学生の頃同じクラスだった、芸能活動をしていた女の子を思い出した。確かに可愛い顔をした子だったけど、結局子役としては芽が出ず、その後活躍したという話も聞かない。どこかクラスの中で浮いてしまっている子だったけれど、あのとき、彼女はどんな気持ちで活動をしていたんだろう、とふと思う。

  • 文芸誌志望なのに、どういうわけかローティーン誌「ピピン」に配属された新米編集者の新見くん。
    キラキラ、ふわふわ、ハートにリボンにピンク…の世界は、とてもじゃないけどやってられない、自分がやりたいことはこんなことじゃない、とウンザリしながらスタートするわけであるが。

    どんな仕事も、やってみなければ本当のところはわからない。外から見るのと、実際にやってみるのは大違い。
    大変さキツさもそうだけれど、その楽しさもやりがいも。

    お仕事小説であると同時に、そと見と実際の溝を埋めていくギャップ小説でもある。
    新米編集者の成長小説でもあり、と同時に、仕事の楽しさと、人気や実力の有無といった厳しさにさらされるローティーンモデルの女の子たちの成長小説でもある。

    撮影の雰囲気やオーディションの経過、モデルさんはもちろん彼女らの回りを囲むスタイリストやカメラマンや事務所や広告代理店や…と、普段知ることのないお仕事の様子を垣間見ることが出来るのは楽しい。
    登場人物もキャラがしっかり描き分けられ、しっかりドタバタしてくれる。

    中でも、「ピピンが私の友だちでした」という人が出てくるあたり、書店シリーズでデビューした大崎さんらしい、本(雑誌)への愛情も忘れずこめられているように思うのは、うがち過ぎだろうか。

  • この一冊を読むと、女の子がもっと好きになれる気がします。

    女の子雑誌「ピピン」に配属された新米編集者・新見佳孝。いやいやながらも仕事を続けていたが、周囲の編集者やカメラマン、モデルの少女たちと共に奮闘するうちに、自分に足りない部分を見つけ出して行く――。

    とにかく、モデルの女の子たちがかわいくて、健気で、明るくて、たくましい。ローティーン向けの冊子なので中学生から高校一年生までという少女たちです。彼女たちがでてきた瞬間、どろどろの喧嘩に発展するかなーと想像していましたが、そんな予想をはるかに越えて、彼女たちはプロでした。
    周囲の空気を盛り上げ、他のモデルと仲良く、そして苦しくてもモデルとして素敵な表情をつくりあげてみせる。子供と呼ばれる年齢でありながら、思い通りにならない人気や仕事への感情をぐっと押しこめて笑うのです。こんな姿を見せられて、彼女たちのどこを嫌えというのか(反語)。

    どんな仕事にも、そこに全力を注ぎこむ大人たちがいます。主人公が最初、馬鹿らしいと一笑に付したピピンの編集部にも。
    本気で取り組まないと見えてこないものがある。彼が最後に語った言葉が、じわりと胸に広がりました。

  • (No.12-13) お仕事小説です。

    『新見佳孝は名門と言われる老舗の出版社「千石社」に入社、狭き門を突破し本当に嬉しかった。初めての配属先は日本を代表する週刊誌「週刊千石」編集部。これは良くあることで、ここで先輩たちの雑用をして裏方として働き2年、次の移動先に胸を膨らませていた。文芸部門への希望を出していて、感触は悪くなかったはず。が・・・申し渡されたのは想像もしていなかった雑誌「ピピン」編集部だった。名門にして大手の我社がこんな雑誌を出していたなんて失念していた、そこになぜ自分が行かなくてはいけないのか?

    今日から出勤するピピンの編集部は、本館でなく昔建てられ今は寂れた別館にあった。入って挨拶すると「男の子なんだ」「大丈夫?」「まあいいか、だめならだめで、上のえらいさんにでも言って早めに替えてもらってよ」とあからさまな落胆の声。編集長以外は全員女性。なんなんだ、我慢して来たのに、向こうからそんなことを言われるなんて。』

    これは青年の成長物語ですが、出版社の裏事情が透けて見える話でもあります。
    「ピピン」はローティーンの女の子向け月刊誌。ピピモと呼ばれる読者モデルが活躍するファッション誌です。これを大手出版社が出しているのですが、実は編集部に社員は編集長と今度配属された新見の二人だけしかいないのです。
    新見は都合で急遽移動せざるをえなかった女性社員の後釜です。副編集長さえ契約社員。「給料の分だけはしっかり働いてね」など言われてしまう新見ですが、そう言いたくなる編集部の女性たちの気持ちが分かります。とりあえず会社とのパイプ役の編集長は我慢するとして、前の女性社員は戦力になっていたのに今度の「男の子」はほとんどお荷物じゃないの。正社員だから給料は高いはずなのに。
    女性たちが心配したように、新見は次から次へとミスをやらかします。この業界のことを知っていたらやらなかったミス、もっと気をつけていたら避けられたミス。女の子の雑誌なんてと内心バカにしていた新見は、一生懸命に駆け回りミスを修復し、雑誌に貢献しようと頑張るようになります。つまりけっこう優秀な社員なんですよ、彼は。何の知識もなく放りこまれた部署で、それなりにやっていけるほどに。

    これは小説ですが、多分かなり本当に近いことが描かれているんだろうなと感じて、いろんなことを想像(妄想ともいう)しました。
    出版社の端っこの方で、ほとんどが契約社員で作られている雑誌。でも何人かは正社員を配属する必要があるでしょう。一人は編集長。あと一人、優秀だけれど経験が不足しているのを配置するのは、そこに置いて育てようとしているんだと思う。いかにその雑誌を軽視しているかってことですね。その雑誌に賭けている人がたくさんいるってのに。新見の前の社員は女性でした。正社員としてとったけれど、若い女の子だからとそこに押し込まれたのかも。彼女も自力で頑張ったのかな。

    根が優秀な新見は、ミスを犯しても何とかそれを償って大事にいたらないようにやってきましたが、ものすごいポカをやってしまいます。
    ダークな展開になりましたが、辛うじて少し上向きに終わったので救われた気持ちになれました。

    やたらポップな表紙ですが、そこにいる新見の顔は内容を良く表していると思いました。

    いろいろな題材で書いている大崎さんですが、本関連のものが私は好きです。
    中でも出版に関わるものが気に入っていて、これはある雑誌編集部の話。
    今までほとんど知らなかった分野の雑誌なので、その辺のいろいろも教えてもらって満足できました。

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著者プロフィール

大崎 梢(おおさき こずえ) 
東京都生まれ、神奈川県在住。10年以上の書店員経験がある。2006年、書店で起こる小さな謎を描いた連作短編集『配達あかずきん』でデビューし、以降「成風堂書店事件メモ」としてシリーズ化、代表作となる。ほか、「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」、「天才探偵Sen」のシリーズがある。
原宿を舞台にエリート出版社員が原宿系ファッション誌担当となるコメディお仕事小説、『プリティが多すぎる』が2018年10月ドラマ化される。カンヌでワールドプレミア開催&アジア各国で同時期放送が決まり、新たな代表作となった。

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