地層捜査

著者 :
  • 文藝春秋
3.33
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本棚登録 : 407
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163811505

作品紹介・あらすじ

公訴時効の廃止を受けて再捜査となった15年前の老女殺人事件。当時の捜査本部はバブル期の土地トラブルに目を向け、元刑事・加納もその線を辿ろうとするが、謹慎明けの刑事・水戸部は、かつて荒木町の芸妓だった老女の「過去」に目を向ける-。

感想・レビュー・書評

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  • <あらすじ>
    公訴時効の廃止を受けて再捜査となった15年前の老女殺人事件。当時の捜査本部はバブル期の土地トラブルに目を向け、元刑事・加納もその線を辿ろうとするが、謹慎明けの刑事・水戸部は、かつて荒木町の芸妓だった老女の「過去」に目を向ける―。

    内容はコールドケースと同じかな。
    新しくシリーズ化されるのだろうか?

  •  佐々木譲は、警察小説に活路を見出し、今や、次々と個性的な警察官を世に送り出している。『うたう警官(文庫化時なぜかスウェーデンの名作シリーズの雄編と同じ『笑う警官』に改題)』では、道警裏金問題を内部から抉る正義の警察官たちの一団を描き、『制服捜査』では道警裏金不祥事の煽りを食って十勝の駐在警察官になった元刑事の活躍を描く。『廃墟に乞う』では心的外傷後ストレス障害を煩っている休職中の刑事の活躍を。そして本書ではまた新たなアイディアへの取り組みを見せるのである。

     本書は、今流行りと言っていいだろう、コールドケースを扱う特別捜査官の活躍を描く。殺人の時効が廃止されたこと、科学捜査の進歩による再捜査の意味が認められていることから、過去の未解決犯罪を掘り起こして再捜査するチームがここに出現する。正直なところもう少し主人公の境遇にパンチが欲しかったのだが、とりあえず上司に逆らって謹慎中であるという反骨の刑事・水戸部を主人公に据えているところが佐々木譲らしい。

     こちらの舞台は、四谷荒木町。かつての花街に起こった古い事件を調査するのは、謹慎から復帰させられた水戸部刑事と、かつてその事件を捜査した加納という退職刑事との二人だけ。警察という組織が形だけとりつくろったような捜査部門作りである。そうした組織に対して、個が意地を見せるというのも、何となく佐々木譲の構図である。西部劇スタイルの蝦夷荒野節を唸るこの作家の正義感の面目躍如たる設定で物語は走り出す。

     過去の事件を掘り起こす捜査をどう描くかというところが小説の要となる部分であると思うが、毎日の水戸部と加納のやりとり、業務分担してゆきながら、お互いの性格や度量を測ってゆく様子などが、男の世界という空気で、なかなかに人間臭く、興味深い。荒木町に生きる人々の精一杯の様子が、街の歴史を掘り起こすことによって描かれるあたりも実にいい。

     加納の動きが最後にはこの物語の肝になるのだが、最後までこの加納という老刑事と若い水戸部との人間臭い交流や距離感が本書の読ませどころとなって、なかなかに渋く、そして哀感溢れる情緒的な作品となっている。『地層捜査』という不思議なタイトルがいつの間にかこの捜査にしっくり合って見えてくるのも、この小説の視点、切口など、個性的で新鮮であるところに結局は落ち着いてゆくのか。

     シリーズとしてどう定着させるかは、難しいところだと思うが、北海道警察小説の雄と見られる傍ら、この作家は警官三部作で東京を背景に傑作を書いてもいる。是非とも期待したいところである。

  • 四ツ谷荒木町を舞台とした、推理もの。
    町の様子が浮かんでくるような、細かい描写。
    すっかり、荒木町を訪ねているかのような気分でした。

  • #読了。新宿区荒木町でおきた15年前の殺人事件を、不祥事を起こしたため特命捜査対策室に異動となった水戸部が再捜査することに。荒木町というところが、昔の花街として栄えた地域であったため、それらを通じての街や人間模様の描写が多い。現代ミステリーとしてというより、時代モノを読んでいるような感じにさせられた。

  • 公訴時効の廃止により、15年も前の殺人事件を再調査することに。
    今あるのは、再開発で、変わってしまった町。
    調査報告書を読み込み、改めて聞き込みをしていくうちに、当時の状況が浮かび上がってくる。
    最初はやや読みにくかったものの、後半は一気に読めた。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-2881.html

  • 四谷、荒木町、盆地の底、弁天池

  • これほど町の歴史と地形が絡んだ推理小説ってないんじゃないかな?高低差学会とかスリバチ学会が好きな方は、地図と地形図、それと町の写真を見ながら読むべき(「荒木町」で検索すればすぐ出ます)。ドラマ化するなら加納役はタモリしかない。

  • やたら土地の詳細描写が多い、でもそこまでおおすじには関係ない。
    ちょっと捜査が地味すぎるし、警官が遭遇した事件を、何十年も前のもで小さなやつを全部記憶してるなんて考えられないが、実際どうなのかな。
    あえてこういうシリーズを作ったならまあいいんでしょうけど、盛り上がりにかけるのは事実。

  • 代官山コールドケースが気になっていたので先に購入。
    相談役の人情もわかるけど自分は水戸を足にしてメインじゃない事件掘り返したのに本来の問題の事件の犯人への態度はなんだかなあ…。

  • 捜査1課所属だった水戸部の事件

    杉原を殺した犯人を上げろと。

    水戸部と同期は、中島。
    また出た中島。

    佐々木は、事件の現場重視。

    地理にこだわる。詳細説明有。
    それも、現在と多少違う15年前の現場の様子。

    まぁ、おもしろかった。

  • 時効撤廃を受けて設立された「特命捜査対策室」。
    たった一人の捜査員・水戸部は退職刑事を相棒に未解決事件の深層へ切り込んでゆく。

  • 佐々木譲氏の得意とする警察もの。
    時効が無くなり、いつまでも犯人を追い続けることが出来るようになったが、
    流石に効率性の問題もあり、いつまでも捜査本部を設置し続けることは出来ない。
    そんな中ふとしたきっかけで再捜査をすることとなり、
    たまたま干されていた刑事に白羽の矢が。
    定年を迎え相談役という立場の元刑事とともに事件解決に取り組む。
    地主であった元置屋の女主人が殺された事件であるが、
    戦後の混乱の時代、バブル時代、地上げが横行した時代と
    歴史を掘り下げて、解決へと繋げる。
    アンテナを張っておかないと気づかない繋がりが事件解決の糸口に。
    なかなか興味深いお話でした。

  • 未解決で終わった事件を、上司のキャリアに逆らい謹慎となった警視庁若手の刑事が、送り込まれた新しい部署で探索を繰り返し事実を掘り起こしていく地味な作品。相方となる所轄を定年した相談員とのやり取り・聞き取り関係者が余りにも多く把握しにくく昨夜は読書中珍しく寝落ち…。事件当時の捜査で掴めなかった事実を、過去から掘り起こすという「地層捜査」タイトルと内容は結ぶつくが、内容は他の作品では短い報告で済まされる事が、詳しく書かれているだけでミステリー感もなく、未解決事件+αは解決したのだが読み終えてため息。

  • 捕物帖は、江戸情緒を描く季の文学というが、警察ものは東京風俗を描く地理の文学。荒木町を訪れてみたくなった。

  • 相変わらずの佐々木節。警官の矜持や罪に対する市井の思いやら。郭の風景が浮かぶ。荒木町の地図を片手に、読了。ちゃんと実在する場所なんだから地図をつけてくれたらよかったのに、と佐々木作品に限らずいつも思う。お願いしますよ、出版社さん。

  • 他の作品に比べると物足りない感じがした。街の有力者から、自分が疑われている15年前の殺人事件の真犯人を再捜査してほしいと警察署長へ話しがあり、その命を受けて若い捜査官と警察を定年した相談員が捜査していく。設定は面白いのにあっけなく犯人が見つかって、最後もスッキリとまとまってしまった。読みやすくはあったけど…

  • 20140508

  • おみやさんっぽい話。
    道警シリーズに比べてちょっと物足りなかった。

    四谷の花街など、
    色々と気を引くワードが散っているのは
    個人的に気になってしまった。

    地図と照らし合わせて読むとまた面白いのかもしれない。

  • これも読ませます。
    相棒の相談員が良いですね。
    終わり方がなんともいえず、切ないです。
    このシリーズ楽しみです。

  • 過去の迷宮入りの殺人事件を、自身の身の潔白のために解決して欲しいと言って来た元議員のために、再捜査することになった警視庁から左遷されてきた(?)水戸部と、その捜査本部にいて今は退職して相談員として参加することになった加納の二人が軸になって展開される刑事もの。謎解きという観点では、ちょっと無理からな感じが否めなかったし、ストーリー展開も、あまりのめり込むどきどき感がなかったかなぁ。でもまぁ、長々とした割には、そこそこ楽しめたので、★三つ;

  • シリーズ次作が目に留まりその前にこちらをと(笑)
    佐々木さんにしてはハードさに欠ける?
    でも堪能しました。

  • 地層のように表層から過去へと事件を探る終始淡々と地味な展開が好かった。
    最後はちょっとバタバタ忙しなかったが。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/11689445.html

  • これも新聞書評に載ってたんだと思う。

    書評ほど面白くなかったなあ・・・

    なんか、主人公達に余り魅力を感じないんだよなあ・・・

  • 佐々木譲の作品にしては、読みやすいと感じた一冊。ある程度、先のストーリが予測できるが、それでも、次の展開が気になるし、あっさりと裏切ってくれることも。
    じっくりと読み返してみたい一冊。

  • 新シリーズらしいが、主人公の水戸部が過去に上司と衝突し、謹慎中の身から特捜本部に入るところから始まる。
    事件は15年前の未解決の殺人事件。
    人間関係の層と荒木町と言う街の層とが絡みあって、このタイトルになったんだと実感。
    ラストの10ページぐらいまで、真相が分からず、最後はドタバタな感じが、ちょっと残念。次作の水戸部の活躍に期待。

  • 時効廃止に伴ぅ未解決事件の再捜査…といぅと、
    TVドラマ「おみやさん」を思い出しますが…、
    本作品では、登場人物(担当刑事)の設定が、
    不自然であったよぅに思いました…。

    そもそも、水戸部刑事(担当刑事/主人公)が、
    バブル時代に地方の学生だったといぅ設定では、
    当時の、警視庁管轄の未解決事件を取扱ぅには、
    事件も現場も無知杉で、台詞や行動が不自然…。

    お話の展開的には、どぅしても最後は、
    担当刑事が、所轄の相棒に、刑事の何たるかを、
    諭すシーンになるのでそぅが…、二人の台詞は、
    設定の年齢やキャリア的には…、反対でそぅ…。

    加納(相棒となった元所轄刑事の相談員)が、
    捜査一課のベテラン担当刑事で、主人公となり、
    水戸部が、サポート役の所轄刑事ぐらぃの方が、
    この題材では、しっくりきたよぅに思います…。

    登場人物の設定に誤り(不自然さ)がなければ、
    もっと、深みのあるお話になっていたかも…。

  • 佐々木譲にしては地味すぎる、お宮さんものでしたが、じっくりと読めました。

  • 地味な感じはするが作者らしい気もした。地道な捜査、関係者の過去、最後にきっちりまとめられている。ただ地味なので印象が薄かった。

  • 2013.5.18
    久しぶりに読んだ佐々木譲は、相変わらず理解するまで時間がかかった。
    地層捜査というから、埋め立て地とかビルを建てようとしたら死体が出てきたとかかと思った。全然違ったけど。
    15年前の事件でバブルの頃なんて自分は、学生だったから世の中の事もよくわからないし、ましてや舞台は花街だし。時効がなくなったからこその事件だけど、時効ってあった方がいいのかな?どうなんだろう。
    北海道警も面白かったから、この本もシリーズになるといいな。

  • 警察小説の名手による『入魂の新シリーズ第一弾』と云う帯と舞台が地理的によく知る荒木町である理由で購入。公訴時効の廃止により15年前の殺人事件を再捜査して解決する物語。古い殺人事件を再捜査するシリーズって事なのか⁉内容は面白かったけど主人公の水戸部刑事に魅力を感じる事が出来なかった。

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著者プロフィール

一九五〇年三月、北海道生まれ。七九年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。九〇年『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。二〇〇二年『武揚伝』で新田次郎文学賞を、一〇年『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。他に『ベルリン飛行指令』『疾駆する夢』『昭南島に蘭ありや』『警官の血』『代官山コールドケース』『獅子の城塞』『犬の掟』など著書多数。

「2017年 『武揚伝 決定版(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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