三匹のおっさん ふたたび

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 913
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163812601

作品紹介・あらすじ

ご近所の悪を斬る還暦三匹が帰ってきた!
武闘派のキヨとシゲ、頭脳派のノリ。“三匹のおっさん”が万引き、不法投棄など地域の問題に立ち上がる! 痛快活劇小説第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • わずかに、ほんのちょっぴり重くなってましたね

    60を超えたおっさん3人が夜回りをするってだけでもう地域の問題や家族の問題、世代間の問題にスポットを当ててるんだろうなってのは誰にでも分かるし、実際その通りなんですね
    でも前作は有川ひろさんの筆さばきにいい意味でライトな感じがあったんですが、今作は社会派の部分が多めだったかな?と思うのです

    全編を通して一貫して提起されているの地域の繋がりが希薄になってきているということだったように思います
    自分の住む地域でも子供会の活動がなくなったり、町内会に入る人が少なくなったり、脱会する人がいたりとなんだか寂しい気持ちになります
    うちの奥さんなんかは地域の公園やゴミ収集所、街灯などが町内会費によって維持管理されていることを理由に町内会に入ってない人は街灯の下を歩くな!などと憤っていて、まぁまぁとなだめつつも確かにいちりあるなぁと頷いてしまったりもするのです

    特に子供会に関しては自分は子供時代に楽しかった思い出しかないので、今の子たちはかわいそうだなぁと残念に思うのです

    近所のお兄さんお姉さんと遊ぶのも楽しかったし、自分が年長になって小さい子たちの面倒をみるのもなにか誇らしい気持ちになったものです

    親になったらなったで、我が子の友達の顔を覚えたり、子供を通して親同士のネットワークを築いたりと得ることの多い貴重な場だったように思います
    なによりそのネットワークは確実に防犯にも繋がっていたいたはずです

    ただ過ぎ去ってしまったものを惜しんでばかりいてもしょうがないので、今の時代に合った新しいかたちの地域ネットワークを構築する方法はないもんかなぁと、そんなことを考えた一冊でした

    • みんみんさん
      わたし今年班長だ(*´ー`*)
      町内会費集金しなきゃ…
      わたし今年班長だ(*´ー`*)
      町内会費集金しなきゃ…
      2023/04/03
    • ひまわりめろんさん
      むしろ大統りょって物を投げないで!
      むしろ大統りょって物を投げないで!
      2023/04/03
    • ひまわりめろんさん
      集金めんどくさいよね
      町内会あるあるだ
      集金めんどくさいよね
      町内会あるあるだ
      2023/04/03
  • 三匹のおっさんの続編を見つけたので思わず手に取った。
    前作同様 章ごとに楽しく読めて、息抜きするのにちょうどいい長さだ。

    今作ではサブキャラクターに視点が当てられていて、それを掘り下げる話が多かった。

    ————-

    個人的には貴子さんの成長物語が好き。

    前作は詐欺に引っ掛かって70万円の空気清浄機を買わされたり、道場を潰してピアノ教室にしようとしていたり、世間知らずのお嬢様育ちということが皮肉混じりに描かれていた。

    今作では肉屋のアルバイトを経験し、人間関係に揉まれてお金を稼ぐ難しさを知ることになる。
    お金のトラブルに見舞われた時も、三匹の力を借りずに自分で解決した貴子の成長が感じらる。

    前回下がりに下がった好感度を、がっつりと盛り返してくるこの感じ。
    有川せんせいは、キャラクターの魅力の出し方が上手だなぁと思った。


    —————-

    貴子の話だけでなく、書店の万引きの話や、地域のお祭りの話など私たちにも馴染みのある話の裏話が知れて面白い。

    例えば、本屋で万引きが起こると店の不利益についての話では、

    「税込400円の漫画本を一冊売って、店の利益は80円。
    万引きされたこの一冊の損失を埋めるために、同じ本を5冊売らなくてはならない。」

    と説明がある。
    万引きによって潰れる書店があるのも事実で、万引きされた本が古本屋に売られるという流れも説明してある。

    本屋の利益や損失の話を知れたのは興味深かったが、社会問題なのにもかかわらず、万引きをする人の罪の意識の低さは問題だなと考えさせられた。


    ————-

    真剣な話もあるが、決して笑いを忘れない。

    所々にクスッと笑えるポイントを忍ばせておいて、気を抜くことができるのが三匹のおっさんの良いところだ思う。
    このての話が
    大好物なので、続編が出たらぜひとも読んでみたい。

  • 「名乗るほどの者じゃございません。
    この界隈を回っている地域限定の正義の味方です」

    きゃ~、相変わらずかっこいい♪
    一度でいいから言ってみたい!
    そうじゃなければ、魔の手から救われたその場で、言われてみたい♪

    還暦まで長年培った経験と叡智と
    竹刀、背負い投げ、コートの裾からちょろっと覗く名状しがたい武器を携えて
    颯爽と戻ってきてくれた三匹のおっさん、おかえりなさい。

    日本のために!とか、被災地のために!とか、大きな理想と口当たりのいい言葉を並べ
    当選を勝ち取った後は、様々な事情を鑑み・・・とトーンダウンして
    さっぱり実行が伴わない誰かさんたちとは、なんたる違い!
    「ご近所限定」と自ら銘打って、けっして自分の能力を買い被らず
    手の届く範囲で、しかし目に留まった悪には手をこまねかず
    身の丈に合ったやり方で悪を成敗する三匹の活躍が、
    お正月にふさわしく、心を晴れやかにしてくれます。

    前作では、「三匹のおっさん」結成直後ということもあり、かなり張り切っていて
    三匹の力だけで秘密裏に事を運ぼうとしがちだったキヨ、シゲ、ノリ。
    今回は地域の問題を自分達だけで抱えこまずに
    息子、娘、孫世代やご近所さんの力も素直に借りながら問題を解決していて
    それがまた、未来の「三匹のおっさん」予備軍を
    育てることに繋がっているのが素晴らしい!

    もともと三匹の手伝いをしたくてたまらなかった祐希や
    穏やかに人の輪を拡げて、地元のお祭りを復活させた康生はまさに有望株☆
    でも、どんなに心強い後継者が現れようと、
    三匹にはまだまだ元気いっぱいで活躍してもらいたいものですが♪

    前作のあらすじと今回の導入部を、たった8ページの漫画にさらっと纏め、
    ボーナストラックでは、前作のお騒がせ娘、潤子と
    あのきゅんきゅん度200%の名作のふたりの息子のほのかな初恋を
    読者にプレゼントしてくれる有川さん。。。やっぱり大好きです!

    • kuroayameさん
      もうレビューを拝見させていただて、「とっても面白そう」とわくわくしちゃいました♪。
      是非図書館で探してみたいと思います。
      いつも素敵なレビュ...
      もうレビューを拝見させていただて、「とっても面白そう」とわくわくしちゃいました♪。
      是非図書館で探してみたいと思います。
      いつも素敵なレビューを拝見させていただきありがとうございます。
      2013/01/11
    • まろんさん
      koshoujiさん☆

      いえいえ、最後の1冊は「旅猫リポート」だったので、koshoujiさんの予想は大当たりなのです。
      私の書き方が拙い...
      koshoujiさん☆

      いえいえ、最後の1冊は「旅猫リポート」だったので、koshoujiさんの予想は大当たりなのです。
      私の書き方が拙いばかりに、うまく伝わらなくてごめんなさい!
      クリスマスにもらったのが「空飛ぶ広報室」と「三匹のおっさんふたたび」で
      それから何日かして、暮れも押し迫ってから
      なぜか「旅猫リポート」を追加でプレゼントされたのです。(それもシネコンのロビーで!)
      どうして1冊だけ後で渡されたのかを、「旅猫リポート」のレビューに
      織り込もうと思っていますので、お時間があったら読んでくださいね(*'-')フフ♪
      2013/01/11
    • まろんさん
      kuroayameさん☆

      還暦をすぎた三匹のおっさんたちが、
      どんなイケメン戦隊よりかっこよく思えてしまう、爽快な物語です♪
      でもでも、も...
      kuroayameさん☆

      還暦をすぎた三匹のおっさんたちが、
      どんなイケメン戦隊よりかっこよく思えてしまう、爽快な物語です♪
      でもでも、もしまだ前作の「三匹のおっさん」を読んでいらっしゃらないようなら
      あちらをお読みになってからのほうが、さらに楽しめると思います!
      こちらこそ、いつも温かいコメントをありがとうございます(*'-')フフ♪
      2013/01/11
  • 今回もおもしろくてあっという間に読み終えてしまいました。
    最後のところで潤ちゃんと植物図鑑に出てきたイツキとさやかの息子が繋がっていてなんだかワクワクしました。
    さらなる続編に期待しちゃいます。

  • 続編。
    今回は父母世代にスポットライトが当たる。
    親の顔がみてみたいとはまさしくで、
    親が与える子供への影響は計り知れないものがある。
    目上だから敬えってのも、どうかと思います。

  • お久しぶりです!相変わらずお元気そうで。
    と3匹のおっさんたちに声をかけたくなります♫

    祐希がなんかいい感じに成長してるし、祐希の両親も頑張ってるね、と応援したくなります。貴子のパートのお話は、どこの世界でも女の職場って嫌だな・・と思いました。今回は周りの人に焦点を合わせてるのが多かったかな~という感じです。

    中学生の万引きの話だとか、ゴミの不法投棄の話など、明らかにルール違反しているのに平然としている人、現実感がありすぎて・・。実際に3匹のおっさんたちがいて、ダメなことはダメときっちりと言ってくれる人がいたらな~と。

    この本で何よりもうれしかったのが、植物図鑑の続編♫
    まさかのサプライズでうれしかったです(#^^#)

    • 円軌道の外さん

      体調壊して遅くなりましたが
      コメントありがとうございました!

      ここ最近有川さん集中月間で
      三匹も遅まきながら
      やっと読めま...

      体調壊して遅くなりましたが
      コメントありがとうございました!

      ここ最近有川さん集中月間で
      三匹も遅まきながら
      やっと読めました(^_^;)

      昭和のホームドラマが好きな自分には
      ホンマツボで、

      カッコいい大人がいる環境にこそ
      カッコいい子供が育つんだなぁ〜って、
      今更当たり前のことに気づかせてもらった小説でもあります。
      (我々大人の世代が
      もっと本当の意味で大人にならなきゃって、心引き締められましたね汗)


      てか、続編
      読んでみたいです!(>_<)

      文庫化するのは
      まだまだ先になりそうやし(笑)
      チャリで40分かかる
      図書館まで行ってみるかな〜(^_^;)


      2013/08/22
    • hs19501112さん
      最後に掲載されてた掌編、、、
      これ何だろう??エピローグでもスピンオフでもないし、三匹の誰にも関わってないし…でも、いい話ね。
      。。と思...
      最後に掲載されてた掌編、、、
      これ何だろう??エピローグでもスピンオフでもないし、三匹の誰にも関わってないし…でも、いい話ね。
      。。と思っていましたが、他作品の続編だったんですね。このレビューを読んで初めて知りました♪感謝♪

      「植物図鑑」ですか。
      今度読んでみようと思います(^-^)v。
      2020/01/28
    • hs19501112さん
      と…横からごめんなさい、円軌道の外 さん。
      昭和のホームドラマが好き♪ってことなら……

      小路幸也「東京バンドワゴン」も読んでみてく...
      と…横からごめんなさい、円軌道の外 さん。
      昭和のホームドラマが好き♪ってことなら……

      小路幸也「東京バンドワゴン」も読んでみてください♪

      完っっ全に自信をもってお薦めします。
      2020/01/28
  • あの
    「おっさん」が帰ってくる!

    とのことで、早速学校の図書館で借りて、読んでみる。


    面白い作品って、本当に時間を忘れて読みいってしまう。


    もちろん、本編も面白かったのだが、印象深かったのが
    最後の
    「好きだと言えずに初恋は、」



    有川作品でも1・2を争う恋愛ベタ甘小説の主人公が出てくるではないか!

    凄い、お花の名前を出してくるので、「もしや・・・」と感じていたが。



    まさかのビンゴ!!

    もう一度会えたことで、顔が綻びましたヽ(^o^)丿


    「別れる男に、花の名を1つ教えておきなさい。
    花は毎年必ず咲きます。 」

    川端康成の名言(゜゜)~

    • まろんさん
      いいなぁ!私も早く読みたい!
      図書館に予約してから何か月たったことか。。。

      紫苑さんはじめ、みなさんおすすめのおまけの短編が気になってたま...
      いいなぁ!私も早く読みたい!
      図書館に予約してから何か月たったことか。。。

      紫苑さんはじめ、みなさんおすすめのおまけの短編が気になってたまりません!
      2012/12/19
    • しをん。さん
      私も、地元の図書館で予約しましたが、本当に予約が多くて…。我慢できずに、学校の方で運よく巡り合えたので借りてきました♪

      短編いいですよ(●...
      私も、地元の図書館で予約しましたが、本当に予約が多くて…。我慢できずに、学校の方で運よく巡り合えたので借りてきました♪

      短編いいですよ(●^o^●)
      まさか、有川作品の中でも(私の中で)好感度が上のあの人が出てきてくれて、嬉しすぎました(笑)
      2012/12/20
  • 私もあと数年で還暦人生に突入だけど、こんなのあこがれるなあ。
    積み重ねてきた何かしらの特技を持って、気の合う仲間に囲まれ、仕事と違ってmustじゃない活動に打ち込み、人生終盤のエネルギーを放出する。でも私はきっと還暦過ぎて70歳くらいまでは働かなくっちゃ・・
    *貴子さん、ただただゆる~いお嬢様ってだけでホントはとてもいい人でうれしかった。だって祐希のママだもの。
    *健児さん、彼も同じで清一の息子であり佑希のパパであることをうなずかせるキャラが出てて、ほっこり好きになった。
    でも全体的には☆3.5。それを5まで引き上げてしまったのは「好きだと言えずに初恋は、」。こういうの私はあかんわあ。甘酸っぱすぎてしかし少しの苦みが効いているのがなんともおしゃれ。ただ残念なのは「植物図鑑」読んでないんだよなあ。
    還暦オヤジの話と小学生の女の子の話を1冊にする、この感性が好きだ。

  • ご近所限定正義の味方、見参!武闘派二匹&頭脳派一匹が町のトラブルに立ち向かう還歴ヒーロー活劇シリーズ最新刊。
    「BOOKデータベース」より

    前作の『三匹のおっさん』も愉快痛快、人情ほろりな感じだったが、それに負けず劣らずな内容.町内会のご近所づきあいなんてメンドクサイ、なんて思ってしまう自分を反省.古き良き、と古き良きに影響された新しき良き若者が育っているのがなんとも嬉しい.
    人の心の機微をさらりと書いてのける有川さんの相変わらず安定の文章力に脱帽.
    やっぱり人は人と関わることで、老若男女成長することができるのだなぁ、と改めて思う.

  • ご近所限定正義の味方、ふたたびです。
    今回は前作に比べるとアクション(?)少なめですが、気持ちのスッとするお話ばかりです。
    地域の関わりとか、どんどん希薄になってきてる世の中ですが、こんなおっさん達がいてくれたら、安心だなぁ…
    それと、それと!!
    大っ好きな『植物図鑑』のクロスオーバー作品が収録されてました!!
    こちらは、キュンとして、じんわりほろっとくるお話です。

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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