- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163813103
作品紹介・あらすじ
江戸庶民の味、鳥肉料理。近ごろ、問屋仲間でおかしな動きをする輩が…。三年三月の寄場送りから戻ってきた鳥の仲買人・新三郎が陥った窮地。鏡三郎はひと肌脱ぐべく、東へ西へ奔走する。
感想・レビュー・書評
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お上の鷹狩りの裏にも複雑な仕組みが出来上がっていた。
四つ足を食べること自体、禁止されていたことだったが、
薬食いとも言い、実は江戸文化には定着していた。
その材料ともなる、鳥、イノシシ、鹿など、
鷹の餌となるスズメなどを捉えるものに鑑札を与え、
土地を与え、組合を作っていたのだが。。。
そんな複雑な背景の中で、犯罪が起こる。。。
今回はどんな風に解決するのか?
側面のディテールが素晴らしい作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最後には夕立降って地固まるで良いお話でした。
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江戸時代の鷹狩を中心にした鳥の扱い事情がよく分かる。佐藤雅美氏はどうみても、江戸時代からやって来たとしかおもえない。
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縮尻鏡三郎シリーズ。
三年三ヶ月ぶりに寄場送りから帰ってきた飼鳥屋の新三郎を柱に、仇討ち、押し込み、浮気といった内容とともに江戸の鳥捕獲業の仕組みが解るためになるお話。 -
縮尻シリーズの何冊目だろう?~大番屋は旗本隠居で堂島の勝負師・武部九郎右衛門の多額の寄進で立て替え中である。鏡三郎は寄合茶屋・矢車屋で相談を受けている。3年3ヶ月振りに娑婆に出てきた,飼鳥屋新三郎が挨拶に来た。ももんじ屋で祝いの宴が催される。岡鳥問屋・東国屋伊之助のため,鳥捕獲のいさしの中で横流ししている者をやめさせに歩いている最中に,いさしの吉兵衛と揉めて相手の利き腕を折って寄せ場送りになっていたのだ。東国屋で飼鳥屋を再開しようとすると,伊之助は吉兵衛が引き継いでいると言われ,ももんじ屋で板前修業をするしかないが,女房のみきは付いてこない。東国屋で月10両2分の給金を受け続けているが,新三郎は世話になる気が起こらない。板前修業の合間に昔の仲間が東国屋や吉兵衛の横暴を訴えてくるが新三郎になすすべはない。女房は突然息子を新三郎に預け姿を消してしまう。鏡三郎は道具屋で買った車長持が元大名家の宝・香木が埋め込まれたものであることを知り,得た45両は女房きみの探索に充てても良いと考えていた。讃州の政所役の小坂が,拾って育てて武家の養子となった喜四郎に斬り殺され,小坂の遺児が敵討ちに江戸に出てきた。鶴を買った御金改役・後藤家の並役となっていたのだ。敵を討たせたい面々が見守る中,窮地に立った少年を救ったのは新三郎が放った手裏剣であったが,その技も知れ渡ってしまった。日本橋両替商に白昼押し込みが入り,お宝がなく店の人間を人質にとった浪人と破落戸は,剣客・羽鳥誠十郎と新三郎のコンビに討ち取られたが,人質の中には女房みきもいて,東国屋伊之助に世話されたという。強盗の手引きではないかと疑いが掛かり,逃げた船頭が捕まるまで小伝馬町に押し込められる。一味は伊豆で御用船を襲おうとして獲物がなく,江戸に逃れて両替商を狙ったが,盗んだ新造船と船頭は上方へ逃れていた。船の持ち主は偶々江戸にいて剣客・羽鳥の腕を見込んで,賊が船を処分する前に捕らえたいと同行を願い,鏡三郎も見物がてらに上京する。船はあっさり大阪で発見され,逃げた船頭は手下によって縛られて船に残されていた。死の前に女の手引きが両替商にいたと証言したのを受け,鏡三郎は梶川にしらせ,もう一人の女の使用人を見晴らせると案の定,稲荷社のお神籤を使って外部と連絡を取り合っており,水鳥問屋の鯉屋の名前が浮上した。仲間に勧められた新三郎が休業中の岡鳥問屋である伊勢屋の番頭になって奮戦する中,東国屋伊之助が蔵で首を吊ったと知らされる。放免された新三郎の女房みきは恩ある伊之助に逆らった挙げ句に死に至らしめたと新三郎を詰り,自分を付け狙っていた徳兵衛がら守って貰っていたのだと明かす。調べると伊之助の不義密通を嗅ぎつけた徳兵衛や鯉屋が東国屋の商売に介入して荒らしていたのだった。押し込みの手引きの自白から,未遂ではあったが徳兵衛や鯉屋の悪事が暴露され,新三郎とみきは再出発することになった~非常に感心する緻密さで,全部の事件が繋がっているのだ。鏡三郎の身内の話は殆どなく,まあ・・すべてが鳥絡みになる不自然さはあるが,よく調べて,まとめたものです。佐藤先輩は1941年兵庫県生まれで早大法科卒,雑誌記者を経て作家となる
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「別冊文藝春秋」に連載された8話の単行本化で、シリーズ 作目。
幕府は鷹狩の鷹と狩場を管理していたが、そのほかに鷹の餌となる鳥の流通も統制していた。
餌の鳥を捕まえる「いさし」に鑑札を与えて買い取り鷹部屋に納める飼鳥屋の騒動で相手に怪我をさせ人足寄場送りとなり、3年ぶりに戻った新三郎は、店を乗っ取りあこぎなやり方をする怪我をさせた相手によって元の店から締め出されるが、反発する人たちに担がれて休業中の同業者を再興させることになる。
シリーズの主人公で大番屋元締の拝郷鏡三郎もかかわりになるが、いくつもの事件がここにつながっていき、最後はハッピーエンド。
いつもながらに、江戸の経済に造詣の深いところを見せつつ軽く読ませてくれる。