死命

  • 文藝春秋 (2012年4月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784163813202

みんなの感想まとめ

命の終わりが迫る中で織りなされる緊迫した対決が描かれています。末期がんを抱える連続殺人犯と刑事の執念が交差し、物語はハラハラとした緊張感を生み出します。犯人の生育歴を知ることで同情を覚えつつも、どんな...

感想・レビュー・書評

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  • 久々に夜中に一気読みでした。
    末期がんに犯された連続殺人犯と刑事。
    それぞれの執念が交錯して、ハラハラの緊迫感を生み出して途中で止めることができなかった。
    止めることのできない殺人衝動は、どうして生まれたのか。彼の生育歴を知ると同情を覚えてしまうけど、どんな事情があれ人を殺すことは赦されるものではないという結末も良かった。
    蒼井さんには、最期にもっと長く家族と穏やかな時間を過ごして欲しいって気持ちもあったけど、命が尽きるまで仕事に情熱を燃やす姿もかっこよかった。自分の父親なら、やっぱり嫌だけど

  • 薬丸岳さんは江戸川乱歩賞をとったここ数年の作家の中では一番好きです。とくに「悪党」はラストが良かった。一気読みでした。今度の作品「死命」も読みごたえのあるいい作品でした。 お互いに癌を宣告された刑事と犯人、余命いくばくもない中での執念、刑事の先立たれ妻とのなれそめを聞いた、娘の気持、ああなんといい心地にしてくれる終盤の話でした。いい余韻を残してラストへ、やっぱり薬丸岳はいいですね。

  • 死期が近い警察官VS死期が近い異常性犯罪者。主人公の犯人がどうして犯罪に走ったのか。失われた記憶を犯罪を犯すたびに少しづつ取り戻していく過程が面白かった。幼い頃を知る恋人が何をひた隠しにしているのかも最後まで分からず興味がそそられる。ただただ憎むべき性犯罪者だけで終わらない薬丸氏。はずれなし。

  • 余命幾ばくもない刑事と死期を宣告された連続殺人犯…これだけ聞いた時には安っぽい設定にしたな、とおもったのですが、さすがページターナー。追い追われる緊迫感とゆっくり蘇っていく殺人犯の記憶がうまく絡み合って、読み応えがありました。

    ただ、榊信一の身に起こったことは不遇と思いますが、気持ち悪い殺人衝動と澄乃への純粋な気持ちが1人の人間に同居しているのが感情的に理解できず、同情したらいいのか憎んだらいいのか気持ちが定まらなくて、読んでて落ち着かなかった。
    ほのかに思いを交わしていた少年と少女が醜い大人の性の餌食になり人生を狂わせていく、というところは少し白夜行を思い出してしまった。

    人に面白かったと手放しで勧めづらいけど、読んで良かったです。ドラマ化されるそうで、賀来賢人と吉田鋼太郎のイメージで読みました。

  • 死を宣告された連続殺人犯と、同じく死を宣告された捜査一課の刑事。
    死を目の前にした二人の心理描写が、何とも言えない。
    たまたま連続殺人犯と刑事だけれども、普通の人間が死を目の前にした時、これほどの執着心が生まれるものだろうか?
    ぐいぐいと引き込まれる作品だけど、読後は何か考えさせられる。

  • ぐいぐい引き込まれる筆力。
    抑えがたい殺人衝動を全て過去に起因させてしまうような描き方には少し疑問が残る。
    殺されてしまった女性の描き方がなんとなく桐野夏生の小説とかぶるが、男性作者の描き方と女性作者の描き方だと似ているようで決定的に何かが違う。そんな気がした。
    なんとなく消化不良。

    • 杜のうさこさん
      ortieortieさん、こちらでもこんばんは~♪

      うわっ、見事にはまっておられますね~。
      お仲間♪お仲間♪
      私の感想がきっかけで...
      ortieortieさん、こちらでもこんばんは~♪

      うわっ、見事にはまっておられますね~。
      お仲間♪お仲間♪
      私の感想がきっかけでなんて、本当に嬉しいです!

      この消化不良感、私もよくあります。
      なんかもやもや~っとするんですよね…。
      でもテーマがテーマだけに、それも仕方ないのかもしれないですよね。
      重く苦しい内容でも、どこか目線の温かさを感じられる所が好きで、
      デビュー作から、ずっと読んでいる作家さんです。

      今、ortieortieさんの本棚とレビューを拝見して、
      また昔の作品を読んでみたくなりました。
      こちらこそ参考にさせてくださいね。
      これからも素敵なレビューを楽しみにしています!
      2017/02/10
  • 余命を宣告されて殺人を犯す目線からと、その殺人犯を追う余命を宣告された目線で物語は進んでいきます。

    普通は、なるべく長く生きたいと、自分を大事にして生きるのですが、この刑事さんは、自分を犠牲にしながらも犯人を追います。

    それにも実は理由があり……。

    殺人犯側も、そうなるには色々と理由があるのですが、余命を宣告されたから殺人をしてもいいということは許されることではなく、そこら辺もちゃんとしてくれました。

  • 余命僅かと宣告された2人。

    一人は残りの人生を女性を襲い殺害するという自分の欲望を満たすため生きていく。
    もう一人は残りの人生を警察という自分の職務を全うするために生きていく。

    自分のために生きた男と、
    誰かのために生きた男。
    それぞれ死の間際に見たものは…。

  • 沢山の命。映画の様だった。後半のまとめ方が本当に上手い。涙が出る話とは思えなかったのに、涙が出た。本当にページターナーだ。全作読みたい。

  • 共に余命を宣告された2人の男。1人はかねてより欲望を抑えていた快楽殺人を決行していく。もうひとりは1人は刑事の使命としてそれを追う。

    まず、偶然多すぎ。人物設定がちょっと軽くて勿体無い。寺泊での出来事、引っ張りすぎてがっかりしちゃうから、もう少し早めに描くか、もう少し重めにしっかり描くかしてほしかった。

    まぁでも一気に読ませる作家さんではある。
    もう一冊読んでみようかな。

  • まさしくタイトルどおり。
    犯人と刑事の死命。

    最初は榊に捕まって欲しくないなーって思ってたけど、読んでいくうち蒼井刑事の凄まじい執念に心打たれました。
    ラストも良かった。

    薬丸サンの作品はハズレない。

  • ★3.5

    自分の余命を知った時、ひとりは秘めた欲望を解放し殺人を犯す。
    ひとりは刑事としての使命を果たす。
    死を恐れぬ罪人に報いを与えられるのかーー。

    大学時代に恋人・澄乃を絞め殺しかけ、自分の中に眠る。
    全ての女性に向けられた殺人願望に気付く。
    若くしてデイトレードで成功しながら、殺人衝動に悩む榊信一。
    ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きる事を決意する。
    それは、連続殺人事件の始まりだった。
    その頃、元恋人の澄乃との再会。
    信一と澄乃は、小学5年生の時新潟の寺泊という港町で、出会った。
    お互いに初恋だったが、一年後に信一は寺泊から出て行ったが、大学で再会した二人。
    付き合っていた二人だったが澄乃は卒業後故郷に帰って結婚し離婚して東京に戻って来ていた。

    都内で起こった連続殺人事件の、犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井。
    しかし蒼井にも同じ病が襲い掛かり、余命数ヶ月と宣告される。

    殺人犯・信一と、恋人の澄乃と、刑事蒼井の視点で物語は進んでゆきます。
    序盤は、澄乃が何度も信一を見捨ててしまったと悔いているのはどうして?
    信一は、どうして事故で記憶を失い、耳が聞こえなくなった事故って何?
    あの光景を思い出してしまうようなことになれば、絶望の中で死んでいくことになるって何?
    澄乃が抱えてる、後悔や後ろめたさってなに?
    信一は、どうして女性に対して殺人衝動を抱いているの…?
    沢山の謎が頭の中で渦巻いて、先が気になって仕方無かった。

    自分の余命を知った事で、人を殺したいという昔からの願望を実行した信一と、
    命が尽きるまでに、その犯人を逮捕しようとする刑事・蒼井。
    残り少ない命を対照的に使うふたりが印象的でした。
    そして、死を怖れない殺人鬼・信一。
    死にたくない、死を怖れている刑事・蒼井。

    信一と蒼井の心理描写は凄まじく、
    信一がどうして殺人願望を抱くかわかっても、哀れだとは思いましたが、
    理解も出来ないし、共感も出来なかった。
    蒼井の最後か安らかなものだったのは、救いでした。

    この様な主人公を描いた、著者が凄いとは思いましたが、
    うーん、気持ち悪かった(´⌒`。)
    一気に読ませる筆力は、流石でしたが…うーん。
    生きる事や生き方について、考えさせられました。

  • またもやぐいぐい読まされた。
    犯人側の設定が面白かった。
    澄乃との関係が何らかのキーだとは分かるけど、まさかそんな過去があるとはね!
    だからって、殺人鬼になってしまうのはダメだけどね!
    刑事側もなんともなー
    刑事の家族は大変だ。
    まさに二人の死、命の物語。

  • 末期癌を患った殺人鬼と刑事。人を殺すことに快楽を感じ、それを我慢できなくなった男が次々と女性たちの首をしめて殺人を犯していく。また、殺人鬼を追っている孤高の刑事も末期癌を患っていて・・・。
    薬丸岳にしたら文章に精彩がないような。文章というよりも内容か。読んでいる時はそれなりにたのしめたが、あえて読まなくても良いかという作品でした。

  • 羨ましい仕事だ。
    おれは仕事で何かを作ったことがない。失うのを見ていくばかりだ。
    夢なんて言えば聞こえがいいけどおまえは甘えているだけだ。
    思うことと、することは違うのだ。
    自分の心と五感を信じればいいんじゃないかね。
    仕事であるということは、自分の代わりは他にもいるということだ。そんな仕事のために、ここまで自分のからだを酷使する必要があるだろうか。
    私なりにずっと考えて出した結論なの。どうすれば後悔しないで済むだろうかって。
    私だって後悔しちゃうかもしれない。どんなことをしても・・・・・きっと・・・・・いろいろと後悔しちゃうんだろうな。きっといろいろ考えちゃうよ。
    死を恐れることしかできない。この世で生きていくことの本当の意味を知らないから死を恐れることしかできない。
    それはあなたが本当の意味で生きていなかったからだ。自分を偽るように生きてきたからだ。だけど、僕は違う。僕は自分の欲望に正直に生きてきた。この世に思い残すことはない。だから死ぬことなんかこれっぽっちも怖くない。
    この世に、天国やら地獄やらの概念が存在するのは、人が人を罰することの限界と、人間という弱くて愚かしい生き物がこの世界でまっとうに生きていくための最後の寄る辺なのかもしれない。
    人は誰でもいつかは死ぬというのに、どうしてこれほどまでに死を恐れるのだろう。それはきっと、死そのものを恐れているのではない。自分が遺していかなければならない大切な存在を思うとき、無性に怖くなるのだ。人を愛した人間は、その人と二度と会えなくなることを怖いと思い、自分にとって素晴らしい場所を見つけた人間は、その存在が消えてなくなってしまうことを怖く思うのではないか。
    きっと、死そのものが怖いのではない。全ては、死ぬ寸前まで、自分の人生という鏡を見せつけられることが怖いのだ。

  • 離婚した山口澄乃は大学時代の仲間の集まりでもと恋人の榊信一と再会。
    二人は小学生時代を新潟で過ごした幼馴染でもあった。
    33歳でデイトレーダとして財を成した信一は、胃がんで余命も少ない中、幼い頃のトラウマで女性を絞殺する衝動に駆られ、連続殺人事件を起こす。
    それを追うのがやはりガンで余命わずかな刑事蒼井だった。
    連続殺人犯が真一であることを澄乃はつかむが不幸にも交通事故で死ぬ。死ぬ直前に電話を受けた蒼井が信一の存在に気づき、追い詰める。
    最後は信一はつかまるが、両者共に病気により死を迎える。
    今までの薬丸岳小説に比べると今イチに感じた。

  • 文体がとても好きな感じで読みやすかった。

    殺人の手口がどれも「見知らぬ女の体を買い、行為中に殺害」なことと、「異性と行為中に相手を殺したくなるようになった直接の原因」がどうにも気持ち悪くて榊(とその両親)には嫌悪感しか抱けなかったです。
    幼少期の榊の境遇には同情しますが、普通そんなことがあったら異性との行為自体嫌になるんじゃないのかな……と思ってしまうのは私が女だからでしょうか。
    異性との行為に抵抗ないのは記憶をなくしてるせいかなと思ったけど、最後に本命の母親を殺そうとした時のセリフから見ても普通に母親のことも犯そうとしてるっぽいしなぁ。

    澄乃が亡くなる前に蒼井に託した言葉についても釈然としない気分です。
    むしろ蒼井が言った「嘘」の方が榊に対して澄乃が言いそうな言葉だと思ったんですが、実際に彼女が「最後に信一に何かを残したい。伝えなければならないことを」と必死に吐き出した言葉はまるで榊を突き放す言葉のようで意外でした。
    榊が殺人犯と知って、榊に対して完全に愛想が尽きちゃったからあんなこと言ったんでしょうか。
    もちろん殺人はいけないことだし失望するのも無理はないかとは思うけど、少し前まで愛していてお腹に子供までいるのに「あなたに会わなければ良かったと伝えて」が最後の伝言っていうのもなんだかやるせないというか……。

    蒼井、矢部、岩澤の刑事3人の関係が少しずつ良くなっていくのが良かった。
    決して馴れ合うわけではないけど、プライドの高い男性同士が徐々に信頼関係を取り戻して歩み寄っていく様は本当にかっこよかったです。


    このもやもやした気持ちの正体が上手く吐き出せないのがもどかしい。
    最後に蒼井がついた小さな嘘はたしかに少しは榊の心を蝕んだようですが、たったそれだけの事があれだけの人間を殺害した彼への罰なのか、と思ってしまう…… うーん。
    ならどうなって欲しかったのかと聞かれると答えられないのですが。

    でも、面白かったです。
    また薬丸岳さんの本を読んでみたい。

  • 重いです。凄く重い作品です。。。何人もの登場人物の視点で物語が進んでいくのですが、そのうちの二人の命は残されたところあと僅か。一人は猟奇的殺人犯、もう一人はその殺人犯を追う刑事。我孫子武丸さんの”殺戮にいたる病”と東野圭吾さんの”白夜行”両方のエッセンスを少しだけ持っているような感じがします。是非一読を!

  • 気がついたら自分の胃を擦りながら読んでました(笑) 犯人と刑事が徐々に弱っていく姿は丁寧に描いてたけど、警察が犯人に徐々にたどり着くドキドキ感が足らなかった。蒼井と榊が、初対面するシーンはもう少し緊迫感が欲しかった。あのヘタレ新米刑事が成長する姿やライバル刑事との友情?を丁寧に描いてくれたら、さらに面白かった気もするけど、薬丸さんにそれを求めたらダメなのかも(笑)そして、相変わらず薬丸さんの描く女性は、女性から見たらつまんねー女です。似た作家だと、誉田哲也さんは上手かったかなぁ?最近のは読んでないけど…と、たんまり文句を言っても、なぜか最後まで読めちゃうのが薬丸作品の不思議なところ(笑) とりあえず次は、逃走を読む予定!

  • 押さえつけていた殺人願望を余命宣告を受けた事により歯止めがきかなくなってしまった連続殺人vs余命宣告を受けた捜査一課の刑事。
    果たして、どちらかの命が尽きる前に逮捕する事ができるのか、また、逮捕できたとして犯してしまった罪の重さをきちんと受け止める時間があるのか、、
    先が気になり一気読みでした。さすが薬丸岳さん。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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