死命

著者 :
  • 文藝春秋
3.45
  • (30)
  • (89)
  • (126)
  • (23)
  • (2)
本棚登録 : 566
レビュー : 118
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163813202

作品紹介・あらすじ

榊信一は大学時代に同郷の恋人を絞め殺しかけ、自分の中に眠る、すべての女に向けられた殺人願望に気づく。ある日、自分が病に冒され余命僅かと知り、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。榊の元恋人だけが榊の過去の秘密を知るなか、事件を追う刑事、蒼井凌にも病が襲いかかり、死へのカウントダウンが鳴り響く。そして事件は予想もしない方向へ-衝撃の展開、感涙の結末。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 余命幾ばくもない刑事と死期を宣告された連続殺人犯…これだけ聞いた時には安っぽい設定にしたな、とおもったのですが、さすがページターナー。追い追われる緊迫感とゆっくり蘇っていく殺人犯の記憶がうまく絡み合って、読み応えがありました。

    ただ、榊信一の身に起こったことは不遇と思いますが、気持ち悪い殺人衝動と澄乃への純粋な気持ちが1人の人間に同居しているのが感情的に理解できず、同情したらいいのか憎んだらいいのか気持ちが定まらなくて、読んでて落ち着かなかった。
    ほのかに思いを交わしていた少年と少女が醜い大人の性の餌食になり人生を狂わせていく、というところは少し白夜行を思い出してしまった。

    人に面白かったと手放しで勧めづらいけど、読んで良かったです。ドラマ化されるそうで、賀来賢人と吉田鋼太郎のイメージで読みました。

  • 文体がとても好きな感じで読みやすかった。

    殺人の手口がどれも「見知らぬ女の体を買い、行為中に殺害」なことと、「異性と行為中に相手を殺したくなるようになった直接の原因」がどうにも気持ち悪くて榊(とその両親)には嫌悪感しか抱けなかったです。
    幼少期の榊の境遇には同情しますが、普通そんなことがあったら異性との行為自体嫌になるんじゃないのかな……と思ってしまうのは私が女だからでしょうか。
    異性との行為に抵抗ないのは記憶をなくしてるせいかなと思ったけど、最後に本命の母親を殺そうとした時のセリフから見ても普通に母親のことも犯そうとしてるっぽいしなぁ。

    澄乃が亡くなる前に蒼井に託した言葉についても釈然としない気分です。
    むしろ蒼井が言った「嘘」の方が榊に対して澄乃が言いそうな言葉だと思ったんですが、実際に彼女が「最後に信一に何かを残したい。伝えなければならないことを」と必死に吐き出した言葉はまるで榊を突き放す言葉のようで意外でした。
    榊が殺人犯と知って、榊に対して完全に愛想が尽きちゃったからあんなこと言ったんでしょうか。
    もちろん殺人はいけないことだし失望するのも無理はないかとは思うけど、少し前まで愛していてお腹に子供までいるのに「あなたに会わなければ良かったと伝えて」が最後の伝言っていうのもなんだかやるせないというか……。

    蒼井、矢部、岩澤の刑事3人の関係が少しずつ良くなっていくのが良かった。
    決して馴れ合うわけではないけど、プライドの高い男性同士が徐々に信頼関係を取り戻して歩み寄っていく様は本当にかっこよかったです。


    このもやもやした気持ちの正体が上手く吐き出せないのがもどかしい。
    最後に蒼井がついた小さな嘘はたしかに少しは榊の心を蝕んだようですが、たったそれだけの事があれだけの人間を殺害した彼への罰なのか、と思ってしまう…… うーん。
    ならどうなって欲しかったのかと聞かれると答えられないのですが。

    でも、面白かったです。
    また薬丸岳さんの本を読んでみたい。

  • ぐいぐい引き込まれる筆力。
    抑えがたい殺人衝動を全て過去に起因させてしまうような描き方には少し疑問が残る。
    殺されてしまった女性の描き方がなんとなく桐野夏生の小説とかぶるが、男性作者の描き方と女性作者の描き方だと似ているようで決定的に何かが違う。そんな気がした。
    なんとなく消化不良。

    • 杜のうさこさん
      ortieortieさん、こちらでもこんばんは~♪

      うわっ、見事にはまっておられますね~。
      お仲間♪お仲間♪
      私の感想がきっかけで...
      ortieortieさん、こちらでもこんばんは~♪

      うわっ、見事にはまっておられますね~。
      お仲間♪お仲間♪
      私の感想がきっかけでなんて、本当に嬉しいです!

      この消化不良感、私もよくあります。
      なんかもやもや~っとするんですよね…。
      でもテーマがテーマだけに、それも仕方ないのかもしれないですよね。
      重く苦しい内容でも、どこか目線の温かさを感じられる所が好きで、
      デビュー作から、ずっと読んでいる作家さんです。

      今、ortieortieさんの本棚とレビューを拝見して、
      また昔の作品を読んでみたくなりました。
      こちらこそ参考にさせてくださいね。
      これからも素敵なレビューを楽しみにしています!
      2017/02/10
  • 余命僅かと宣告された2人。

    一人は残りの人生を女性を襲い殺害するという自分の欲望を満たすため生きていく。
    もう一人は残りの人生を警察という自分の職務を全うするために生きていく。

    自分のために生きた男と、
    誰かのために生きた男。
    それぞれ死の間際に見たものは…。

  • 沢山の命。映画の様だった。後半のまとめ方が本当に上手い。涙が出る話とは思えなかったのに、涙が出た。本当にページターナーだ。全作読みたい。

  • 使命と死命。自身の余命を知ったことで人を殺したい願望で罪を重ねる榊と命が尽きるまで犯人を追う蒼井。死を目の前にした2人の結末は異なるものの、最期に自分の人生と向き合ったという観点では、重なるところがある気がした。単に連続殺人を捜査するというだけの話ではなく、余命わずかの中、娘と息子を持つ蒼井はどう生きるか、殺人を犯しながらも自分を大切に思ってくれる女性のいる榊はどう生きるかを考えさせられる。

  • 共に余命を宣告された2人の男。1人はかねてより欲望を抑えていた快楽殺人を決行していく。もうひとりは1人は刑事の使命としてそれを追う。

    まず、偶然多すぎ。人物設定がちょっと軽くて勿体無い。寺泊での出来事、引っ張りすぎてがっかりしちゃうから、もう少し早めに描くか、もう少し重めにしっかり描くかしてほしかった。

    まぁでも一気に読ませる作家さんではある。
    もう一冊読んでみようかな。

  • まさしくタイトルどおり。
    犯人と刑事の死命。

    最初は榊に捕まって欲しくないなーって思ってたけど、読んでいくうち蒼井刑事の凄まじい執念に心打たれました。
    ラストも良かった。

    薬丸サンの作品はハズレない。

  • ★3.5

    自分の余命を知った時、ひとりは秘めた欲望を解放し殺人を犯す。
    ひとりは刑事としての使命を果たす。
    死を恐れぬ罪人に報いを与えられるのかーー。

    大学時代に恋人・澄乃を絞め殺しかけ、自分の中に眠る。
    全ての女性に向けられた殺人願望に気付く。
    若くしてデイトレードで成功しながら、殺人衝動に悩む榊信一。
    ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きる事を決意する。
    それは、連続殺人事件の始まりだった。
    その頃、元恋人の澄乃との再会。
    信一と澄乃は、小学5年生の時新潟の寺泊という港町で、出会った。
    お互いに初恋だったが、一年後に信一は寺泊から出て行ったが、大学で再会した二人。
    付き合っていた二人だったが澄乃は卒業後故郷に帰って結婚し離婚して東京に戻って来ていた。

    都内で起こった連続殺人事件の、犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井。
    しかし蒼井にも同じ病が襲い掛かり、余命数ヶ月と宣告される。

    殺人犯・信一と、恋人の澄乃と、刑事蒼井の視点で物語は進んでゆきます。
    序盤は、澄乃が何度も信一を見捨ててしまったと悔いているのはどうして?
    信一は、どうして事故で記憶を失い、耳が聞こえなくなった事故って何?
    あの光景を思い出してしまうようなことになれば、絶望の中で死んでいくことになるって何?
    澄乃が抱えてる、後悔や後ろめたさってなに?
    信一は、どうして女性に対して殺人衝動を抱いているの…?
    沢山の謎が頭の中で渦巻いて、先が気になって仕方無かった。

    自分の余命を知った事で、人を殺したいという昔からの願望を実行した信一と、
    命が尽きるまでに、その犯人を逮捕しようとする刑事・蒼井。
    残り少ない命を対照的に使うふたりが印象的でした。
    そして、死を怖れない殺人鬼・信一。
    死にたくない、死を怖れている刑事・蒼井。

    信一と蒼井の心理描写は凄まじく、
    信一がどうして殺人願望を抱くかわかっても、哀れだとは思いましたが、
    理解も出来ないし、共感も出来なかった。
    蒼井の最後か安らかなものだったのは、救いでした。

    この様な主人公を描いた、著者が凄いとは思いましたが、
    うーん、気持ち悪かった(´⌒`。)
    一気に読ませる筆力は、流石でしたが…うーん。
    生きる事や生き方について、考えさせられました。

  • またもやぐいぐい読まされた。
    犯人側の設定が面白かった。
    澄乃との関係が何らかのキーだとは分かるけど、まさかそんな過去があるとはね!
    だからって、殺人鬼になってしまうのはダメだけどね!
    刑事側もなんともなー
    刑事の家族は大変だ。
    まさに二人の死、命の物語。

全118件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

薬丸 岳(やくまる がく)
1969年生まれ、兵庫県明石市出身。1988年、駒澤大学高等学校を卒業。高野和明の『13階段』の影響で小説家を目指し、2005年『天使のナイフ』が生まれる。同作で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。日本推理作家協会現会員。
2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞、2017年「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)をそれぞれ受賞。その他の代表作として「刑事・夏目信人シリーズ」があり、2018年2月にシリーズ最新作『刑事の怒り』が刊行されている。

薬丸岳の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
池井戸 潤
薬丸 岳
東野 圭吾
貴志 祐介
薬丸 岳
薬丸 岳
中山 七里
相場 英雄
道尾秀介
米澤 穂信
貴志 祐介
高野 和明
薬丸 岳
東野 圭吾
64
横山 秀夫
貫井 徳郎
宮部みゆき
東野 圭吾
吉田 修一
伊坂幸太郎
雫井 脩介
有効な右矢印 無効な右矢印

死命を本棚に登録しているひと

ツイートする
×