カフカ式練習帳

著者 :
  • 文藝春秋
3.68
  • (4)
  • (14)
  • (8)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 155
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163813301

作品紹介・あらすじ

扉を開けると、小説、夢、会話、猫やカラス、雑多な抜き書き、廃屋、日記、宇宙論の断片があふれ出す。天窓の上を風が吹く。木の枝が揺れる。カラスが戦う。文学はこんなにも唐突だ。断片からなる長篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私はこれだけ考えたり、感じたり、想像したり、夢見たり、またそれをこのように意識的に文書化することは絶対にできない。一番印象に残ったフレーズは「芸術に接するときに根拠を求めてはならない。根拠はそのつど自分で作り出すこと。社会で流通している妥当性を求めないこと。芸術から見放された人間がこの社会を作ったのだから、社会は芸術に対するルサンチマンに満ちている。彼らは自分が理解できないものを執拗に攻撃する。自分の直感だけを信じること。」です。このように語る自信と勇気に脱帽します。

  • どこを切っても保坂和志印の一冊であると言える。過剰な引用があり、カフカがいて猫がいる。そこはかとなくエッチでもあるし、思弁的な断章と活きのいい会話が同居している。カオス/アトランダムなようでありながらその保坂印でこちらを読ませる……と解釈してしまう私なのだけれど、それはもちろん保坂の持ち味を承知しているから。つまり、承知していない読者にはハードルが高く時間の無駄で終わる可能性は大いにある。そして、カタルシスを感じさせる類の読み物でもないために「オチは?」と苛立ってしまう向きもいるだろう。非常にクセのある本

  • 保坂和志「カフカ式練習帳」 http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163813301 … 読んだ。おもしろかった!初期のものから何作か読んだので現在はどうなっているのかと知りたくなって一番新しい本を選んだ。図らずもこの前に読み終わったマークソンの「これは小説ではない」と同様のスタイル(つづく

    初めて比喩を読んだ。良い出来ではないけれど比喩に猫しか使っていなくて可笑しい。全体に言葉遊びの要素もあって音楽でいう変奏が一番よかった。フィクションはとことん乾き淡々としているのに猫の話だと急にに湿度が上がる。たぶん自分の作品が文芸だという意識がないのだろうな、いいなあ(おわり

  • 保坂和志「カフカ式練習帳」 http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163813301 … 読んだ。おもしろかった!初期のものから何作か読んだので現在はどうなっているのかと知りたくなって一番新しい本を選んだ。図らずもこの前に読み終わったマークソンの「これは小説ではない」と同様のスタイル(つづく

    初めて比喩を読んだ。良い出来ではないけれど比喩に猫しか使っていなくて可笑しい。全体に言葉遊びの要素もあって音楽でいう変奏が一番よかった。フィクションはとことん乾き淡々としているのに猫の話だと急にに湿度が上がる。たぶん自分の作品が文芸だという意識がないのだろうな、いいなあ(おわり

  • あとがきにあるようにまさにノートの断片を集めたもの。よくわからないものからおもしろいもの、考え込んでしまうものなどいろいろあったが、全体的に不思議な感じがした。

  • 保坂和志さんの感性が好きで読んでみたが難しい。共感できる部分が出てくるとそうそうと嬉しくなったり、しかしわからない部分は飛ばし読み。あとがきを読んだら、「おもしろいと思うところを拾い読みしてくれればいい」と書かれていてちょっと救われた。カフカ式練習帳というタイトルも納得。さすが保坂さん。同時に読売新聞の夕刊小説も読んでいるので面白い。

  • 保坂のやりたいこととは逆の感想を持ってしまった。
    「この続き読みたい。」
    面白いことに変わりはないのだが、少年ムサシ、隣の空き地の
    男、とにかく気になったままだ。

  • ふとした思考や感覚や視点等々…
    とにかく色々な感性を、コラージュしたかの様な断片小説。
    全体に流れる空気が、いつになくセンチメンタルでした。

  • 作者が勝負を仕掛けてくるなら、
    受けて立とうじゃないかと読み進んでみたが、
    イヤイヤ、すごい作品だわ、これ。
    丁寧な描写の断片が集合すると、
    こんなにも面白いものが出来上がるのか。
    玄人仕事を見せてもらった。
    至福の読書時間だった。

  • 読むのに一ヶ月以上かかった。ストーリーのある小説ではないので筋を理解しようという姿勢で読むと行き詰まる。頭の中で音読して感じるくらいがちょうどいいのかもしれない。他の本もそんなものだと考えさせられる作品。

全15件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1956年、山梨県に生まれる。小説家。早稲田大学政経学部卒業。1990年『プレーンソング』でデビュー。1993年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、1995年『この人の閾(いき)』で芥川賞、1997年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞、2018年『ハレルヤ』所収の「こことよそ」で川端康成文学賞を受賞。主な著書に、『生きる歓び』『カンバセイション・ピース』『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『小説の誕生』ほか。

「2022年 『DEATHか裸(ら)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

保坂和志の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×