すみれ

  • 文藝春秋 (2012年6月11日発売)
3.28
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Amazon.co.jp ・本 (176ページ) / ISBN・EAN: 9784163813608

作品紹介・あらすじ

「私がはじめて頭ではなく、心で書いた小説です」

そう作者が語る、今年度最高の感動作!



「一九九六年の秋から一九九七年の冬にかけて、レミちゃんはわたしたちと一緒に暮らした。」

――十五歳のわたしの家にとつぜんやってきて、一緒に棲むことになった三十七歳のレミちゃん。

むかし作家を目指していたレミちゃんには「ふつうの人と違う」ところがあった……。



季節の移り変わりとともに描かれる人の人のきずな、人間のみにくさと美しさ。

そして涙がおさえられない最後が待ち受ける。

いま筆力を最も高く評価されている、日本文学の正統な担い手による最高傑作。

みんなの感想まとめ

人との繋がりや心の奥深さを描いた作品は、心に病を抱える37歳のレミちゃんと15歳の藍子の1年間の共同生活を通じて、感情の複雑さを浮き彫りにします。藍子は、自身の苦しみとレミちゃんの苦しみをどうにかしよ...

感想・レビュー・書評

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  • 心に病みを抱えてる37歳レミちゃんと中学生の藍子が一緒に暮らした1年ぐらいの話。

    おもしろかった。何気ないけど忘れられない1年。
    すごく細かい部分で共感するところがある話だった気がする。

  • 読みやすい。15歳の藍子と精神不安定な30代後半のレミちゃんとの関係。「わたしは自分のことで精いっぱいで、レミちゃんの苦しさまで引き受けることはできない。どうして、自分の苦しさを人に押し付けようとするんだろう?私はだれかにそんなふうにされるのも、するのもいやだった。自分の苦しさは最後まで自分一人でどうにかするものだと思った。」「でも、そういう人たちが、ある日突然、そういう手を失ってしまったら、いったいどうすればいいんだろう?」藍子は聡明だ。レミちゃんの手を一番先に離したのは自分だと気づく。

  • とても惹き付けられるお話でした。
    誰にも分からない心の中。
    自分にも読めない心。
    大人になっても 信頼しあっても
    家族でも 友達でも 恋人でも
    心の全てを 理解することは
    できないかもしれなぃ。
    綺麗事だけではない 人との繋りを
    考えさせられました。

  • 15歳藍子と37歳レミちゃんの交流。
    レミちゃんはパパとママの大学の友だち。今はちょっと情緒不安定だから一緒に4人で暮らすことにした。

    大人になろうとする藍子と、大人になれないレミちゃん。
    ふたりはいいバランスで仲良くするが、藍子の成績は下がっていく。
    それでもパパとママは藍子に彼女を頼むと言う。

    レミちゃんの不安定な感情に耐えられなくなったママは彼女を追い出す。

    -------------------------------------------------

    15歳と37歳の友情はなかったな、というのが読み終わっての感想。

    レミちゃんが藍子とその家族に寄りかかっていたのであって、そこに対等な友情はないように感じた。あるとしたらパパとママとレミちゃん、3人の大学からの友情。それによって彼女は生活を保っていたのだと思う。

    最終的に寄りかかる場所を失うレミちゃん。
    何か支援団体とか施設を紹介してもよかったんじゃないかと思ってしまう。そのまま外にでても人生ハードモード過ぎるし、文字通りの意味で、野垂れ死んでしまいそうな感じ。
    さみしい話だった。

  • 青山七恵はレミなのかな。

    簡潔で丁寧な文体がとても心地好い。ので物語にドップリ浸かっていられる。こういう洗練された文章を書くひとに私はなりたい。

    読後しばらく終盤の流れの余韻が続く。
    酒に逃げたい。

  • 途中レミちゃんがきゅっとこわくなって、一旦本を閉じて、彼の布団にもぐり込んだのだけれど、彼もまた繊細で脆いところもあるということが姿見に映った布団から感じ取られて、その人を知ってるか知らないかで愛情をとらえられるのは変わってくるように感じた。

  • 主人公、中学生の女子の目線でかかれた小説。彼女の家にやってきた両親の友達レミのことを綴ったものだ。
    大人の目線でみれば、このレミ野という女性は心の病気を持っており、またそれにある意味甘えてしまっている当人と回りの人々がいる。少しやっかいな女性だ。しかしまだ世間をそれほど知らない純粋な主人公にとっては、レミという女性は不思議で魅力的にも映る。先入観をもたず、自分の眼でみて感じたとおりに相手を判断する、受け入れるという大人が忘れてしまった感覚を中学生の主人公はもっているのである。
    人間は大人になるほどにいろいろな視点で人を観ることが出来なくなっていく、世間の常識や自分の都合だけで相手を見るようになってしまうのではないかと考えさせられる。

  • 「あたし、当たり前の幸せなんか、いやだ…」。
    大人になりきれない37歳のレミちゃんともう子どもではいられない15歳の藍子。
    心ゆさぶる友情の物語。
    (アマゾンより引用)

    うん…まぁまぁ…

  • もし、この物語を語るのが、15歳の主人公・藍子ではなく、彼女の年上の友人・レミちゃん、あるいは彼女の両親だったら。
    きっとこんなに切なくも優しい世界は生まれていなかったんだろうなァと思うと、青山先生ありがとう…と何故か感謝の気持ちが湧き上がったのでした(新感覚)。

    そんな風に感じ入りながら、哀しいけれど、一抹の救いも感じさせてくれるラストに思いを馳せつつ本を閉じた読後感、素敵だった…。

    以前読んだ「窓の灯」より、断然こっちの方が好きだなー。

    社会にうまく溶け込めないけれど何故か放っておけない女性の姿が、15歳の少女の目を通して描かれるとこんなにも魅力的になるなんて、不思議だな。

    よくよく考えたら、デートに同行させられるとか、お泊まり強要されそうになるとか、めっちゃイヤじゃん←←

    花の名前を持つ女性、レミちゃん。

    かつて主人公と同じ夢を見たことのある、愛に疲れた年上の友人。

    彼女が主人公に最後に告げた告白が、この物語の全てを現しています。

    「あたしの本当の友達は、今までも、これからも、あんた一人だけ。だからお願い、藍子だけはあたしを忘れないで」

  • 読メでどなたかのレビューを見て気になったので図書館へ。
    まあまずは読みやすかった。児童文学くらいの読みやすさ。
    内容はまったく児童文学ではないけれども。
    あらすじ等でレミちゃんが心の病やら大人になれないやらと書いてあったので、なんというか少し頭の足りない子的な話なのかと思ったら、全然違った。
    まとも。レミちゃんはまとも。
    おかしいのは周りの人間だった。
    藍子の両親とかレミちゃんの親とか、大学時代の友人とかみんな気持ち悪い。
    異常だ。
    そんな中でも藍子だけはわりとまともだった。
    藍子と出会えて良かった。

  • 両親の学生時代の友人レミちゃんと受験生の藍子の同居生活。中学生のまだ未熟な藍子の目からみるレミちゃん。受験勉強からの逃避で忙しい両親がいない間にレミちゃんと豪華デイナーを作ったり。不安定で少女の様な幼さを残したレミちゃんだから少女の藍子と仲良くなれたのかな。藍子がレミちゃんに何の先入観も持たずに接していたからかな。最後は少し切ない終わり方。レミちゃんが元気でいてくれてますように。2012/456

  • 少し難しい問題を、平易な分かりやすい文章で書かれた作品だと思いました

    37歳の大人になりきれない繊細なレミさんとの友情や自分の両親のことを、高校受験を控えた中学生の藍子さんの目線で書いています

    さらっと読めてしまうのですが、よく考えると奥が深い!

    私はめんどくさいから、さらっと読んだだけ。
    こうして誰かに依存して生きている人って、あまり興味がないから。。。

  • 13/11/30

    こういう、人を不安にさせる、だけどほんの少しきらきらしてる小説はなぜだか好き。

    P94ー
    「藍子、これがサトウススムさんだよ。ススム、これが藍子。あたしの心の娘」

  • レミちゃんみたいな人は苦しいな。わたしはそうならないように気をつけてる人なんだよね

  • 主人公の藍子の家に父と母の大学時代の友人レミちゃんが居候することになった。
    おおざっぱに言うと人と人の関わりが話の中心という印象。
    人との関わり方は、これが正しいというものがない。
    自分で考え、自分で選んでいく。
    その結果意図しない結果になったとしても自己責任、・・・そうとも言い切れない。
    そういう答えがないことをいろいろと考えさせてくれる本だと思う。
    とっつきやすく読みやすい。

  • 表紙を見て一目ぼれしました。
    両親と精神不安定な両親の友達レミと娘の藍子との4人で暮らしている。レミに対する両親の接し方って、はれ物にふれるような感じでちょっとひどいなと思ってしまった。結局最後にはすべて爆発してしまった。レミの心の支えになっていたのは藍子だったんだろうなと思う。うっとおしく思うことがあったとしても藍子の姿勢は誠実だったのではないかなと思う。
    ただ・・・結局斎藤君のくれたプレゼントは結局どうなってしまったのだろう?

  • 少女と、その家に居候していた父母の友人であるレミちゃんの話。母いわくレミちゃんはちょっと心の病があるから匿って世話をしているんだけど、、、徐々に距離感が狂っていく。

  • レミちゃんがその後どうなったのか、とても気になる。

    自分の問題は、最終的には自分で解決しないといけない。
    周りも、途中で手放すくらいなら、人を助けるべきでなない。
    中途半端な親切心は、返って人を傷つけるのではないかな。

    海を連想させる、蒼い爽やかな表紙の本なのに、何だかすっきりしない読後感を抱える本。

  • 読者の心を代弁してくれる(であろう)藍子でさえ、やはりパパとママの子だなぁと思う。レミちゃんに甘い。
    弱みを誰かにさらけ出すのも勇気がいる。

  • 「ブックマーク」の本のアンケートで書かれていた本を、「ブックマーク」を作り終えて、それっと借りてくる。表紙カバーが、山陽本線や呉線で海をみているときみたいやなと思った。

    15歳の「わたし」=藍子と、そのとき37歳から38歳になろうとしていた「レミちゃん」の話。レミちゃんは、父と母の大学時代の友人だった。藍子が15歳の夏、レミちゃんは夏至の頃からちょくちょく遊びに来るようになり、泊まる回数も増え、夏休みが始まる頃には、遊びに来ているのか住んでいるのかわからないような状態になっていた。

    「レミちゃんはちょっとおかしい、ふつうの人と違う」そう思ったこともある、藍子。「レミはね、心にちょっと、病気があるの」と母や父から聞かされた。でもレミちゃんがいることで別段困ることもなかった藍子は、「放っておけないの。だから。いろいろ問題なく一人で暮らせるようになるまで、みんなで家族みたいになって、一緒に暮らして、元気づけてあげたいの。藍子、いい?」という問いに、うん、いいよと答えたのだ。

    家族みたいにって、どんな感じかなと思いながら、話を読みすすむ。

    「大きくなった不良少女という感じで、見ていてどきどきする」レミちゃん。
    「いい意味でも悪い意味でも、ちょっと危険な感じのする」レミちゃん。

    ある日、レミちゃんが、「若くて柔らかい才能」について藍子に話す、そこが印象的。

    ▼「あたしが小学生の頃、スワさんていうすごく絵が上手な女の子がクラスにいたの。上手って言うのはね、優等生的なうまさじゃなくて、そういうのとはまったく反対の方向に向かっているうまさで、光ってるというより、鳴りひびいてる、響きわたってる、そういう感じの。とにかくこの子は何か違うって、みんな子どもながらにわかるくらい、すごい子だったの。でもスワさんってちょっと変わってて、いつもへらへらしてるし、図工以外の授業でも絵ばっかり描いてるし、足は速かったけど勉強は本当にまったくできなかったから、なんていうんだろう、そういうところではちょっと浮いてたんだよね。でも友達がいないわけじゃなくて、仲間外れにもされてなかったし、あの子ちょっと変わってるね、っていうだけで、スワさんみたいな子がのびのび生きていられる世のなかってけっこういいなって、あたし、思ってたの。でも中学校に入って、スワさんはすっかり変わっちゃった。ソフトボール部に入って、先輩たちにすごくしごかれたみたい。同い年の子にもへんにいじめられて、後輩にもばかにされて、最後には円形脱毛症にまでなったの」(pp.28-29)

    そのスワさんが、どうして変わってしまったのか。
    レミちゃんが思ったことは、

    ▼「それって周りが悪かったっていうより、スワさん自身の、心の持ちようが変わっちゃったからだと思うんだ。小学校のときには絵のこと以外ちっとも気にしなかったスワさんが、自分のこととか、周りのことを気にするようになったから、そんなふうになって、周りの人もめざとくそこにつけこんで、調子に乗った結果だと思うんだ。時々廊下に貼りだされる水彩画とか美術室に展示されてる粘土の置物なんかを見ても、小学生のときにはあふれるくらいにあった、みんながはっとするような突き抜けた何かが、ちっともなくなっちゃったんだよ。スワさんの絵からは、もう何も聞こえなかった。あたしそれがすごく悔しくて、こういうのってなんてばかばかしいことなんだろうって、すごくいやな気持ちになった。そういう、ちょっとした自意識とか、たいした理由もない意地悪とかのせいで、若い人の貴重な、りんりん鳴ってる何かが、簡単にめちゃめちゃになるって…」(pp.30-31)

    だから、レミちゃんは、藍子のりんりん鳴ってるものを、今鳴ってなくたってこれから鳴るかもしれない何かを、つまんないことで絶対にだいなしにしたくないのだと、語るのだった。

    世の中には、難しくて大袈裟な言葉が多すぎるとレミちゃんは言う。本当ならひと言で済むことを、何枚も何枚もどうでもいい言葉で包んで、中身を見えなくして、それらしく体裁を整えてから、どうぞ、これがわたしの考えですって投げつける、飾り言葉のせいでずっしり重くなってしまったその包みを受け取った人が、いらない言葉を一枚一枚苦労してはがしていって、最後にようやく大事なひと言に辿りついたときには、もうその言葉を投げつけた張本人はそこにはいない… この世のなかに出回ってる言葉は、ほとんど全部がそんな風で、そうしないと人間同士がうまくやっていけないところもある、でもあたしはそういうのいやなんだとレミちゃんは言う。

    レミちゃんは、そんな風に、中学生の藍子に本気で問いかけ、話しかけてきた。
    藍子の家から出ていったとき、「あたしの本当の本当の友達は、今までも、これからも、あんた一人だけ。だからお願い、藍子だけは私を忘れないで」(p.163)とレミちゃんは言った。

    自分たちはじゅうぶんレミを助けたのだ、でも永遠に助けてあげるわけにはいかないのだ、だって私たちには私たちの生活があるんだからと、藍子の母は泣きながら叫んでいた。

    父と母よりも先に、レミちゃんを見捨てたのは私だ、と藍子は思う。鎌倉へあそびに行った日、一緒にいてと抱きついてきたレミちゃんを置いて帰ったことを、藍子は今でも思い出す。あのとき、自分はまだ取るに足らない子どもで、なんの役にも立てないからだと思っていた。でも、大人になってからも、つないでいたはずの誰かの手を、何度も放してきてしまった。

    人を助けるって何やろうと思った。支援とか助けるとか、そんな言葉がうじゃうじゃしている中で。

    (2/26了)

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著者プロフィール

二〇〇五年に「窓の灯」で文藝賞を受賞しデビュー。〇七年「ひとり日和」で芥川賞受賞。〇九年「かけら」で川端康成文学賞受賞。著書に『お別れの音』『わたしの彼氏』『あかりの湖畔』『すみれ』『快楽』『めぐり糸』『風』『はぐれんぼう』などがある。

「2023年 『みがわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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