すみれ

著者 :
  • 文藝春秋
3.27
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本棚登録 : 361
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163813608

作品紹介・あらすじ

「ふつうの人と違う」37歳の元文学少女レミちゃんと15歳の作家志望のわたしが過ごした1年。切ないラストに胸がつまる感動作

感想・レビュー・書評

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  • とても惹き付けられるお話でした。
    誰にも分からない心の中。
    自分にも読めない心。
    大人になっても 信頼しあっても
    家族でも 友達でも 恋人でも
    心の全てを 理解することは
    できないかもしれなぃ。
    綺麗事だけではない 人との繋りを
    考えさせられました。

  • 15歳藍子と37歳レミちゃんの交流。
    レミちゃんはパパとママの大学の友だち。今はちょっと情緒不安定だから一緒に4人で暮らすことにした。

    大人になろうとする藍子と、大人になれないレミちゃん。
    ふたりはいいバランスで仲良くするが、藍子の成績は下がっていく。
    それでもパパとママは藍子に彼女を頼むと言う。

    レミちゃんの不安定な感情に耐えられなくなったママは彼女を追い出す。

    -------------------------------------------------

    15歳と37歳の友情はなかったな、というのが読み終わっての感想。

    レミちゃんが藍子とその家族に寄りかかっていたのであって、そこに対等な友情はないように感じた。あるとしたらパパとママとレミちゃん、3人の大学からの友情。それによって彼女は生活を保っていたのだと思う。

    最終的に寄りかかる場所を失うレミちゃん。
    何か支援団体とか施設を紹介してもよかったんじゃないかと思ってしまう。そのまま外にでても人生ハードモード過ぎるし、文字通りの意味で、野垂れ死んでしまいそうな感じ。
    さみしい話だった。

  • 青山七恵はレミなのかな。

    簡潔で丁寧な文体がとても心地好い。ので物語にドップリ浸かっていられる。こういう洗練された文章を書くひとに私はなりたい。

    読後しばらく終盤の流れの余韻が続く。
    酒に逃げたい。

  • 途中レミちゃんがきゅっとこわくなって、一旦本を閉じて、彼の布団にもぐり込んだのだけれど、彼もまた繊細で脆いところもあるということが姿見に映った布団から感じ取られて、その人を知ってるか知らないかで愛情をとらえられるのは変わってくるように感じた。

  • 主人公、中学生の女子の目線でかかれた小説。彼女の家にやってきた両親の友達レミのことを綴ったものだ。
    大人の目線でみれば、このレミ野という女性は心の病気を持っており、またそれにある意味甘えてしまっている当人と回りの人々がいる。少しやっかいな女性だ。しかしまだ世間をそれほど知らない純粋な主人公にとっては、レミという女性は不思議で魅力的にも映る。先入観をもたず、自分の眼でみて感じたとおりに相手を判断する、受け入れるという大人が忘れてしまった感覚を中学生の主人公はもっているのである。
    人間は大人になるほどにいろいろな視点で人を観ることが出来なくなっていく、世間の常識や自分の都合だけで相手を見るようになってしまうのではないかと考えさせられる。

  • 「あたし、当たり前の幸せなんか、いやだ…」。
    大人になりきれない37歳のレミちゃんともう子どもではいられない15歳の藍子。
    心ゆさぶる友情の物語。
    (アマゾンより引用)

    うん…まぁまぁ…

  • もし、この物語を語るのが、15歳の主人公・藍子ではなく、彼女の年上の友人・レミちゃん、あるいは彼女の両親だったら。
    きっとこんなに切なくも優しい世界は生まれていなかったんだろうなァと思うと、青山先生ありがとう…と何故か感謝の気持ちが湧き上がったのでした(新感覚)。

    そんな風に感じ入りながら、哀しいけれど、一抹の救いも感じさせてくれるラストに思いを馳せつつ本を閉じた読後感、素敵だった…。

    以前読んだ「窓の灯」より、断然こっちの方が好きだなー。

    社会にうまく溶け込めないけれど何故か放っておけない女性の姿が、15歳の少女の目を通して描かれるとこんなにも魅力的になるなんて、不思議だな。

    よくよく考えたら、デートに同行させられるとか、お泊まり強要されそうになるとか、めっちゃイヤじゃん←←

    花の名前を持つ女性、レミちゃん。

    かつて主人公と同じ夢を見たことのある、愛に疲れた年上の友人。

    彼女が主人公に最後に告げた告白が、この物語の全てを現しています。

    「あたしの本当の友達は、今までも、これからも、あんた一人だけ。だからお願い、藍子だけはあたしを忘れないで」

  • 読メでどなたかのレビューを見て気になったので図書館へ。
    まあまずは読みやすかった。児童文学くらいの読みやすさ。
    内容はまったく児童文学ではないけれども。
    あらすじ等でレミちゃんが心の病やら大人になれないやらと書いてあったので、なんというか少し頭の足りない子的な話なのかと思ったら、全然違った。
    まとも。レミちゃんはまとも。
    おかしいのは周りの人間だった。
    藍子の両親とかレミちゃんの親とか、大学時代の友人とかみんな気持ち悪い。
    異常だ。
    そんな中でも藍子だけはわりとまともだった。
    藍子と出会えて良かった。

  • 両親の学生時代の友人レミちゃんと受験生の藍子の同居生活。中学生のまだ未熟な藍子の目からみるレミちゃん。受験勉強からの逃避で忙しい両親がいない間にレミちゃんと豪華デイナーを作ったり。不安定で少女の様な幼さを残したレミちゃんだから少女の藍子と仲良くなれたのかな。藍子がレミちゃんに何の先入観も持たずに接していたからかな。最後は少し切ない終わり方。レミちゃんが元気でいてくれてますように。2012/456

  •  レミと藍子の不思議な友情。青山さんの小説は、サラサラっと読めるのが特徴だけれど、これもサラサラっとしているのけれど、終わりまでこんなにサラッとしてはいけないのでは…というようなラスト。

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著者プロフィール

二〇〇五年に「窓の灯」で文藝賞を受賞しデビュー。〇七年「ひとり日和」で芥川賞受賞。〇九年「かけら」で川端康成文学賞受賞。著書に『お別れの音』『わたしの彼氏』『あかりの湖畔』『すみれ』『快楽』『めぐり糸』『風』『はぐれんぼう』などがある。

「2023年 『みがわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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