- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163814407
作品紹介・あらすじ
「二十四の瞳」の舞台で有名な小豆島。平成、昭和、大正、明治、4つの時代に島で起きた事件と悲恋の背後には因縁の物語があった
感想・レビュー・書評
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24の瞳と戦前文学?等々を盛り込みつつ風刺する作品。ストーリーとしては面白いんだけど、時代の暗部が受け入れがたい。
ニジコと小豆島がキーなのだけど、ファンタジーな要素は少なく、人間のダメっぷりが強調されている。個々のダメさ加減は受け入れられるけれど、戦争や地震、津波、工業天災なとどは夫婦であっても価値観、捉え方が異なるのかな。というよりもともと違っていたものが、生きるか死ぬかのところで白日に晒されるのだろうか。震災離婚とかあったな。そんなことを考えさせられる作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二十五だよ…
奇数だよ…
嫌な予感しかしないよね…
そして、それ、当たってるし。 -
樋口毅宏は文学にヒップホップの方法論持ち込む。
言うなればタランティーノが映画でやっていることを小説でやっているのだ。
今回は壺井栄『二十四の瞳』、高峰秀子『私の渡世日記』という大ネタ勝負といったところだろうか。
平成、昭和、大正、明治、四つの時代を四話に渡って描くが、微妙に文体のグルーヴを変えてきている。
まるでジャズDJが年代がバラバラで音質にも隔たりがある音源をスムーズに混ぜるかのようにそれらは繋がっていく。 -
『地球上の生物の歴史を見てもわかる。強いものが生き延びたのではない。危機察知能力が高いものが生き残ってきたのだからと、僕は自分に言い聞かせた。』
「少しでも社会を良くしたかった。そうしなければ、この狂った世界に折り合いをつけることができなかった。こんな言葉を知らないか? 世界を変えられなかったら、自分を変えろ。自分を変えられなかったら、世界を変えろ。 ーー私は、後者を選択した」
「愛ちゃんもトランプやらない? ちょっと田山くん、ババ抜きやりましょうって誰がババアやねんー
「私どもが売っているのは安心です。月々の支払いで、平穏無事な将来が買えると思って下さい。残念なのは万が一あなたが亡くなった後、路頭に迷うことなくそれまで通りの生活を過ごすご家族の様子をお見せできないことです。」 -
この本は雑誌の連載と前後にちょっとした書下ろしを付け加えてある。根底にあるのは二十四の瞳なのであるが、福島第一原発の事故も大きく関わってくるのである。登場人物も実に多彩で、壺井栄から高峰秀子、木下恵介監督、黒沢明監督、渋沢栄一、邱永漢にはては著者に至るまでそれぞれが重要な役割を担っている。アイディアが面白く、実に不思議な小説だ。WOWOWで今月やる七人の侍は見てみよう。
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やっぱりやってくれた、この作家。鬼才、あるいは奇才などという表現ではまだ足りない。美しくもおぞましい物語の数々を書き続け、常に読者の側の予測を拒むアイディアに満ちた、異郷や異形の樋口ワールドといった、如何にもケレン味たっぷりの一冊が、またもここに登場した。
読書当時、ぼくは二度ほど小豆島を訪れることになっていた。小豆島の知識を仕入れるのに通常の観光本を思い描く前に、読み残しのこの一冊が念頭にあった。果たして小豆島の、文字通り「豆」知識の役に立つかどうかは期待の埒外に置くとして。
内容を見て驚く。私小説? と思わせるプロローグに始まるが、それはエピローグとともに、四つの短編小説を挟む作者のモノローグ。ローグ、ローグと、五月蝿くなってしまいました、失礼!
さて四つの短編小説は、平成、昭和、大正、明治とそれぞれ時代を異にした文体も内容もまるで別作者が書いたような物語の数々。樋口文学のテクニックの冴えは各所に見られるし、彼の作風の異常ぶりも、徐々に極まってゆくので、ご安心を。そして誰もが予想をしなかった結末にて、この作品はこういう作品だったのか、と唸らされることになる。
干潮の時だけ姿を現わす天使の散歩道(エンジェルロード)を二人で歩くと愛が成就するというスポットが実際に小豆島にある。夕陽の時にはとても美しい場所である。しかし、樋口ワールドの小豆島では、海から浮上するニジコという怪物が存在し、その正体は何なのかわからない。ニジコを見ると別れるという小豆島別離伝説も、秘薬薯という特有の芋も、嘘くさいものばかりである。史実と幻想とを混沌の中に投入しつつ、この連作短編集は終わってゆく。
尾崎放哉、渋沢栄一、斎藤実など実在の人物が登場したかと思うと、肝心の『二十四の瞳』のヒロイン高峰秀子は高稲愛子という別の名前で登場し、別の映画を子供たちと撮影している。この統一のない奔放性が自由自在に小豆島を料理してしまった、これは奇怪異形の書なのである。 -
二十四の瞳を軸として小豆島を舞台とした短編が四つ平成から明治にかけて時代をさかのぼって収められています。
特に尾崎放哉を描いた第三話「酔漢が最後にみたもの」は夢中に読むことができました。
尾崎放哉の自由律俳句における知名度は種田山頭火と肩を並べる印象ですが、その生涯を追って残された作品を味わうと、これが一人の男の人生かと疑うほど波瀾に満ち、そしてその激烈な人生だからこそ今も多くの人を魅了する作品が生まれたのだと思いました。
第四話にいくと、著者の独特な表現で空海と大石先生と小豆島と原発事故を繋ぎ、皮肉な内容としては面白いのですが、やはりボクは尾崎放哉に惹かれました。
小豆島の歴史的な背景や縁のある人物など予備知識なく読みましたが、意外な人物や地理上の特異さからドラマが生まれやすい風土なのだと感じました。 -
時代を変えて語られそれがいまいち分かりづらかったが、終章とあとがきを読むとせつなくいい余韻があった。
木下恵介監督の二十四の瞳を観ようと思った。 -
中原昌也をマイルドにした感じになってきた〜
エピローグの自分語りてきなところ
いらなくない?