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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784163814506
作品紹介・あらすじ
香港西区警察署の許友一巡査部長は、ある朝、マイカーの運転席で目が覚めた。酷い二日酔いで、どうやら自宅に帰らず車の中で寝込んでしまったらしい。慌てて署に向かったが、どこか街の様子がおかしい。署の玄関も改装されたように様子が変わっていて、貼られているポスターを見ると2009年と書いてある。「馬鹿な、昨日は2003年だったのに!?」。許巡査部長は一夜にして6年間の記憶を失っていた。呆然とする許だが、ちょうどそこに女性雑誌記者・蘆沁宜が現れ、許が昨日まで捜査していた、夫と妊娠中の妻が惨殺された事件の取材で許と会う約束をしたという。それが、6年前の事件の真犯人と己の記憶を追い求める許の捜査行の始まりだった。奇想天外な発端と終盤の怒涛のどんでん返しで圧倒的な支持を受け、第2回島田荘司小説賞を受賞。香港の鬼才が放つアジア本格の決定版です!
みんなの感想まとめ
記憶喪失と捜査をテーマにした本作は、香港の警察官が6年間の記憶を失った状態で繰り広げられるミステリーです。許巡査部長は、過去の惨劇と向き合いながら真相を追い求め、意外な展開やどんでん返しに翻弄されます...
感想・レビュー・書評
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違う、私ではない
私は決して自分を失うことはない
君が向き合っているのは
世界を売った男なのだ
ーデヴィッド・ボウイ『世界を売った男』
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『世界を売った男』という曲はその昔、ニルヴァーナがMTVのアンプラグド(懐かしい!)でカバーしたのが有名ですが…。本書を読んでいるあいだ中、アタマの中でずっとぐるぐる流れてました。
『13.67』の著者が初期に描いたこの香港ミステリーは、荒削りで多少強引なところもありますが面白かったです。ラストのくだりはプロローグの回収にもなっているようです。
タイトルの意味は、ドッペルゲンガーなど様々な解釈があるようですが、個人的にはデヴィッドボウイが有名になったことで「(自分の)世界を売った男」として、歌ったのかもしれないなあと思いました。
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途中で犯人と真相が分かった(つもりになった)。しかし終盤で、その原因やプロセスが、全く予期していなかったことであると知り、あらためて「どんでん返し」にしてやられた感を強くした。
香港警察の許巡査部長は、目覚めたら6年間の記憶を失っていた! 2003年、彼が関わったある凄惨な殺人事件では、容疑者が死去し、捜査は終了している。しかし2009年の現在、許は犯人が「彼」ではないと考え、雑誌記者の阿沁と共に真相を探っていく。
本作で主体となって発言するのは、刑事の許友一、「犯人」と交流があった閻志誠(イム・チーシン)、そして精神科医の白医師の3名である。許と閻はともにPTSDを患い、白医師のカウンセリングを受けている。読後もういちど白医師の発言を読み返すと少し納得できた。
記憶喪失や解離性同一性障害は物語でよく使われる設定だが、本作ではそれらの使われ方が斬新。今まで自分が読んだミステリーの中で一番複雑な構成で、理解するのに苦労した。タイトルの意味はいまだによくつかめないのだが…。物語のほとんどが暗くてやりきれない気持ちになったが、最終的に救いがあるのでほっとした。 -
陳浩基、恐るべき才能。こんな作家がいるなんて。もっと早く読みたかった。アジア勢に対する偏見を後悔。タイトルの「世界を売った男」がデビット・ボウイの曲だと知ってニヤリ。最新作の「ディオゲネス変奏曲」をさっそく購入。借りて読んでもよかったのだけれど、どうしても手元に置きたくて。ゆっくり読んでますよ!
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著者である陳浩基氏の「13・67」を読む前に初作である本著を手にとった。
ミステリーの設定がユニーク。現代の問題をうまく取り込んでおり、全く予想できなかった。
主人公だけで良かったと思う。(ネタバレするのでこれ以上言及しない。)
原作のタイトルは『遺忘・刑警』だそうで、邦題の「世界を売った男」はもう少し良いタイトルがあったと思う。
評価は限りなく、4点に近い3点とする。 -
初めての香港ミステリー
面白かったけど、中国語の名前や地名などが難しくて頭に入って来ない。
コロコロ変わる真実に頭が付いて行くのが精一杯。
漢字が難しい上にトリックも込み入ってて、自分の頭の悪さを突き付けられた感じ。
だけど、最後まで必死に付いて行った価値あった。
最後の一言にゾクリ&粋だなぁと感心。 -
とても評価が難しい。
何でもどんでん返せばいいというものでは…という気もするのだが、それは訳文がまずいせいなのかもという気もする。
つか、島田荘司(という日本人作家)の名を冠した賞だし、著者は日本語(という外国語)で執筆して応募したのかと、読了後まで勘違いしていた。そのくらいに日本語訳がひどい。もはや非ネイティヴレベル。
生硬、平板、セリフ回しが棒読み級。そのせいで、主人公と作品世界にまったく親近感が湧いてこない。よくよく考えたら凝りすぎなくらい凝った設定なのに、不自然さだけが強調されて書き割りみたいに見えてしまうのだから、気の毒な話である。
「目が覚めたら6年飛んでました」としょっぱなからかましておきながら○○○○って出落ちかよ…と始球式しかけたら、あっとびっくり真相は××××。ここらへんは、素直にうまい。いささかやりすぎの過剰さまで含めて、いかにも賞を獲りそうな作品と言える。新人は、これくらい活きのいいほうがいい。
名作とか傑作とかではないのだが、頑張りを評価したくなる作品。それだけに、つくづく翻訳が残念だ。
2019/2/4〜2/7読了 -
原題は『遺忘・刑警』で
『世界を売った男』というタイトルは
イギリスのテレビドラマ『時空刑事1973』の
テーマ曲がデビットボウイのLife on Marsで
そのB面曲が『世界を売った男』に由来する。
ただこのタイトルは原題よりの
忘れてしまった警官みたいな方がしっくりくる。
6年間の記憶を失ってしまっているという事実を
6年後からタイムトンネルで来た刑事ではというSF展開が示唆されるが、荒唐無稽にみえるその一案を凌駕する
許友一は誰なのかというオチはおぉとなる。
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香港を舞台にした推理小説。中々面白い内容。
特にどんでん返しが意外だった。 -
納得感が低い。いまいち。
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警察の許友一巡査部長が目を覚ますと、2003年から2009年になっていた。「一体何が起こっているんだ。」2003年に許巡査部長が関わった殺人事件を調べなおしている女性雑誌記者 盧泌宜と共に再捜査を始める」
第二回島田荘司推理小説賞受賞作。後に『13 67』などを書いた。『ハサミ男』など小説ならではのトリック。読みすすめるうちに、どれが正しいのか自分の思い込みなのかがわからなくなってくる。
結末は主人公が「小骨がとれた感覚」。犯人の動機にはモヤモヤ。 -
香港ミステリの2冊目。これはまた手の込んだ心理的入れ替わりトリックミステリ。事件自体は単純で、真犯人もひょっとしたらと十分考えうる範囲なのだが、それを二転三転させる主客転倒が執拗に仕かけられていて混乱する。門外漢からみると科学的には反則ではと思わないでもないが、まあうまくできているとは思う。
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第2回島田荘司推理小説賞受賞作。
香港警察の許巡査部長は、ある朝目覚めると6年分の記憶を失っていた。ちょうどそこへ、彼が昨日まで捜査していたはずの殺人事件の取材で雑誌記者が現れる。許は事件の真相と自分の記憶を明らかにするため、彼女とともに捜査することに…
序盤の不思議と最後に明らかになる驚きの真相が島田荘司っぽいテイストの作品。
面白くて読みやすかったのはいいが、読みやすすぎというか内容のわりに軽い感じ。
しかし、昔から中国語の名前が苦手で覚えられず挫折することが多かったのだが、その困難を吹っ飛ばすくらいには面白かった。 -
原文がそうなのか訳のせいなのかわからないが、筆致が非常にライトで少し拍子抜けした。読みやすいのは読みやすいのだが、翻訳作品でこういう筆致はお目にかからないので、何となく変な居心地がした。
作中の時間経過が短くさくさく進む。プロットも練られてあり、サプライズもそこそこ効いている。本格であるが科学的な要素もアリで、捻りも巧い印象を受けた。深読みできるテーマではあるのだが、どうしても新人特有の荒削りな部分が目立って、そこまで作中に入り込めないのが残念だったかな。
いい着眼点を持っているので何作かリピートしたいところだが、登場人物の名前がまともに読めないことにはどうしようもない。漢字表記のアジア作品は厄介だなあ。 -
■時間って記憶の関数なんだな。って思った。時間のズレが錯覚を引き起こして読んでるこちらにトリックを仕掛けているような作品。
■後半になってやっとペースが出てきたと思ったら大どんでん返しの結末。やっぱり香港を舞台にした作品って、登場人物のキャラクターが(自分の頭の中に)なかなか作れないのでちょっと苦手かも。 -
島田荘司推理小説賞受賞だけあって島田荘司っぽいテイストが味わえます。訳も読みやすくていいですね。舞台が香港で登場人物の名前が漢字だからか人物がごっちゃになってややこしい話が更にややこしくなってしまった。
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2003年に生活していたはずなのに突然2009年の世界に迷い込み、2003年当時の事件を再調査するという話。設定は面白かったが、話がわかりずらく、2009年に迷い込んだ真相、事件の真相ともにちょっと理解しにくい感じだった。
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目覚めた車の中で頭痛に悩まされながらも、警察署に向かう刑事、許友一。しかし、近づくにつれ見慣れた景色が違っていた。二〇〇九年と記すカレンダー。自分が昨日までいたのは二〇〇三年だったはず。何が起こっているのか。そして鮮明に残る二人重なるようにして残虐に殺された、あの事件はどうなったのか。自分の記憶が欠落した原因は。事件の結末は...。記者の阿沁とともに許は、当時の自分の記憶を頼りにすでに終結した事件を独自に捜査していくのだが、犯人と特定した者が実は違うのでは、と刑事の直感がいうのだった。__海外の作家であまり知らなかったが、いくつかの賞で候補に残ったりしている作家で、第二回島田荘司小説賞受賞作。展開に少しご都合主義な感じが否めない。所々のヒントにやっぱりか、という言葉と吐露してしまった。でも、後半の展開は個人的には好き。
著者プロフィール
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